♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS お気に入りのアリア・クリスマス編その2 悲しみを見つめる視座〜BWV57他

<<   作成日時 : 2006/12/23 00:27   >>

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 いよいよ、クリスマス本番です。
 もう少しだけ、アリアを聴いていきましょう。 


 降誕節カンタータ一覧のところでまとめたように、
 クリスマスのカンタータの冒頭楽章は、おおざっぱに言って、
 おもいっきり華やかな大合唱と、モテット風のしっとりとしたものに大別されるようです。

 それに対して、アリア楽章は、比較的しっとりとした、短調系のアリアが多いように見受けられます。
 これはもちろん、テーマとなっているクリスマスのできごとが、決してハデでおおげさなものではなく、それがおこった時点ではほとんどの人が知らないような、ひっそりとしたものだったことにもよるのでしょう。

 この「お気に入りのアリア」シリーズでも、めずらしく、短調のアリアが登場することになります。

 これまで長調系のアリアばかりとりあげてきたのは、
 カンタータ(宗教曲) = 深刻で暗い、という固定観念を何とかふきとばしたい、というわたしの思惑にもよるのですが、
 それ以上に、実はわたし自身が、短調系のアリアが苦手で、あまりよく知らない、
 という、最も単純な理由によるところが大きいです。

 苦手といっても、もちろんきらいというわけではなく、聴いているときは心から感動するのですが、
 聴き終えた後、長調系のアリアや、短調系でも合唱曲等の場合は、強烈な印象が残るのに対して、短調系のアリアについては、何だか同じような印象しか残らない場合が多いのです。
 まあ、これは、わたしの修行が足りないせいなのですが。


 さて、そんな短調系アリアですが、その中で、今回ご紹介するのは、
 これまで一般の記事の中でご紹介してきた、

 BWV51 「全地よ、神に向かって喜びの声をあげよ」 〜 第3曲ソプラノアリア

 BWV115 「備えて怠るな、我が霊よ」 〜 第4曲ソプラノアリア

 などと並び、

 とびきり個性的な、一度聴いたらけっして忘れられないような、名アリアです。

  BWV57 「試練に耐える人は幸いなり」 〜 第3曲 ソプラノアリア

 歌詞の内容は、試練にさらされる魂が、イエスの愛を求める心からの叫びです。
 あなたがいなければ、死んでしまうしかない、とまで言っている。

 でも、その音楽には、例えば、寒い雪の夜に、暖炉のそばで、愛する者どうしが寄りそいあっているかのような、えもいわれぬぬくもりのようなものが、絶えず感じられる。
 救い主は確かに誕生して、そばにいてくれるのです。

 このぬくもりのようなものは、バッハの多くの短調アリアに感じられるもの。

 バッハの場合、短調の作品だからといって、ただ悲しみだけを感じさせる、と、いうことはありません。
 先ほどあげた2曲にしても、クリスマスの他の短調のアリアにしても、
 ただの悲しみよりも、もっと他の何か美しいものが、ストレートに伝わってきます。
 
 さらに、アリア以外の短調の合唱やコラールについても、例えそれがどれほど厳しく、深刻な内容だったとしても、なぐさめや、希望や、悲しみを乗り越える強さのようなものが、必ずどこかに用意されている。

 バッハに限って、それ以降の作曲家がしばしそうであるように、作曲家自身がのたうちまわり、慟哭するようなことは、絶対にありません。

 どんなときも、バッハは常に悲しみを超越したところにいて、
 静かなまなざしで、わたしたちを見つめてくれています。
 その高い視座が、わたしたちを安らかにしてくれます。


 さて、それ以外のおすすめアリアを、駆け足でご紹介します。
 (かなり降誕節カンタータ一覧と重複しますが、お許しください)


  BWV152 「信仰の道を進みなさい」 〜 第4曲ソプラノアリア

  * リコーダー、ヴィオラ・ダ・ガンバ、さらにヴィオラ・ダ・モーレ等、
    雅びな器楽群が活躍する美しい長調のアリア。
    ヴィオラ・ダ・モーレは当時すでに失われつつあった楽器で、
    その音色が聴けるのは、教会カンタータではこのカンタータだけ。
    古色蒼然とした器楽群と、ソプラノとが一体となった響きが、夢みるように美しい。
    ただ、美しいのですが、このアリア、歌いだしの歌詞が、石ーっ、なのです。
    石ーーーーっと、ずっと続く。
    (信仰の固さを意味するのですが・・・・)


  BWV122 「新たに生まれしみどり児」 〜 第4曲三重唱

  * バッハの3重唱のアリアは以外に少なく、確か3曲だけ。
    対位法の大家バッハが気合を入れて作曲している証拠で、    
    すでに一般記事でご紹介したBWV38116も名曲でしたが、
    この曲も例外ではありません。
    この曲の場合、3つの声部の内、アルトはコラールを歌いますが、
    各声部のからみあいが、ため息がでるほど美しい。
    これは短調のアリア。

 
  BWV110 「笑いはわれらが口に満ちて」 〜 第5曲デュエット

  * この曲の場合、アリアはどれもみな美しいのですが、
    特に第5曲デュエットは、
    すでにご紹介した、マニフィカト・クリスマス稿BWV243aの、
    クリスマス用挿入曲のパロディ。
    クリスマス劇にそのまま使えてしまえそうな、愛らしい1曲。
    (実際、劇に使用したのではないか、という説もあるようです)
    

  BWV197a 「神はわれらの堅き望み」 〜 第5曲バスアリア

  * またまたでました、197番の、あのワルツ風アリア。
    BWV197は、世俗カンタータが原曲と書いてきましたが、
    これはあくまでも推定で、はっきりしている原曲はこのクリスマス・カンタータなのです。
    つまり、あの幸福なワルツ風アリアは、
    婚礼用であるとともに、クリスマスの音楽でもある、ということ。
    なんて、おめでたい。
    ただし、この時は、バスのアリアでした。
    CDは、リリングの全集盤しかありません。
    でも、同じお祝いなので、せっかくだから、
    婚礼用のBWV197のソプラノアリアを代用で聴いてしまいましょう。
    わたしはドイツ語がわからないので、まったく問題ないです。


 きりがないので、これくらいにしましょう。
 やはり、どうしても、長調のアリアが多くなってしまいますね。


▽ ホッキョクグマのせいで、2年分のオーロラが大爆発!
  (トールキン博士のクリスマス・カードより)


画像



 おしまいに、クリスマスにはつきものの、華麗な冒頭合唱ですが、
 有名なBWV63110のものも、もちろんよいですが、
 コラール・カンタータ、

  BWV91 「イエス・キリストよ、賛美を受けたまえ」

 のものが、さすがに引き締まっていて、あたかも、キラキラ光る結晶化したコラール、といった感じで、ほんとうに見事!


 とても、紹介しきれませんが、もちろん、その他にも、名曲が盛りだくさん。
 バラエティ豊かな、クリスマスのカンタータを、みなさん、それぞれ、お楽しみください。


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