♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

アクセスカウンタ

zoom RSS 世紀末バッハ・暦の終わりに〜三位一体節後第24日曜(BWV60、26)

<<   作成日時 : 2006/11/25 02:26   >>

トラックバック 1 / コメント 0

 11月26日、三位一体節後第24日曜日。

 今年の暦は、これで終わり。
 来週から、クリスマスに向けて、新しい暦が始まります。

 テーマはやはり、信じるものは救われる、というようなこと。

 カンタータは、救いの対極にあるものとして、この世のはかなさ、永遠の恐怖、というようなことを、徹底して追求します。
 ある意味、世紀末的なテーマが、1年の終わりにふさわしい?


 コラール・カンタータ(第2年巻)は、BWV26
 先週の安らかな感じとはまったく異なる、厳しい曲調の合唱で始まりますが、
 2曲目に、浮遊感あふれる不思議なアリアが続きます。
 これはもちろん、この世界のはかなさをあらわしているのですが、
 はかないけれど、なんて美しい。

 このあたりになると、コラール・カンタータの充実度、というか、結晶度には、すさまじいものがあって、ほんとうに息を飲むばかりです。


 もう1曲は、1年目のBWV60
 これは、「永遠の死への恐怖」と、「来世への希望」とが対話する、物語仕立てのダイアログ(対話式)カンタータ。


 ところで、このBWV60
 どういうわけだか、世紀末の芸術家たちと、実際に深く結びついています。


 ウィーンの画家、オスカー・ココシュカは、この曲に基づく連作の版画シリーズを描いています。
 物語の登場人物「恐怖」と「希望」に、
 自分自身と恋人だったアルマ・マーラー(マーラー未亡人)とを重ね合わせた作品。


画像



 約20年後、大作曲家アルバン・ベルクが、
 そのアルマ・マーラーの、早逝した娘、マノン、そして、自分自身へのレクイエムとして、
 美しいヴァイオリン・コンチェルトを書いています。

 「ある天使の思い出のために」

 よく知られるように、この曲の終楽章にも、やはりBWV60のコラールが登場します。

 リディア調。
 このコラールは、バッハの神業とも言える和声付けによって、それ自体、「恐怖」から「希望」にいたるドラマを内包しています。


画像



 そのヴァイオリン・コンチェルトの圧倒的な名演を残してくれたのが、
 アントン・ウェーベルンです。
 奇跡的に残された、ベルク追悼コンサートのライブ。
(初演ではなく、2度目の演奏とのこと)

 マノンの追悼のために、ベルクが書いた曲を、他ならぬベルク自身の追悼のために、ウェーベルンが演奏しました。

 この人の指揮は、他にも何点か残っていますが、ほんとうにあたたかい。

 また、ウェーベルンといえば、すぐに、バッハ晩年の対位法的総決算、6声ノリチェルカーレ(音楽の捧げ物)の、あの様々な色の光が明滅するかのような、美しいアレンジを思い出します。
 また、彼が、悲劇的な死の寸前まで没頭していたのは、確か2曲の「カンタータ」の作曲でした。


▽ カンディンスキーの絵(コンポジション)が使われた、
  ブーレーズ他のウェーベルン全集(1回目)のジャケット
  ウェーベルン編曲の6声のリチェルカーレ、ウェーベルン指揮のシューベルト舞曲等が、
  おまけに収録されてます。

画像



 ウェーベルンのCDジャケットにかならず登場するワシリー・カンディンスキーも、バッハの音楽をモチーフにした作品をたくさん描いています。

 でも、バッハの明るいカンタータなどを聴いていて、いつもわたしが思い浮かべるのは、
 晩年の大作、「空色」です。


画像



 わたしはこの絵を2回見ましたが、2回とも、見たとたん、空色のあまりの美しさに、涙が溢れ出しました。
 そのうちの一回は、ウィーン世紀末展とかいう展覧会で、
 ココシュカの絵を初めて見たのも、この展覧会で、でした。


 バッハを中心にして、きれいにつながりました。


 ここに登場した芸術家のみなさんは、けっして世紀末の方ばかりではないのに、
(むしろ、ほとんどが20世紀に活躍しています)
 なぜか、世紀末の画家、作曲家、と言われることが多いですね。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
川下へと語り継ぐ文芸
文学作品の価値はどこにあるのか?文学など縁遠い者にとっては答えに窮する質問であり、文学愛好家には嘲笑に値する愚問であろう。しかし、この文学を絵画や音楽などの芸術に置き換えても良いかもしれない。 ...続きを見る
Wein, Weib und Gesan...
2007/01/22 01:38

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
世紀末バッハ・暦の終わりに〜三位一体節後第24日曜(BWV60、26) ♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる