♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS 年が明けてもXマスは続く?クリオラ後半の祝祭日 新年・顕現節周辺のカンタータ一覧【新年〜顕現節後1】

<<   作成日時 : 2012/01/02 19:03   >>

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 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。 

 今年は少しは心を入れ替えて、新年早々カンタータの記事です。

 しかも、全11曲分!





 まずは、恒例、干支の絵から。

 龍の絵や彫刻は、山ほどあり、本ブログにもたくさん載せてきました。
 きりがないので、ここでは、強力な、究極の龍の絵をほんの少しだけ。

 今年が平和で安らかな年であるよう、願いをこめて。



 * ここにのせた絵はすべて、クリックしてから拡大すると、
   大きな絵で細部をご覧いただけます。
 



 等伯

 虎くん、ここでは、多少びびりながらも、がんばってにらみ返してますが、

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 蕭白

 ここでは、完全にやる気をなくしてます。

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 年末年始、クリスマスから新年、さらに顕現節にかけては、カンタータの世界でも大きな祝祭日が連続し、もちろんバッハも大忙しでした。

 年末のあわただしい時はもちろんんですが、新年早々、各祝祭日ごとにカンタータをあげるのも、なかなかたいへんなので、新年・顕現節周辺の聴きどころコメント付きカンタータ一覧表を作っておくことにしました。
(実は、お正月早々いくつも記事を書かなくていいように、書いたのだ)

 クリスマス〜降誕節後日曜日のカンタータ一覧表はすでに作ってありますので、その後編、
 名作、クリスマス・オラトリオで言えば、後半、第4部〜第6部に相当する祝祭日のカンタータ群ということになります。


 この期間の教会カンタータで、現在聴くことができるのは、基本的には、ライプツィヒのカンタータばかりです。
 カンタータと一口に言っても、千差万別、
 同じライプツィヒのカンタータでも、時期によっては、厳格なオルガン曲と楽しいコンチェルトくらいのちがいがありますので、ライプツィヒ1年目、2年目、そして3年目以降、後期のそれぞれの時期のおおまかな特徴がわかるようにまとめてみました。

 顕現節のカンタータをのぞくと、あまり知られていない、地味なカンタータばかりですが、
 新しい年を迎えた気分にぴったりの、華やか、あるいは、しっとりと美しいカンタータが勢ぞろい。
 ご参照の上、ぜひお聴きになってみてください。


 (注) CKは、コラール・カンタータ = 第2年巻(1725年)の作品

 いつもの通り、マークは、特にオススメ、というか、わたしの好きなカンタータ。
 ほんとは全部つけたいくらい。

 各曲のタイトルは、葛の葉さんのHPの「バッハカンタータ一覧表」を参照させていただきました。



 【新年(1月1日)】


 新年のカンタータは、第1年巻のBWV190、コラール・カンタータ(第2年巻)のBWV41、3年目のBWV16、後期(1729年)のBWV171、ほか。

 新しい年を迎えたことを感謝する、新年らしい華やかな作品が多いですが、新年と言っても、礼拝は、大晦日の深夜に行われていたようで、過ぎ去ろうとしている1年間をしみじみと振り返るような、歌詞&音楽の作品も多いのが特徴です。


  第1年巻(1724)  BWV190 「主にむかいて新しき歌を歌え」

 冒頭合唱、3本のtpとティンパニが大活躍する華やかな大合唱で幕を開けるが、途中、その明るい賛歌に重なって、おなじみルターのドイツ語テ・デウムが歌われるや、大管弦楽つきの合唱は、そのまま力強いフーガに突入する。
 第2曲レチタティーボ付コラールは、冒頭合唱にも登場したドイツ語テ・デウムに基づく、トロープス・コラールの走り。
 第3曲ポロネーズ、第5曲デュエットは、新年にふさわしく、華やかかつ美しいもの。

 一部楽譜が欠落しているため、復元稿での演奏になるが、新年を飾るにふさわしい大作カンタータ。
 後に、ピカンダー作詞のカンタータBWV190aに転用。


 CK(1725)     BWV41 「イエスよ、いま讃美を受けたまえ」

 上記BWV190をさらに上回るかのように壮麗極まりない、天に突き抜けるような喜びのモチーフが印象的な2つの大合唱が、まるでクリスマスの音楽のようにしみじみと心にしみる二つのアリアをはさむ、コラール・カンタータの名品。

 特に、第4曲テノール・アリアは、コラール・カンタータ年巻後半に多く見られる、ヴァイオリンチェロ・ピッコロがオブリガートのアリアの最高峰の一つ。
 
 バッハのコラール・カンタータ、このあたりの時期になると、お正月でも、すっごいのだ。


   後期(1726)    BWV16 「主なる神よ、汝をわれらは讃えまつらん」

 冒頭合唱は、これもまた、ドイツ語テ・デウムに基づく、対位法的に精緻極まりないモテット風大合唱。
 続くアリアは、ホルンが活躍する明るくさわやかな合唱付きバスアリアと、ヴィオラまたはオーボエのオブリガートがしっとりと美しいテノールアリア。


 後期(1729)?  BWV171 「神よ、汝の誉れはその御名のごとく」

 ピカンダー年巻の名品中の名品。
 ロ短調ミサ・クレドに転用された冒頭合唱を始め、すべての楽章が、充実しきった筆致による豊饒な音楽。
 実は相当対位法的、技巧的につくられているにも関わらず、不思議なほど自由でのびやかな印象が、何とも新年にふさわしい。
 二つのVnによるフガートが、さわやかな新春の日の出のようにまぶしいテノールアリア、
 一転して、世俗カンタータ(BWV205)起源の、当世風Vnソロが華麗なソプラノ・アリアの2曲が、特に美しさの極み。

 BWV41と同じ喜びの集結コラールが、盛り沢山な全曲をしめる。


 なお、わたしが最も愛するカンタータの一つ、昨年、BCJの世俗カンタータシリーズでとりあげられ、記事にも書いた、BWV134の原曲、BWV134a は、教会カンタータではありませんが、ケーテン時代の新年祝賀用カンタータ。

 BWV134aはなかなか聴く機会が少ないと思います。
 BWV134は、まぶしいコンチェルト風の典型的な復活節のカンタータですが、そういうわけで、新年などにもぴったり。
 しばし、新しくさわやかな風に吹かれてみませんか。



 【新年後第1日曜日】


 新年(元旦)と顕現節の間に、日曜日がある場合のみ、巡ってきます。
 今年(」平成24年)は、元日が日曜日のため、この祭日はありません。

 カンタータは、第1年巻のBWV153、後期のBWV58の2曲でした。


  第1年巻(1724) BWV153 「見たまえ、御神、いかにわが敵ども」

 バッハのライプツィヒ就任後最初のクリスマス〜新年シーズン、怒涛の大作豪華カンタータ量産の狭間で、ほっと一息つくようなカンタータ。
 「よりによって今年は、新年後にこの祭日まであるんかいっ」と毒づくバッハの顔が目に浮かぶよう。

 規模も楽器編成も省エネタイプだが、そこはさすがバッハ。真摯な姿勢に貫かれた珠玉作となっている。

 コラールとレティタティーボが中心になっていて、4声コラールで全曲が始まるというのも珍しい。
 マタイ受難曲でおなじみのゲルハルトのコラールも入っていて、コラールファンにはたまらないかも。

 アリアも基本的には、ストリングスかbc伴奏の短いものだが、最後に夢のように美しいメヌエットが炸裂する。
 これは、おそらく、この時期の常套手段で、ケーテンの世俗曲のパロディ。バッハの幻のケーテン時代の作品が楽しめるのだから、こちらは大歓迎。
(ライプツィヒ市民もどんなに喜んだことでしょう。もともと宮廷の中でしか音楽だったわけですから)


  後期(1727)    BWV58 「ああ神よ、いかに多き胸の悩み」

 ダイヤログ・カンタータ。と言っても、華麗なデュエットがあるわけではないが、さすがにマタイ前夜だけあって、劇的な迫力ある作品となっている。
 冒頭と終結部に置かれた、それぞれ印象的なオブリガートを背景として、ソプラノがコラールを歌い、それにバスがトロープス的な自由唱でからむ「デュエット」が、やはり聴きどころか。

 この作品もコンパクトにまとまっていて、この祭日のカンタータの特徴みたい。



 【顕現節】


 毎年、1月6日が顕現節です。
 カンタータは、
 第1年巻のBWV65
 第2年巻(コラール・カンタータ)のBWV123


 第1年巻(1724) BWV65 「人々シバよりみな来たりて」

 今さら特に書くことも無い大名曲。
 ライプツィヒ就任後最初のクリスマス〜新年シーズンの最後を飾る、バッハ渾身の大作。

 冒頭合唱。ホルンの雄大な響きに導かれるように、次々と湧き起こる大合唱、それはそのまま壮大極まりないフーガへとつながる。

 二つの対照的なアリアとその間を結ぶレチタティーヴォの見事さ!
 すべての始まりでもある顕現節を祝うのにふさわしい、第1年巻を代表する傑作の一つ。


 CK(1725)     BWV123 「いと尊きインマヌエル」

 そして、それほど目立つ曲ではないが、BWV65にも決してひけをとらないのが、コラールカンタータの名品であるこの曲。

 バッハの第2年巻(コラール・カンタータ年巻)、年が明けたこの頃から、あたかも音楽自体が青い微光を帯びたかのごとく、特別厳粛な美しさをたたえるようになってくる。
 いよいよ、BWV127、そしてBWV1という前人未到の高みへの、最後の登攀が始まったのだ。

 ロ短調の冒頭合唱、合唱そのものはシンプルなものだが、コラールから派生したゆるやかでのどかな動機を奏でる器楽群が、夢のように美しく絡んでゆく様子は圧巻。
 その絡まりの頂点で、合唱が決然と入ってくる。

 中間のアリア等も美しいが、さまざまな音楽象徴が見られ、音楽象徴をすればするほど音楽自体も美しくなる、というバッハの音楽の不思議を雄弁に物語っている。
 


 【顕現節後第1日曜日】


 ついでに、顕現節後すぐに日曜日がくることがあるので、念のため。
 今年も、顕現節のすぐ後、1月8日がこの祭日になります。


 顕現節後第1日曜日。

 カンタータは、
 第1年巻のBWV154
 第2年巻(コラール・カンタータ)のBWV124
 後期のBWV32の3曲です。


  第1年巻(1724) BWV154 「いと尊きわがイエスは見失われぬ

 1曲目からいきなりアリア。第1年巻の、アリアの花園、とでもいうべき魅力的カンタータ。

 どのアリアも特徴的で美しく、聴き応えあるが、第3曲、「主よ、人の望みの−」でおなじみの名旋律のコラールから、第4曲、バセットヒェンの雲の上でまどろむようなアルトアリアに連なる流れがすばらしい。


 CK(1725)    BWV124 「わがイエスをばわれは放さず」

 前述のBWV123に続き、これまた、とんでもない傑作コラール・カンタータ。

 先のBWV123冒頭合唱は、のどかなパストラール風でしたが、こちらの冒頭合唱も、ゆったりとしたメヌエット調。
 この後、恐れにふるえる嬰へ短調のテノールアリアを経て、最後に炸裂するのも、パスピエ調のデュエット。
 舞踏の聖化、とでも呼ぶべきか。


 後期(1726)   BWV32 「いと尊きイエス、わが憧れよ」

 こちらもまた、アリアの花園。後期のより豊潤な花園。
 華麗な内容を誇るダイヤログ・カンタータ。

 第1曲目、有名なソプラノの「さまよえるアリア」に始まり、Vnソロが大活躍する力強いバスアリア、さらにVnとOb、さらのソプラノとバスの協奏が楽しいデュエット、
 はじめからおわりまで、聴きどころ満載。



 以上、
 第1年巻の覇気あふれる音楽と、ケーテンの美しい残照、
 第2年間巻、コラールカンタータの超絶、
 ピカンダー年巻を始めとする後期カンタータの、対位法追求と自由闊達の境地の共存、
 と、ライプツィヒのカンタータは、お楽しみも多岐にわたるのだ。





 後半は、ヘヴィーなのを何点か。



 もういっちょ、蕭白。

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 * この蕭白の絵と、冒頭にあげた等伯の絵は、この春、日本に里帰りします。

   (東博 特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」)



 もういっちょ、等伯。等伯がその情熱のすべてを注ぎ込んだ、渾身のモニュメント、大徳寺三門天井画より、上り龍。
 (展覧会目録より)

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 また、これを出してしまおう。

 「騎龍観音」 原田 直次郎

 原田は、高橋由一門下生。
 なんて澄んだ目をした龍だろう。

 (これは、わたしが撮影しました) 
  
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 おしまいは、やはりこの人、

 北斎、最晩年の祈り。


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 今年こそ、平和で安らかな年でありますよう。
 


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
Noraさん、こんばんは。

新年と顕現節周辺のカンタータを聴いていたところ、BWV32のカンタータがとっても気に入って年が明けてから、ずっと聴いていました。第1曲のソプラノアリア、オーボエの旋律が、なんとも心に染み入ります。

お気に入りのアリアやカンタータを見つけると、しばらくその曲ばかり聴いているものですから、聴き残しのカンタータもでてきてしまうんです。でも、ほんとうに好きで好きでたまらないカンタータに出逢えると、とっても幸せな気持ちになります。今年もこんな感じで、ゆるゆるとカンタータを聴いていこうと思っていますので、どうぞよろしくお願い致します。

それから昨年、Noraさんに教えていただいたテレビ番組「わが町の建築物語」ですが、毎週たのしみに観ています。今日も観ましたよ。
いつかその地を旅して会ってみたい建物が増えてきて、こちらも楽しみです。
ANNA
2013/01/29 23:00
 ANNAさん、今年もよろしくお願いいたします。

> お気に入りのアリアやカンタータを見つけると、しばらくその曲ばかり聴いている

 たくさん聴くと忘れてしまうので、(笑)このような聴き方が一番いいのではないでしょうか。ANNNAさんのように、お気に入りの曲を大切に聴いてゆくと、絶対に忘れることはありません。

 BWV32も、いいですよね。
 後期のバッハならではの、ダイアログ・カンタータで、
 obがオブリガートの切々としたソプラノアリア、vnがオブリガートの安らぎに満ちたバスアリア、そして、ob、vn、ソプラノ、バスの四重奏の、喜びにあふれた協奏曲みたいなデュエットアリア、と、どのアリアも熟練の傑作である上に、バラエティに富んでいます。
 デュエットを導くレチタティーヴォも、「マタイ」顔負けの、バッハが書いた最もドラマティックな音楽の一つで、このような豪華なオペラみたいな音楽を、日常的に聴くことができたライプツィヒの人々は、ほんとうに毎週楽しみだったのではないでしょうか。

 一つ、こぼれ話ですが、この曲、少年イエスの物語がベースになっているのに、曲に登場するキリストは、例の厳かな弦の光背を背負った、威厳に満ちた朗々たるバスになっており、わたしなどからすると、その点がとても面白く感じられます。

 「建築物語」、けっこう続いてますね。だんだんマニアックな建物も増えてきて、なかなか簡単にはいけないところもていねいに紹介してくれるので、TV局も捨てたものじゃないように思います。
 おっしゃるように、行きたいところが増えて、困ってしまうほどです。 
Nora
2013/01/31 16:10

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