♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS カンタータ詩人(その2) 無名詩人氏からツィーグラーへ + 復活節後第3日曜(BWV103他)

<<   作成日時 : 2007/04/28 23:31   >>

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 カンタータの台本作者については、後期のピカンダーのことを、これまで何度かとりあげてきました。

 今回は、ライピツィヒ2年目に係わる、「コラール・カンタータ」の台本作者と、その後をひきついだツィーグラーについて少し触れておきたいと思います。


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 これまで書いてきたきたことのくりかえしになってしまいますが、
 まずちょっとだけ整理しておきます。

 1724年6月、ライプツィヒのトマスカントルの職務も2年目を向かえ、
 バッハはいよいよ、第2年巻、いわゆる、「コラール・カンタータ年巻」に着手。

 まるでとりつかれたかのように、一つのコラールを素材に歌詞から音楽にいたるすべてを構成する手法で、カンタータを書き続け、バッハの全生涯におけるピークを刻印する作品群が生み出されました。

 ところが、その最高の到達点というべき、
 レント前(五旬節)のBWV127、受胎告知祝日のBWV1を作曲した後、
 年巻完成を目前にしながら、
 突然バッハはコラール・カンタータを作曲しなくなります。

 聖週間(ヨハネ第2稿を上演)が明け、
 復活節に登場したのは、ヨハネの続編のような、巨大なオラトリオ(BWV242)、
 そして、それに続いたのは、ここ数週間で聴いてきたような、
 コンチェルトそのもののようなカンタータ(BWV42)、
 アリアばかりが連なるオペラのようなカンタータ(BWV85)など、
 コラール・カンタータとはまったく性格の異なる、おもいっきり自由なカンタータでした。

 まるで、春を迎え、バッハ自身もはじけてしまったかのようです。


 さて、ここで、コラール・カンタータの台本作者にスポットライトが当たります。

 コラール・カンタータの中止理由には、諸説ありますが、その中でも、台本作者が突然いなくなった、というのが、現時点での最有力説だからです。
 
 実は、これまで、コラール・カンタータの台本作者は、バッハの生涯における最大のミステリーの一つでした。
 バッハ自身も相当作詞に関わっていたことはまちがいなく、もしかすると、ほとんどバッハ自身の作詞、と言ってもよいくらいだったのかもしれない、と、わたしは思ってますが、やはり作詞はバッハの職務ではありませんので、必ず他に台本作者がいたことは、確かです。

 そして、トマス学校のアンドレアス・シュトーベルという、引退したトマス学校の副校長が、ちょうどこの時期に亡くなっていることから、この人をコラール・カンタータの台本作者とするのが、定説になりつつあるようです。

 コラール・カンタータの中止理由=台本作者の死亡
 と、いう点については、わたし自身は、必ずしも100%そうとは言い切れないのではないか、と、考えていますが、
 その後の経緯を見ると、
 いずれにしても、歌詞作者に関する何らかのことがらが、コラール・カンタータ計画中止の大きな理由の一つであったことは、確かなような気がします。

 と、いうのは、バッハは、その後、ツィーグラーという女流新人に白羽の矢を立て、
 しばらくの間、彼女の歌詞によるカンタータを立て続けに書くからです。


 ツィーグラーは、夫と子どもを亡くしてしまい、音楽と詩に何よりの慰めを見出していた女流詩人。
 その歌詞は、聖書の言葉そのものをベースにして、思わず襟を正してしまうほど真摯、かつ内省的なもの。

 復活節であれだけはじけたバッハの音楽も、急にまじめな色合いを取り戻し、
 まるで、初期に戻ったかのようなスキの無い曲が続きます。

 なぜ、バッハが、突然ツィーグラーの台本をとりあげたのか、よくわかりません。
 ツィーグラーは啓蒙主義のサークルに所属していたようですが、バッハと啓蒙主義のかかわりについてはいろいろな説があるようです。

 また、バッハはツィーグラーの原詩を相当手直ししてるので、実はそれほど評価してなかったのでは、という方もいますが、バッハにとって、詩の手直しは、コラール・カンタータの時からもうすでに、当然のことだったのかもしれません。



 いずれにしても、この後、バッハは、2年目のおしまいまで、つまり、三位一体節まで、ツィーグラー台本のカンタータを書き続けます。
 
 わたしは、(個人的には)、どちらかというと、後期の自由な作風の方を好むので、どちらかというと、ツィーグラー・シリーズは苦手な方です。

 でも、せっかくなので、この機会にちょっとがんばって、ツィーグラー・シリーズをあらためて聴きなおし、ご紹介していけたら、と、思ってます。


  *    *    *


 さて、と、いうわけで、
 明日は、復活節後第3日曜日。


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 2年目のカンタータは、早速ツィーグラー・カンタータの第1作、BWV103が登場です。

 BWV103 「あなた方は泣き叫び」

 歌詞の内容に従って、悲しみと喜びが次々と交錯する名曲です。

 ・・・・・・・・。

 (あれ、・・・・それだけ?)


 他には、最初期の名作BWV12
 冒頭の憂いに満ちたシンフォニアと、
 後年、名作BWV78や、ロ短調ミサの中核の十字架の音楽に変容した、シャコンヌでよく知られています。


 もう1曲は、後期のピカンダーがらみ?のBWV146
 チェンバロ・コンチェルトBWV1052第1楽章、第2楽章と同じ音楽が、そのまま第1曲、第2曲です。(独奏楽器はオルガン)
 第2曲には、合唱がついていて、おもしろい。


 すみません。一応、連休なので。
 来週から、もう少し、マジメにやります。



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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
Noraさま
おはようございます。朝から良いお天気で気持ちいいですね。
前回の記事に関連してしまいますが、久しぶりに「ロ短調ミサ曲」を聴いてみました。第一部7曲と終曲に纏わるお話。知りませんでした。
改めて聴く終曲に込められたバッハの感謝と平安への祈り・・・。
感慨無量です。・・・レオンハルトのCD版です。
3月には、この大曲やゴルトベルク変奏曲とも大いに関連し、
バッハも憧れていたドレスデンも訪問致しました。
日本公演で合唱団とは入れ違いになってしまった聖十字架教会は
とても素晴らしかったです。
昨日は、シャンテ・シネで「ドレスデン 運命の日」を観ました。
(つづく)
Nacky
2007/04/29 09:58
(つづき)
さて、カンタータに話を戻し、第78番を目に致しましたので、
私が実際に歌った曲を整理してみました。
磯山雅先生がバッハに開眼された名曲ですね。
バッハの素晴らしさが凝縮された一曲であると思います。
以下、目録番号のみで恐縮です。
<カンタータ>
BWV6、21、61、63、78、131
<モテット>
BWV225、226、229
<ミサ>
BWV233、234、235、236、238
<マニフィカト>
BWV243
<受難曲 オラトリオ>
BWV244(マタイ受難曲) 
BWV248(クリスマス・オラトリオ)

以上、私のバッハ経験なんて30年近くかけても、まだまだ
こんなものなのですが、引き続き、これからもよろしく
お願い致します。 
Nacky
2007/04/29 10:13
 Nackyさん。おはようございます。
 お返事が一日遅れになってしまい、申し訳ありませんでしたが、今日も、すばらしい天気ですね。
 おっしゃるとおり、ドレスデンは、ロ短調ミサのそもそもの発端になったところですし、バッハの生涯のあこがれでした。
 行ってみたいけど、やはり、遠い・・・・。

 ロ短調ミサを歌われてないのは残念ですが、
 その他のミサをみんな歌われている、というのは、すばらしいですね。
(サンクトゥスまで)

 ロ短調ミサの第1部も、もともと同種のものですし、どれも、ロ短調に決してまけない傑作ばかりなのに、一般的に、あまりにも軽視されてるような気がします。
 何だかきちっと、書いてみたいような気がしてきました。
 いつになるか、わかりませんが。(笑)
Nora
2007/04/30 11:52
 以下、本文のつけたし。

 BWV12はよく知られた名曲なのでいいと思いますが、そのほかの曲については、あんまりなので、少し補足しておきます。

 BWV13。
 冒頭合唱は、ソプラニーノ・リコーダー(フラウトピッコロ)の透きとおった響きと半音階的なテーマが、不思議な雰囲気をかもしだす傑作。ロ短調。
 リコーダーは、嬰へ短調のアリア(これもエレミア書)でも、美しくアリアとからみ、切々とした訴えが心に響きます。

 BWV146。
 記事に書いたとおり、オルガンコンチェルトから始まりますが、
 続くアリアでも、オブリガートでオルガンが活躍する版もあります。
 ピカンダーがらみの後期作だけに、アリアはどれもすばらしいですが、
 やはり、最後のデュエットの舞曲がすばらしい。
 緑輝く、今の季節にぴったり。
Nora
2007/04/30 12:15

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