♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS ガーディナーの挑戦〜宗教改革記念日(BWV80)その2

<<   作成日時 : 2006/10/29 01:38   >>

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 BWV80の冒頭合唱の構成は、コラールの各行ごとに、

1、合唱によるフーガ(コラール旋律の導入部)
       ↓
2、高音器楽によるコラール旋律吹奏
       ↓
3、通奏低音によるストレッタ(密接進行)のカノン風模倣

 が、くりかえされる、というものです。

 上記2のコラール旋律は、実は通奏低音の模倣とセットになっていて、
 わたしは、この器楽のカノンこそが、前段の合唱大フーガにも負けないほどの、最大の聴き所だと考えています。


 さて、前回書いたように、このコラール吹奏については、

@ オーボエによるもの(バッハのオリジナル版)
A トランペットによるもの(フリーデマンの編曲版。旧全集版)

 の2種類があります。

 わたしは、どちらも好きですが、それぞれデメリットもあります。

 @の場合、楽器がオーボエなので、かんじんのコラール旋律が、圧倒的なまでに充実した他の声部に埋もれてしまうことがあります。
 一方、Aの場合、確かにコラール旋律は際立ちますが、 上記3のカノン、大切な通奏低音模倣が、かき消されてしまいがちです。

 もちろん、@のマウエルスベルガー盤、Aのヘレヴェッヘ盤など、それぞれの問題をクリアした、見事な演奏もありますが。
(時代的に、これが逆でないのが、実に奇妙ではあります。)

 これに対して、ガーディナーが、実に画期的で、しかも理にかなった方法によって、見事な演奏をくりひろげているので、ご紹介することにしましょう。


画像



 ガーディナーは、上記2の高音コラール旋律については、通常通り、オーボエを使用しています。(つまりオリジナル版)
 しかし、3の通奏低音のカノン模倣の方を、バス・トロンボーンによって、ごうごうと、思いっきり吹き鳴らさせているのです!
(すさまじい重低音で、大音量で聴いていたら、部屋中がビリビリと振動するほどの迫力です)

 ちなみに、バス・トロンボーンは確かに通奏低音楽器としての使用ということになりますが、登場するのはこの部分だけです。

 この通奏低音模倣は密接進行ですから、これを強調することによって、かんじんのオーボエのコラール自体も、否が応にも強調されることになり、気高く、光り輝くように浮き上がります。
 もちろんカノンの構造そのものもはっきりとするわけです。

 フリーデマンは、オーボエの高音コラール自体をトランペットに変更することによって、強調しようとしましたが、
(考えてみれば、時代的に、対位法的興味はすでに失われつつあったのだから、これは当然のことかもしれません。)
 それに対して、ガーディナーは、まったく逆転の発想とも言える方法によって、すべての問題をクリアした上で、しかも、最大限の効果をあげています。
 これは、実に、驚くべきことです。
 しかも、バス・トロンボーンは、通奏低音としての使用なので、誰も文句が言えないわけです。
(確かに、通奏低音として、低音管楽器が使用されるのはよくあることです。
 しかし、コラール模倣部分に限って、これだけ威力のある楽器を使用するというのは、厳密に言えば、もちろん編曲の範疇にはいるのでしょう。
 しかし、この「編曲」が、どれだけすばらしい効果をあげていることか!)

 いずれにしても、ガーディナーのこのやり方は、BWV80問題?に、理想的な解答をしめすものだと思います。

 全体の演奏も、例によって、現代に息づく音楽としてバッハをとらえた、生き生きとして自然なもので、
 第6曲アリアの夢見るような美しさも見事。


 ガーディナーは、もちろん古楽系の指揮者ですが、
 以上のことからわかるように、
「バッハの時代にはどのように演奏されていたか」を追求する段階をはるかに飛び越えて、
「バッハの音楽がどのようにすれば聴く人につたわるか」、つまり表現そのものを、常に追求する、真の意味での大指揮者だと思います。


 1年間で、世界中の教会を回り、カンタータ全曲!を演奏、録音する。
 ガーディナーの一発勝負のドキュメント、SDGシリーズには、時々、このようにびっくりするような演奏が見られます。
 その中でも、このBWV80と並んで、もっとも衝撃的かつ効果的な演奏は、何といっても、
五旬節のカンタータ、BWV127でしょう。
 これについては、また、そのとき、あらためてご紹介しましょう。

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