♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

アクセスカウンタ

zoom RSS ディランの今の声が記録された「レコード」!〜昨年から今年聴いたCD・ジャズ&ポップス編

<<   作成日時 : 2015/02/27 10:48   >>

トラックバック 0 / コメント 2

 ライプツィヒのバッハ先生はお休み中。

 ただ何もしていなかったわけではなく、受難曲や何日も続く復活節のカンタータをこの間に書き溜めたりしていて、大忙しだったようです。

 わたしも、毎年、この間に、たまってしまったCDの感想等を少しづつアップするようにしていますが、今年はまず、バッハや古楽、クラシック以外のCDから、選りすぐりを3枚だけ。



 チャーリー・ヘイデン&ジム・ホール


画像
 


 名門Impulse!のロゴ、往年の名アルバムを連想させるような、見ただけでドキドキするシンプルなジャケット、タイトル。

 正に、古い歴史的ジャズ名盤を思わせる佇まいだが、内容もそれにふさわしく、ジャズ史上に残る傑作だと思う。(録音自体も、90年と、ちょっと古い)
 それぞれの音の風格、響きの美しさ、両者が絡んだ時の和音の抜群のおもしろさ、そして、まったく予想できないのに必然性がある展開。すべてが圧倒的。
 この二人の名前を聞いて思い出すのが、どちらともデュオの名盤のあるパット・メセニー。
 タスキに、「僕の大好きなデュオ・パートナーである二人がこんなセットで演奏するのを聴けるなんて・・・・」と、三角関係の末にふられたみたいな、ちょっとおもしろいコメントを寄せている。このライブは、ちょうどあの「ミズーリの空高く」と同じ頃・・・・。
 三角関係、というのは冗談にしても、あのパット・メセニーがこの二人のジャズ・ジャイアントにちょっと焼きもちを焼いてる感じは伝わってきて、この言葉こそが、このアルバムのすべてを語っている。

 チャーリー・ヘイデン&ジム・ホール、力にあふれていた頃のこの二人の巨人の対話は、誰何人も入り込めぬほど親密。
 しかし、それでいて、そこから放射される音楽の力は、音楽に耳を傾けるすべての人の心を満たすほどに大きくあたたかい。

 とにかく、とびっきり曲が良い。
 ボディ&ソウルやスカイラークなどのスタンダードから、モンクやオーネット・コールマンの名曲、そして何より二人のオリジナルが魅力的。
 「ファースト・ソング」を、こんなすてきな演奏でやられたら、メセニーもいろいろな意味で「たまらない」だろう??
 


 BOB DYLAN SHADOWS IN THE NIGHT


画像



 上の二人に負けないレジェンド、ジャイアントだが、またまた最新アルバム。

 フランク・シナトラ生誕100周年記念(なのだと思う)。

 シナトラのレパートリーだった、古いアメリカのスタンダード曲集。


 まず何よりも、昨年のライブで、幸運にも生で聴くことができた、びっくりするほど美しい声、最近のどの録音においてもとらえきれていなかった声を、もっともきちんと記録することに成功している「レコード」だというだけでも、このCDの価値は計り知れない。
 まず、この声を聴いて、心から驚愕してほしい。70歳を超えてすでに数年がたった、現在の「神の声」。

 そしてまた、内容がすごい。はじめ聴いた時は、あまりにもムーディなイントロに、なんじゃこりゃ、ディラン先生また困ったことを、と、思わず苦笑してしまったけれど、2度3度聴いていくうちに、これはもしかしたらちょっととんでもないCDなのでは、と思えてきて、それは聴けば聴くほど確信に変わり、今ではただただ圧倒されてしまっている。

 ディラン自身が語ったところによると、「すべてライブで録音した。たぶん1〜2テイクで。オーヴァーダビングは無し。別々のトラックに録音することもしなかった」とのこと。
 そして、自分たちがやったことは、カヴァーではなく、それらの曲のカヴァーを外すことだった、と、しょうも無いダジャレみたいな言葉を続けているが、このCDの性格を実に的確に表現している言葉だと思う。

 シナトラのレパートリーというくくりににはなっているが、基本的にこれらの曲は、ジャズ等でもおなじみの有名スタンダードナンバーばかりで、そういう意味では、シナトラの歌そのものはあまり聴いたことのないわたしにも馴染みが深い。所謂名曲中の名曲ばかり。そもそも歌自体が計り知れない力を持っている。
 それらの曲を、ディランが、何の奇をてらうことなくまっすぐに、しかも夢のように美しい声で歌っている。
 ディランが歌う「枯葉」やWhere You Are?”、さらにはラフマニノフのピアノコンチェルト(”Full Moon And Empty Arms”)などが聴けるなどとは、夢にも思わなかった。
 しかも、自分の歌でさえもとのメロディ通りに歌うことは無かった(歌えなかった?)ディランが、驚いたことに原曲に忠実に、実にていねいに歌っているのだ。
 まだロックもモダン・ジャズも無かった時代の、幻のようにぼんやりとした、しかしシンプルなアレンジのバンドサウンドをバックに、ディランが、やはり同じように、ロックなんか聴いたことも無いよ、とでも言わんばかりのしれっとした感じで「名曲」の数々をたんたんと歌ってゆく。
 結局はそれだけのこと、それ以上でもそれ以下でもないんだけど、そこはディラン先生のこと、全身にフォークが、そしてロックが染みついているせいだか何だかわからないが、それらの名曲が持っている「歌の力」が、とにかく様式を突き抜けて炸裂する。
 心にびしびしと響いてくる。

 もともと、ロックに(そしてジャズに)、ストレートに通じる要素、長いポップ・ミュージックの歴史の中で大きく展開してゆく可能性を内包していたこれらの古い歌。
 そして、いまやフォークやロックを超えて、いや、それらのすべてを飲みこんで、普遍的にただただ「歌う」(しかも驚くほど美しい声で)という境地に達したディラン。
 その両者があらためて結びつくことによって、このCDが生まれ、両者の真のすさまじさがあらわになった。

 ラスト、ライブの持ち歌にもしていた”That Lucky Old Sun”になると、満を持してそれまで封印していたものを解き放ったか、ディラン先生のロック魂が全開になる。
 気合が入りすぎて大変なことになり、おやおや、と思うが、うれし涙がこぼれそうになっている自分に気がつくのだった。

 CDには、「33 1/3 LONG PLAYING」の文字が。古いLPレコードを模したデザインがかっこいい。そう言えば、収録時間も、ちょうど古い「レコード」くらい。(35:21) 

 いろいろな意味で、また1枚、かけがえのないアルバムが増えた。



 Playlist

  高畑充希


画像



 わたしは「星めぐりの歌」を始めとする賢治関係の歌のCDも集めているので購入。

 NHK朝ドラ「ごちそうさん」で、それまでいつもごにょごにょつぶやくだけの内向的キャラだったのに、突然美しい歌声を炸裂させて全国の視聴者を震撼させた、希子役の高畑充希さんのCD。
 もともとミュージカル女優の彼女は、シンガーとしても気合の入った活動を続けてきていて、それを総括するアルバムとなっている。

 前半は、ミュージカルや舞台、TVドラマなどの劇中歌などを、登場人物名義で歌っていて、どれも聴き応えある。
 その中には、上記「焼氷有り〼の唄」も含まれるが、あまりにもうますぎて、ドラマで観てちょっと赤面してしまったのと同じように、CDを聴いても思わず赤面してしまう。

 竹内まりや、槙原敬之、コブクロなど、錚々たるヒットメーカーが楽曲を提供しているが、彼女は役になりきるのと同様、その歌を作ったアーティストになりきって歌うようなところがあり、それぞれ竹内まりや節、槙原敬之節、コブクロ節全開!という感じで、ちょっとすごいことになっている。
 その意味では、「風」や「木蘭の涙」などの有名曲のカヴァーの方が、彼女の透明感のある特性が生かされているのかもしれない。

 かんじんの「星めぐりの歌」も、まっすぐで澄み切った歌声による、すばらしいパフォーマンスを聴くことができる。
 しかも、「新世界より」をフィーチャーした、山形交響楽団の生演奏をバックにして堂々と歌いきった名演。(NHKのチャリティー・コンサートのライブ音源)
 
 賢治先生も、ほほほーっと言って、喜ぶことだろう。

 「星めぐりの歌」以外に、個人的に最も印象的だったのは、みつき名義の「ひとつだけ」。
 これは、かなり前のTVドラマ、「セクシーボイスアンドロボ」のエンディングテーマ。(馬場俊英作詞作曲)
 当時ドラマを観た時、冒頭の80年代の和製ロックやアイドル歌謡を彷彿とさせるメロディライン、そのメロディにぴったりの青春の郷愁あふれる歌詞、そして何よりも透明で心にしみる歌声に、何だか聴いていてうれしくなってしまったのを鮮烈におぼえている。この歌を歌っていた「みつき」というボーイッシュな女の子のこともおぼろげにおぼえていたが、この人だったんだ。

 



そのほかの「記事目次」

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
Noraさん、こんにちは。

ジム・ホール、2009年の来日公演の時に、聴きました。
(本当は2008年の来日予定だったのですが、体調不良の為に半年後に延期されたのです。)
当時、聴き始めたばかりのジャズ。ジム・ホールが来日するということで、出かけたコンサートでした。
チャーリー・ヘイデンとのアルバムも、ぜひ聴いてみたいです。
ネコのジャケットもとても素敵。
ANNA
2015/03/05 06:34
 ANNAさん、こんばんは。

 ジム・ホール、生でお聴きになりましたか!
 何と言っても、「アンダーカレント」のギタリストですからね。偉大な歴史上の人物です。貴重な経験になったのではないでしょうか。
 「ミズーリ」などを聴いてもわかるように、ギターとベースの組み合わせというのは、うまい人が組んでツボにはまればなかなか良いと思うんですが、名演と呼ばれるものはそれほど多くはありませんでした。
 ジム・ホールとヘイデンの二人が、20世紀の終わり近くにこのような歴史的名演を実現してくれていて、それをこうして聴くことができるのは、幸運だと思います。
 そして、その名演にふさわしいこのジャケット!いいでしょう。
 しかも、輸入盤は紙ジャケでした。(日本盤はわかりません)
 インパルス・レーベルの復活、このロゴを見ただけでうれしくなってしまいます。
Nora
2015/03/07 02:20

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
ディランの今の声が記録された「レコード」!〜昨年から今年聴いたCD・ジャズ&ポップス編 ♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる