♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS 旅の終わりとあけの明星・終わりは始まり〜マリアのお告げの祝日+棕櫚の日曜日(BWV1)その1

<<   作成日時 : 2007/03/21 23:44   >>

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 3月25日。マリアのお告げの祝日(受胎告知日)

 そろそろレントも終わり。毎週のカンタータのお知らせを再開します。
 まず登場するのが、数あるカンタータの中でも最も美しいカンタータの一つ。
 しかも、番号は1番。BWV1。
 みなさん、きりもいいので、これから、教会暦にそってカンタータを聴いていきませんか? 



 BWV1 「あけの明星の、なんと麗しく輝くことか」

 このタイトルを聞いただけで、胸がいっぱいになります。

 いくら特別な祝日とはいえ、受難を目前にしたこの時期に、こんなに明るくさわやかな音楽でいいのか、と思ってしまいますが、
 よく考えてみれば、「あけの明星」ですから、あたりはまだ闇につつまれているわけです。
 そんな中、たったひとつの明星がさやかに輝いて、まっすぐな光を放っている。かならず夜明けがくる、あるいは、冬が終わって春が訪れることを、告げているのです。
 こんなにも歌詞の内容に、そして季節にふさわしい音楽を、わたしは他に知りません。


画像



 この曲の初演日は、棕櫚の日曜日でもありました。
(今年は1週間ずれて、来週、3月1日です。その次の金曜日が聖金曜日)

 わたしは、この曲を聴くたびに、棕櫚の日曜日の書簡聖句、

 「光の子らしく歩きなさい」

 ・・・・むりやりいかされてた日曜学校で、いやというほど聞かされたこの言葉を、思い出します。
 そのころは、なんだ、そりゃ、なんて、思ってましたが。

 
 ご存知のとおり、棕櫚の日曜日は、イエスのイスラエル入場。
 五旬説のところで書いた長かった旅も、ついに、終わりを迎えます。
 この後に何が待っているかは、みなさんご存知の通り。
 最後の旅が、終わったのです。


 そして、この曲は、
 バッハの生涯最大、最高の大作、
 「コラールカンタータ年巻」(第2年巻)の最後の最後の曲でもあります。
 あのBWV127の直後の作品です。
 前述のように、初演当日は棕櫚の日曜日ですから、当然バッハの意識は受難のことでいっぱいだったはずです。

 ところが、BWV127で、あれほど受難を予告したバッハが、この曲では、そのさらに先にある明るい希望だけを予告しています。

 あたりは暗黒に閉ざされています。
 だが、はるか彼方に、
 まだ小さく、かすかではあるけれど、確かな光が、麗しい光が見えている。
   
 少し不謹慎な言い方ですが、「コラールカンタータ年巻」という長大な作品のエンディングとして、これ以上にふさわしいものは、無いでしょう。


 もしこの曲を聴いたことがない方がいたら、必ず聴いてください。
 もう、ほとんど、お願いです。(笑)
 カンタータは宗教曲ですが、こんなに明るく、美しい曲もあるのか、と、驚かれることでしょう。



画像
 ハッブル望遠鏡で見た金星

 地球から見る金星は、
 明るい希望の星ですが、
 実際の金星の地表は、
 温度470度、90気圧。
 無数の火山と複雑に入り組んだ溶岩流が、
 恐ろしい情景をつくりあげている、
 とのこと。

 参考 : ハッブル望遠鏡が見た宇宙
     (岩波書店)







 最後にちょっとつけたし。
 このBWV1の終結コラールの歌詞には、
 「始まりであり、終わり」という言葉がでてきます。

 まさにこの曲は、

 始まりであり、(クリスマス=救いに向けての始まり、そして、BWV番号も1番!)
 終わりでもある(BWV127の最後の旅の終わり、そして、「コラールカンタータ年巻」の最後の曲)

 と、いうわけですが、最初から歌詞の中で、そのように定められていた?
 というオチです。

 真の名曲というものは、ちゃんと収まるべきところに収まるんだなあ、と感心しましたが、いかがでしょうか。



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『受胎告知』 / フラ・アンジェリコ
もう20年近く前の記憶である。 フィレンツェのサン・マルコ修道院で出遭ったフラ・アンジェリコの『受胎告知』。 数ある「受胎告知」の中でも、ダ・ヴィンチの作品と並んで最も知られた作品の一つかもしれない。 その絵は、薄明かりの中、階段を上がった正面の壁に描かれていたように思う。 左手から柔らかな陽が差し込む踊り場に立って、見上げる形で対峙したその絵は、沈黙と緊張、静謐の中にあった激しいドラマを、あたかも時が止まったかのように描きだしていた。 ...続きを見る
消えがてのうた
2007/03/22 07:33

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
おはようございます。

「始まりであり、終わりである」という言葉、深く心に響いてきました。
夜明けの前の真闇の濃さの中で、しるべのごとく光りを放つ明星。
暁のマリア。私達の希望。

BWV1 「あけの明星の、なんと麗しく輝くことか」
心静かに聴いてみたいと思います。


aosta
2007/03/23 07:35
こんにちわ。この記事を待っておりました。
1番は僕にとっても特別です。
もし教会カンタータの1番がこの曲でなかったら、その後の200曲に続かなかったかもしれません(笑)。
冒頭の合唱がたまりません。

ちなみに、アーノンクールとリヒターの二種類持っていますが、抜群に後者が素晴らしく感じます。リヒターのを聴いた後にアーノンクールを聴くと、なんとも気が抜けます。一体何が違うのかよく分からないのですが、リヒターの演奏は密度が濃い、ような・・・。

「コラールカンタータ年巻」というとらえ方、初めて知りました。
僕も教会暦にそってカンタータを聴いてみようかな。でもついていけるかどうか・・・(苦笑)。
 


たこすけ
2007/03/23 12:50
 aostaさん。美しい絵のついた記事をトラックバックしていただいて、ありがとうございます。
 新しい記事も拝見させていただきましたが、ちょうど、ダ・ヴィンチの「受胎告知」が、東京で公開されたとのこと。すばらしい偶然です。
 この曲のイメージにあっているのは、やはり、フラ・アンジェリコの方でしょうか。ダ・ヴィンチはあまりにも堂々として、立派ですね。

 この時期は、教会暦上、人としてのイエス・キリストの始まりと終わりが、ちょうど重なる時期です。
 そのどちらをも、大きく包み込むような音楽をかけたのは、バッハただ一人のような気がします。
Nora
2007/03/24 01:11
 たこすけさん。こんばんは。お待ちしてました。
 この前の五旬節の時、ちょっとややこしいことを書きすぎたような気がして、今回は、なるべくわかりやすくしようと思ったら、
 この曲に対する思い入れの割には、大したことが書けませんでした。
 がっくり。
 こうなったら、たこすけさんの記事に期待しています。
 ・・・・と、プレッシャーを、かける。

> 僕も教会暦にそってカンタータを聴いてみようかな。でもついていけるかどうか・・・(苦笑)。

 できたら、ついてきてください。
 決して教会暦にこだわってるわけでなく、単にカンタータの季節感を楽しみたいと思ってるだけなので、
 たまに記事を見ていただいて、お持ちの曲が登場したり、気になる曲があったりした時に、聴いていただければ、うれしいです。  
Nora
2007/03/24 01:32

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