♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS 始まりはいつも Overture〜三位一体節後第1日曜(BWV20他)

<<   作成日時 : 2007/06/10 01:10   >>

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 まず始めに、先週少しだけふれた、

 BWV194 「こよなく待ちこがれし喜びの祝日」

 を、もう一度聴いてみましょう。


 これは、聴けば聴くほど楽しい気分になる、実によい曲ですね。

 もともと、1723年(第1年間中)のオルガン献堂式に使用された曲で、
 おそらく、例によって、ケーテン時代の楽曲のパロディの可能性もあります。
 その後、翌年以降は、三位一体節にも使用されたのは、先週書いたとおりです。

 BWVナンバー190番台の、ちょうどこのあたりは、
 カンタータの奥の院とも呼ばれており、(わたしが呼んでるだけですが)
 超名曲の割には意外と知られていない曲が並んでいます。
 教会暦からはずれているか、用途不明で、あまり演奏される機会が無く、
 従って、全集などでしか聴けない曲も多いのです。

 BWV194も、その典型例でしょう。


 冒頭合唱は、管楽器群が大活躍する、色彩感豊かなフランス風序曲。
 それに、パストラーレ、ガヴォット、ジーク、メヌエット、といった魅力あふれる舞曲アリアが連なります。

 始めから終わりまで、生きる喜びにあふれる、楽しい音楽が続き、
 合唱の歌詞が無ければ、誰もこれをカンタータだとは思わないでしょう。


 しかも、この、序曲+舞曲という楽曲の型式は、みなさん、おなじみのはずです。
 そうです。
 管弦楽組曲


 これまで、コンチェルトみたいなカンタータ、をたくさんご紹介してきましたが、
 このように、管弦楽組曲そのものみたいなカンタータもある、ということ。



 さて、管弦楽組曲は、バッハの曲の中でも特に人気がありますが、
 原題は、Overture(序曲)ですね。
 かならずフランス風序曲から始まるからです。
 フランス・バロックのオペラの影響です。


 フランス風序曲も、バッハの大のお得意の楽曲です。

 何かを始めるような時、途中でふりだしに戻って気合を入れなおすような時、よくフランス風序曲を使います。

 実にさまざまな曲の中に登場させていて、
 平均律やパルティータ、ゴールドベルク・バリエーションなどで、後半開始を告げるものが有名ですが、
 カンタータの中にも、たくさんのフランス風序曲がでてきます。



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 ↑ 「コラールカンタータ年巻」 始まりの4曲をまとめた一覧表をつくりました。
   この絵をクリックすると、出てきます。
   以下の記事は、この表を参照しながら、ご覧ください。




 今日(6月10日)は、三位一体節後第1日曜日。

 今日のカンタータ、

 BWV20 「おお永遠、それは雷(いかづち)の言葉」

 も、フランス風序曲で開始されます。

 これは、バッハの書いた、最も美しいフランス風序曲だ、と、わたしは、思います。


 前回書いたように、今日から、バッハのカンタータ年巻が始まります。

 BWV20は、その中でも最高峰と言われるコラールカンタータ年巻(第2年巻)の冒頭を飾る第1曲。
 従って、このフランス風序曲は、コラールカンタータ年巻全体の序曲でもあります。


 バッハがどのような心境で、コラール・カンタータ年巻(第2年巻)を開始したか、
 わたしには、もちろん想像することしかできませんが、
 この序曲に耳を傾けていると、
 バッハが、
 この、徹底して統一された手法に基づくカンタータ年巻を、
 完全にひとつのまとまった作品、
 しかも、生涯最大とも言うべき大作とみなして、
 よほどの決意と覚悟をもって、それに立ち向かっていったのではないか、
 と、いうことが、ひしひしと感じられます。



 それほど、この Overture は、気高く、そして、優美です。


 コラールカンタータですから、このフランス風序曲でも、当然、コラールの旋律が使われます。

 一般的には普段耳にすることがないような最先端の序曲が、教会で堂々と奏され、
 しかも、それと重なりあうようにして、聴きなじみのあるコラールが、高らかに響きわたるのを聴いて、
 ライプツィヒの市民や学生は、
 いったい何を感じたことでしょう!




 コラール・カンタータ年巻という「作品」に対する、バッハの決意、意気込みは、
 実は、その他にもさまざまなことからも伺えます。


 例えば、コラールカンタータ年巻を、順番に聴き進めていくと、不思議なことに気づきます。
 まあ、よく知られていることではありますけれど、冒頭合唱のコラール定旋律を歌う声部が、段々と下がってくるのです。

 はじめのBWV20では、いつものようにソプラノですが、次週のBWV2ではアルト、BWV7ではテノール、BWV135では、ついにバスになってしまいます。
(今年は暦の関係で、洗礼者ヨハネの祝日(BWV7)と三位一体節後第3日曜日(BWV135)が同日(6月24日)になりますが。)


 また、その3番目のカンタータ、洗礼者ヨハネの祝日用の、BWV7は、
 定旋律がテノールで、まるで、ルネッサンスのミサのようですが、実際にはこの曲は最新のコンツェルト様式、しかも情景描写、実に、近代的。
 ヨルダン川の壮大な情景です。
(バッハは、けっこう川とか湖の描写を得意としていて、好きなようです)

 古様式なのはむしろ、BWV2135の方で、こうしてみると、実にバラエティに富んでいます。
 まるで、バッハが、自分の得意とする型式、様式をひととおり紹介して、高らかに挨拶を送っているみたい。


 ここではくわしくは書きませんが、この4曲には、他にもいろいろと関連したしかけがありますので、みなさん、お聴きになって探してみてください。

 これらの様々な試みは、BWV20冒頭の序曲と同じく、
 バッハが「コラールカンタータ年巻」の作成に着手した、決意の現われだと言われていますが、いかにもバッハらしいとは思います。

 コラールカンタータ年巻第1曲、BWV20は、フランス風序曲から始まりますが、
 この「始まりの4曲」ひっくるめて、コラールカンタータ年巻の大きな大きな序曲なのだ、という考え方。



 この4曲の「序章」の次には、
 コラールカンタータのはじめの最高峰、BWV1093が、いきなり登場します。
 この2曲は、バッハ自身もお気に入り、最晩年のシュプラーコラール集への編曲でも有名です。
 お楽しみに。



▽ 聖トマス教会

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 最後に、三位一体節後第1日曜日の、そのほかのカンタータについても、少しだけ触れておきます。
 第1年巻、BWV75
 これは、ライプツィヒ着任後のデビュー作。
 当然、これもフランス風序曲で始まります。
 次週のBWV76とともに、気合の入った超大作。
 気合が入りすぎてる感じがして、わたしは少し苦手。


 もう1曲は、後期のBWV39
 これはたいへんな名作。あらためてご紹介しなくてはなりませんね。



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コメント(8件)

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 たくさんカンタータが登場するので、
 整理の意味でも、一覧表をつくってみました。
 真ん中あたりの演奏風景の絵をクリックすると、出てきます。
 (URL欄(→こちら→)からでも、OKです)
 参照しながら、記事をお読みになってください。
Nora
URL
2007/06/10 14:28
Noraさん!!

Papalinさんm、BWV639アップなさいました!
リーダーの響きがうっとり知るほど素敵です。
オルガン演奏によるものよりいいかもしれません(独断?)
aosta
2007/06/10 16:38
Noraさま
こんにちは。ご無沙汰しております。でも、いつも拝読させていただいてますよ。
さて、随分前になりますが、私のコメントで「Auf Christi Himmelfahrt allein」につき、BWVの番号が欠落しておりましたところを、128番とフォローしていただき、本当にありがとうございました。
あのアルトとテノールのアリアですが、正しく初夏のカンタータですよね。これから、うっとうしい梅雨に入りますが、でも、この時季、晴れると紫外線も強く本当に暑い・・・。そんな時に、ホッと一息ついて憩える、新緑に覆われた涼しげな木陰のような曲です。Noraさんの解説もありがとうございました。
さて、この前の記事で、チラッと「深き淵より・・・」なんて拝見してしまったものですから、昔、歌ったBWV131の「Aus der Tiefen rufe ich,Herr,zu dir」に触れざるを得ません。
冒頭合唱の前奏があまりに美しく、うっかり油断して聴き惚れていると、歌い出しを外してしまうような危険な曲です。
Nacky
2007/06/10 17:43
Noraさん

あまり興奮してコメント↑したものですから、誤字だらけのコメントになってしまいました。
今読み直して赤面!!

でも意味は通じましたよね?
すみませんでした。
aosta
2007/06/10 21:45
Noraさん

あまり興奮してコメント↑したものですから、誤字だらけのコメントになってしまいました。
今読み直して赤面!!

でも意味は通じましたよね?
すみませんでした。
aosta
2007/06/10 21:46
☆今、Papalinさんのリコーダー演奏を拝聴して参りました。
ん〜。これもいい!!
同じくカンタータのシンフォニアなんかでやられてしまったら、
完全にその後の歌を失念し、吹っ飛ばしてしまいそうです(感謝)。
Nacky
2007/06/10 22:39
 aostaさん。お知らせくださってありがとうございます!
 早速わたしも、聴かせていただきました。
 それにしても、訂正のコメントがさらにまた連続になっていて、ひさしぶりに大笑いしてしまいました。(ごめんなさい)
 でも、そういうわたしも、まずはお礼だけにするつもりだったのに、興奮のあまり、止まらなくなり、コメントしまくってきてしまった。
 また失礼が無いといいのですが・・・・。

 でも、ほんとうに、またひとつ、夢がかないました。
 もちろん、Papalinさんと、それからaostaさんのおかげです。ありがとうございます。心から感謝します。
 aostaさん、コメントで、さらりと、
 「優しく絡み合い、戯れるかのようなアルトとテノール」とおっしゃってますが、そんな演奏、これまで、どこを探しても、無かったんですよ!
Nora
2007/06/10 22:51
 Nackyさん、こんばんは。
 Nackyさんもお聴きになりましたか!
 すばらしいですよね。
 これこそ、ほんとうに、「バッハに聴かせてあげたい」、ですね。
 あまり大きな声では言えませんが、Nackyさんはじめ、バッハファンのみなさんのためにも、今後、できたら、機会を見て、カンタータの曲などもお願いしてみようかと・・・・。
 あ、言ってしまった。

 ところでNackyさん、BWV131についてのコメント、ありがとうございます。
 前の記事では時間が無くて、番号が書けなかったので、今度はNackyさんにフォローしていただきました。
 他にもBWV38などが、同じようなタイトルですね。

> 前奏があまりに美しく、うっかり油断して聴き惚れていると、歌い出しを外してしまう

 これは、演奏されていた方ならではの、おもしろい感想ですね。
 考えてみれば、そういう曲が多いかもしれません。
 マタイとか、ヨハネとか、歌い始める前に、泣いてしまうかもしれない・・・・。 
Nora
2007/06/10 23:18

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