♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS またまたきちんと曲目解説・クリスマス編〜BWV110 これこそ、クリスマス音楽!

<<   作成日時 : 2007/12/25 01:53   >>

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 みなさん、クリスマス、おめでとうございます。 

 もちろん、クリスマス・オラトリオもいいですが、
 カンタータも聴きましょう!

 クリスマスのカンタータ等については、昨年、ほとんど1ヶ月にわたって、とりつかれたように書きまくりました。

 まず、全部で10曲以上もあるクリスマスのカンタータを総括した、
 一口コメント付カンタータ一覧は、こちら。

 特にその中のお気に入りのアリアを書き出した記事が、こちら(BWV151)とこちら(BWV57)。

 その他、クリスマスオラトリオ、マニフィカト・クリスマスバージョン等については、こちら

 さらに、ロ短調ミサの中の降誕の音楽について、こちらに書いています。

 これ、全部、ほんとにわたしが書いたのでしょうか。
 どこにこんな元気が・・・・。


 一応、バッハのクリスマスの声楽曲については、一通り網羅していると思いますので、
 興味のある方はぜひ。
 クリスマス・イブだけでなく、クリスマスのお祝いは、25日から27日まで、ずっと続きますので、その間にでもご覧ください。


 と、いうわけで、せっかくのクリスマスだというのに、ほとんど書くことは無いのですが、
 それもさびしいので、気力をふりしぼって何か書くことにします。



 バッハも、クリスマスには、特に気合を入れてカンタータを書きまくり、前述のように10曲以上のカンタータがあるのですが、
 特にコラールカンタータ(第2年巻)の年、1724年と、その翌年の1725年には、
 2年続けて、降誕節3日分のカンタータ+降誕節後第1日曜用のカンタータをすべて、
 つまり、わずか1週間の間に、4曲ものカンタータを作曲、上演しています。

 このうち、特に第2年巻の4曲は、
 あまり派手なところの無い、真摯な(かんたんに言うと、割と地味な)曲ばかりながらも、
 それぞれコラールの可能性を最大限に追究しつくした、コラール・カンタータの最高峰と言ってよい曲ばかりだと思います。

 そこで、コラール・カンタータの代表曲とも言えるこの4曲において、それぞれコラールがどのように取り扱われているか、比較しながら書いてみよう、

 と、思って少し書いたのですが・・・・、

 昨日、今日と、大掃除して、力尽き、まったく間に合いませんでした。


 そこで、これについては、また今度、ということで。

 とりあえず、今年のクリスマスは、10数曲のうちから1曲だけ選んで、
 いつもの、「きちんとした曲目解説」を、書いて、お茶をにごすことにします。



 どの曲にしようか、迷いましたが、決めました。

 上記、1725年の降誕節カンタータ、3曲のうち、
 BWV57151については、昨年、「お気に入りのアリア」でとりあげてますが、
 BWV110だけには、ふれていません。

 BWV110、まあ、比較的よく知られていますが、有名曲だけあって、クリスマスムード満点。
 単体のカンタータながら、クリスマスオラトリオにも決してひけをとらない、真の名曲だと思いますので、かんたんにご紹介しましょう。
 

 それにしても、この1725年の3曲もすごいな・・・・。
 ライプツィヒの人たちは、これらを3日続けて聴いたんだ。
 いくらクリスマスとは言え、幸せすぎる!


 * BWV57、および151は、1726年作としている資料もあります。
   もし、最近の研究成果等、ご存知の方がいらっしゃったら、教えてください
   まあ、いずれにしても、ライプツィヒの人は、しあわせだ。




 BWV110 「笑いはわれらが口に満ちて」


 <冒頭合唱 〜Overture>

 実は、管弦楽組曲のように、フランス風序曲で始まるカンタータはたくさんあって、これまでにもご紹介してきましたが、
 これは、管弦楽組曲ずばりそのもの。
 管弦楽組曲第4番の、Overture と同じ音楽です。
 失われたケーテン時代?の曲からのパロディと見られ、管弦楽組曲第4番も、同じ曲の転用ということになります。
 なお、この曲の場合、見事な合唱が組み込まれています。

 輝きに満ちた、3本のトランペットとティンパニを含む、フルオーケストラが奏するおなじみのメロディが、喜びの気分を盛り上げてくれます。 

 クリスマスこそ、すべての始まり。
 さらにその冒頭をかざるカンタータにこそ、(降誕節第1日曜日用)
 こんなすてきな Overture がふさわしい。
 
 そして、Overture は、たいてい、バッハが何かを始めようとしている決意表明でもあります。
 コラールカンタータの突然の中断後、ツィーグラー詞の何曲かで補って、第2年巻を完成してから、まったくカンタータの作曲をやめてしまっていたバッハが、再びカンタータ作曲の筆をとった曲こそ、このBWV110です。
 この後いよいよ、ルードルシュタット詞のカンタータ群、ソロ・カンタータダイヤログ・カンタータ等、後期の自由で豊潤な世界が、花開くことになります。
 BWV110は、その始まりの1曲でもあるのです。


 さて華やかな雰囲気に身も心もひたった後は、一転して、クリスマスの夜にぴったりの、しっとりとした音楽が、4曲続きます。

 蒼い微光を帯びて漂うかのような2本のフルートと、心からの祈りの歌唱が美しくからみあう、ロ短調の<第2曲・テノールアリア>

 透き通った響きの弦の上昇音型に乗って、エレミア書の歌詞が歌われる<第3曲・バスレチタティーボ>

 典型的な、「愛のオーボエ」の伴奏が、雪の夜の暖炉の灯りのような慈しみを感じさせる、嬰へ短調の<第4曲・アルトアリア>
 いずれも、短いながら、クリスマスの奇跡の夜を静かに彩るかのような名曲ばかりですが、

 全曲の白眉は、なんと言っても、<第5曲・STのデュエット>
 これは、マニフィカトのクリスマスバージョン(初稿)に挿入されていた、聖夜の情景を、極めて素朴に、しかし、これ以上無いほど美しく描写するかのような、愛らしい音楽。
(くわしくは、マニフィカトのページをごらんください。)
 初演の時は、この音楽に合わせて実際にクリスマス劇が演じられたとも言われています。
 ただ、そういう親しみやすい音楽であるにもかかわらず、よく聴いていただければわかるとおり、実際には、極めて高度なカノンの技法が駆使されています。
 そのあたりが、バッハのすごいというか、不思議なところ。


 この後、トランペットの響きがまぶしいばかりの<第6曲・バスアリア>によって、冒頭の喜ばしい気分が呼び戻され、最後にその気分のままコラールが斉唱されて、全曲が閉じられます。

  

 以上のように、全体の構成、各曲の充実度、いずれをとっても、堂々たる出来映え。
 正にクリスマスにふさわしい、屈指の名曲だと思います。
 聴いたこと無い方は、ぜひ、聴いてみてください。



 できれば、この3日間の間に、合わせて、BWV57151、も聴いて、
 1725年のライプツィヒの人々の幸せを、ともにわかちあいましょう!



 CDは、どれもすばらしいですが、
 わたしは、ヘレヴェッヘのものが、最もクリスマスらしい雰囲気にあふれていて、気に入っています。
 ヘレヴェッヘは、クリスマスのカンタータは、ほとんど録音してくれていますが、(マニフィカト・クリスマスバージョンも含め)
 一番合っていそうな、名曲BWV151がまだ無いのが残念。



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コメント(9件)

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110番、今朝、ヘレヴェッヘで聴きました。この曲を最初に聴いた時はのけぞったものです。何と言っても管弦楽組曲第4番なのですから。

それ以後は、友人を驚かせたるためにこの曲を使いました。「組曲第4番の新譜が出た」といって聴かせるのです。すると途中で合唱が入ってきて、やっぱり友人ものけぞっています。私はこの一部始終をニヤニヤしながら眺めているのでした。 …趣味悪い?

まあ、ともかく良い曲です。特にアルトアリアとデュエットが心に染みました。それにヘレヴェッヘの演奏も素晴らしい!
S君
2007/12/26 12:59
 あはは。びっくりするでしょうね。
 BWV207なんかもすごいですよ。わたしの大好きな、ブランデンブルク第1番3楽章のあのテーマを朗々と歌いだします。

 書き忘れていたので、上にもつけたしましたが、
 ところで、このBWV110の序曲、バッハの後期の開始を告げる決意表明でもあるようです。
Nora
2007/12/27 00:48
>バッハの後期の開始を告げる決意表明でもあるようです

おっと、これはすごい。バッハは110番序曲を、そのような明確な意識のもとに作曲した、ということなのでしょうか?つまり「ここからスタートだ!」という後期様式の開始を告げる決意表明としての110番なの?ということです。まあ、ゴールドベルク変奏曲とか、パルティータ第4番とかの例もあることですし、それもアリかもしれませんね。

今朝は57番を聴きました。う〜ん、これも心に染みるー(ソプラノアリア!)。
S君
2007/12/27 17:03
従来この時期、クリスマス・オラトリオばかりしか聴かなかったのは、とてももったいないことでした。10曲以上もあるのですね!クリスマスのカンタータ。これもNoraさんのおかげです。今年は全曲堅め聴きをしましょう(笑)
S君
2007/12/27 17:46
> 後期様式の開始を告げる決意表明としての110番なの?

 例によって、学術的根拠ゼロです。
 でも、バッハ先生、コラールカンタータとそれに続くツィーグラーシリーズの後は、それまでは2年にわたってほとんど毎週!コツコツ続けていたカンタータの作曲を、半年もの間、まったくやめてしまっていました。
(この間、市当局とのごちゃごちゃが早くも始まったと思われます)
 その沈黙を破ったのが、このBWV110です。
 これ以後、それまでとはまったくちがう、自由で独創的なカンタータが、次々と生み出さていきます。
 証明しろ、と言われてもできませんが、
 市当局の意向をまったく無視したような、自分の思うとおりの、「第3年巻」をつくってやろう、というバッハの決意、心意気を、わたしは、ひしひしと感じます。
(BWV170も、82も、あれもこれも、この「第3年巻」です) 
 それまでのように、毎週毎週、というわけではありませんが、カンタータの作曲は1年強の間続き、やがてあの「マタイ」に結実して、そこで一段落、というストーリーです。できすぎかな。
Nora
2007/12/28 13:13
なるほど、いや、よーく納得できます。常日頃バッハを愛し、カンタータを深く研究しておられるNoraさんならではのご意見ですね。「110番序曲は、後期様式の幕開けを告げるファンファーレ」と。うん、すごく素敵です!支持します。Noraさんに1票。

今朝は、122番を聴きました。バスのアリアに感動。「罪を重ねる」という個所で、減五度のゼクエンツが3回繰り返され、心が痛くなるようでした。バッハって本当に美しくて凄い!
S君
2007/12/28 14:59
こんにちは。先日「ミサ曲ロ短調」のトラックバックをさせていただきました子守男です。コメントもどうもありがとうございました。
最近、クラシック音楽を聞くことが増えてきたので、思い切ってクラシックについて別のブログで書くことにしました。http://classicalsea.blog51.fc2.com/ です。テスト記入を兼ねて先日の「ミサ曲」の記事をアップしました。
更新の頻度はごくスローになると思いますが、バッハの作品ももっと聞いて、感想を書きたいと思っています。今後ともNoraさんのサイトを参考にさせていただきます。
子守男
2007/12/29 22:51
 S君さん。
 研究、まったくしておりません。想像、もしくは妄想です。(笑)
 でも、共感してくださって、ありがとうございます。
 BWV122は、今日のカンタータですね。
 意外といい曲がそろってるので、今年もこの祭日があってよかったです。
Nora
2007/12/30 01:52
 子守男さん、こんばんは。
 語学がまったくダメなわたしでも、コメントしやすくなりそうなので、うれしいです。
 今後とも、よろしくお願いいたします。
 また、改めておじゃまさせていただきます。
Nora
2007/12/30 02:02

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