♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS バッハ入魂!BWV125+新春CD紹介2〜新年早々超絶名盤を聴いた【顕現節後4+マリアの潔めの祝日】

<<   作成日時 : 2011/01/28 01:18   >>

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  今度の日曜日(1月30日)は、顕現節後第4日曜日。

 カンタータは、

 第1年巻のBWV81
 バッハの最後期のカンタータの一つでもある、コラール・カンタータ年巻補完作、BWV14

 の2曲。

 イエス一行がガラテヤの湖で嵐に遭うエピソードを描いた、まるでオペラのような情景描写が魅力のBWV81
 そして、
 作曲時期からするとやむを得ない気もしますが、何ゆえ、教会で日常的に演奏されるカンタータにここまで超絶対位法技法を盛りこまねばならないのか、と、思わずあきれてしまうような、極めて抽象音楽的な冒頭合唱を有するBWV14
 実に対照的な2曲が並びました。


 カンタータの世界は広く、そして大きい。


 そして、その後、2月2日(水)は、
 いよいよ、やってきました!
 その広大なカンタータの世界を代表するような作品、正に全カンタータの王冠というべき作品がずらっと並ぶ、マリアの潔めの祝日

 カンタータは、名作中の名作BWV82をはじめ、BWV83BWV125、などなど。

 その他にも、この祝日に演奏されたと想像されるカンタータはけっこうあるため、(しかもこれまたすべて名曲のオンパレード)詳細は、こちらの一覧表をごらんください。

  ↓    ↓    ↓

 マリアの潔めの祝日・カンタータ一覧


 なお、過去記事もけっこう書いています。

 こちら↓


  <マリアの潔めの祝日>

    マリアとバッハ〜はじめて聴くカンタータ
    お気に入りのアリアその3(BWV82)〜夕映えのR.シュトラウス
    シメオンの涙〜マリアの潔めの祝日 【潔めの祝日・カンタータ一覧】
    お気に入りのアリア・潔めの祝日編 とっておきの1曲(BWV157他)
    カンタータの祭典!!マリアの潔めの祝日&五旬節
    雪のエストミヒ



 さて、今や前人未到、超絶の極みの次元に到達している第2年巻のコラール・カンタータサイクル。
 もともと創作力の絶頂にある上に、バッハが常に尋常でないほどの気合いを込めてカンタータを作曲する、バッハにとって特別なマリアの祝日。
 ただですむわけがない。

 と、いうわけで、BWV125

 このあとにめぐってくる、やはり「特別な祭日」エストミヒのための、コラール・カンタータの総決算、あのBWV127とも比肩し得る、たいへんな作品だと思います。


 もとになるコラールは、あの「特別」な名作、BWV106で名高い、そして、1年前のBWV83の最後にも登場している、ルターの「平安と喜びをもって」。
 満を持してこのコラールを持ってきたことでも、バッハの尋常ならざる気合がうかがえる。

 そして、基本的には、全曲がこのコラールに基づいているにもかかわらず、第4節に力強い編曲が施された輝かしい終結コラールにいたるまでの「音のドラマ」が、ほんとうにただ事ではない。

 冒頭大合唱BWV82を、さらにはマタイをも先取りするような、悠々たる大波のようなシチリアーノ風子守唄。
 ただ、トラヴェルソの清冽な響きが、第2年巻ならではの凛とひきしまった抒情みたいなものをかもし出している。

 その後、
 第2曲、長い長い、いつ果てるとも無く続くロ短調!の悲しみのアリア、ためいき、というかほとんどあえぎと言ってよい、情緒あふれる当世風音楽、
 そして、第4曲、歌詞にあるがごとく、あまねく地の果てにまで光が降り注ぐかのような、男どうし?の力強いデュエット、すべてが一つのテーマから構築された、対位法的に目の詰んだ極めて精緻な音楽。
(このデュエットは、わたしが特に愛する、BWV134やBWV10のアリアに代表される、「光が降りそそぐ中、正面から風を受けながら、まっすぐに前を向いて進むかのようなアリア」がゆきついた完成形と言ってよいかも)
 これらのまったく対照的な、バッハのそれぞれの同系列曲を代表するような見事な2曲が、
 これまた見事な「トロープス・コラール」(第3曲)をはさんで対峙する。

 前者の嘆きの深さがはかりしれないだけ、後者の音楽、そして終結コラールが、はかりしれない力強さを伴って、まぶしく輝きわたる。

 
 ヘレヴェッヘ盤。
 「もっとも美しいカンタータ集」(直訳)というちょっとすごい5枚組みのアンソロジーに、(このセットは名曲名演奏のオン・パレード。必携)
 このBWV125が、コラール・カンタータの代表として、BWV8BWV78とともに、選ばれている。
 この曲の場合、力強く、ドラマティックな演奏もいいが、このヘレヴェッヘ盤、その名の通り、「もっとも美しい」演奏と言っていいと思う。



  *    *    *    *    *    *



 今日は、引き続き、年末年始に聴いたCDのメモ。
 クラシック音楽編。


 大昔に、BWV82の魅力を書くのに、R.シュトラウスの晩年の作品を引き合いにだしたことがあります。
 あの時書いたことが的を射たことだったかどうかは、今考えてみるとちょっと判断しかねますが、
 今回も、たまたま、シュトラウスの晩年の作品から。



 R.シュトラウス オーボエ協奏曲 他

    フランソワ・ルルー、ハーディング指揮、スウェーデン放送響
 

画像



 今年のCD聴き初め。新年早々、えらいものを聴いてしまった。


 とにかく、オーボエの音色に驚きます。
 
 オーボエならではの独特の音色の美しさはもちろん、光がきらめくような超高音から、夜の闇を覆うような重低音まで、かすかな風音のようなppからそれこそ風圧を感じるようなffまで、すべてが美しく、まさに魔法の楽器を聴く思いがする。
 そして、その虹色の音が泉のように湧き出でて、変幻自在、縦横無尽、つぎつぎと表情を変えながら綿々と続き、一瞬も途絶えることがない。

 そして、奏でている音楽が、R.シュトラウスの至高の「純音楽」、あのオーボエ・コンチェルト!

 もはや何も言うこと無し。


 ・・・・と、言いつつ続けますけど、

 わたしは、R.シュトラウスのオペラこそ、クラシック西洋音楽の行き着いた(良くも悪くも)究極と言うべき完成形、この世で最も美しい音楽の一つだと思っているのですが、
 その中でも、最晩年のオペラ、さらに同じく最晩年の歌曲、協奏曲などは、それがさらに1段も2段も高い次元に突き進んだ、もはやこの世のものならぬ音楽と言っていいのではないでしょうか。

 ケンペやベーム指揮の素朴で温もりのある演奏、セルやシノポリ指揮の厳然とした演奏、
 そして、プレヴィンやティーレマン指揮のものに代表される、ウィーンやミュンヘンのオケの、芳醇なる香りにあふれる演奏、
 名演はたくさんありますが、わたしが一番好むのは、
 カラヤンの豪華絢爛な、空前絶後の美演です。
 機械的だろうが、人工的だろうが、この美しさはやはりただ事ではない。
 シュトラウス最晩年の、すでにありきたりの感情を超越してしまった真っ白な心には、
 (気をつけなくてはいけないのは、言い古されてきたように人間の感情そのものを超越してなどいない、ということ。音楽であるかぎり、やはりこれももちろん「人間の心」の領域なのだ)
 むしろこのような演奏方がしっくりとくる。

 今回のこのルルーの演奏は、そんなカラヤンの演奏に通じるところがあるかもしれない。
 一人カラヤン。
 そんなことを思ってしまうくらい、この演奏は美しい。

 絶美の音楽の、絶美の名演。


 ハーディングが指揮する北欧のオケの、ジャズでいうところの「クール」なサポートも、なかなか。

 余白に収められた(と言ってもこちらの方が長いんだけど)、若い頃の管楽器のセレナードなどでは、オケのメンバーが完全にルルーに触発され、「インプロヴィゼーション」している。
(・・・・と思っていたら、クレジットをよく見てみると、こちらの方の演奏は、アンサンブル・パリ=バスティーユの盟友たちだったが)
 この曲は、以前、奏楽堂(注:新しい方)に聴きにいった。
 もちろん、晩年の神品、管楽器のソナチネには遠く及ばないが、若々しい自信にあふれた魅力的な作品。
  
 
 ちなみに、ルルーの奥さんのあの天才、バティアシヴィリさん、
 本ブログではしばらくご無沙汰でしたが、今年から、ついに天下のDGから新譜をリリースしていくとのこと。
 ソニーではちょっとかわいそうだったので、これは何よりの朗報。
 第1弾は、ショスタコーヴィッチ集とのこと。
 名盤シベリウスに続いて、グルジア出身の「熱き」北の血が再び炸裂するのが、心から楽しみ。



 チェロ協奏曲集 ワレフスカ
 

画像



 ハイドンやドヴォルザークのチェロ協奏曲は大好きで愛聴していますが、清新なオケを従えて、楽器の女王とも言えるチェロが朗々たる歌を歌うそれらの作品には、ピアノやVnの協奏曲とはまたちがった、独特な魅力があふれていていいですね。
 シューマンや、フィギュアスケートでその音楽がよく使われるので最近興味を持ったサン=サーンスにも、チェロ協奏曲の名品があると知り、ずっと聴いてみたいと思っていたところ、
 いつものおなじみ、タワレコのヴィンテージシリーズの一組として、安価な5枚組のチェロ協奏曲集がリリースされたので、早速聴いてみました。

 全5枚のCDに、ヴィヴァルディから、聴きなれたハイドンやドヴォルザーク、お目当てのシューマンやサン=サーンス(何と3曲もあるのだ)、ブルッフやらブロッホやらの懐かしい作品から、チャイコフスキー、ハチャトリアン、プロコフィエフなどロシアものまで、たくさんのチェロ・コンチェルト(&チェロ独奏の管弦楽曲)がぎっしり、
 初めての曲もたくさん聴くことができ、それらの曲が、どれもチェロという楽器ならでは特性を最大限に生かした傑作だったのはもちろんなのですが、
(特に、シューマンのほとばしるロマン!プロコフィエフの生き生きとした独創性!
 ちなみにこのプロコフィエフの作品は、後年ロストロポーヴィチのアドバイスでまとめなおした「交響的協奏曲」ではなくて、初演時に大失敗しておくらしていたオリジナル版とのこと)

 何よりもびっくりしたのはチェロのあまりの美しさ、さわやかさ!
 ここでチェロを弾いているワレフスカという人のことはまったく知らなくて、
 まあ、たくさんの曲が収録されてるから誰でもいいや、くらいの気持ちで聴き始めたのですが、この人のチェロは、これまで聴いたこと無いような、しみじみと心にしみるようなチェロ。
 ドヴォルザークから聴き始めたのですが、はじめの力強い主題では、ちょっと線が細いかな、と思ったのですが、
 あの懐かしい第2主題が、やさしく語りかけるように奏でられ始めた瞬間、もういっぺんでまいってしまった。
 チェロ・コンチェルトの名演というと、デュプレ魂のこもった切実な演奏やロストロポーヴィチの雄弁な演奏、マの技巧的に完璧とも言える演奏、などなどがまっ先に思い浮かびますが、
 それに対して、ワレフスカさんの奏でる音楽は、そのどれともちがう。どこまでも流麗でしなやか。常にまったくムリの無い自然体で、まるでやわらかな春風や水の流れのよう。
 わたしのイメージしているチェロ、いや、「セロ」の音に、一番近いかもしれない。

 残念なのが、わたしがチェロ協奏曲の中で最も好きな、エルガーとディーリアスのものが入っていないこと。
 アメリカのチェリストで、後に南米に拠点を移したワレフスカさんにとって、イギリス音楽はあまりなじみの無いものだったのかもしれない。
 この2曲には、デュプレの圧倒的な迫真の名演がありますが、それだけに、このワレフスカさんの演奏を聴いてみたい気がする。

 それと、もちろん、無伴奏もね。 
 最近、ワレフスカさんを見直す気運が高まり、昨年には36年ぶりの来日を果たして元気な姿を見せてくれたそうなので、案外これは夢ではないかも。



 ドヴォルザーク セレナード集 (弦楽セレナード、管楽セレナード)

    ハンス・シュミット=イッセルシュテット、NDR響


画像



 上記ボックスセットのとなりにあったのを、衝動買い。これもヴィンテージシリーズ。

 音楽も演奏も、まるで透きとおった高原の大気のように清々しい。
 他のCDはあまり聴いたことないが、こんな音色はちょっと他には無いのではないか。
 弦楽のものは、朝の爽快な雰囲気、管楽のものは、午後の田園の華やかな雰囲気から、夕べのメランコリックな雰囲気、といった感じか。
 管楽セレナーデは、今回ご紹介したR.シュトラウスのCDにも収録されているが、それとはまた異なる、さまざまな管楽器が一つに解け合うようなやわらかな美しさが魅力。

 この後の春から夏にかけて、ぴったりなのでは。手元に置いて愛聴したい一枚。
 買ってよかった。



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内 容 ニックネーム/日時
毎度お世話になっております(社用メールの常套句のようになってしまいました。)。

今回、マリアの潔めの祝日には、私も125番を聴きました。この辺り(ライプツィヒ時代の初期)のものは、14番と違い、安心して良い曲だなあと浸れますね(決して14番が悪いというのではなく、ちょっと考えさせられるというか、緊張を強いられるというか、頭を使うというか・・。)。

さて、すいません、本題ですが、Noraさんにお教えいただいたいことがございます。
次の日曜日、2月6日に聴くべきカンタータのことです。

少年の頃より3日坊主が常態化していた私ですが、今年は、一応(一日遅れなんていうのもありましたが。)、1ヶ月、カンタータを教会暦毎に聴けています。我ながら頑張っているなよしよしと、次に聴くべきカンタータを準備しようと思ったところ、顕現後第5主日のカンタータというのが見当たらない。どゆこと?ということで、ネットをめぐって(10分くらい←短い)みましたが、根気のない私は、先生=Noraさんに頼ることと決めました(迷惑で失礼なやつで申し訳ありません。)。

顕現後から復活節前にいたるこの時期の教会暦、カンタータ事情、今年2月6日、13日に聴くべきもの・・など、お忙しいところ、お時間あれば、ご教示いただけますれば幸甚です(これも、社用メールみたいですね。本当に失礼つかまつります。)。
garjyu
2011/02/03 21:47
 garjyuさん、どうも。

 ご質問の件、わたしも教会暦に関してはくわしくないのですが、一応わかる範囲だけ新しい記事の冒頭に書いておきましたので、ご覧になってみてください。
 と、いうわけで、そこにも書いたとおり、残念ながら?今週と来週は、カンタータがありません。
 その後も、2〜3週はカンタータがありますが、(とんでもない大物ぞろいですが)すぐに、受難前の華美音曲禁止期間に入ってしまいます。

 わたしも実は、garjyuさんに触発されて、今年になってから、カンタータの感想等を少しだけでも書くようにしていたのですが、
 早くも力つきようとしていたところでした。
 バッハがくれたお休みと思って、お互い英気を養いましょう? 
Nora
2011/02/04 14:46

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