♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS お気に入りのアリア・復活節編 踊る双子の兄弟(姉妹?)〜BWV134、66

<<   作成日時 : 2007/04/09 00:32   >>

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 さあ、復活節。

 春の到来を高らかに告げるかのような、
 生きる喜びと生命力に満ちあふれた、
 とっておきの2曲をご紹介いたします。


▽ 田中一村の花の絵(すべて部分)
  奄美の杜・2(左)〜サクラツツジ
  奄美の杜・8(右)〜デイゴ、ブーゲンビレア

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 まずは、
 BWV134 「イエスが生きていると知る心」

 この曲の第3曲、「天国的な長さ」のデュエット・アリアは、
 始めの頃、BWV74の短くかわいらしいアリアとセットでご紹介しましたが、
(お気に入りのアリア・その1)
 なんとこれで2回目の登場。
 つまり、それだけ「お気に入り」ということ。


 このBWV134は、BWV184などと同じく、
 ケーテンの世俗カンタータ → 教会カンタータに転用
 と、いう、最もわたしの好きなパターンの曲。

 教会カンタータの中にケーテン時代のものはない、
 と、いうのは、まったく表面的な見方で、
 実際には、失われたコンチェルトの断片などとともに、カンタータの山のあちらこちらに、まるで宝石のようにちりばめられているわけですが、
 その中でも、ひときわあざやかに光り輝いているのが、この曲です。

 まぶしいくらいに明るく、はじけんばかりの躍動感にあふれたケーテンの音楽こそ、
 復活節には、ふさわしい!


 さて、このBWV134、
 もちろん、すべて長調の楽章からなりたっています。

 しかも、コンチェルトか何かの楽章を思わせる、前述の長大なデュエットを、2曲のパスピエ舞曲が取り囲む、という、ちょっと他には無いくらいの明るい曲調。

 さらに、 この曲は、

 はじめのアリアがテノールソロ、
 次が、「長いアリア」で、テノール、アルトのデュエット、
 最後にデュエットが大合唱を導いてエンディング、

 と、言う構成になってます。

 この、曲が進むにつれ段々と声部が増えてゆき、最後に大合唱が湧き上がるという単純明快な、ある意味能天気ともいえる展開が、お祭りらしくてたまりません。


 このすばらしい曲に、少し古い、モダン楽器による名録音、ロッチュ盤とリリング盤が存在するのは、とても幸福なことです。


 なつかしのトマスカントル、ロッチュの演奏は、レオンハルトみたいにポカーンと突き抜けていて最高です。
 また、ソロも、
 ちょっとはりきりぎみのシュライヤーを、大地のように包容力のある名アルト、オルトルン・ヴェンケルが、(といっても、ほとんどの方はごぞんじないでしょうけれど)あたたかく包み込むようで、これまた最高。
 一点だけ不満があるとしたら、先ほど書いた、デュエットが合唱を導く終曲が、始めから合唱なこと。でも、しかたありません。そのような版もあるのです。


▽ ロッチュの復活節カンタータ集の美しいジャケット

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 もう一つのリリング盤、
 ソロについては、クラウスとワッツが、もうこれ以上ないくらいの出来、
 リリングの指揮も、あいかわらず誠実で立派、安心して聴くことができますが、
 特筆すべきなのは、問題の長いデュエット・アリア。
 初めて聴いた時は、びっくりしました。
 ストリングスによって果てしなくくりかえされるリズミカルな旋律。
 なんとソロです。Vnが一人で弾いてます。

 この曲の場合、世俗稿と教会稿では音楽に大きな差異は無いはずですから、これはリリングの判断でしょう。
 華やかなようでいて、実はメリハリにかける曲なので、(長い割に)
 少しでも変化を出そうとしたのかも。

 そして、このソロがまたすばらしい。
 もともと合奏用なので、それほど技巧的とは言えないのですが、カンタータの中で最長とも思われる長丁場を、ゆったりとした情感あふれるテンポで、一瞬たりとも気を抜くことなく弾ききっています。
(おかげで、演奏時間がついに10分を超えてしまいました)
 このVnソロが、二人のヴォーカルとよく絡み合い、バッハが描いた音の綾のすべてが実にくっきりと浮かび上がっています。
 元祖OVPP?
 聴き終えた時、
 どうだ、これがバッハだ!
 と、思わず叫んでしまいました。
(だ、誰に?)

 このVnをひいているのは、ワルター・フォルフェルト、という人。
 リリングの全集を聴いていると、目をみはるほどすばらしいVnソロがひんぱんに登場しますが、クレジットを確認すると、たいていこの人です。
(この方もあまり知られてませんが、ご本人を知ってらっしゃる方のお話だと、
 ちょっと変わったところがあるものの、大の日本通でいらしたとのこと)

 
 このフォルフェルトさんといい、さきほどのヴェンケルとい、
 ロッチュ盤や、リリング盤は、あまり知られてはいないけれど、腕の確かなメンバーがしっかりと演奏をささえていて、ほんとにすばらしい!



 さて、このBWV134には、双子の兄弟のような関係の名カンタータがあります。

 BWV66 「喜びなさい、あらゆる人の心よ」


 やはり、ケーテン時代の世俗カンタータが起源の、長大な3つの楽章を中心に構成される、喜びにあふれた復活節のカンタータです。
 しかも、BWV134の前日に初演されました。(笑)

 でも、双子と言った一番の理由は、
 なんと言っても、第5曲のデュエット・アリアです。

 この曲にも、アルトとテノールのデュエットアリアがあり、(これも長い!)Vnのオブリガートが
BWV134のものとほとんど同じなのです。

 ただ、こちらはソロなので、もしかしたらリリングは、BWV134でもこの曲を念頭に置いていたのかもしれませんね。

 BWV134の方は、上の方に向かって力強く進んでゆくイメージですが、
 この曲の場合は、どちらかというと、水平的なイメージ。
 対位法的な音の綾が、静かに静かに広がってゆく感じ。
 わたしのふるさとである?初期ルネッサンスの風が吹き抜けているような、静謐な音楽です。
 
 もう、ただただひたすら美しく、はまってしまうとなかなかぬけられなくなるため、めったなことでは聴かないようにしているほど。


 BWV66は、BWV134よりもずっとメリハリがあり、演奏される機会も多いので、ご存知の方も多いと思います。まあ、どなたにもおすすめできる真の「名曲」です。
 冒頭合唱など、実によくできていて、バッハお得意の「天駆けるモチーフ」(昇天節オラトリオフィナーレ等でおなじみ)が大活躍しますし、中間のまるで受難を振りかえるかのような部分との対比も見事です。


 録音も多く、おなじみのコープマンやBCJのほか、ガーディナーのSDG巡礼シリーズのものもあります。
 ロッチュもありますが、残念ながら?ヴェンケルではありません。


 でも、デュエットの天国的な美しさを味わうなら、
 何と言っても、ヘレヴェッヘの脱力系超名演が、おすすめです。

 ちょっと聴くと、ルネッサンスのシャンソンか、ミサとしか思えないような流麗極まりない演奏。
 でも、音楽の強固な骨格はもちろん描きつくされています。
 この人は、一般的に言われるよりも、力強い演奏もできるのです。

 この曲の舞曲調の背後に隠された、実は高度に対位法的な面を、本能的に描き出そうとした結果が、このような超名演につながったのではないか、と、思います。


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 ヘレヴェッヘのBWV66のCD、カップリング(と、いうより、メイン)は復活祭オラトリオで、
 これも、超名曲の超名演。
 ヘレヴェッヘのカンタータ録音はどれもよいですが、
 たった一枚だけ選べ、と、言われたら、わたしは迷うことなくこれをあげるでしょう。



▽ 花と鳥(左)〜イジュ、フトモモ、クマタケラン
  奄美の杜・4(右)〜ゲットウ、カヤツリグサ、ノボタン

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 今日ご紹介した2曲、
 どちらも、ふだんはあまり日の目を見ない曲ですが、(特にBWV134などは)
 ブランデンブルクなんかを聴いて、少しでもいいな、と、思ったことがある方なら、いっぺんで気に入ってくださると思うんですが・・・・。
 「カンタータ」というだけで、手が出にくいのかな。
 聴いたことない未知のコンチェルトが、たくさん埋もれているようなものなのに・・・・。
 はじめはそういう聴き方でじゅうぶんだと思うんですけれど。



▽ ヘレヴェッヘ 祝祭カンタータ集
  上記CDも入っているBOXセットです。
  復活節、昇天節、アドヴェント、クリスマスの4枚組み。
  先日ご紹介した「最高に美しいカンタータ集」とともに、ヘレヴェッヘ・ファン必携!

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