♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS ルターへの思い・父子のきずな〜宗教改革記念日(BWV80)その1

<<   作成日時 : 2006/10/29 01:09   >>

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 今日(10月29日)のカンタータは、すでにお知らせしましたが、
 今週は、日曜だけでなく、火曜日にも、重要な祝日があります。
 10月31日(火)、宗教改革記念日。

 カンタータは、BWV8079129、です。

 宗教改革記念日のカンタータに関しては、最近ある方に興味深い事実を教えていただきました。

 当時のライプツィヒは、政治的理由から、宗教改革記念日をそれほどハデには祝えない状況にあり、その政治的抑圧は、当然音楽にもおよんでいた、というのです。

 ところが、バッハのカンタータを見てみると、どれもこれも、とびきり華美な曲ばかり。
 例によって、バッハ先生、まるで「上」の言うことを聞いてません。

 特に、名曲、BWV80は、象徴的で、
 バッハは、単なる4声のコラールだった冒頭合唱を、
(この旧稿(第2稿)こそ、政治的抑制に従った結果なのかもしれません。就任当時は、バッハも、優等生だった?)
晩年になって、わざわざ、自分の作曲技法のすべてをつぎ込んだような、「壮麗」極まりない大合唱曲に入れ替えています。(第3項=最終稿)
 ところが、おもしろいことに、大フーガのクライマックスで、ルターのコラール旋律を朗々と響かせる楽器は、なぜか比較的に地味なオーボエなのです。

 晩年の、「自由人」バッハは、政治的抑制に従わず、自身の心のままに、冒頭合唱を思いっきり「壮麗」なものにしてしまったわけですが、 
 でも一応建前として、楽器はオーボエにしてみた。
 そして、みなさんご存知のように、この曲は、オーボエでも十分に、圧倒的なほどに「壮麗」です。

 「少しハデかもしれないけど、トランペットは使ってないぜ。
 どうだ。これで文句無いんだろ」
 そんなバッハの独り言が聞こえてきそうです。

 これは、愛するルターに対する、バッハの「思い」のあらわれに他なりません。

 この冒頭合唱は、ほんの数えるほどしか存在しない、最晩年のバッハによる貴重なカンタータ楽章のうちでも、特にすぐれた一曲です。


 ところで、このBWV80、少し前までは、ティンパニ付きの、前述のコラールも、「3本のトランペット」で吹奏する版で、演奏されていました。

 これは、旧全集版ですが、実は、息子のフリーデマンによる編曲版で、バッハ自身の手によるものではありません。

 フリーデマンは、後年、赴任先のハレで、BWV80から、第1曲と第5曲だけを取り出し、編曲+歌詞変更をおこなって、まったく別のカンタータとして演奏しましたが、
 旧全集では、どういう経緯からかは知りませんが、なぜかその音楽を逆流用し、BWV80にはめこんでしまったのです。
(つまり、旧全集のBWV80は、曲の一部だけをフリーデマンが編曲したもの、ということで、本来、まったくちぐはぐなものなのです。)

 さて、このフリーデマン版、
 これから先は、完全にわたしの「空想」になりますが、
 フリーデマンが、ハレでトランペット付編曲を演奏したのも、
 父親が「やりたくてもやれなかった」ことを実現するため、という意味あいが、多少はあったのでは。
 このカンタータは、父親が心からあこがれていたラテン語作品のようですし。

 バッハにとって、「3本のトランペット」は、とても重要な意味を持つものであり、それは、バッハ家、もちろん長男のフリーデマンにとっても、同じ意味を持っていたでしょうから。

 最後は安っぽい映画みたいになってしまいました。

 まあ、実際は、ハレの、シュトルム・ウント・ドランク全盛の風潮が、そのような音を求めていた、というところなんでしょうけれど。


画像


 *フリーデマンというと、ついこのCDジャケットを思い浮かべてしまいます。
  まあ、この少年も、大バッハの息子みたいなものですが。


 BWV80の冒頭楽章は、音楽自体もとびぬけてすばらしいですが、このように、さまざまなドラマをも含んでいます。
 第6曲、ソプラノ・アリアも、聴いているうちに、幸福な気持ちが、心いっぱいに静かに広がってゆくような美しさ。
 BWV80
 名曲という言葉は、このような曲のためにあるのでしょう。

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