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zoom RSS 究極の戦国絵師〜海北友松展 @京都国立博物館【ヨハネの祝日ほか】

<<   作成日時 : 2017/06/24 20:20   >>

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 京都国立博物館開館120周年記念 特別展覧会

 海北友松展

  京都国立博物館 平成知新館


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 博物館や美術館で開催されるさまざまな日本美術の展覧会等に行くと、そのテーマの中心となるような作品やビックネームたちの目玉作品等の隣に、ものすごく気になる作品や、場合によってはメインの作品よりも深く心に残るような作品がさりげなく展示されているようなことが、よくある。
 そんな作品を後から振り返ってみると、意外にもいつも同じ作者の作品だったりするもので、わたしの場合、海北友松という画家は、そんなケースの最たる存在だった。

 海北友松という画家は、わたしの心の中で次第に大きな存在になっていき、いつしか等伯とも比較するような存在になっていた。
 奇しくも、二人とも、戦国の戦う絵師。この二人の「一匹狼」は、やはり特別だと思う。

 そんな中での、今回の展覧会。京都だったが、この機会をのがすことはできなかった。


▽ 雲龍図(建仁寺大方丈の障壁画より)

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 とにかくうまい。筆はのびのびとして自由自在。
 特に狩野派を「卒業」してからは、水墨画からやまと絵までありとあらゆるジャンルにおいて唯一無二とも言うべき境地を示し、ただただ圧倒されてしまう。
 琳派や浮世絵などなど、江戸時代に驚くべき多様さを持って発展した日本絵画の多くの部分のルーツは実はこの人にあるのでは??と思えるほど。
 しかも、単にうまいだけではなく、基本的に明るく天真爛漫、何事につけまっすぐで心がこもっているところが実に気持ち良い。


 等伯と比べると、基本的にはずっと器用、うまいと思う。
 等伯がどちらかと言うと苦手?としている肖像以外の動きのある人物画など、ほんのわずかな即興的な線で、よくぞこれほどまでに、豊かな表情、正確でダイナミックな身体が描けるものだ、と嘆息するほかない。
 ゆるキャラみたいな、現代にも通じるポップさ?を感じさせる動物等の表現も、等伯とは一線を画す。

 楓図に対しては花卉図、松林図に対しては、60年ぶりの里帰りの月下渓流図と、等伯の泣く子も黙るような生涯の最高傑作にも比肩し得るような大傑作が友松にもあり、それをいっぺんに観ることができたのは、ただただ幸運だったと言える。
 どちらも絵の前に立った途端、あ然として絵の中に引きこまれてしまうほどにうまい。
 しかし、上記した等伯作品、等伯がその「戦う絵師」としてのすべてを注ぎ込んだような渾身の作品に比べてしまうと、「突き抜けたすさまじさ」というか、作品自体が内包する普遍性とエネルギーという点では一歩譲ってしまうところがある。
 それが友松という絵師のゆとりのようなものでもあり、わたしはそんなところを気に入ってもいるのだが。


 その他、印象に残った作品をあげてゆくときりが無く、今改めて図録を観ながら思い返してみても、ああこれもよかった、あれもすごかったと、すべての作品について触れたくなってしまうところだが、(思わず突っ込みたくなる作品も多し)
 とびっきり魅力的で味のある人物や植物の表現が光る建仁寺三塔頭の障壁画、
 雲龍図竹林七賢図を含む自由闊達の筆致で雄大さを極めた建仁寺大方丈の障壁画
 そして上記花卉図を含む華麗な妙心寺の金碧屏風
 あたりがやはり柱になると思う。
 これらの作品は順番に並べられていたが、次々と描かれる舞台が大きくなってゆき、それにつれて画風もどんんどん華麗になってゆくのもおもしろい。友松が画家としてどんどん高みに登りつめてゆく有様がとてもよくわかる。
 いつかそれぞれの寺院でこれらの作品に再会したい。


▽ 花卉図(妙心寺の金碧屏風より) 

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 「登りつめてゆく」と言えば、友松も等伯と並ぶ実力で自らの芸術の未来を切り開いていった下剋上戦国絵師。
 謎が多いと言われながら、その生涯の一端が浮かび上がってくるような資料の展示も充実していておもしろかった。
 友松、等伯に負けず、交友関係が広く、しかも豪華。
 斉藤利三や東陽坊長盛の親友だったし、細川幽斎との深い結びつきも指摘されているので、直接的な「物証」は無いものの、明智光秀や千利休らとも何らかの関係があったと思われる。
 また、かの建仁寺障壁画を友松に任せたのは安国寺恵瓊だったし、石田三成に関しては、驚いたことにいっしょに仲良く一月半に渡って九州旅行までしている。
 こうして見ると、何だか常に敗者の側、滅びゆく者の側にちおているみたいだが、最終的には自らの絵の魅力で都の天皇家や公家たちから絶対的な支持を得て、狩野派など手も足も出ないような地位を気づいてしまった。

 ところで、実は友松、昔のNHK大河ドラマ「春日局」に登場していて、前半、不運が重なる主人公のおふく(後の春日局)を、影に日向に身を挺して支えるかなり重要な役どころとして活躍する。(吉幾三が扮していてなかなか味のある演技をしている。わたしはご最近時代劇チャンネルの「総集編劇場」でそれを観た)
 冒頭いきなり、山崎の合戦で敗北し処刑された斉藤利三が晒されている刑場を東陽坊長盛とともに襲撃、その亡骸を強奪して勝手に埋葬、あまりの強引さにこれが絵師の友松??と驚いた。
 展覧会では、他ならぬ春日局に重用された友松の息子・友雪が画いた友松夫婦の味のある肖像とともに、その絵に添えられた孫の友竹の賛、同じく友竹が記した「海北家由緒記」などが展示されていた。
 これらには、ものすごく詳しく(本人でなければとてもわからないようなことも含めて)友松の生涯が年代順に列挙されているのだが、ややオーバーに友松の華々しい業績を讃える内容になっている。(例えば戦国のスーパースターたちが総登場する)
 もともとどこまでほんとかはわからないようなところもあるのだが、ドラマは基本的にそれに極めて忠実に則り、しかもさらに劇的に演出していることがわかって、おもしろかった。
 ただ友松が、そのような激烈な時代に生き、時代を乗り越えて成功をつかんだ戦国の絵師であることはまちがいない。
 そして、それを何よりも雄弁に物語っているのは、他ならぬ友松の作品そのものなのだ。



 今回の展覧会にも出ていた、トーハク所蔵の作品


 * 今回の京博における特別展はもちろん撮影禁止のため、
   以下の写真は、以前トーハクの総合文化展で撮影したもの。



 海北友松の山水図屏風。(部分)

 建仁寺大方丈障壁画で、気迫のこもった雄大な画風が極限にまで達した後で、やわらかな暖かさ、軽やかな自由奔放さが奔流のように迸ってくる時期の作品。

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 海北友松 「琴棋書画図屏風」。(すべて部分)

 最晩年の妙心寺金碧屏風に通じる、精緻さと即興性、華麗さとわびさびとが見事に共存する世界。

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 上記2作品の全体、およびさらなる詳細は、こちらの記事をご覧ください。



 友松という画家のすごさをはっきりと認識した、3年前の建仁寺展の記事



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 展覧会への道


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 つつじと考える人


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 これも行きたかった。


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 京都特別公開

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  ☆    ☆    ☆



 今日(6月24日(土))は、夏至の大祭、洗礼者ヨハネの祝日。


 初夏らしい特別な名曲が揃っています。

 第1年巻の、BWV167、
 第2年巻の、BWV7、
 そして後期、バッハの現存する事実上最後の教会カンタータ、世俗カンタータを改作した大名作、BWV30。
  

 過去記事はこちら↓


 <洗礼者ヨハネの祝日>


   バッハの最後のカンタータは?その2(BWV30)
   始まりはいつも Overture(BWV7、167他)
   (参考資料) コラールカンタータ年巻 「始まりの4曲」 一覧
   お気に入りのアリア・ヨハネの祝日編 夏至の火祭・不思議なギター〜BWV30
   長いお別れ・その1カザルス・ホール〜BWV30で笑顔のさよなら。BCJ特別公演
   BWV167について * コメント部分



 さらに、明日(6月25日・三位一体節後第2日曜日)のカンタータは、

 ライプツィヒ第1年巻の、BWV76、
 2年目、コラール・カンタータ第2曲、BWV2、

 の2曲。


 過去記事は、こちら↓


 <三位一体節後第2日曜>

    始まりはいつも Overture(BWV2、76他)
    (参考資料) コラールカンタータ年巻 「始まりの4曲」 一覧
    三位一体節後第2日曜日(BWV2、76)



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