♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS 白日夢のカンティガ!〜音楽と建築、再び。目白バ・ロック音楽祭・その2(祝!東京メトロ副都心線開通)

<<   作成日時 : 2008/06/19 00:52   >>

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 今年の目白バ・ロック音楽祭で、他にもう一つ、とても気になるプログラムがありました。
 吟遊詩人 歌物語 オーカッサンとニコレット
 というプログラムで、わたしの最も愛する中世音楽、しかも、音楽劇の再現上演です。

 会場の雑司が谷音楽堂も行った事が無かったので、ぜひ行きたかったのですが、
 会場が狭かったこともあって、すぐに完売、後の祭り。

 非常に残念に思っていたところ、
 折りしも、音楽祭の期間中に東京メトロ副都心線が開業するのを記念して、
 目白バ・ロック音楽祭事務局主催のコラボ企画、

 上記と同一のメンバー、ジョングルール・ボン・ミュジシャンによる、

 プロムナード(回遊)コンサート

 が開催される、という情報をキャッチ。

 なんと、無料。
 しかも、会場は、美しい洋風住宅、旧マッケーレブ邸。(雑司が谷旧宣教師館)



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 先週の土曜日(6月14日)、とるものもとりあえず、早速駆けつけました。
 この日開業した副都心線に乗って。

 正に、副都心線さまさま。



 中世ルネッサンス放浪楽師 ジョングルール・ボン・ミュジシャン


 楽師たち、衣装こそ、無国籍風でちょっと怪しげでしたが、
 楽器は、あの、ハーディーガーディーを始め、以下のような本格的な中世等の古楽器の数々。


 (管楽器)
 中世リコーダー、バロックリコーダー他、各種リコーダー類、
 ルネサンス・バグパイプ、モラヴィアン・バグパイプ他、各種バグパイプ類、
 ゲムスホルン、クルムホルン、ショーム、ツィンク、ティバー・パイプ、他

 (弦楽器)
 中世フィドル、ハーディーガーディー、ヴァイオリン類、ゴシックハープ、他

 (打楽器)
 ルネサンス・サイドドラム、ダラブッカ、ボーラン、カルタール、ティバー、他


 中には、写真でしか見たこと無いようなものも。

 マンロウ他の例のCDではないですが、
 正に、見て聴く中世・ルネッサンス楽器辞典。



 それらがテーブルの上に山積みにされていて、楽師たちは、曲に合わせて、それらをとっかえひっかえ手にしては、さまざまな組み合わせで演奏します。
 時には、一人で複数の楽器を奏することも。


▽ 左の写真の右の楽器がハーディーガーディー。ラ・トゥールの絵などでもおなじみ。
  ゲムスホルン(角笛)も、見えます。
  右、バグパイプを始めとする管楽器類の山。これをリーダーの近藤治夫さんが、次々と一人で演奏した。
  中には、毛皮をそのまま使用したバグパイプも。
  昔は、剥いだままのかたちの動物の皮の手足に、パイプなどを差し込んで楽器にしたらしく、(ひどい・・・・)
  写真の、近藤さんが左手で持っている牛の顔の装飾は、そのなごりだそうです。  
  ちなみに、この近藤さん、どこかで見たと思ったら、
  先日の都市楽師プロジェクトでも、バグパイプを吹いていらした。
  この時は、「放浪楽師」でなく、「都市楽師」だった。

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▽ 調律風景。左はめずらしいハーディーガーディーの調律。ふたを開けてます。
  テーブルの上に、ハンマーのようなマラカス?が。

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 いよいよ、パフォーマンスの始まり。

 曲は、純正統的な、本物のカンティガがメイン。
 どれも聴き覚えのある、気の遠くなるような長い年月を超えて今も生き続ける?名曲中の名曲ばかり。

 それらを、吟遊詩人の詩をベースに、即興的な日本語のレチタティーボ?でつないで物語風にして、
 踊りながら、あるいは、庭を練り歩きながら、歌います。
 目の前に来て、めずらしい楽器を弾いているところも見せてくれる。


▽ ハーディーガーディー(中央)もばっちり見せてくれた。
  手回しで、ワ〜ンワ〜ンと和音を奏でる実に不思議な楽器。

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 カンティガの魅力については、これらの記事で書き尽くしてきましたが、
 不思議な音色の楽器の、不思議なリズムの伴奏にのせて、
 透き通とおったソプラノ(重唱含む)や、角笛など、妙なる響きで奏でられる、それらの原初西洋音楽の(ちょっとアラビアンな)メロディーの、時代を超越して、何と美しく、楽しいこと。

 とにかく、演奏のすべてが力み無く、自然でした。
 カンティガは、もともと歌われていた形を考えると、あまりのりのりで気合いを入れすぎて、アラブ風にくずしすぎたり、ゴージャスなものより、このぐらいラフで自然な演奏の方がはるかに心に響く。
 カンティガはもともと巡礼歌、賛美歌ですが、後のブルゴーニュ・シャンソンの世界にも通じるような、聖と俗の入り混じった、ちょっとけだるいようなお色気シーンも。
 真昼間で、子どももたくさんいたけど、いいのかいな。


▽ 放浪楽師たち。
  中央の女性が、カンティガのメインボーカル。まっすぐで美しい歌声。
  何と、歌いながら、ハーディーガーディーを弾き、さらに、足で鈴をならしている。鈴、見えるでしょうか。
  向かって右端の近藤さんも、笛を吹きながら、太鼓たたいてます。
  これがウワサの、ティバー・パイプ(ティバー(=ドラム)を叩きながら吹ける笛)か?

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▽ ゴシックハープに持ち替えて、弾き語り。夢見心地の音色。
  近藤さんの笛も替わってます。

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▽ 左のポンチョを着た、辻康介さんが、さまざまな打楽器を打ち鳴らしながら即興的な詩を歌い、物語りを進める。
  朗々とした見事な歌声だが、実は、この人のちょっとユルい雰囲気こそが、カンティガの命!(だと思う)

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 クライマックス、フィドルとヴァイオリンのデュオで、ダンス。
 右は、前述の毛皮のバグパイプ。
 牛の顔もはっきりと見え、こうして見ると、動物そのもの。ちょっとぐったりしていて、かわいそう。

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 梅雨の合間の、それほど暑くは無いけれど、まぶしい陽光がふりそそぐ、
 まるであらゆるものがまどろむような午後のひと時、
 花々が咲き乱れ、緑あふれる美しい洋館の庭で、
 タイムスリップして現代に迷い込んだ(と、本人たちが言っていた)中世ルネッサンスの放浪楽士たちが、
 古の楽器を奏でながら、カンティガの名曲を歌い、踊る!
 

 思いがけず遭遇した、かけがえのない白日夢のような、貴重な体験をすることができました。
 いつまでも醒めてほしくないような、その中にたゆたっていたいような、白日夢。



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 最後に、この白日夢の舞台、美しい洋風住宅、マッケーレブ邸をご紹介。


▽ 正面ファサードと背面。
  背面はほとんどガラス張り。すごい!

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▽ 内部は、暖炉をものすごく重視した内装、構造になっている。
  (各部屋に暖炉があり、共通の配管設備を利用)
  右、暖炉わきには、本棚があり、めずらしい絵本なども見ることができる。

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▽ 光あふれる室内。部屋を囲む廊下など、まぶしいくらい。
  左写真中央の、木のゆりいすが、郷愁をさそう。
  天井などには、竹材など、和のテイストも。

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▽ 奥さんが大切にしていたという楽器。
  マッケーレブさん、音楽や草花を深く愛する方だったようです。 

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 それにしても、今回は、思いがけずこのようなものが見ることができて、ほんとうに、副都心線さまさま。
 開業早々、大混乱、いろいろ問題続出ですが、がんばれ、副都心線。



 あ、それから、もちろん、アルフォンソ10世さまさま、でもあります。
 心から尊敬しております。
  


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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
こんばんは、おじゃまいたします。
これは本当に楽しそうな催しですね。心底、聴きかつ見てみたかったです。
中世フィドルはどんな音色だったのでしょうか。この楽器はわたしにとって謎の楽器ですが、身近で演奏が聴けるとは、うらやましい。

こういう演奏会は、ホールの舞台で行われるものより、この写真のような場所で聴くもののほうがずっと楽しいでしょうね。

下見板張りの西洋館もすばらしい。永井荷風が住んでいた偏奇館もこんな感じだったのかと思ってしまいます。
koh
2008/06/20 21:39
 kohさん、こんにちは。
 そう言えば、永井荷風のお墓も、この洋館のすぐ近くの雑司ケ谷霊園にありますね。
(この洋館からは遠い北側ですが。漱石のお墓などは近い南側にあるようですね)

 偏奇館は、わかりづらいモノクロ写真でしか見たことありませんが、確かに少し似ているかもしれません。この洋館も、正面などは、ペンキが特徴的で、これこそ「ペンキ館」という感じです。側面(南側)は、ご覧のとおり、ほとんどガラス張りで、ものすごく快適そうです。
 マッケーレブさんは、明治時代から戦争が始まるまで、30年以上もこの洋館に住み続け、地元の人たちにも親しまれてたようです。地元の人の目には、ものすごくハイカラに映ったでしょうね。

 フィドルは時代や地域によってまったくことなるので、実は、この日使われた楽器が正確にはどのようなものなのか、よくわかりません。
 Vnみたいにくっきりとした音色でなく、少し低音で、ぼんやりと拡散したような音色でした。さかんに重音を奏していたので、もしかしたらあらかじめドローン弦がついていたのかもしれません。
Nora
2008/06/21 20:46
副都心線と雑司が谷とカンディガ
昨年のカンディガの記事で知ったアルフォンソ10世のことも思い出しました。
日本でこれを演奏する楽団があって、それを聴きにいらしたNoraさんの行動力にまたまた驚いています。
ラ・トゥールの絵に出てくる「ハーディー・ガーディー」が見られました。
これまた中世の絵にでてくるような管楽器をたくさん、私も思いがけずここで拝見できて嬉しいです。
こんなたくさんの古楽器を吹きこなす方々、相当の研鑽をつまれた方たちなのでしょうね。

マッケーレブ邸、これまた初めて知ったお屋敷ですが、中も素晴らしいのですね。暖炉は洋風建築の要ですからその意匠を凝らしたのを眺めるのが好きです。
今日もたくさんお勉強させていただきました。有難うございました。
tona
URL
2008/06/28 09:29
 tonaさん、こんばんは。
 そうです。あのカンティガです!
 カンティガなどを演奏なさる方はけっこういらっしゃるのですが、大昔の古典的な宗教曲として堅苦しく考えず、民族音楽の延長として、気軽に接してらっしゃる方が多く、その方が演奏も魅力的なようです。
 この日聴いた方々など、正にそうでした。
 まあ、カンティガなどは、「クラシック音楽=芸術音楽」が確立する前の、ヨーロッパの民族音楽なのですから、それでいいのだと思います。

 マッケーレブ邸の暖炉は、必見ですよ!
 本文にもちらっと書きましたが、この建物、部屋がT字型に3つ並んでいて、なんとその全部の部屋に特徴的な暖炉がついてます。
 T字型の支柱の部分に大きな柱があり、その内部の排煙設備を共用することで、それが可能になっているのです。
 どの暖炉も個性的で美しく、住んでらした宣教師家族の暖かい暮らしぶりが想像されます。

PS、
 新しい記事にあじさいのことを書きましたが、こちらの記事からもリンクさせていただきました。ご了承ください。
Nora
2008/06/28 23:55

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