♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS お気に入りのアリア・潔めの祝日編 とっておきの1曲〜BWV157他

<<   作成日時 : 2007/02/01 01:10   >>

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 前回書いたように、マリアの潔めの祝日のカンタータとしては、
 定番の3曲、BWV82、83、125が、バッハのカンタータの最高峰とも言える大傑作であり、まず何よりも、(特にアリアに限ることなく)これらの全曲を聴くべきだと思います。

 でも、この祝日の場合、その他にも係わりのあるカンタータがたくさんあり、
 どれもが、決して見逃すことのできない傑作ばかり、
 「お気に入りのアリア」というかたちで、補足しておきます。

 と、いうより、例によって、こちらの方が、むしろほんとに書きたい部分かも。



 1、BWV157 「もし汝が我を祝福しなければ」 (バス・アリア他)


 まず真っ先にあげないといけないのが、BWV157です。

 BWV157は、後期(1727年)の追悼礼拝用カンタータですが、
 歌詞の内容、および記録等から、いずれかの時期の潔めの祝日にも演奏されたのは、ほぼまちがいないとされています。
 1727年以前に、すでに潔めの祝日用として成立していた、という説もあるようですが、
 そうなると、ライプツィヒ以前の作ということになり、
(1723年から27年の潔めの祝日に関しては、演奏記録が明らかなため)
 わたし個人的には、1727年以降に潔めの祝日に転用したのだろう、と、考えています。

 高度に熟練した作風からして、初期作ということはちょっとありえないからです。
 マタイやBWV82が作曲された、バッハ絶頂の年、1727年の作とするのが、よりふさわしい。

 BWV157は、それだけとびぬけた傑作だ、ということ。

 教会暦からはずれた追悼用ということもあり、聴いたことのない方のほうが多いと思いますが、何とか機会を見つけて聴いてみてください。

 
 BWV82は、3つのすばらしいアリアをレチタティーボでつなげた曲ですが、
 このBWV157も、ちょうど、同じかたち、
 ただ、BWV82が、バスのためのソロ・カンタータなのに対して、
 BWV157の方は、バスとテノールのためのもの、さらに最後に4声コラールがつきます。


 冒頭のアリアは、デュエット。
 バス、テノールと、フルート、オーボエ、ヴァイオリン等の楽器が、目の詰んだ見事な織物のような、6声のポリフォニーを繰り広げます。
 調性は、ロ短調。ここぞ、という時の、バッハの勝負調性。
 涙がしたたり落ちるかのような美しい音楽で、BWV82の冒頭アリアとともに、
 受難曲の音楽とくらべても決して遜色ありません。


 続くアリアも、短調の名アリア。(嬰ハ短調)
 テノールとオーボエダモーレの切々とした訴えが心に染みわたります。


 そして、第3曲。バス・アリア
 これが、すごい!
 ずっと暗い曲調が続いた後で、突然すべての暗闇が取り払われ、
 一気に空に突き抜けたかのような明るさ。


▽ 突き抜けた光の国〜モンドリアン 「海の情景」

画像



 それはけっしてまぶしいような明るさではなく、
 一種霊的な、広々とした広がりをも兼ね備えた明るさなのです。

 まさに、歌詞にある「天の国」そのもの。
 自由に飛び回るフルートとヴァイオリンが、まるで天の国の小鳥のさえずりのようです。
 わたしはこのアリアを聴くたびに、まぶしさでなく、あまりの神々しさに、めまいを覚えてしまいます。

 CDはほとんど全集盤だけになってしまいますが、
 幸い、レオンハルトの超然とした名演があります。

 レオンハルトの追悼用カンタータの名演としては、
 このブログのほとんど一番はじめに、名曲中の名曲、「哀悼頌歌」 BWV198のCDをあげましたが、
 それに勝るとも劣らない、名曲の名演奏だと思います。



 2、BWV200 「我はその名を呼ぶ」 (アルト・アリア)

 カンタータの断片と思われるアリア1曲のみ伝承。
 歌詞からすると、潔めの祝日用のものと思われますが、
 注目すべきは、その作曲年代。
 1742年と言えば、カンタータ創作と言う観点からすると、最晩年。
 このような年代に作られた教会カンタータは他にはまったく存在せず、
(断片は除く。「バッハの最後のカンタータは?その2」参照)
 それだけでも貴重ですが、音楽も、さすがに霊的な美しさにあふれています。


 
 3、BWV158 「汝に平安あれ」 (バス・アリア)

 BWV158は、バスのソロ・カンタータとして知られる、復活節のための名曲で、
 CDもたくさんありますが、
「ソロ・カンタータのすすめ」参照)
 その中でも特に名高い第2曲アリア(と次のレチタティーボ)は、
 もともと、潔めの祝日用のカンタータ楽章を、転用したものです。

 まるでモーツァルトを思わせる、のびやかで美しいヴァイオリンのオブリガート。
 無条件なまでの幸福感。ここまで屈託の無い旋律は、バッハにはめずらしいほどです。

 まだ聴いたことのない方は、ぜひ聴いてみてください。
 メロディーメーカーとしてのバッハを、再確認するはず。

 でも、やはり、そこは、バッハ。
 美しいメロディーにただ身をまかせて油断してると、聴く者は、すぐに心から驚かされることになります。

 実は、この美しいオブリガートとバスの歌唱は、すぐに、ソプラノとオーボエのコラールを導き出し、重なりあうのです。
 つまり、この曲も、ついこの前、「対位法とバッハ」のところで書いた、メロディーメーカー・バッハの秘密を、実際に確かめる良いサンプルでもあるわけです。



▽ わたしにとっての、突き抜けた光の世界、と言えば、やはりこれ。
  また、のせてしまいます。カンディンスキー 「空色」 Bleu de ciel

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