カンタータの山の宝探し・その3

Ⅲ オルガン曲に編曲されたカンタータ楽章

 その他、カンタータの中には、有名なオルガン曲も見出せます。
 これまでとは逆に、カンタータ楽章からオルガン曲へ編曲、というパターンです。
(教会カンタータを、教会曲以外にはけっして転用しなかったバッハですが、オルガン曲も、教会曲ということなのでしょうか)

1、BWV140、93、10、6、137
 (名高い<シューブラーコラール集>BWV645~650の原曲。
 BWV646のみ原曲不明)

2、BWV76
 (<トリオ・ソナタ>BWV528の原曲)、その他

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Ⅳ ロ短調ミサ他に編曲されたカンタータ楽章

 ロ短調ミサ、小ミサ等、有名なラテン語宗教曲の原曲も、カンタータの中にあります。
 これらはそれこそ数え切れませんので、詳細は省略しますが、聴き比べが大きな楽しみになります。

 バッハが晩年に行った、自作を後世に託そうという、自作編纂を目的としたこれらのパロディは、バッハだけが獲得し得た超絶的技法を、それこそ命がけで投入した、「大いなる再創造」と言うべきものです。
(ミサ曲と原曲とを比較すると、ほんとうに息をのみます。「結局は寄せ集めじゃないか」と言う人の気が知れません。平均律第2巻や上記シュープラーコラール集を始めとする各コラール集も、これに含めていいと思います)

 バッハが晩年に到達した、神業とも言える作曲技法を、心ゆくまで楽しみましょう。

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 くりかえしになりますが、以上、Ⅲ、Ⅳでご紹介したカンタータは、バッハが晩年に、自作を後世に託そうとして選択したもの、ということになります。
 従って、そのすべてが、バッハのとっておきの自信作、名曲中の名曲、ということになるわけです。


Ⅴ 受難曲と関連のあるカンタータ楽章

 もちろん、受難曲とカンタータも深く係わっています。これについては、むしろ、内容的な結びつきが強い、と言えます。
 受難曲も、カンタータも、わたしたちの生活自体を取り囲む、一連の大きな作品の一部だからです。

 もちろん曲自体の関連もありますが、ここでは、わかりやすい点を少しだけ。

 BWV25、135、161等では、マタイ受難曲で有名な受難コラールが登場します。
 特に、BWV135は「コラール・カンタータ」ですので、コラールは、単に登場するだけでなく、作品全体を構成する重要な素材として使われています。

 また、BWV127では、同様のコラール(メロディ)が、とてもおもしろい形で使われています。
(これについては、いつかくわしくお話します)

 紛失したマルコ受難曲に転用されたカンタータもあります。
 BWV198、54です。
 どちらも名曲中の名曲です。これらは、よほどの自信作だったのでしょう。
 特にBWV198は、(以前お話したように)いろいろな機会に(しかも、ここぞという大切な機会に)何度も使用しています。


Ⅵ その他

 最後に、おまけとして、カンタータオリジナルの管弦楽曲をご紹介します。
 たいていが初期の作品になります。
(もちろん、これらについても、転用の可能性はあります)

 BWV4、12、18、21、31、106、152、182等の各シンフォニア等。

 哀愁に満ちた短調のアダージョ楽章が多いですが、BWV106、182などは、長調の楽章。澄みきった美しさが魅力の名品で、おすすめです。
 BWV152は、PとFの形式の、ヴィオラ・ダ・ガンバと、あと、ヴィオラ・ダ・モーレというめずらしい楽器が両方活躍するおもしろい響きの曲。
 いずれも、バッハの最高の器楽作品、と言ってもよいと思います。
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この記事へのコメント

イブ子
2006年11月18日 12:03
バッハ・カンタータを歌い続けています。仲間からこのブログを教えてもらいました。初歩的な質問でも、お聞きしてよろしいでしょうか?
BWV34は結婚カンタータに転用されたそうですが、どの部分なのでしょうか?
2006年11月19日 14:33
 イブ子さん、はじめまして。
 これは逆で、結婚カンタータの方が原曲です。
(バッハはほんの一部の例外を除き、宗教曲→世俗曲という形のパロディは行っていません)
 BWV34は大好きなので、今日の定例お知らせ記事の中にくわしいことを書かせていただきました。
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