♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS 浅田真央選手今季EXを観た!バッハの本質に迫る「二つのチェロスイート」〜THE ICE 北九州公演

<<   作成日時 : 2016/08/17 20:04   >>

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 毎年恒例、夏のお楽しみ!

 真夏の氷上祭典、THE ICE

 今年は、名古屋公演3日目(8月7日(日))、北九州公演2日目(8月11日(木・祝)夕方公演の2公演に行ってまいりました。
 一応バッハ・ブログを書いているわたしとしては、何よりも「チェロスイート」をこの目に焼き付けよう!という気持ちでショーにのぞんだのですが、名古屋公演では浅田真央選手のソロ・ナンバーは今季ショートのリチュアル・ダンスだったので(これがまたすごかった!)、
 わたしが「チェロスイート」を観ることができたのは、結局北九州公演においてでした。

 このブログにおいては、順序は逆になってしまいますが、とりあえず真っ先に北九州公演で観た「チェロスイート」のことを書きたいと思います。



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 浅田真央選手の今季のエキシビション・ナンバー、
 バッハの「チェロスイート」
 (無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調 BWV1009〜第4曲サラバンド(一部)、第5曲ブーレT、U)
 THE ICE 北九州公演最終回において、ようやく生の演技を観ることができた。



 この少し前に、TVで初めて観た浅田選手のバッハ。
 THE ICE 大阪公演の映像(今年は大阪公演に行かなかったのでTV観覧のみ)、その衝撃はあまりにも大きかった。

 以前書いたことの繰り返しになってしまう部分もあるかと思うが、まずはその時に観たこのプログラムの概要を書いておこう。

 使われた音楽は、無伴奏の中では比較的よく知られた第3番のサラバンド(冒頭の一部分)とブーレ。
 衣装、振付とも、本格的なバロック・ダンスを思わせる、考え抜かれた完成度。特にバロックドレス風衣装のインパクトは大きかった。
 バッハの音楽を、原曲通り(一本のチェロだけによる演奏ということも含め)そのまんま使ったことといい、これまでのフィギュアスケートには無かったような新次元の境地を完全に切り開いてしまったのではないだろうか。

 まるで、時空を超えて、実際にケーテン等のバロック宮廷をのぞくような、格別な体験。
 ここでは、サラバンドは短く、プレリュード的な扱い。しかし、その郷愁あふれる調べによって、観る者は不思議なからくり仕掛け、魔法の万華鏡のような世界に引き込まれる。
 そしてブーレが始まると、あとはもう、めくるめく幻想の世界。
 優雅なバロックダンスの所作を取り入れながら、真央さん自身があふれでてくるバッハの音楽そのものになったかのように、軽やかなステップが休むことなく繰り広げられていく。
 時間の流れの中に永遠に失われてしまった美の世界が、あたかも幻灯のように立ち現れるのを目の当たりにしているかのようだった。

 と、いうわけで、基本的にはバロックの美そのもの!という感じ(バロックダンスの記事、こちらのページの後半に少し)で、「バロック・ヴァージョン」とでも言うべきチェロ・スイートなのだが、よく見る(聴く)と、決してそれだけではないのが、このプログラムのすごいところ。
 無伴奏チェロ組曲の本来の姿であるダンスの要素をきちっと踏まえながらも、ありとあらゆるフィギュアスケートの要素を取り入れた、肉体の限界に挑むかのような真央さんの演技。
 それがバッハの音楽と渾然一体となって、その音楽の持つ普遍的な本質が、例えようもない幸福感を伴ってひしひしと伝わってくる。
 この点こそがこのプログラムのキモであることを強烈に感じた。



 そして、

 そんな感想を心に抱き、期待に胸を高鳴らせて臨んだライブ、北九州公演

 闇の中、浅田選手がリンクに滑り出してきた気配に会場全体が熱狂的に湧き上がるが、すぐに緊張と静寂があたりを包みこみ、わたしも息を飲んで演技が始まるのを待つ。
 そして、光の中に浅田選手の姿が浮かび上がる。
 その姿を見て、衝撃を受ける。
 衣装がちがう!TVで観たバロックドレス風のものとまるでちがう。シンプル。スタイリッシュ。
 あたかもコンテンポラリー・ダンスを思わせるようなモダンさ。スカートは未来的?とも言える直線的なフリンジ(プリーツかも?)でつくられたデザイン。
 テニスウェアやチアリーダーの衣装のようでもある。バロックとは無縁の衣装。
 一瞬バロックの世界がガラガラと崩れ去ってしまったかのように感じたが・・・・、

 演技が始まったとたん、「2つの衣装」が意味するところの奥深さをまざまざとみせつけられることになった。
 逆に、この衣装の変更によって、上記したようなこのプログラムのキモ、時代を超えたバッハの音楽の本質を見事に表現しているという核心的なポイントが、否が応にもクローズアップされることになったのだ。


 衣装が変わることによってバロック的な要素は薄れたかもしれないが、実際に生で観ると、暗闇に覆われた会場の真ん中にぼんやりと淡く浮かび上がるリンクの上での演技は、TVの映像以上に、この世のものとも思えぬ幻想性が際立っていた。

 その上で、真央さんの一つ一つの動き、ポーズとその連なりが、バッハが書いたすべての音を際立たせ、さらにはバッハが音と音の間にしのばせた世界のすべてを紡ぎ出す。
 シンプルな衣装により先入観としてのイメージが削ぎ落とされている分、その音楽的な要素がストレートに伝わってくる。
 フリンジスカートはターンやスピンのたびに丸くひろがり、すばやい動きのひとつひとつにアクセントをつけていく。
 さらに生でリンク全体を観た場合、典雅な美しさに加え、すさまじいまでの疾走感や、広いリンク全体を使って次々と描き出されてゆく図形の壮麗さまでもが体感できて、そのすべての要素がバッハの音楽そのものに直結する。
 
 3番のブーレなど、有名曲過ぎて、この頃ではそれほど改めて聴くことなど無かったのだが、あらためてその音楽の本質、すさまじさを見せつけられたように思う。
 3番のブーレでこんなに感動したのはいつ以来だろう。
 これはとても気持ちの良い音楽だ。それでいて、とてつもない音楽だ。
 氷上の真央さん、いつ果てるともなく、この世のものとも思えないほど美しい回転を続け、その合間合間に、突如重力から解き放たれるようにシャンプして、喜びをはじけさせる。
 こんな真央さんの表現は始めからバッハのブーレに備わっていたものだ。
 こんなにも鮮烈にそれを伝えてくれる「演奏」に、これまで出会ったことは無かった。

 結果的に、このシンプルな「モダン・ヴァージョン」と言うべきチェロスイートによって、わたしは、バッハの音楽そのもの、そのモダン性、さらには普遍性を、よりリアルで強烈な「体験」として実感することができた。
 バッハのモダン性、普遍性などは、様々な場面でごく当たり前のように語られていることだが、わたしはこれまで、何となくぼんやりと、ある意味頭でそれを認識していたにすぎなかったのかもしれない。そんな風にさえ、思えてきてしまった。
 10年もバッハ・ブログを書いていながら何を今さら、だが、ほんとうにそうなのだからしかたない。
 浅田真央選手のこのプログラムは、これまで錚々たる大演奏家たちによって、表現の可能性が追及されつくされてきたバッハのチェロスイートの、新しい表現を打ち立てたものと言ってよいと思う。



 エキシ曲の発表時に真央さんがインタビューで発言していた「古典とモダン」。
 今回の「モダン・ヴァージョン」チェロスイーツを観て、初めてその意味がわかったような気がする。
 当初わたしは、この「古典とモダン」という言葉を聞いた時、エキシビションだということもあり、バッハの古典を現代風アレンジに編曲したものを使用するんじゃないか、と思ってしまった。
 ところが、音楽は、まごうことなきバッハの原曲。そのかわり、衣装が2種類。
 真央さんの今季のショート、フリープログラムは、同じ曲の演奏違いで「2つでひとつ」の二部構成ともいえるプログラムだが、エキシもある意味二部構成だったのだ。

 バッハの舞曲は親しみやすく、夢のように美しいが、ただ、それだけの音楽ではない。
 バッハの音楽は、クラシック音楽、つまり古い音楽に他ならないが、
驚くべき現代性、普遍性をも有し、正にその点において、すべての音楽を愛する人々にとって特別なものとなっている。

 浅田真央選手は、そのバッハの音楽の二つの側面を、「バロック・ヴァージョン」「モダン・ヴァージョン」の二つの「エキシビション」で表してくれた。


 以上、深読みだったらごめんなさい。
 単に動きやすさを追求したもうひとつの衣装ということも、十分考えられる?
 いずれにしても、そのようなことを考えさせられてしまうような奥深いプログラムだ、ということ。
 こうなると、今年は大阪に行かなかったため、「バロック・ヴァージョン」のチェロスイートを生で観ることができなかったのは、痛恨の極み。いつか、観る機会があるだろうか。



 大バッハを代表する名曲、無伴奏チェロ組曲

 基礎的な技術の連なりが、やがては超絶技巧となって、それはいつしか自由闊達な魂の舞踏へと昇華する。
 それがバッハの音楽、特に無伴奏の本質。
 そういう意味でも、浅田真央選手のチェロスイートは、バッハのチェロスイートそのもの。
 ここに注ぎ込まれたスケーティングの技の幅広さ、コンパルソリーから始まって、ありとあらゆる基礎的なステップ、バレエを思わせる超絶技にいたるまで、これでもか、これでもか、と盛り込まれたその一つ一つの技のすごさを、いったいどのように表現すればよいのだろう。
 スケートに関して素人のわたしには到底不可能。
 文字通りの「ザ・スケート」!
 浅田選手自身、このプログラムについて、「スケートへの愛がいっぱいつまっている」と語っているが、20年間に自身の血となり肉となったすべてをここに投入したのではないか。
 そして、極限的な技巧が展開しているのに、その演技はどこまでも優雅、正に魂の舞踏!

 「シンプルな外観、美しく親しみやすい外観の背後に広大な宇宙が広がっている」
 無伴奏チェロ組曲は、よくそのように表現されるが、その点でも、浅田真央選手のチェロスイートは、バッハに肉薄している。

 バッハが書いた原曲そのものを使って、ここまでバッハの音楽の可能性を表現し尽くすプログラムを打ち出してくるとは。

 このプログラム、まちがいなく浅田真央選手を代表するプログラムの一つとして広く愛されてゆくことでしょう。
 バッハの無伴奏と言えば、これまではバッハのや大演奏家の厳めしい顔が浮かぶ方がほとんどだったと思いますが、これからは真っ先に真央さんの笑顔が思い浮かぶようになることが、わたしにはたまらなくうれしい。



 それにしても、エキシビションのナンバーでこのクオリティ、ほんとうにいったいどこを目指しているんだ、と、もはや感動さえ通り超えて、呆然としてしまうほど。
 ショート&フリーのナンバーは、果たしてどんなことになるやら・・・・。

 と、いうわけで、名古屋公演感想につづく





 以下、北九州公演のチェロスート以外のことについても、かんたんに触れておきます。



 8月11日(木・祝) PM4時〜


 10th anniversary party!

 真夏の氷上祭典2016

 LOTTE presents THE ICE ザ・アイス

  北九州公演(北九州スタジアムオープン記念プレ事業) 最終公演

  @ 西日本総合展示場 特設アイスアリーナ(福岡県北九州市小倉北区)


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 THE ICE、

 今年もめちゃくちゃ楽しかった。至福の時間を過ごすことができた。


 舞さんとの新作スペシャルプログラム、とびっきり美しく郷愁を誘う「新世界より」、
 バトルとのボレロ、ほとんど一つの完成したプログラムレヴェルのグレードアップヴァージョン、
 真央さんのプログラムは、他にも心を揺さぶられるものばかりでしたし、
 コストナー、チャンたち、いつものメンバーを始めとして、今年初出演してくれたブラウン、  も含め、たくさんの一流スケーターが、グループナンバー、ソロナンバー、そしていろいろなお楽しみコーナーと大活躍、始めから終わりまでショーを盛り上げてくれました。

 また、この北九州公演限定のプログラムとして、熊本・大分大震災への祈り、今年はじめ盛岡のショーで観た「ジュピター」の再演が行われ(一本松のかわりに星空が広がるヴァージョン)、あの時の東北(仙台)の子供たちといっしょの心からの演技が深く心に響きました。
 

 振り返ってみれば、ショーとしては、座長・浅田真央さん個人の存在がより前面に出た内容になっているように思いました。
 冒頭のラプソディ・イン・ブルーに始まり、舞さんとのコラボプログラム(新作・「新世界より」を含む3本)に、ジュピター、チェロ・スイート、そして、バトルとのボレロと、真央さん、一人で八面六臂の大活躍。
 座長とは言え、見ていてこんなにハードで大丈夫か?と思わず心配になってしまうほど。
 真央さん、ほんとうに、いったいどこを目指しているのか!

 真央さんの事だ。これも、すべてトレーニングという点でもプラスになっているのだろうけれど。


 この後、順番は逆になりますが名古屋公演の記事を出す予定なので、ショー全体に関してのグループナンバーやソロナンバー等の詳細感想も、そこで書きたいと思っています。



 会場への道


 小倉駅

 駅から会場に直結するデッキ。

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 公演日の朝。

 駅のメーテルたち。

 ハーロックの後ろにそびえているのが泊まったホテル。
 会場とはデッキで直結していてとても便利。

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 スタッフはみんな、今年のTHE ICEオリジナルタオルを首にかけている。
 わたしも首にかけていたので、スタッフにまちがえられないかハラハラした?

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 小倉の街。ホテルの部屋より。

(こちらは海側。小倉駅をはさんで反対側が繁華街)


 朝

 右下、ホテルに隣接して見える屋根が、西日本総合展示場。

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 妖しくも美しい工場群。

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 運河?

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 夕景

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 楽しいショー、THE ICEの後は、そのままお盆休み旅行に突入。

 久しぶりの九州上陸。せっかくの機会なので、門司、大宰府、博多の建物、仏像を観まくってまいりました。



 門司港


 門司港駅は、現在修復工事中。

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 門司港レトロの建物たち

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 魅力的な歴史的建築物が海辺沿いの小さな区画に密集しているため、それぞれの建物から他の建物を観たコラボ風景が楽しい。

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 「恋の跳ね橋」、ブルーウィングもじ。後ろに関門橋が見える。

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 展望

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 太宰府


 観世音寺・戒壇院

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 天満宮&九州国立博物館

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 博多


 月と名建築

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 電飾船でロマンチックなクルーズ。生演奏付!

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 博多にも魅力的な寺院がいっぱい。

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 恒例、THE ICE建築&仏像の旅、北九州編。

 くわしくはまた、改めて。



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