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zoom RSS クリスマスに竣介と再会し、冬の夕暮れの北鎌倉で各寺社の「顔」にご挨拶(松本竣介展@鎌倉別館)

<<   作成日時 : 2016/12/28 21:15   >>

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 12月25日(日)

 またまた、最終日に駆け込み。


 松本竣介 創造の原点

   神奈川県立近代美術館 すでに終了


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 神奈川県立近代美術館は、鎌倉館が無くなったばかりだが、鎌倉別館も改修工事に入ってしまうとのこと。
 竣介の代表作、というか、今となっては竣介そのものとも言える「立てる像」を所蔵する神奈川近代美術館が、鎌倉別館改修前の最後の展覧会として開催した、気合入りまくりの展覧会。

 美術館の構造上、横長の会場に側面から入ることになるのだが、会場に入るといきなり、正面に掲げられた「立てる像」が目に飛び込んでくる。
 この絵に描かれた人物、もはや他人とは思えない。竣介その人と再開したかのような感慨がこみあげてくる。
 絵の目の前に立ち、一対一で対峙する。竣介が立っているように、自分も立ってみる。竣介の文字通りの静謐な世界に、自分自身も立っていることに気が付く。
 竣介自身はこの作品について、「大失敗」と書いている。「世評はいい」のだが、それが自分が意図したのとは異なる受け止め方だった、ということなのかもしれない。
 その真意はわからないけれど、作者の思惑を遥かに超える強烈なインパクトやメッセージを観る者に与えてしまう力を、この作品が有していることはまちがいない。
 だが、観る者が受け取るメッセージが、例えどんなに強いものであろうと、ここに描かれた人物、建物、街そのものと静かな心で向き合った時の感動の大きさには、遠く及ばないような気がする。

 展覧会自体は、所蔵作品中心なので(それでも圧倒的とも言えるコレクションではあるのだが)、規模もそれほど大きくないし、目新しい作品や大作が並んでいるわけでもない。
 しかし、さすがに切り口が鋭い展示、
 タイトル通り、さまざまな角度から竣介の創作の秘密を、一つ一つ解き明かしていってくれる。
 カルトンを使用した独特の制作過程が手に取るようにわかる展示。
 「Y市の橋」がどのように変遷し、最後はどうなったかを目の当たりにできる展示。
 戦争の嵐が吹き荒れる中、ただただ静かに、幻想的とも言える筆致で描き続けた都市と建築、
 それと同時に、対照的に写実的で体温が伝わってきそうなタッチの人物像・家族像、
 (そのどちらもどれほど暖かいまなざしが注がれ、愛情が込められていることか!)
 それらの二種類の作品群が効果的に並べられているので、その二つの線が一つに集約されたのが「立てる像」に他ならないことが、とてもよくわかるようになっている。
 そして、最晩年の小さな絵のすさまじさ!
 小さな画面を突き破って存在感を炸裂させる、「電気機関車」、「象」、「牛」、そして「せみ」の自由さ!
 観れば観るほど、まごうことなき天才だと思う。意味が無いと知りつつもいつも考えてしまうのだが、長く生きることが許されたなら、この人、いったいどこまで行ったのだろうか。

 ラストは、「終わりと始まり」と題した同時代を生きた画家たちの作品。
 戦時中に結成された「新人画会」の仲間の画家たちとの交流、そして、竣介の早すぎる死の後、仲間たちがどのように竣介の絵を紹介していったかがわかる展示になっていた。
 「新人画会」のメンバー、おなじみ靉光、麻生三郎、寺田政明等の作品を始め、我が板美の井上長三郎「トリオ」のパネル写真も出ていた。
 
 TATEMONO手帖やKODOMO手帖などのスケッチ帖、竣介自身が撮影した風景写真や書簡・手紙、展覧会案内やポスター等の資料も充実。
 スケッチ帖は恐ろしいくらいのうまさ。
 写真は、ニコライ堂や万世橋、御茶ノ水の写真など、わたしが普段写している写真とほとんど変わらないのが、感慨深い。
 ポスター等は、手作り感満点で、若い画家たちの青春のさわやかなエネルギーのようなものが漲っている。


 建築物とこども。竣介芸術の大きな柱。
 左のりんご(これも最晩年の作品)の少年は、初めて観た時から、ジョバンニ以外の何者にも見ることができない。 

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 上記した最晩年の小さな作品群のうち、「象」がチケットに使用されていた。
 美術館の庭で、八幡宮の裏山を背景に撮影してみました。

 そして、しつこいようだが、「立てる像」。
 タイトルがかっこよすぎた、というのもあるんだろうな。

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 この日は昼頃家を出たので、展覧会を見終えたのは3時近く。
 鎌倉の冬は、お寺の拝観時間が終わるのも早い。どこへ行くのも中途半端。クリスマスでごったがえす小町通りや鎌倉駅周辺に戻る気分でも無かったので、ゆっくりと北鎌倉まで散策して、北鎌倉から家に帰ることにした。
 結局、あまたの有名人気寺院を横目で見ながら、かと言ってじっくり拝観する時間も無く、各寺院の入口、「顔」だけを順番にながめてゆく散策になったが、さすがにどの寺院も個性的な「顔」を持った名刹ばかり、これがなかなかおもしろかった。


 以下、かんたんなダイジェスト。


 巨福呂坂切り通し(新道)の洞門。

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 付近の崖。ものすごく高い所にやぐらが見える。
 昔から幾度となく見た風景だが、この崖が取り囲む空き地にビルが建つらしい。

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 円応寺

 閻魔寺として名高い。鎌倉彫刻の宝庫として知られる。

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 円応寺前から洞門を振り返る。
 トンネルの右側に送水管路隧道が見える。この先が旧道だった。

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 建長寺

 外からでも、その壮大さが十分にうかがえる。
 建長寺に駆け込みで入り、この日は建長寺を拝観して終わり、にしてもよかったのだが、何となく先に進みたくなって、素通り。

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 建長寺前にある、有名なけんちんそばのお店「五山」の支店で、ものすごく遅いランチ。
 客はわたしだけだった。

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 クリスマスだというのに、あたりの谷戸には、まだまだ紅葉が残っている。

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 第六尊天社

 鳥居のすぐ後ろに、安倍清明の石碑が見える。

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 亀ヶ谷切通しの方へ曲がる角。
 手前の店は流しそうめんで知られる「かど」。その向こうは長寿寺。

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 亀ヶ谷津切通しへの道。

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 長寿寺

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 左、長寿寺の清浄な石畳&門。
 右、高台の門前から反対側をながめる。

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 崖の上は、長寿寺の境内。

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 この道は、ほんとうに趣向を凝らした様々な個性的なお店が多い。

 また、新しいお店が。 

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 このあたりで、横須賀線の踏切を超える。

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 この踏切際に先ほど立ち寄った「五山」の本店がある。
 写真は、「五山」のすぐ横にある安倍清明大神の石碑。
 さきほどの、第六尊天社にも清明の石碑があったが、何かゆかりがあるのだろうか。

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 踏切を超えると、すぐに浄智寺
 実は、ここに一番来たかったのだ。拝観時間を過ぎても、趣のある境内の雰囲気を十分に楽しむことができる。実際、犬の散歩等をする地元の人多し。

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 鬱蒼とした杉林の中を、特徴的な楼門のところまで自由に散策できる。

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 街道から一歩入っただけなのに、まるで異次元空間のように静寂に満ちている。
 箱庭のように、かわいくもある。さまざまな魅力的なパーツが整然と配置されているジオラマ。 

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 いつも総門越しに境内を眺めているが、反対はあまり無かった。
 総門の向こうに広がる夕陽のあたる山は明月院。明月院は少し離れているので、門までは行かなかった。

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 東慶寺

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 そして、円覚寺

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 街道の際に立ち並ぶ巨樹。
 円覚寺の境内だった名残。

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 境内を通過する横須賀線。

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 北鎌倉駅に到着。

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 さて、以上、竣介と静かに向き合い、イルミネーションの代わりに、ちょっとさびしげな遅い紅葉を観て歩くクリスマスとなりました。
 夕暮れの谷戸の中に、ちらちらと赤く輝く紅葉。
 こういうクリスマスもいいもんだ、と思った。



 帰途。


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