♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS バッハの最高のクリスマス音楽は・・・・

<<   作成日時 : 2006/12/24 00:26   >>

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 長かったわりには中途半端に、カンタータを中心とするバッハのクリスマス音楽について書いてきましたが、
 おしまいに、実際にわたしが毎年必ず聴くことにしているバッハのクリスマス音楽にふれておきます。

 ミサ曲ロ短調より、クレドの第4曲 「処女マリアより生まれ」 Et incamatus est

 バッハは最晩年に、生涯最後の「作品」、ロ短調ミサをまとめあげ、一番最後に、心からの感謝とともに、「DSG」の3文字を書き記し、
(ロ短調ミサでは、SDGでなく、DSGになってます)
 そして亡くなりました。

▽ ロ短調ミサのD・S・G(Deo Soli Groria = ただ神の栄光のためだけに)

画像



 これまで何度も書いてきたように、またみなさんもよくご存知のように、
 このロ短調ミサは、
 西洋音楽の根幹として、デュファイ以降延々と引き継がれてきた大ミサの山脈の最高峰であり、
 もちろん、バッハ自身の全カンタータ、、さらには全作品の集大成というべき大作でもあるわけですが、
 その中核のクレド、さらにクレドの各曲が形成する美しい十字架の中心である、
 「十字架につけられ」 Crucifixus に、
 バッハはなんと、最も若い時に書いたカンタータの音楽を使用しました。
(BWV12)

 そして、さらに驚くべきことに、
 その前曲、ここにあげた「処女マリアより生まれ」 Et incamatus est には、
 当時の音楽界の最先端を駆け抜けて早逝した、天才ペルゴレージの作品
(スターバト・マーテル、あるいはそれ以上にサルヴェ・レジーナ *)
に基づいて書き下ろした新作!が使われています。

                         * 小林 義武 「音楽史の流れに立つバッハ」 参照
           
 つまり、これはよく指摘されることですが、バッハの最も古い作品と、最も新しい流行最先端の作品が並んで置かれている、ということ。
 しかも、そのどちらも、前人未到というべきバッハ最晩年の作曲技法の奥義が惜しげもなく投入されていて、まったく無理なく、というか、それ以上ありえないくらいそれぞれにふさわしいものとして、聴き続けることができます。

 さらに付け加えると、このあとに続く
 「3日目に甦りたまえり」 Et resurrexit は、
 原曲不明ですが、バッハ全盛期のコンチェルト楽章等と推定され、
(1727年(マタイの年)のセレナーデ? **)
 生命力にはちきれんばかりの音楽になっています。

                         ** ヘフナー 「ロ短調ミサ・2曲の起源」 参照

 バッハは、自分の全生涯におよぶ作品を3つ並べて、
 イエス・キリストの生涯と奇跡、「誕生」「受難」「復活」を、ほんのわずか数分間で表現しつくす、
 という、それこそ奇跡としか言いようのないことを、成し遂げたのです。

 中でも、「処女マリアより生まれ」は、さすがに最晩年の書き下ろしだけあって、まさに神品。
 信仰に縁の無いわたしでも、
 この宇宙の片隅で、なにかとても大切なものが、静かに誕生したのだ、ということを、
 心の底から信じることのできるような、とてつもない作品になっています。


▽ バッハ最晩年のクレドの楽譜

画像



▽ コラール・カンタータ(第2年巻)、BWV8の楽譜
  バッハ全盛期の、鋼のような筆跡。上の筆跡と比べてみてください。

画像



 ぜひクリスマスには、
 この超絶的な音楽を、レオンハルトの超絶的な演奏で。
 復活の鮮烈さでは、ヘンゲルブロックにはかなわないかもしれませんが、
 誕生の神秘感や、受難の厳しさでは、誰も肩を並べることはできないでしょう。


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コメント(6件)

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Merry Christmas!

God bless us, everyone!
Stella
2006/12/24 09:50
 せっかくクリスマスのコメントをいただいたのに、ずっとパソコンが見られなかったので、のせるのがおそくなってしまいました。
 でも、カンタータの世界では、明日(27日)まで、ずっとクリスマスのお祝いが続くので、お許しください。
 でも今日ぐらいになると、急にあわただしくなり、もうクリスマス、という気分ではなくなってしまいますね。
Nora
2006/12/26 09:36
Noraさん

おはようございます。
二つの楽譜、比べて拝見いたしました。晩年、目を患っていたバッハが書き上げたクレドの楽譜、これ以上できないほどに昇華されたこの上なく深くて静かな祈りのように見えます。楽譜が読めない私ですが、楽譜の持つ力、美しさは、はっきりと感じることができます。

「この宇宙の片隅で、なにかとても大切なものが、静かに誕生したのだ」
というNoraさんの言葉を心が震える思いで受け止めました。

バッハではありませんがモーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」ソプラノ歌ってみない?とPさんからお誘いを戴きました。
大好きな「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、ラテン語は難しいですが何よりも歌詞の意味を考えると、歌えないのです。
どう歌っていいのかわかりません。想いだけが一人歩きして歌になりません。
もともと歌の経験のない私ですから上手に歌えるとは思っていませんが、それにしても・・・
ちょっとかなしいです。
aosta
2007/11/01 07:54
 aostaさん。おはようございます。こんなところに、どうも。
 バッハの楽譜は美しいですね。印刷されたものまでもが美しい。
 これからも、どんどんのせていきますね。

 モーツァルトのお話をわたしになさるとは、よほど悩んでらっしゃるようで。(笑)

 確かにこの聖歌の本来の目的や意味、さらにモーツァルトが作曲した状況等を考えると、aostaさんがおっしゃることもよくわかる気がします。これは決して気軽な作品ではありません。
 だけど、そのようなことを突き詰めていくと、レクイエムなどふだんは聴けなくなりますし、カンタータもごく限定された機会にしか聴けなくなります。
 そればかりか、わたしなど、あらゆる宗教曲を聴けなくなってしまいます。
(続きます)
Nora
2007/11/01 12:08
 この曲は、たくさんの人に歌いつがれ、親しまれて、本来の意味とは別に、「名曲」として定着しています。グレゴリオ聖歌の歌詞はもちろん意味がありますが、長い歴史の中である程度形式化している部分もあると思いますし、この頃にはすでに、宗教曲を「一作品」として作曲する意識も浸透していて、何よりも、以前のモーツァルト自身が、そうだったのではないでしょうか。

 ですから、あまり深く考えずに、この美しい音楽を、ただあるがまま歌い、それを聴いていただく、くらいのつもりでいいのではないか、と思うのですが。
 モーツァルトの思い、この曲のすべてをつたえよう、などとは考えず、(そんなのもともとムリです)aostaさんなりの思いこめれば、それでいいんじゃないかと。
(さらに続く)
Nora
2007/11/01 12:10
 幸い、この曲は、音楽的には、あらゆる無駄がはぶかれていて、すごく歌いやすいのではないでしょうか。さすがモーツァルト、バッハではこうはいかない。
 シンプルなほど難しい、などと言うのは、一部の選ばれた方が言うことです。

 いつものように長々とごちゃごちゃ言ってきましたが、まあ、かんたんに言うと、当たってくだけろ、ということで。(笑)

 以上、無責任極まりない極論です。そのつもりで聞き流してくださいね。
Nora
2007/11/01 12:11

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