♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS お気に入りのアリア6・暦の終わりに 心に染みる3重唱〜三位一体節後第25日曜(BWV116)

<<   作成日時 : 2007/11/24 00:03   >>

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 明日(11月25日)は、三位一体節後第25日曜日。
 いよいよ年も押し迫って、今年の暦はこの日でおしまい。

 カンタータは、

 第1年巻のBWV90
 第2年巻(コラール・カンタータ)のBWV116

 の2曲です。

 昨年は、この祭日はめぐってきませんでした。



 BWV90も、
 小規模ながら、最後に、「ヨハネ」でおなじみのメロディーのコラールが、堂々と奏される名作ですが、
 今回は、BWV116をご紹介いたします。



 BWV116 「汝、平和の君、イエス・キリストよ」



 実は、このカンタータは、これまでバッハの最後のカンタータとされ、ずいぶん長い間、特別扱いされてきました。
 プロイセンのザクセン進攻という歴史的事件を目の当たりにして、バッハが再びカンタータの筆をとった、という感動的なエピソードのおまけでついていたのだから、なおさらです。

 当日の福音章句は、最後の審判について、
 コラールも、恐ろしい争乱と厄災の中で、平和の君・キリストに語りかけるもの、
 そのコラールを徹底的に掘り下げた、真摯な祈りにあふれるカンタータであることが、
 誤解の大きな理由の一つです。
(実際の「最後のカンタータ」については、こちらこちらをごらんください)
 
 この前書いた、「プレシオスの鎖」の話をまた思い出してしまいますが、
 例えそうでなくても、
 そしてそんなに特別な曲でないとしても、
 この曲が、コラールカンタータ絶頂期の名曲であることに変わりなく、
 特に第4曲の3重唱は、たいへんな名曲だと思います。

 今年は、幸い、三位一体節後第25日曜まで巡ってきたので、
 ひさしぶりの「お気に入りのアリア」として、このアリアをご紹介できるのを、うれしく思います。



▽公園の紅葉

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 このアリアは、上記のように、STBの3重唱。
 カンタータの中に、デュエットはたくさん登場しますが、3重唱は、たいへんめずらしい。

 ただ、3重唱、というと、つい、豪華なイメージの、オペラ・アリアのような曲を連想してしまいますが、
 この曲はまったくちがっていて、実にしっとりとした、心からの祈りの音楽になっています。

 伴奏も、オブリガート楽器は無く、bcのみ。
 アリアというより、3声にbcを加えた、非常に目のつんだ室内楽、と言った方が近いかもしれません。

 調性もホ長調ですが、
 どちらかというと、先日ご紹介した、BWV115の憂愁の短調アリアに通じるような、曲調。

 ちょうど今の季節、秋の終わりの、灰色に閉ざされた世界。


 しかし、それでも、
 いや、それだからこそ、
 このアリアは美しい。

 冒頭、通奏低音が、しみじみと語るように奏するモチーフは、BWV105のあの絶美のアリア等でも使われた、バッハの勝負モチーフ。
 それを、もとに、3声が代わる代わる歌い交わし、からみあい、
 静かに、しかしどこまでもどこまでも大きく、その音の綾はひろがっていきます。

 対位法にこだわればこだわるほど、美しく磨きがかかってゆく、という、バッハの作曲の魔法が、またここでも示されるわけです。



▽ 落ち葉の国

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 これだけの名曲にもかかわらず、CDは、全集盤以外には、リヒター盤くらいしかないようです。

 おもいっきり豪華な3重唱が楽しめるリヒター盤も、もちろんすばらしいですが、
 室内楽的でしっとりとした、BCJ盤やコープマン盤の方がわたし個人の気持ちにはしっくりくるようです。

 特に、BCJ盤は、

 大いなる平明というべき冒頭合唱がことのほかすばらしい、先々週のBWV139、
 先週のBWV26、そして、来週、アドヴェントのBWV62、
 と、コラール・カンタータの名品がたっぷり楽しめる、隠れた名盤。



 冷たく暗い晩秋の夜。
 みなさん、この曲を聴いて、暦をしめくくりましょう。



▽ 晩秋の落日

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 さて、と、いうわけで、今年の暦もここまで、
 カンタータの世界では、一足早い大晦日。

 名曲BWV140を聴く祭日(三位一体節後第27日曜)は、なかなかめぐってきませんが、
(つまり、バッハも、ずっとこの曲を書く機会がなかったわけで、だからこそ、バッハの晩年の貴重な新作カンタータを聴くことができるわけですけれど。ちなみに、来年はこの祭日があるそうです)
 でも、大晦日気分で、BWV140も聴いてしまいましょう。
 名曲BWV140は、ちょうど、日本における第九みたいなものなのです。



 そして、教会暦上は、来週から、新しい1年が始まります。

 教会暦に沿って、カンタータを聴いていくには、絶好の機会です!

 これまで何度もくりかえしてきたように、 
 バッハのカンタータは、そのほとんどが、暦にしたがって聴く日が決まっています。
 もともと、カンタータは、季節の音楽なのです。
 わたしはクリスチャンではありませんが、
 教会暦にしたがってカンタータを聴いてゆくのは、ほんとうに楽しい!
 生活に、かけがえのない楽しみが加わります。

 さあ、来週から、クリスマスに向けて、カンタータもたくさんの魅力的な名曲たちが待っています!

 もし、興味を持たれたのなら、ぜひ、わたしといっしょに、教会暦にそってカンタータを聴いてゆきましょう。
 これまでのように、毎週聴きどころをご紹介していきますので、
 気になる曲があったら、棚に眠っているCDをひっぱりだしたり、図書館で借りたりして、耳を傾けてみてください。



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