♪バッハ・カンタータ日記 〜カンタータのある生活〜

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zoom RSS 紅葉に荘厳された塔と秘仏・当麻寺参拝記ダイジェスト前篇〜’16晩秋奈良旅行・旅のしおり(行程)3

<<   作成日時 : 2016/12/26 23:07   >>

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 いよいよ當麻寺(当麻寺)。

 もちろん春日大社で式年造替の記念品を頂くということもあったが、今回の旅行の最大の目的地は當麻寺。
 11月23日から30日までの8日間だけ特別公開される當麻寺南西院の秘仏3観音を拝観、合わせて奥の院の仏像パノラマその他、當麻寺に伝わる魅力的な仏像たちを観て、さらに奈良を代表する紅葉の名所である當麻寺の秋を満喫しようという、何ともぜいたくな目論見だった。



 當麻寺を訪れたのは旅行の最終日。

 11月24日


 この日は、丸一日かけてゆっくりと當麻寺を拝観した。
 前日、すでに橿原神宮前のホテルに移動していたのもよかった。
 天気予報では朝方雨とのことだったが、雨はほとんど降ることなく、當麻に着く頃には太陽が顔を出し始めた。寒さもそれほどでは無く散策にはもってこいの天気。
 折しも紅葉は真っ盛りで、霊山全体が美しく色づき、豊かな當麻の秋、かけがえのない自然と文化財を心から堪能することができた。


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 参道・當麻寺への道


 途中にある相撲館(けはや座)やだんじりの蔵

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 當麻寺をその東麓に抱く霊山、二上山が見える。

 二上山は奈良盆地の西側、東の三輪山のちょうど反対側にあり、大和から二上山の二つの峰の真ん中に日が沈むのを見ることができることから、浄土信仰の中心地となったのだ。 

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 駅前からまっすぐに続く長い参道。

 當麻寺のある山が美しく色づいているのが見え、期待が高まる。
 當麻寺のシンボルの二つの塔がくっきりと見えてきた。

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 進むにつれて、かつて訪れた富田林を思わせるような街並みになってゆく。

 実際に富田林はすぐ近く。當麻寺は、大阪と奈良を繋ぐ交通の要所に位置しているのだ。
 創建当初から時の実力者たちから篤く庇護され、結果広く特別な信仰を集め続けてきたことは、この理由にもよる。

 国家にとっての要所に位置していること、そして前述したような浄土信仰の霊地であること、當麻寺が内包するこの2つの側面が、後で詳しく紹介する當麻寺の伽藍の複雑な2重構造を生むことになる。 

 最後の坂。趣のある仁王門は正面。

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 いよいよ、到着。



 高野山真言宗 浄土宗

 二上山 當麻寺(当麻寺)



 仁王門から境内を見る。
 門の中は清浄な気配で満ちている。

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 仁王門を入ると、まず正面(少し左寄りだけど)に、何と鐘楼がある。

 日本最古のものの一つと言われる国宝の梵鐘がかかっているので、これはこれでたいへんなものなのだが、正面にいきなり鐘というのはやはり違和感がある。

 なお、日本最古の鐘と言えば、夏に観世音寺ですごいものを観た。
 この観世音寺の鐘は、日本最古の紀年銘鐘である妙心寺梵鐘と同じ木型によるものだが、當麻寺の梵鐘はそれよりもさらに古い可能性があると言う。
 いずれにしても、ごく短期間に日本最古級の鐘を二つも観たことになる。

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 鐘楼の横を抜け、両側に塔頭が並ぶ広々とした空間をしばらく進むと、目の前に本堂(曼荼羅堂)を始めとする中心伽藍が現れる。

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 この中心伽藍をじっくりと拝観して、初めて先ほど感じた違和感の理由がわかった。

 當麻寺は、厳格な古代寺院と中世以降の民間信仰霊場とが入り混じって成立した巨大寺院だったのだ。
 言わば二つのまったく異なる寺院が「交差」してその伽藍が構成されているのだが、そのことは後ほど改めて。



 當麻寺本体の伽藍を拝観するには、まず最奥にある本堂(曼荼羅堂)に行って拝観受付をすませねばならない。
 その後で金堂や講堂のある方へ戻ってゆくため、行ったり来たりすることになってしまう。
 従って當麻寺本体の拝観は後回しにして、まずは真っ先に、境内の最奥にある奥の院を目指す。


 奥の院


 拝観受付のすぐ横にある宝物館

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 奥の院の宝物館は必見!


 3次元の究極の仏像パノラマ2種類!
 これらをずっと観たかったのだ!

 まずは一つ目。
 宝物館のメイン展示室の正面には、鮮やかな當麻曼荼羅の復元版が掲げてあって、このあまりにも有名な国宝曼荼羅の細部にいたるまでをじっくりと観ることができるのだが、(常時展示されているかは不明)
 そのすぐ横にあるのが、2次元ではなく3次元で阿弥陀来迎の様子を現実に目の当たりにさせてくれる、阿弥陀来迎25菩薩像
 同種のものでは即生院のものが、平安の天のオーケストラとしてあまりにも有名で、これはわたしの最も愛する仏像パノラマの一つでもあるが、
 こちらの當麻寺奥の院のものは室町仏。最近室町仏にはすっかり見直させられることが多いのだが、ここの群像は江戸に通じるようなエンターティンメンタルな室町彫刻の極致。
 色彩も極彩色で、動きや表情も即生院のものよりさらに躍動感たっぷり。そもそも、みんな座っていない。立っている。
 琴や枇杷等を前かがみになってかき鳴らす菩薩たちは現代のロックミュージシャンさながら。表情も乗りまくっている。
 そして一番すごいのが中段にいる地蔵菩薩。衣を風に大きくはためかせ、片足立ちで踊りまくっている。手足を激しく動かし、大きく口を開けて笑っている。こんなお地蔵さまはこれまで観たことが無い。
 そんな夥しい数の色鮮やかな菩薩たちが細長いガラスケースの中にズラリと配置され、奥に行くにしたがって高い位置に置かれているので、臨場感満点。実際に天から来迎するのを観るかのよう。
 そしてその最後には、もちろん神々しい阿弥陀三尊。まぶしくて観ていられない??
 これが、以前お堂の中でどのように安置されていたのか、気になってしかたないが、調べてみてもわからなかった。(当日案内してくださった方も、知らなかった)
 圧巻!観ていない方は必見。
 
 そして、もう一つ。こちらもすごい!
 隣の展示室に安置されている小さな厨子。
 見過ごしてしまいそう。しかし、ここには一つの大きな宇宙が存在している。
 弥勒来迎厨子
 内部はもちろん、扉にまでびっしりと仏像が。中央に大きな三尊像。その周囲にたくさんの菩薩たちが舞い漂っている。よく見ると驚くほど精巧。しかも、まぶしい金色に光り輝いている。雲などの風景も見事。
 はじめ阿弥陀来迎図かと思ったが、よく見ると弥勒来迎図。その証拠に、阿弥陀三尊が右側の扉の上部にいらっしゃり、微笑んでいる。
   億年後の風景。とんでもないスペクタル。暗黒神話を思い出した。それほど宇宙的。
 こんなの初めて観た。
 正にこの世のものとも思えない。必見。

 さらに、この後、この日最後に訪れた中之坊で、思いがけず3種類目のパノラマに遭遇!

 一山で阿弥陀、弥勒、薬師、コンプリート。これはまた後の話。


 宝物館には、その他にも、中将姫の絵伝や法然上人行状絵伝等(この奥の院は実際には當麻寺の奥の院ではなく京都知恩院の奥の院なのだ)などのさまざまな絵巻物も観ることができる。
 仏像では他に天平時代の押出三尊仏が興味深かった。
 その他にも仏像があったような気がしたが、パノラマ仏のインパクトがすごすぎてよく覚えていない。

 (有名な国宝・倶利伽羅龍蒔絵経箱は展示されていなかった)


 宝物館周囲の池の紅葉

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 奥の院の境内へと上がってゆく。

 紅葉はクライマックス!

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 當麻寺境内を見下ろす。

 當麻寺は、古代寺院の中で、創建当初の二つの塔がそのまま現存している寺としても有名。しかし、本来伽藍の両側にあるはずの塔が、仁王門〜本堂の軸の片側一方だけに建っている。これも違和感を感じた点で、後に中心伽藍を拝観してすべての理由がわかることになる。

 そんな違和感など吹き飛ぶような絶景

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 奥之院の境内

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 浄土庭園

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 浄土庭園越しに、境内の建物を見る。

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 奥之院の黒門を出ると、すぐ目の前に、塔頭・西南院の入口がある。


 ちょうど良いので、引き続き、今回當麻寺を訪れた一番の目的である南西院に参拝することにする。

 南西院はこの時期、ふだんは観ることができない秘仏の3観音を特別公開中。
 當麻寺の二つの古塔が一望できる庭園も名高く、特に紅葉の頃は絶品と聞いていたので、それも楽しみだった。


 西南院


 西南院は當麻寺の西塔に隣接する塔頭。

 こうして見ると、西塔が、あたかも西南院の塔のようだ。

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 のどかな境内

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 まず、本堂の秘仏本尊から拝観。


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 仏像にはさまざまな種類があるが、その中でわたしが最もひかれるものの一つが千手観音だ。
 やはり実際の人間とはあまりにもかけ離れたその姿に、仏像本来の超絶性みたいなものを強烈に感じるのだろう。それに千手観音は、その特異性からそんなにかんたんに造立できるものではなく、おのずからそれを造った人々の特別な思いがこもっていることになる。
 興福寺や東寺旧食堂本尊の巨大仏や、東大寺元四月本尊など、わたしが心から愛する「マイ・フェイバリット」仏の中にも、千手観音は多い。

 千手観音は、文字通り千の手を持って衆生を救済する菩薩だが、その像容を見ると一般的には42本の手によって「広大無辺の慈悲」を表現している場合がほとんど。
 ところがごく稀に実際に千本(多少のプラスマイナスは有)の手が存在する、普通ではちょっと考えられないようなたいへんな像も存在している。
 そんな「真数千手観音」には、唐招提寺のあまりにも名高い巨像を筆頭に、大阪葛井寺の天平乾漆像、小浜妙楽寺のさらに24の顔をも有する金色の平安仏、山城寿宝寺の一木造像等があり、さすがに圧倒的な存在感を有する仏像ばかり。そればかりかどの像も千本もの腕を持つにもかかわらず奇跡的なバランスを有しており、霊的な美しさをたたえた正に稀有な仏像で、秘仏本尊である葛井寺像や妙楽寺像を拝観した時のことは長い仏像遍歴の中でもかけがえのない思い出として心の奥に焼き付いていて、記事にも書いてきた。

 そんなわけで、「真数千手観音」はわたしの心の中でも特別な意味を持っていて、ある意味観仏の大きなテーマの一つでもあるのだが、実はわたしが知りうる「真数千手観音」の中で、まだ拝観することができていない仏像が一つだけあった。
 それがこの當麻寺・西南院の千手観音像。
 この仏像が収められている西南院本堂は、千手観音像を含む三体の個性的な観音像が並ぶことで知られるが、残念ながら普段は非公開で、十一月の終わりの一週間だけしか開帳されない。
 残念ながらこれまで拝観する機会が無かったのだが、十一月終わりと言えば紅葉のシーズン真っ盛りでもあるし、今回意を決して出かけることにしたのだ。


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 期待に胸を高鳴らせながら、堂内に入る。
 それほど大きくないお堂の正面、明るい光に照らされた厨子の中に、3体の観音様が、静かに、たおやかに佇んでいらっしゃった。
 ほぼ同じ大きさの、これほどまでに優美な観音様が3体も揃って並んでいる光景も珍しいのではないか。
 大きさが同じ程度とは言え、種類も個性も、物理的な状態もまったく異なる。しかし、3体並んだ姿には、絶妙な統一感が感じられる。
 3体ともすぐ近くまで行って目の前で細部まで拝観することができるのもうれしい。

 お目当ての千手観音

 向かって一番左にいらっしゃる。
 3体の中ではやや小ぶりだが、千本の手のおかげでもちろん存在感では決して負けていない。
 藤原期、平安後期の仏像だが、金箔が完全に残って全身が金色に輝いている。
 従って整然と放射状にのびている千本の腕が、まるで光の輪のようで実にまばゆい。
 これまで観てきた真数千手観音は本体からして十分個性的な像ばかりだったが、この像は本体はごくごく普通の観音様。厳しいがどこかユーモラスでもある顔つきとふくよかな体つきのバランスが絶妙。千本の手の付き方もとても自然で一切の無理が無い。
 すぐ横から、千本の手を目の前で観ることができたが、その一本一本がとてもしなやかで美しい。その一本一本にやさしい個性が感じられる。
 しかしながら、それらのすべてが春にいっせいに芽吹きだした草葉のようにぶわっと生えているのを目の前にすると、やはり大迫力。

 そしてそれと同じくらい印象的だったのが、そのすぐ隣、中央にいらっしゃっる本尊・十一面観音

 弘仁期の平安仏。
 凛々しい顔立ち、シュッとした体躯、さらりと自在にたなびく天衣、
 正面から観ると9頭身くらいに感じられて、ややスマートすぎる印象だったのだが、厨子に近づき、向かって右前の方向から眺めてはっとした。
 右ひざをかすかに曲げ、前傾がちに手をわずかに前に出している姿が、正にたった今天から舞い降りた瞬間であるかのように、浮遊感とやわらかさにあふれ、すごぶる美しい。
 9頭身などとんでもない、この角度から見ると、これ以上のバランスはあり得ないように思える。
 これまでに観た十一面観音の中でも、トップクラスの優美さだと感じた。

 そして、最後の一体、一番右の聖観音

 こちらも弘仁期の平安仏。
 最も大ぶりでおおらかな像。聖観音なのに、琵琶湖あたりの十一面観音のように腰をゆるやかにひねっており、ある意味左の十一面観音より十一面観音らしい。木目がよくわかる素朴な表情、造形も、親しみを感じさせる。

 小さなお堂の中は、その他にも魅力的な仏像でびっしりと埋め尽くされている。

 三観音の向かって左手前には、一目見たら忘れられないような異形の像。
 両尼藍婆(にらんば)・毘藍婆(びらんば)座像。手を胸で交差させているが、完全に独立して座っているところから前鬼・後鬼像とも言われている。
 當麻寺は役行者伝説の地でもあるのだ。
 いずれにしてもかわいい。やたらかわいい。寄託されている奈良博からの50年ぶりの里帰り特別公開とのことで、ラッキーだった。
 というか、奈良博で以前お会いしたような気も。

 三観音の右手前には小さな不動明王、

 三観音のいらっしゃる厨子はお堂の中央に置かれており、その背後には、とびきり美麗な阿弥陀三尊像が。お願いすれば何でも聞いてくれそうな、いかにも頼りがいのあるお顔。

 その向かって左側には、とても珍しい、立って雲に乗っている役行者像、地蔵菩薩像、中将姫像(このあたり、記憶があやふや)等、
 向かって右側には、それぞれ個性的な愛染明王、馬頭観音、文殊菩薩、弘法大師の入った厨子などなど、
 その少し手前、三観音のちょうど右横あたりには、何だが妙に得意そうな表情の大黒天、

 以上、この一見何でもないような小さなお堂も、特別な仏像空間だった。

 寄託と言えば、三観音の内、千手観音はトーハクに、聖観音は奈良博にかつて寄託されていたことがある。こうして三尊そろって本来の寺院で拝観するのはやはり格別。
 三尊そろって初めて唯一無二のパワーを発揮する仏像群だと思う。 


 庭園へ。


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 水面に映り、風に揺れる塔と紅葉。
 塔&紅葉、そして妙なる水琴窟の音&鳥の声の複合コラボ。
 この世の情景とは思えない。

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 これまで多くの水琴窟を見て、その音を聴いてきたが、こんなにも音楽的で美しい水琴窟は聴いたことが無い。
 音程の幅が広く、リズムも複雑。何よりもその音色が澄み切っている。
 静寂に包まれたあたりの風景がその「音楽」をより魅力的にしていたのかもしれない。
 なお、後からお寺の地図を見たら、庭園内にもう一つ水琴窟があったようだが、残念ながら気が付かなかった。
 また今度のお楽しみに。


 水琴窟のわきを少し登ったところにある展望台。

 こんな景色はこれまで見たことも無い。

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 唯一無二の「二つの塔」が一望に。
 當麻寺は、創建当初の東塔・西塔がともに残っている唯一の古代寺院なのだ。

 手前の西塔は、向こうに見える東塔よりも少し後に建立され、平安初期の特色を示している。
 三重まで三間で、がっしりとして重厚なイメージ。

 視線を移動させると、奈良盆地(かつての明日香周辺)も一望することができる。

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 池の周りを一周する起伏にとんだ散策路もある。

 これも後から地図を見て、途中に「脳天仏」というのがあるのを知ったが、こちらもまったく気がつかなかった。

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 さて、西南院を出ると、もう目の前に、巨大な曼荼羅堂がどーんと建っている。

 いよいよ、當麻寺(当麻寺)の中心伽藍を拝観するが、容量いっぱいにつき、

 後篇に続く。



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