バッハの源流への旅・その6~異郷の幻影・ブルゴーニュシャンソン(CDのご紹介-1)

 それでは、どんどんCDをご紹介します。
 まずは、泣く子も黙る、名盤中の名盤、3組から。


 はじめは、やっぱり、これでしょう。

 ☆ シャンソニエ・コルディフォルム(ハート型シャンソン集・全曲)
     アントニー・ルーリー/コンソート・オブ・ミュージック

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 15世紀後半の有名な写本のシャンソンを、なんと全曲録音したもの。
 当時流行したハート型の写本で、楽譜のまわりは、特に美しい細密画や文様で、びっしりと飾られています。
 ほ、ほしい・・・・。

 でも、それ以上にこの写本が優れているのは、おさめられた曲の選曲です。
 ダンスタブル、デュファイ、オケゲム、バンショワの4大先生はもちろん、ビュノワ、モートン、フライ、さらには、まったく無名の作曲家のものまで、
(この名も無き作曲家の曲たちがまたとびきり美しい!)
 当時の大ヒットソングばかりを集めたベスト・オブ・ベストとでもいうべき内容。

 この写本は、ブルゴーニュではなく、デュファイゆかりのサヴォワ公国でつくられたと想定されますが、写本自体の目を見はるような華麗さも含めて、ある意味これ以上「ブルゴーニュ・シャンソン」の世界を今に伝えるものはないでしょう。

 全盛期のエマ・カークビーを中心に、古雅な楽器の調べをふんだんにちりばめた演奏も、言うことありません。

 だけど、そこに収められている最高の音楽を、最高の演奏で、いつでもどこでも聴くことができるのですから、ある意味、わたしたちは、写本を所有していた貴族よりも、ある意味ぜいたくかも。

 * 長い間、輸入盤も入手困難で、幻の名盤でしたが、
   2005年末に、タワー・レコードさんがそのまま復刻してくれたようです。
   現在現役かどうかはわかりませんが、見つけたら、即手に入れましょう。



 次は、もちろん、これ。

 ☆ 「雉の祭典」
     ドミニク・ヴェラール/アンサンブル・ジル・バンショワ

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 もうおわかりのとおり、前回書いた歴史的おバカイヴェント、(といっても、西洋史におけるその重要性ははかりしれないのですが)「雉の祭典」で演奏されたであろう音楽を、そのまま再現した、という趣向の、恐ろしいアルバム。
(もちろん選曲は、想像にすぎないのですが、こちらのアルバムも、ブルゴーニュ・シャンソンの代表的なところをだいたい網羅しています)

 演奏は、今も昔も中世音楽団体の最高峰、アンサンブル・ジル・バンショワ。
 しかも、全盛期のノリノリの超名演。
 耳を傾けていると、まさに、時のはざまの夢幻の世界に漂っているかのような気分になれます。

 * ヴァージンの2枚組み廉価盤は、デュファイの格調高いミサ、
   「エッチェ・アンチェルラ・ドミニ」の唯一無二の名演をカップリングしたお徳盤。 



 あとは、やはり、これを紹介しないわけにはいきません。

 ☆ ギョーム・デュファイ 世俗音楽全集
     ピーター&ティモシー・デイヴィス/ロンドン中世アンサンブル

 
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 女声を使わない、など、格調が高すぎるのがちょっと気になりますが、始めから終わりまでデュファイだけですから、それもありかもしれません。
 CD全5枚、96曲、どこを聴いてもすばらしい!
 その後の古楽界をリードするメンバーが勢ぞろいした、古楽復興の決起集会+不滅の金字塔。
 レオンハルトのブランデンブルクやカンタータ全集に相当する、人類の貴重な遺産。


  
 さて、新しい良いCDもどんどん登場しています。
 特に昨年、過去のあらゆる名盤がはだしで逃げ出すような、
 極上極美の超名演が、ついに、リリースされました。


 でも、またまた、ちょっと長くなってしまいました。

 今日の記事を見て、もしかしたら、何であのCDが無いんだ、と思われた方もいるかもしれませんが、そのことも含めて、また、次回。
 あまりこればかり続くのもどうかと思うので、次は、しばらく後にしようと思います。



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この記事へのコメント

2007年02月28日 15:29
☆シャンソニエ・コルディフォルム(ハート型シャンソン集・全曲)
拡大して見てみました。
なんて美しいんでしょう!グーテンベルグの登場まで全ての書物がこうして手書きによる筆写であり、また写譜であったことを考えるとすごいことだと思います。オワゾリールから出たCDなのですか?
探してみたいのですが、

>15世紀後半の有名な写本のシャンソンを、なんと全曲録音したもの。
かなりのヴォリュームがありそうです。気になるのはお値段。果たしていかほど?
2007年02月28日 15:30
☆「雉の祭典」ドミニク・ヴェラール/アンサンブル・ジル・バンショワ
 >耳を傾けていると、まさに、時のはざまの夢幻の世界に漂っているかのような気分になれます。
前回の「雉の祭典」の説明を拝見していてヒエロニムス・ボッシュの絵を連想してしまいました。「時のはざまの夢幻の世界」です。

☆ギョーム・デュファイ 世俗音楽全集
私が持っているのはこの抜粋になるのですね。
>CD全5枚、96曲・・・
デュファイ初心者の私としては、持っていたとして全曲を聴き通せるかどうか不安です(笑)。

Noraさんの紹介でどのCDも魅力的に思えてきます。
この次CD屋さんに行く時には、きっと目を皿のようにしてご紹介のCDを探すことになりそうです。
2007年03月01日 13:44
 こんにちは。
 コメント&トラックバック、ありがとうございます。
 ここにあげたCDは、初期の歴史的名盤ばかり、どれも、音楽そのものの紹介自体を優先しているきちっとした演奏なので、なれないとみんな同じように聞えてしまうかも。
 これ以降は、それぞれ特色あるよいCDがたくさんでていますし、最近もびっくりするような名盤が立て続けにリリースされましたので、もしご購入をお考えなら、もうちょっとだけ待っていただけたら、と。(笑)
 ほんとうは、一気にご紹介するはずだったのですが・・・・。
 おいおいご紹介していこうと思ってます。
(でも、最近CDはすぐなくなってしまうので、早くしないと)

 ただし、「ハート型」だけは、購入できるうちに手に入れた方がよいかもしれません。
 記事に書いたように、10年近く、国内、輸入ともまったく入手できず、超貴重盤、幻の名盤だったのを、タワーレコードさんが、復刻してくれました。ですから、タワーでないと、入手できないはずです。
 全曲といっても、ひとつの写本ですから、全43曲。
 CD3枚組みで、3000円しなかったと思います。
2007年03月01日 13:59
 ボッシュは、実物を見たことがありません。
 でも、古楽のCDジャケット等で、変な絵だな、と思って調べてみると、たいていボッシュなので、すっかりおなじみになってしまいました。
 この人はなんだか、ものすごいですね。
 お正月の顕現節の記事に、3人の博士をのせましたが、これは、いったい、何を表現したかったんでしょう。

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