新春エリック・ドルフィー・スペシャル!!

 古い友だちに誘われて、ひさしぶりに、某ジャズ喫茶の連続講演会に行きました。
 講演会、と言っても、かんたんな説明付の、CDコンサート、といった感じです。


▽ マティス 「イカロス」 (連作リトグラフ 「ジャズ」 より)

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 たまに聴きに行くのですが、毎回、大音量のすばらしいオーディオで、もういやというほど、
特定のアーティスト(またはテーマ)の演奏を聴けるので、楽しみです。
 しかも今回は、エリック・ドルフィー特集。


 いまさらドルフィー特集というのは、何かめずらしい録音でも発見されたのかな、と思ったら、特に意味は無く、単に新春スペシャルだから、とのこと。
 なんとなく、納得。
 内容も、1960年の初リーダー作から、64年の最後のライブまでの名演の数々を、年代順にずらっと並べた、ど真ん中直球勝負、といった感じの堂々としたもの。

 まあ、芸が無いといえば芸が無いのですが、リーダー作をはじめ、ミンガスやコルトレーンとの共演、ヨーロッパでのライブなど、ドルフィーのかけがえのない名演の数々を、大迫力の高音質で思う存分聴けて、大満足。
 貴重な経験でした。

 特に初期のリーダー作については、あのヴァンゲルダーが自らリマスタリングして、
 実際に聴いたドルフィーの音に限りなく近づくことができた、と太鼓判を押したという最新盤を聴くことができました。
 これが、腰がぬけるほど、すごかった。
 まるで本人が、目の前で、思いっきり吹いてる感じ。
(もっとも、ヴァンゲルダーの太鼓判というのは、50年近くも前の話なので、少し怪しいですが、いずれにしても、これは名リマスタリングなのではないでしょうか。)


 それにしても、こうして書いてみると、あらためて、
 なんて短い活動期間なんだ、
 そして、そのわずかな期間に、なんて多くの実りがもたらされたんだ、
 と、2重に驚いてしまいます。

 でも、全部で3時間半くらい、どっと、疲れた・・・・。


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 こうして、その全キャリアに渡る演奏を通して聴いてみて、強く感じたのは、
 ドルフィーは、始めから終わりまで、実は、まったく変わらなかったのだ、と、いうこと。

 ドルフィーは、シーンの最先端を疾走して、ジャズを前衛へ導いたように言われてますが、
 変化していったのはむしろ周囲であって、彼はどこにいても、単に自由に自分自身の歌を歌っていただけのような気がします。
 確かに、
 Conversation、Iron Man、Out to Lunch などのアルバムは、
 限りなくフリーに近づいてるとは思いますが、それは共演のアーティストたちのフォーマットがそうなのであって、ドルフィーはそれに囲まれ、好きなように、いつもの歌を歌っている。
 そういう意味でも、彼がほんとうの意味で自由であった、リーダー作と、ファイブ・スポットのライブが、やはり最も魅力的でした。
 特に、ファイブ・スポット
 これはブッカー・リトルとの双頭コンボですが、二人ともほんとうに自由で輝いている。

 ドルフィーがすごいのは、彼が歌う歌そのもの。
 極端に言えば、何を演奏しても、同じ。
 彼の奏でる音そのものが、直接わたしたちの心を鷲掴みにするのです。

 ドルフィーは、バードの演奏を聴いてショックを受け、彼に憧れ、生涯を通じて彼にに近づこうとしていたそうですが、
 ドルフィーこそが、鳥、なのだ、と思います。
 ただ何も考えずに、天から与えられた声でさえずる鳥。

 「実演に限りなく近い音」を聴いてみて、それを実感しました。


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 CDコンサートの最後は、お決まりどおり、Last Date でした。

 "You D'ont Know What Love Is"

 大空にはばたくようなフルートを聴いて、
 ああ、これは、ほんとうに鳥だ、
 と、心から思いました。

 自由にさえずり、そして空に帰っていったドルフィー。


 When you hear music,after it’s over,it’s gone in the air.
 You can never capture it again.

 音楽は、終わると、空に消えてしまう。
 もう2度と、それをつかむことはできない。

 書き尽くされた言葉ですが、書いてしまいました。
 CD、Last Date の最後に、実際に収録されている、彼自身の言葉。


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 つけたし。

 ただ、こうして、すばらしい音での再生を聴いて、彼の音そのものの魅力がわかってしまうと、
 最後の方の演奏、一般的に評価の高い Last Date などは、全盛期のリーダー作やファイブ・スポットに比べて、(ドルフィーの演奏自体は)明らかに精彩を欠いているような気もしました。
 音そのものが持つ力がまるでちがうのです。

 でも、そのかわり、メンゲルベルクはじめ、サイドマンがほんとうにすごい。
 ドルフィーとかけがえの無い時間を過ごしている喜びが伝わってくる。
 Last Date が名盤であることに、変わりはありません。


▽ マティス 「イカロスの墜落」
  これが後に「ジャズ」につながった。

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