♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS お気に入りのアリア・復活節編 春はたそがれ〜BWV6、42ほか

<<   作成日時 : 2007/04/10 01:36   >>

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 復活節のカンタータのつづき。


 春はあけぼの、と言いますが、
 わたしは、春のたそがれ時も大好きです。
 独特の、夕べの香気、みたいなものが感じられるからです。

 そして、そんな春の夕べの香気に通じるような、「しっとりとした情緒」も、
 復活節カンタータの大きな魅力のひとつです、

 そう言えば、前回、BWV13466のオススメ盤としてあげた、リリング盤やヘレヴェッヘ盤で聴ける演奏も、これらの曲の、底抜けに明るい曲調に、しっとりした情緒を加味したようなものでした。

 マタイの終盤、イエスが亡くなった後、音楽に突然得も言われぬ香気のようなものが漂い出すのは、よく指摘されることです。

 復活節カンタータの「しっとりした情緒」は、その香気のようなものをそのまま引き継いだもの、と、言ったらよいでしょうか。
 実際に、あの美しい復活節のカンタータたちを、一度でも聴いたことがある方なら、すぐにわかっていただけると思うのですが。


▽ 伊藤若冲 「動植綵絵」より、しっとりと美しい春の絵
  芍薬群蝶図(左)、桃花小禽図(右)

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画像



 「しっとりとした情緒」を感じさせる復活節のカンタータ。
 まず真っ先に思い出すのは、何と言っても、名品中の名品、

 BWV6 「我らとともにいてください、もう夕べも近いので」

 1725年、2年目の作品。
 本来、コラールカンタータであるべきところなのですが、
 何度も書いているように、この曲から、突然コラールカンタータでなくなり、
 今後は自由な作風へと変貌していきます。その第1作。

 受難曲の終結合唱を思わせる大合唱曲のあと、
 それこそ「しっとりした」ヴィオロンチェロ・ピッコロのオブリガート付コラール、
(これも、後にシュープラーコラール集に編纂された名曲です)
 2曲の美しいアリアが続きます。

 愛らしい第3曲アルトアリア
 真摯な第5曲テノールアリア、(こちらは短調)
 どちらも、春の夕べの美しさをそのまま映しだすかのような名アリア。


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 CDは、ガーディナーCDGシリーズの最新盤。(復活節カンタータ集)
 この格調高い大作は、ガーディナーのこれ以上ないくらい真摯な表現で。
(このCDセット2枚組みで、復活節カンタータのほとんどを聴くことができます)

 なお、第3曲コラールのヴィオロンチェロ・ピッコロを聴くなら、やはりコワンでしょうか。



 さて、BWV6と並ぶ続く、名品をもう1曲。

 BWV42 「この安息日の夕べに」

 これは、厳密には、1725年、BWV6のすぐ翌週、復活節後第1日曜日に上演されたものですが、
 復活節がらみ、ということで。

 前回、BWV13466について、「聴いたことないコンチェルト」という風に書きましたが、
 「聴いたことないコンチェルト」と言えば、BWV42のシンフォニアなど、正に、その代表例。

 春の喜びを高らかに歌いあげる、この器楽のコンチェルト楽章は、バッハの器楽曲の中でも最高レヴェルのものだと思います。

 バッハの器楽曲がお好きな方で、この曲を聴いたことが無い方は、絶対にお聴きになってみてください。

 それにしても、これまで頑なにコラール・カンタータを作り続けてきたバッハが、
 早くもこのような曲を冒頭に置くようになってしまったわけで、この変化には驚くばかりです。
 
 幸福なことに、このシンフォニアには、ヘンゲルブロックの超名演があります。
(録音はシンフォニアだけ)

 このシンフォニアに続く、
 第2曲アルトアリアは、BWV202の冒頭アリアを思わせる、それこそとびっきり美しい「春の夕べの音楽なのですが、ヘンゲルブロックで聴けないのがほんとうに残念です。


画像



 ただ、ヘンゲルブロックには、もう1曲だけ、カンタータ録音があります。
(だけ、というのが、がっくり、ですが)
 やはり復活祭のカンタータ、ご存知BWV4です。
 わたしは、いまは、初期カンタータを聴くことはほとんどありませんが、このCDだけは例外で愛聴しています。
 しかし、BWV4は、カンタータの中でも最も真摯な曲のひとつで、(つまり肩の力が抜きにくい)演奏も一筋縄ではいかないため、おすすめするなら、他のCD、例えばガーディナー盤等の方がふさわしいかもしれません。

 ヘンゲルブロックのカンタータ録音は、いまのところ、これですべてです。
(さみしい・・・・)



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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
Noraさん、おはようございます。
お久しぶりです。
ここしばらくNoraさんの記事を拝見していて、
それぞれの季節に合わせてバッハのカンタータ
を聴いていく毎日というのは素晴らしいと感じ
ています。とてもよい趣味でおられると思いま
す。
ただ私の場合は自分がキリスト教信者でないの
で、自分がバッハやヘンデルの宗教曲を聴くこ
とにどのような意味があるのだろうか、宗教曲
を本当に理解しているのだろうか、という疑問
にずっと囚われています。それで、バッハを聴
きたい時でも器楽曲と世俗カンタータが中心に
なってしまいます。もっと気軽に考えたほうが
よいのでしょうか…?
アルトゥール
2007/04/10 07:51
 こんにちは。 
 難しい問題ですし、熱心なクリスチャンの方々からは、おしかりを受けるかもしれませんが、あくまでもわたし個人がどのように考えているか、を少しだけ。
 結論から言ってしまうと、わたしは、思いっきりお気楽に考えています。
 わたしもクリスチャンではありませんが、それならなぜ、教会暦にあわせてカンタータを聴いているか、というと、それはズバリ、バッハがカンタータに
盛りこんだ季節感を楽しみたいから。
 それ以外のなにものでもありません。
 それほど、カンタータは、季節感に富んでいて魅力的です。
 
 残念ながら、確かに内容は理解しにくいです。
 ただ、バッハとは時代も国も大きく異なるので、クリスチャンの方々でも、100%理解するのは困難かもしれませんし、逆に、内容に真摯に向き合えば、わたしたちの心にも伝わるメッセージはたくさんあるはずです。

 つまり、内容が理解できない、といっても、それは程度の差にすぎないのでは、と、思うのです。
 それに、こと音楽に限っては、絶対に、理解できる、できない、というものではない、というような気もしますし。
Nora
2007/04/10 22:27
 それから、わたしがお気楽にバッハの宗教曲に接するのには、実は、はっきりとした裏づけがあります。
 それは、他ならぬバッハ自身が、宗教曲と器楽曲等の世俗曲を、まったく区別していなかった、と、いうことです。
 バッハにとって、生活=信仰生活でしたから、すべての音楽は、愛する神への捧げものでした。
 ですから、逆に言えば、(極論ですが)器楽曲を楽しめるのなら、当然、宗教曲も楽しめる、ノー・プロブレム、でいいのではないか、と思うのです。
 例えば、ブルックナーのシンフォニーなども、作曲家自身の意識の中では、ある意味、宗教曲のようなものだったはずです。

 ただ、そうは言っても、マタイなどの大曲は、やはりなかなかむずかしく、ですから、わたしは、今でも、マタイなどを、通して聴くのは苦手です。
 その点、カンタータは、短い合唱やアリア等が数曲集まっただけですから、純粋な音楽として、楽しみやすい。
 幸い、わたしには、ドイツ語もわかりませんし。(笑)
Nora
2007/04/10 22:44
 いずれにしても、現存するバッハの器楽曲を全部あわせたのにも負けないくらいの、魅力的な音楽が、カンタータの中には埋もれているのは事実です。
 結局、わからないからと言って、それを聴かないというのは、ほんとうにもったいない、というのが本音でしょうか。

 すみません。いつものことながら、長くなってしまいました。
 わたしのカンタータについての考えは、
 以前、「新しい暦を迎えるにあたってのごあいさつ」という記事(06.12.01)にも書いたので、もしよろしかったら、ごらんになってください。
Nora
2007/04/10 22:51
Noraさん、丁寧かつ真摯なレス有難うございました。
また昨年12月1日の貴記事を拝読しました。
音楽に包み込まれて季節の移り変わりを感じ取るという
のは素晴らしい毎日だと思います。

バッハが宗教曲と器楽曲を全く区別していなかったとい
うのは、重要な御指摘だと思います。バッハの時代には
キリスト教信仰という事は所与の事柄というか、毎日を
生きる上での前提であったわけで、この点は近代の人権
思想が普及しつつあったロマン派以降の作曲家と大きく
違う点だと思います。ただキリスト教信仰を当然の事柄
としていたバッハ(バッハだけでなくヘンデルやモーツ
ァルトも同様だろうと思います)を、無宗教を当然のこ
とのように考えている私が理解できるのか…(理解とい
う言葉が語弊があるのでしたら、その大きな距離をどう
考えればよいのか)。私にとっては難問です。
アルトゥール
2007/04/11 21:16
Noraさんの仰るとおり、気楽に聴いてみて何らかの
メッセージがこちらに伝わってくれば満足してよい
のかもしれません。それから聴かずじまいではもっ
たいない、というのはその通りだろうと思います。
私もバッハのカンタータはArchievのリヒターのCD
を何枚か持っています。近々聴いてみようという気
持ちになりました。
アルトゥール
2007/04/11 21:19
 ていねいなお返事、ありがとうございます。
 今回は、わたしの方が、いろいろなことを考えるきっかけを与えていただいたような気がします。
 やはり、文化のちがい、というのは、大きな問題ですね。
 いろいろな文化があるからおもしろい、というのはかんたんですが、それは表層をなぞっただけのものの見方なのかもしれません。
 もしカンタータをお聴きになったなら、ぜひまた感想等お聞かせください。
 楽しみにしています。
Nora
2007/04/11 22:54

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