お気に入りのスタンダード・卒業スペシャル 「四月の思い出」~いつものジャズ講座 + 神楽坂でお花見

 日記に書きたいことがたまってしまったので、まとめて書いてみたら、
 最後に、わたしの大好きなスタンダード、「四月の思い出」につながりました。


☆ ジャズ講座・感涙のバド・パウエル編


 某ジャズ喫茶のジャズ講座。(というか、CDコンサート)
 今回のテーマは、わたしの愛するバド・パウエル。
 ということで、先週の土曜日、(3月24日)大学時代のともだちの元ロック少年につれていってもらいました。
(もう何度も行ってますが、恐ろしくてまだ一人では行けない・・・・)


 実に全部で30曲以上、
 選りすぐりの名演を、(そしてバドの場合はもちろん一部のダメダメ演奏も含めて)
 ただひたすら聴き続けた3時間強、
 ただでさえヘビーな演奏が多い上に、だいたいが、古く音質の良くない録音ばかり、最後はほとんど意識を失っていました。
 でも、ふだんはこんなにまとめて聴く機会など無いので、よかったー。


▽ 不滅の名盤 「バド・パウエル・トリオ」
  いきなり1曲目に、バド全盛期の代表曲、「四月の思い出」が登場。

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 今回の一番の収穫は、まだ20才前のバドが、クーティー・ウィリアムスのバンドで、バリバリ弾きまくっている録音を聴けたことです。(1944年)
 鋼鉄のようなリズム。完璧なアドリブ。ビックバンド全体を、若いバドのピアノが完全に支配しています。
 講師(選曲、説明等、すべて担当)の方も、
 一般的にバド全盛期の作とされるジャズ・ジャイアンントなどにすでにミス・タッチが見られることを指摘し、
 むしろ、さらに若いこの頃こそが、バドの全盛期なのではないか、
 と、おっしゃるくらいの、完成度。


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 でもね。ジャズ・ジャイアント等に見られるミス・タッチは、けっして衰えとは言えないような気もするんです。
 あれは、表現しようとしていることが、肉体的、技術的、さらには物理的な限界さえをもはるかに超えてしまったことから生じた、やむをえない綻び。仔細なキズ。
 ベートーヴェンが、表現を追及するあまり、当時の楽器では演奏できない曲を書いてしまった、という有名なエピソードと、まったく同じ。
 たしかに、20歳の頃、バドは、すでに全盛期を迎えていたのかもしれませんが、ジャズ・ジャイアントの頃は、それさえもつきぬけた、さらに高い次元に達していた・・・・!
 そして、ここでの演奏上の綻びは、その証に他なりません。
(・・・・と、わたしは思うのです)


 この日も、ジャズ・ジャイアントから、2曲を選んで、かけてくださいましたが、
 わずか3分にも満たないそれらの曲を聴き終えると、まるで1時間以上もある大曲でも聴き終えたかのような、充足感、疲労感。
 光芒を放つピアノの音、めくるめくリズム、0コンマ何秒毎の一瞬一瞬に、奔流となって湧き出てくるアドリブの旋律、
 これはもう、人間の奏でる音楽ではありません。音楽の神が乗りうつった、としか思えません。
 そんなものがいるならば、の話ですが。

 しかも、ちょっと他では聴けないような装置による、すばらしい音質。
 このジャズ・ジャイアントこそが、この日の第1の号泣ポイントでした。


 そして、第2の号泣ポイントは、
 そのずっと後、身も心もズタズタになってしまってから、再出発をかけてヨーロッパに渡った時の、
 コールマン・ホーキンスとの共演ライブ。
(1960年4月、西ドイツ。CDのタイトルは、聞き損ってしまった・・・・)
 あのホーキンスと、真っ向から渡り合っている、天馬空を行くような大演奏。
 ライブだから、ソロが長いし、音質も驚くほど良好。
 アドリブの歌の一つ一つが心にしみて、いつの間にか涙があふれてきてしまいました。

 もちろんジャズ・ジャイアントの頃とはまったくちがいますが、
 やっぱり晩年のバドもいいなあ。味わい深くて、たまりません。


 いずれにしても、やっぱり、バドは最高。
 おかげさまで、このまま、時間が止まってしまえばいいのに、と、思えてしまうような、至福の時間を過ごすことができました。


(バドと「四月の思い出」については、最後にまた)



☆ 神楽坂散策~ちょっと早いお花見


 この日のジャズ講習会は、夕方から。
 その前に、ちょっと時間があったので、お花見をかねて、今話題の神楽坂一帯を散策しました。


 何で話題かというと、TVドラマ、「拝啓、父上様」の舞台だったから。
 わたしは、実はドラマが大好き、毎クール、必ず何本か決めて、見るようにしてるんですが、
 このドラマ、ツッコミどころ続出ではあるものの、
 びっくりするほど元気な八千草薫さん他、役者さんがみんな魅力的、
 別れと旅立ちが情感深く演じられていて、今の卒業シーズンにはぴったり、
 まあ、よかったんじゃないか、と思います。


▽ 神楽坂のメイン通り
  竹下通りも真っ青のこの混雑ぶり。
  それにしても、みんな、なんてミーハーなんでしょ。(わたしを筆頭に)
  視聴率はそこそこだったようですが、TVの力はやはりすごい。

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▽ 神楽坂の古きよき路地
  こんな感じの石畳の路地や階段が、迷路のようにはりめぐらされ、
  両側には料亭等のひっそりとした入り口が並びます。

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▽ ナオミ(黒木メイサ)がたくさんのりんごをころがして、
  一平(二宮くん)がひろった坂道?
  (りんごの君、だそうです)

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▽ ちょっと足を伸ばして、オーケストラでいつも楽しませてもらっている東京理科大を見学。
  坂を少し登ったところに、こんなものを発見。

  東京理科大近代科学資料館。
  何気なくフラッと入ったのですが、(無料)
  展示(と説明)のあまりのおもしろさに、びっくり。
  古代のあやしげな道具から現代の電卓、コンピューターにいたるまで、
  世界の計算機(器?)の膨大なコレクションが、ズラッと展示されてます。
  これは、数学好きの人にはたまらないのでは?
  (ここについては、できればあらためて書きたいと思います)

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 さて、いよいよ、桜を見ようと、外濠公園へ。
 でも、この日、(3月24日)桜はまだつぼみ。残念。


▽ ドラマの舞台にもなったカナル・カフェは、ぜひ行きたかったんですが、
  入口に行列ができていたので、断念。

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▽ もう今頃は、この景色のすべてがピンクに染まっていることでしょう。
  この日は、このあたりの大学の卒業式だったようで、袴姿の女の子でいっぱいでした。

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☆ 再び、バド~バドと桜 「四月の思い出」


 帰り道、自宅のすぐそばの公園の桜は、なぜか満開に近く、早くも散り始めていました。
 わたしは、風に流れる花びらを眺めながら、
 バドの「四月の思い出」を思い出しました。


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 実際、バドは、桜の花のようです。
 桜の花、
 蕾から、五分咲き、七分咲き、の間は、花びら一つ、落ちることはありません。
 ところが、満開になり、花が空間全体を満たすかのように広がったとたん、自らの重みに耐えかねるように、花びらが散り始めます。
 この散り行く花びらこそ、バドのあの綻びなのかもしれません。
 そして、少しくらい花が散ったとしても、花全体の美しさには、かげり一つなく、むしろ、散りゆく花さえもが、美しさを構成する要素です。
 でも、桜の花は、瞬く間に、すべて、散り落ちてしまいます。
 バドもまた、あっという間に、駆け抜けていってしまいました。


  四月の思い出

                                      詞:ドン・レイ
                                      曲:ジーン・デポール
                                      歌:エラ・フィッジェラルド

  ♪ 四月の思い出があるから
    わたしは秋の孤独をおそれない

                              映画「凸凹 カウ・ボーイの巻」(’42)より


  すさまじい超訳ですみません。(by Nora)
  実はこれ、
  なつかしい春を振り返りながら、さびしい秋に立ち向かう歌なんですね。



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この記事へのコメント

koh
2007年03月30日 23:50
こんばんは。「4月の思い出」というのは、”I'll Remember April"でしかね? どんな曲だったか、ちょっと忘れてしまいました。クーティ・ウィリアムスと競演したバド・パウエル、聴いてみたくなりました。
わたしも先日「ショーティ・ロジャースとジャイアンツ」の2枚組CDを買いました。まだ聴いていませんが、ジューン・クリスティのヴォーカルの曲が数曲入っているので、楽しみです。
来週、所用でインドへ行かなければなりません。飛行機に9時間乗ります(ああ、しんど)。このショーティ・ロジャースをデジタルプレーヤーにつめこんで(もちろんバッハも)聴きながら行けば、なんとかたどりつけるでしょう。
2007年03月31日 07:06
 「四月の思い出」は、デポールのI'll Remember April です。
 インストでは超メジャー曲ですが、(バドが弾いたせいもある)ヴォーカルの世界ではそれほどでもないみたいですね。曲調が器楽向きなんでしょうか。

 クーティー・ウィリアムスとの共演盤は、
 AFRS jubilee というアルバムで、わたしも初めて聴きました。
 共演というより、当然クーティーがリーダーなのですが、バドが自分のバンドのように振舞っていて、愉快です。
 
 インド、気をつけていってらしてください。
 インドと言えば、カレーですね。(それしか思いつきません)
 また何かめずらしいものを食べたら教えてください。

 インドのすぐ南のモルディブには、昔、十何時間もかけてよく行きました。たいへんでしたが、遊びに行ったのだからしかたありません。
2007年12月27日 01:21
 12月23日、オスカー・ピーターソンさんが、亡くなりました。
 82歳。
 秋に亡くなったマックス・ローチさんもそうですが、ジャズの世界で、これだけ長生きして第一線で活躍し続けた、ということは、ただそれだけで偉大だと思います。
 わたしはバドに心酔するあまり、あまり熱心な聞き手ではありませんでしたが、これから、あらためて聞き直していきたいと思います。

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