♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS クイズ・3枚の絵〜三位一体節(BWV165、129他) + 新しい年巻が始まるにあたってのごあいさつ

<<   作成日時 : 2007/06/02 23:59   >>

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 あした(6月3日)は、三位一体節。

 カンタータは、
 初期(1715年)の、BWV165
 2年目、ツィーグラー・シリーズ最終曲、BWV176
 後期(1726 or 27?)のコラール・カンタータ年巻補完作、BWV129
 の3曲です。

 なお、BWV194はじめ、他にも何曲か、三位一体節に上演されたカンタータがあります。
 様々な内容を包括するような、大きなテーマの祭日なので、
 比較的転用がしやすいのですね。

 BWV194など、パストラーレ、ガヴォット、ジーク、メヌエット、と、何と4曲もの舞曲風アリアがちりばめられた、魅力あふれる超大作ですが、
 はじめオルガン献堂式用に使用されたものなので、
 これら転用作品は、またあらためて御紹介しましょう。


 それでは、まず、
 BWV165 「霊と水の聖なる洗礼」
 から。

 初期作。小規模ながら、初期作ならではのスキの無い、高完度の高い作品。
 親しみやすいテーマに基づく、ソプラノと器楽が織りなすポリフォニーが印象的なアリアに始まって、全曲にバッハならではの、様々な象徴音型がちりばめられた、ちょっと前に話題にした、「ムジカ・ポエティカ」の実例集のような傑作です。

 一番の聴きどころは、何といっても、第4曲レチタティーボ。
 フランクの歌詞にあわせて、超自然的な雰囲気の中で、受難の意味を再確認する美しい音楽。
 「マタイ」のレチタティーボでもよく知られる、弦楽による「聖なる光背」が早くも登場。
 もっとも早い使用例の一つ。
 「神の子羊」イエス・キリストに語りかける歌詞ですが、音楽を聴いていると、あたかも実際に、神聖な存在を目の前にしているかのようです。


 次は、後期の傑作、
 BWV129 「主に賛美あれ」

 実はこの曲も転用説があるのですが、
(宗教改革記念日に演奏されたことは、まちがいありません)
 この曲を御紹介しないわけにはいきません。

 これは、以前ご説明した、全詩節テキスト・カンタータで、「コラール・カンタータ年巻」を補完すべく、後年に作曲された円熟の傑作です。

 そもそも、全詩節テキスト・カンタータは、バッハ後期の、自在の境地に達した筆致による名品ばかりなのですが、わたしは中でも、このBWV129には、特別な愛着を抱いています。
 それはひとえに、この曲のもとになっているコラールによります。

 コラールのメロディは、
 賛美歌「おお、義なる神よ」。(BWV398参照)

 このメロディは、カンタータのコラールの中でも特にモダンというか、特にわかりやすいもので、
 淡々としているようでいて、口ずさむだけで何だか元気がわいてくるような気がします。

 BWV129では、このメロディのコラールの全詩節を、そのまま歌詞として音楽化したコラール・カンタータなわけですが、
 つまり、この魅力的なメロディを、

 華麗なコンチェルト風、(冒頭合唱)
 舞曲風、(第2曲バス・アリア)
 内省的な室内楽風、(第3曲ソプラノ・アリア)
 パストラーレ風、(第4曲アルト・アリア)

 と、さまざまな展開形で堪能することができる、というわけです。

 どの曲もすばらしいですが、中でも、第4曲のパストラーレは、
 小規模ながら、しっとりと愛らしい名品で、必聴。
 天使たちが軽やかに舞い踊り、祝福しているかのような音楽。

 最後のコラールで、メロディがそのまま奏されますので、(祝祭的な派手なアレンジですが)
 まず、メロディを覚えてから全曲を聴いてみてください。

 なお、このメロディは、この前の昇天節のカンタータ、BWV128や、
 このあとすぐ登場するコラール・カンタータの名作中の名作、BWV94等でも使われています。


 あと、もう1曲、BWV176も、ツィーグラー・シリーズの最後をしめくくる傑作ですが、ちょっと長くなってしまった。
 また、来年。(笑)



 ところで、三位一体節なので、
 バッハにとっての「3」(=聖なる数字)について、いろいろ書いてみようと思っていたのですが、
 やはり、というか、なんというか、途中で挫折してしまいました。

 長い上に、自分で読んでもわけがわからないものになってしまった。

 これも含めて、バッハと数字については、もっとまとめた上で、あらためて記事にしたいと思います。



 そこで、そのかわり、というわけでもないのですが、
 バッハ等に関係する、
 「3」枚の絵にまつわるクイズを。(あまり関係ないですね。ごめんなさい)


 フランスの画家、R.デュフィは、
 生涯にわたって、海、競馬、そして音楽の絵を、描き続けました。
 特に、彼は、バッハ、モーツァルト、ドビュッシーを心から愛して、
(ベートーヴェンでなく、ドビュッシー、というところが、いかにもフランス人ですね)
 冒頭にのせたようなものも含めて、オマージュを何枚を描き、
 最晩年に、その結論とも言うべき、
 「バッハ頌」、
 「モーツァルト頌」、
 「ドビュッシー頌」、
 という、3枚の絵を残しました。

 ここで、問題です。
 この3枚は、ほとんど同じ構図で、基調となる色だけが異なるのですが、
 デュフィは、この3枚(3人)に、それぞれ何色をあてはめているのでしょうか?

 
 答えはこちら


  *    *    *


 さて、早いもので、もう6月に入ってしまいましたが、
 教会暦も、ちょうど一区切り。
 イエス・キリストの生涯をたどってきた大きな祝祭日もひととおり終わり、前半終了、
 これからは後半、祭日名も、三位一体節後第〇日曜日、というふうになり、
 カンタータも、聖書の内容の考察に主眼をおいたものへと移っていきます。

 ところで、バッハのカンタータファンにとって、この区切りは、実は、それ以上に、大きな意味を持つものでもあります。

 というのも、バッハがライプツィヒにやってきて、カンタータの作曲、上演を始めたのが、ちょうどこの時期なのです。
 つまり、バッハのカンタータの「年巻」(=1年分のセット)が、始まるのが、ちょうど、この時期だということ。
(バッハのカンタータ年巻としては、初年度の第1年巻、2年目の第2年巻のみ存在。
 よく3年分存在すると言われるカンタータの残りの1年分は、初期から晩年にいたる様々な時期のカンタータです)

 これまで何度も書いてきましたが、
 バッハは、カンタータの年巻を、ひとつの大きな作品と考えていたようです。

 中でも、コラール・カンタータで完全に統一された第2年巻は、バッハの、いや西洋音楽史上最大最高、とも言える大芸術です。
「コラール・カンタータ年巻その2」参照)

 これまで、教会暦にそって、カンタータを聴き、
 生活の中でバッハの音楽を楽しんでいきましょう、と、お誘いしてきました

 教会暦は12月の待降節から始まりますが、
 教会暦にそったカンタータ鑑賞を始めるには、今がちょうど、それに次ぐ、チャンスでもあります。
(これまで、待降節前、四旬節あけのBWV1の時、と、2回チャンスがありましたが、
 これが、3度目の正直です)

 特に、「年巻」をまとめてじっくり鑑賞していくには、絶好のチャンス。
 バッハの生涯最大の「作品」、コラールカンタータ年巻。
 この機会に、全曲を聴きとおしてみるのもいいかもしれません。

 次のお知らせは、6月10日。
 三位一体節後第1日曜日。BWV20
(つまり、長い長いコラールカンタータ年巻の第1曲目)

 とびっきり優美なフランス風序曲から、すべてが始まります。


 なお、今日のBWV165BWV129の記事では、ちょうど、コラールとレチタティーボの話題をメインにしました。

 これまで、なるべくカンタータに親しんでいただくため、よりわかりやすいアリア中心に記事をまとめ、なじみにくいコラールやレチタティーボについてはあえてあまりふれないようにしてきましたが、
 でも、カンタータの神髄は、実は、レチタティーボやコラールにあり、
(マタイやヨハネにおけるそれらの重要性を思い返していただければ、ご理解いただけると思います)
 特に、コラールカンタータにおいては、文字通り、コラールとレチタティーボの位置づけが非常に重要になります。

 今後はそれらについても、少しづつ触れていきたいと思います。

 どうか、今後とも、よろしくおつきあいください。



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コメント(10件)

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こんばんは。おじゃまいたします。デュフィの絵はどれもすてきですね。
ところで、上記クイズに関連してですが、わたしの持っていますモーツァルトの「ピアノフォルテとヴァイオリンのソナタ」のCD(ヴェッセリノーヴァ:pf、バンキーニ:vn)では、デュフィの絵が冊子の表紙になっています。「モーツァルトへのオマージュ」と題された絵ですが、これが上記の絵と構図が異なっています。
CDについています絵は、鍵盤楽器の上に、モーツァルトとおぼしい胸像と、そのうしろにヴァイオリンと楽譜が描かれています。
「モーツァルト頌」をいくつも描いたのでしょうね。
koh
2007/06/03 21:59
 こんばんは。だんだん暑くなってきましたね。
 デュフィは、音楽家のオマージュ・シリーズを何枚も描いていて、
 特にモーツァルトのものは、30代から75歳で亡くなる直前まで、全部で20作近くあるはずです。
 kohさんがおっしゃってる絵は、だいぶ初期のもの、1915年(38歳)の水彩画だと思います。まだだいぶ赤いですよね。
 最後の絵では、ご覧のように、海に底のように蒼くなってしまいました。
 それにしても、これはまた気になるCDですね。(笑)
Nora
2007/06/04 21:18
Noraさん
おはようございます。

三つの問題、ずいぶん考えてしまいました。
音と色のイメージって密接につながっているようでいて、特定するのは難しいですね。
共感覚とか色聴とか、特別な感覚もあるようですが、音や言葉がすべて色に連動してしている世界と言うのは想像もつきません。

バッハという音楽家としての私のイメージは、暖炉で燃えている火のような、明るい金色に近いオレンジ色。
モーツァルトは抜けるような蒼空の色、(それも少し菫色がかっている)
ドビュッシーは・・・ちょっと難しいですね。
音やリズムの印象からの連想からか、音楽の感じからすればスーラの絵みたい。
色は、そうですねぇ、透明な日に透ける若葉の色、かな?

さて。
答えは・・・?
aost6a
2007/06/06 08:51
バッハさんとモーツァルトさんの色のイメージは大体あっていたというべきなのかしら?
ドビュッシーさんの黄色はちょっと感じが違いました。

それぞれ私の持っているその人となりや音楽全体へのイメージから連想した色。
自分で一番あっているだろうと思ったのはモーツァルトの菫色に近い青。
天上へと続く色、涙の色。

「答え」を見るとき少しどきどきしてしまいました。(笑)
aosta
2007/06/06 08:58
 aostaさん、おはようございます。

> 暖炉で燃えている火のような、明るい金色に近いオレンジ色。

 これは、びっくりしました。わたしも、ちょうど、こんなイメージです!
 しかも、なかなかうまく表現できずにいたことを、無駄の無い言葉でズバリおっしゃってくださって、やはりさすがですね。

 蛇足になってしまいますが、なんとなく、太陽のイメージもあります。
 太陽だったら、それこそ真昼の金色、まぶしい白から、朝夕の燃えるようなオレンジ、薄明まで、いろいろな色が含まれてます。
(ちょっとズルですね)
Nora
2007/06/07 11:43
> 抜けるような蒼空の色、(それも少し菫色がかっている)

 これも、美しい表現ですね。
 このコメントやaostaさんのブログの記事を見て思ったのですが、
 モーツァルトの方は、なんとなくスミレの花のイメージがありますね。
(わたしはちょっと、少女まんがの読みすぎかもしれません)
Nora
2007/06/07 11:58
Noraさん、おはようございます。

それにしても、「ほうせんか・ぱん」!!
だって、大島弓子ですよ〜!
まさか望都さまのファンだったりもしますか?
aosta
2007/06/08 09:09
 aostaさん、こんばんは。
 Stanesbyさんのところでは、ごめいわくをかけました。
 いらしていただいて、よかったです。
 美しい草花の写真が続く中で、それらにぴったりの懐かしい言葉が突然出てきたので、思わず書いてしまいました。

 大島弓子さんは、「ご存知」どころか、「心のマンガ家」不動のベスト3にはいってます!
 萩尾望都さんももちろん好きですが、途中から何だかすごくなりすぎて、気合を入れないと読めなくなってしまいました。
 その点、大島さんは、今だにとても身近に感じています。

 チビ猫ももちろん大好き。
 その後のサバくんのシリーズも、大好き。
 その前後の、ファンタジーっぽい短編は、どれもこれもすばらしいと思います。
 でも、はっきりと思い出せないのもあるので、
 忘れないためにも、そのうちに、お気に入りの作品を、書き出してみようかな、と思います。
Nora
2007/06/09 01:04
Noraさん、こんにちは。

やっぱり大島弓子さんの「ほうせんか・ぱん」だったのですね!
しかかも相当な入れ込み!
大島さんの作品ってどういえばいいのでしょう。
あまりに深すぎて柔らかすぎて暖かい。
優しすぎて、哀しい。
「星にいく汽車」や「海にいるのは」「つるばらつるばら」・・・
どれも抱きしめていたくなる作品ばかりです。

>お気に入りの作品を、書き出してみようかな、と思います。

ぜひぜひ!!
首をう〜んと長くして待っています。
どきどきします。
aosta
2007/06/10 15:55
 aostaさん。ようやく落ち着きました。
 いろいろと失礼いたしました。

 大島弓子さん、本棚をひっくり返して、いろいろ読み出したら、止まらなくなってしまいました。
 やっぱりいいですね。すっかり寝不足です。(笑)
 Stanesbyさんが、
 「書店にずらりと並んでいるのは見たことある」ということをおっしゃってましたが、わたしも出かけた際に確認したところ、何と、現役の本は少なくなってしまってるようです。
 ちょっと悲しい、というより、これは問題ですね。
 そう言えば、福永武彦の時もそうでしたっけ。
Nora
2007/06/10 23:53

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