♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS アドヴェント・クランツのともしび〜待降節第1日曜日(BWV36、61、62)

<<   作成日時 : 2006/12/03 02:17   >>

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 12月3日、待降節第1日曜日。

 待降節(アドヴェント)は、文字通り、クリスマスに備えて、心の準備をする期間で、
 ここから新しい教会暦が始まります。

 前回も書きましたが、カンタータは、季節の音楽です。
 わたしのように信仰に縁が無くても、教会暦にしたがってカンタータを聴くことによって、季節感あふれるカンタータを何倍も楽しむことができますし、その音楽に包まれて生活することで、季節の移り変わりそのものを、より深く味わうことができます。

 ちょうど今が、教会暦に沿って、カンタータを聴いていくには、絶好の機会です!

 よかったら、ぜひ、わたしといっしょに、教会暦にそってカンタータを聴いてゆきましょう。
 これまでのように、毎週聴きどころをご紹介していきますので、
 気になる曲があったら、棚に眠っているCDをひっぱりだしたり、図書館で借りたりして、耳を傾けてみてくださるとうれしいです。



▽ ラ・トゥールの描いたいろいろな灯

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 さて、それでは、さっそく聴いてゆきましょう。

 アドヴェント。
 先日、アドヴェント・クランツについてのコメントをいただきましたが、
 アドヴェント・クランツの蝋燭は4本。日曜日ごとに火をつけて、みんなつけ終わると、待ちに待ったクリスマスです。
 だから、待降節も、第4日曜日まであるわけですね。


 この日のためにバッハが用意してくれたカンタータは、さすがに名曲ぞろい。
 初期のBWV61も、
 「コラール・カンタータ」(第2年巻)のBWV62も、
 ルターのコラール、「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」
(メロディーは「17(18?今いくつなんだろ)のコラール集」(ライプツィヒ・コラール集)でも知られる同名の有名な賛美歌)
 に基づく名作で、よく演奏されますが、
 わたしのおすすめは、何と言っても、BWV36です。


 カンタータ第36番 「喜び勇んで舞い上がれ」 BWV36
(今度から、おすすめ曲くらいはタイトルをきちんと書くことにしました)

 喜び勇んで舞い上がれ、
 はるか高き星空をめざし・・・・

 と、歌詞は続きます。

 これはパロディで、原曲は、幸福感あふれる世俗カンタータ。
 バッハもこの曲がよほど気に入っていたみたいで、
 世俗カンタータに2回、教会カンタータに1回、それぞれ転用しています。

 教会カンタータの方は、一度転用した後、かなり後期になってから、(1731年)
 さらに大規模な改変を加えています。
 その際、バッハは、合唱と各アリアの間に、上記ルターのコラールのコラール編曲を何曲もちりばめて、大カンタータに仕上げました。
 今では一般的に、その稿が演奏されます。

 バッハ全盛期の生き生きとした合唱やアリア、後年の神品とも言えるコラール編曲、一見両極端とも思える要素が渾然一体となり、どれもみな、息を飲むほどの美しさ。

 中でも、第7曲、ソプラノ・アリアは、弱音器付きヴァイオリンのオブリガートが、クリスマスを待ち望む人々の心に深く染み入るかのようです。
 世俗カンタータ起源のアリア特有の、いつものワルツを思わせるリズムが、夢見るように美しい!
(原曲の世俗カンタータでは、ヴィオラダモーレというめずらしい楽器が使われています。
 第3曲の短調の、これまた美しいアリアのオーボエダモーレに対応しているのですね。
 どちらも愛の楽器)

 また、全曲の真ん中には、BWV1で名高い、あの「あけの明星」のコラールが燦然と輝いています。
 受難直前に登場したあの星が、ここでもまた、わたしたちに希望の光を投げかけているのです。



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 さて、来週以降、クリスマスまで、
 ライプツィヒのバッハのカンタータは、残念ながら存在しません。
 わたしも、毎週カンタータについて書かずにすんで楽なのですが、
 これは、待降節第2日曜日以降、教会で華美な音曲を演奏することが禁じられていたためです。
 心静かに、クリスマスを待つ、ということなのでしょう。
 春の受難前の数週間と同じです。

 若い頃勤めていたヴァイマールでは、そんなことはなかったので、
 第2日曜日以降のカンタータもつくりましたが、バッハは、ライプツィヒ時代に、それらのほとんどを、他の祭日用のものに改変してしまいました。

 それをまとめると、以下のようになります。


  待降節第2日曜日用 BWV70a  → 三位一体節後第26日曜日用 BWV70

  待降節第3日曜日用 BWV186a → 三位一体節後第7日曜日用 BWV186

  待降節第4日曜日用 BWV147a → マリアのエリサベト訪問の祝日用 BWV147

  * 待降節第4日曜日用のBWV132のみ、そのまま


 見ていただくとわかるとおり、あの、コラール「主よ、人の望みの喜びよ」のBWV147は、もともと待降節のカンタータだったんですね。
 もっとも、あの有名なコラールが作曲され、付け加えられたのは、ライプツィヒの改変時です。

 つまり、あのBWV147から、一番の聴きどころであるコラールを除いてしまえば、
 概ね、原曲の待降節のカンタータ、BWV147aができあがるわけです。

 厳密に言えば、レティタティーボと、それからもちろん歌詞を変えなければならないのですが、ドイツ語のまるでわからないわたしは、これ幸い、
 昨年の待降節に、試しにどんな感じになるのか、コラールをわざわざはずして聴いてみました。
 まあ、失われたカンタータの、自家製簡易復元を気取ってみたのですが、
 それほどおもしろくなかったのは、言うまでもありません。



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Cafe Stella
2006/12/03 23:28
待降節のカンタータ
もう12月も20日にもなっていまさらアドヴェントでもないんですが、思い立ってバッ ...続きを見る
ガーター亭別館
2009/12/20 14:12

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
何故か順序が逆になってしまいました。
普通トップページから読むものですよね(笑)
ああ、でも。
こちらを拝見してからでは何もコメントできなかったかもしれません。
すばらしいブログですね。
ご専門が音楽、それもバッハなのでしょうか?
自分の大胆不敵さにただただ恐縮しております。

冬支度に忙しい八ヶ岳のふもとで、心穏やかにNoraさまのブログを拝見させていただけることは、大きな喜びとなりそうです。
aosta
2006/12/05 11:57
 はじめまして。
 記事を読ませていただきました。豊かな自然の中で、カンタータの演奏にかかわってらっしゃるとは。なんてうらやましい!
 さらにカンタータを身近に感じていただくお役に立てれば、こんなにうれしいことはありません。どうぞ何でも聞いてください。
 とか言ってますが、他の記事をごらんになれば、わたしが単なる能天気なバッハファンだということは、バレバレですね。
 それでよろしければ、どうかよろしく。
Nora
2006/12/05 20:59
 コラール「主よ人の望みの喜びよ」のBWV147は、もともと待降節のカンタータだった・・・

あのコラールがつけ加えられて、現在の形になったのですね。
Noraさまの仰るとおり、今となってはこの曲なしには考えられられません。
 (私の場合アルト・パートのメロディなのですが)クリスマス礼拝に向けて練習が始まって以来、この曲がいつも頭の中でなっています(笑)。
aosta
2006/12/07 09:40
 こんにちは。
 いまaostaさんが練習なさってる有名なコラールは、おっしゃるように、マリアのエリサベト訪問の祝日(これは実は、7月2日、真夏です(笑))用に付け加えられたものですが、
 この祝日は、有名な「マニフィカト」と結びついていて、「マニフィカト」は、クリスマスそのものと結びついています。
 ですから、クリスマスにこのコラールを歌うのは、理にかなってる?とも言えるのです。
 今は何を言ってるのか意味不明だと思いますが、上の記事に書いたように、クリスマスまでは、カンタータがありませんので、このあたりのこともゆっくりと書いてみたいと思っています。
 それに、たまにはBWV147のような名曲のことを書かないと、誰も読んでくれません。(笑)
Nora
2006/12/07 14:19

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