Vitus (「僕のピアノコンチェルト」)を観た!~サントラ・バッハ

 僕のピアノ・コンチェルト (”Vitus”)

    (2006年、スイス、フレディ・M・ムーラー監督作品)



 rbhhさんに教えていただいたバッハの音楽が登場する映画の中で、
 特に気になっていた、Vitus (邦題=「僕のピアノコンチェルト」)が、
 単館上映のモーニングショーで、12月21日(金)まで、上映中であることを知り、
 とるものもとりあえず、観てきました。
 正に、滑り込みで、ギリギリセーフ。
 しかも、これ、ちょっとすっごい映画でした。
 おかげで、大切な宝物のような映画がまた一つ、増えました。みすみすそれを見逃すところだった。
 rbhhさん、重ね重ね、ありがとう!



 さて、かんじんの映画の内容ですが・・・・。



 誰にも理解できない、天才としての悲しみを、幼くして胸に抱える主人公の少年。
 パイロットになって、自分の手で大空を飛ぶのが夢だったおじいさん。
 少年とおじいさんだけの秘密の約束。
 二人で作った人力飛行機。フライトシュミレートマシーン。
 年上のヒップ・ホップ・ギャルへの初恋。
 お城みたいな館に住む、伝説の女流ピアニスト。
 などなど・・・・・・・・。

 この映画も、もう、始めから終わりまで、いかにもわたしの大好きな、アイテムやエピソードが連続し、
 これだけで、わたしは胸がいっぱい。


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 そして、とどめが、

 バッハの音楽・・・・!


 この前の「バクダット・カフェ」でも、ものすごく効果的に使われていましたが、
 この映画では、あの、ゴールドベルク・バリエーションが、映画のストーリー上、さらにはテーマ上、これ以上無いほど重要な役割を担って登場。
 単なるバックミュージックでなく、映画の根幹にかかわる意味を持っているのです。

 どんなにステキな使われ方をしているか、
 ぜひ書きたいところですが、
 そんなわけで、あからさまにネタバレになってしまうので、ここではくわしく書けない。
 うう。もどかしい。残念。
 まあ、観ていただくしかありません。

 
 2時間を越える長丁場ですが、ドキドキウルウルしているうちに、あっという間に過ぎて、
 やがて、クライマックス。
 もう、このあたりから、涙が流れっぱなし。

 これも、わたし好みのスーパー・ウルトラ・ファンタジー!
 この部分は、まるで、スペクタルSF映画。

 ああ。くわしく書けないのが、ほんとうにじれったい。


 そして、ラスト。

 コンサート・シーン。
 
 コーダの和音が鳴り止んだ瞬間、
 思わず立ち上がって拍手しそうになったのを、間一髪で押さえることができました。
 しまった。危ない。これは映画だった。

 ちなみに、この時の曲は、シューマンのピアノ・コンチェルト。
 なかなかいい曲だな。後でちゃんと聴いてみよう。

 

 と、いうわけで、
 ものすごーーく、よかった。

 もしかしたら、わたしがこれまで観たすべての映画のベスト10に入るかも。
 
 ほんとは、観たばかりで感激してるので、ベスト3、と、言ってもいいくらいなんだけど、

 そうしないのは、実は、この映画とほとんど同じようなストーリーの、大好きな作品があるから。

 大島弓子さんの、某ファンタジー短編マンガです。
(これもネタバレになってしまうので、タイトルは言いません)
 と、いうか、この映画、一言で言うと、大島さんの最高傑作の何作かを、みんないっしょにしたような感じなのです。


 でも、考えてみれば、わたしの大好きなそれらの作品が、
 すばらしい音楽をともなって見事に映像化されたようなものなのですから、たまったものではないわけです。

 わたしは、ちょうどそのころの大島さんの短編ファンタジーが、どれもこれも、とっても好きで、
 特に、その某作品などは、うまく映像化してくれたらどんなにかすばらしいだろう、などと思っていました。
 実際、映画化された、同時期の「毎日が日曜日」や、「四月怪談」など、いずれもなかなか魅力的でしたし。
 この映画は、まさにその夢がかなったようなもの、とも言えます。



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 なお、この映画、あのグレン・グールドへのオマージュでもあります。

 監督、よっぽどグールドが好きなのでしょう。

 主人公の少年、
 なぜかこうもりをこよなく愛し、
 人見知りして、すぐ部屋に閉じこもります。
 後半、コンクリートに囲まれた広々とした部屋のまん中で、唯ひとりピアノを弾き続ける少年。
 そのピアノの弾き方、表情、
 そして、ゴールドベルク・・・・。
 すべてがグールドを思わせます。
 最後には、Vitus君が、グールドに見えてきた。  

 グールドファンなら感涙のシーン満載。その意味でも、必見です。



 それにしても、なぜこんなにすばらしい映画が、単館上映、しかもモーニングショーなのでしょう。

 東京の方、最終日(12月21日(金))まで、あと2日。
 まだ2回だけ、観るチャンスがあります。(平日の朝だけど)
 少しでも多くの方に観ていただきたくて、大急ぎで、記事、書きました。
 乱筆乱文、お許しを。

 また来年3月から、東京でやるみたい。

 興味ある方は、ぜひ。くわしくは、下の絵をクリック。



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 * つけたし、あれこれ


 その1  

 おじいさん役のブルーノ・ガンツ。
 わたしは映画にくわしくないので、この前の「春にして君を想う」で、初めて覚えました。
 あの映画の、壮絶なクライマックスに登場、超然とした雰囲気を漂わせ、コートを着てるのに一目で天使だとわかった人です。
 今回のおじいさん役は、一転して地に足のついた演技。
 少年と強い絆があり、少年を誰よりも信頼しているはずなのに、自分の生活がからんでくると、ちょっと不安になってしまい、本音を顔に出してしまうあたり、ほんとうにすごい。

 この映画のブルーノ・ガンツ、私の中では、
 「東京物語」の笠智衆、「こころの湯」の朱旭(チュウ・シュイ)さんに並ぶ、世界三大ベストおじいさんになりました。


 その2 

 主人公の少年が、初恋のおねえさんに再会し、デートに誘ったレストラン。
 あやしいエスニック風の店で、
 出てきたのが、生春巻きやチャーハン、てんぷら、さしみが一緒に乗ったプレート。 
 内装やウェイトレスの衣装はタイ風でしたが、いったい何料理の店でしょう。(笑)
 ヨーロッパには、ほんとにあんな店あるのかな。 


 
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この記事へのコメント

2007年12月20日 07:38
ご覧になったんですね!記事を読んで、かれこれ1年以上前にこの映画を観た時の感動が私にもよみがえって来ました。やっぱりあのゴールドベルクがいいですよね・・・。何から何まで思う存分書けないもどかしさ、よーくわかります(笑)。あの少年といいおじいさんといい、出演者がとってもいい演技してましたよね。本当に素晴らしい映画です。Noraさん、きっとこの映画を観る運命だったんですね。絶妙なタイミングでしたよね。これというのも、J.S. バッハが導いてくれたからなんだろうなあ・・・と改めて感動しています。
koh
2007年12月20日 22:21
Noraさん、こんばんは。ご紹介いただいたこの映画、すごく魅力的ですね。観たくなりました。わたしの手元には映画の情報はまったくといっていいほどありませんので、いい映画があってもそれを知らないことが多いです。少年時代(何年前のことか)には映画雑誌を熱心に見て、めぼしをつけて観に行ったものですが。

シューマンのピアノコンチェルト、ほんとにいいです。シューマンのコンチェルトといえば、チェロコンチェルトもわたしは好きです。シューマンのさびしさがせつせつと伝わってくるような音楽、という感じ。
2007年12月21日 09:59
 こんにちは、rbhhさん。
 そもそもわたしは、おばあちゃんっ子だったので、祖父母と孫の友情みたいな話にはめちゃくちゃ弱いのです。
 それに加えて、飛行機、バッハの音楽。
 見事に、ツボにはまりきった映画でした。
 この映画と巡り合うことができたのは、確かにバッハのおかげですが、教えてくださったのは、rbhhさんですよ。ほんとに、どうもありがとう!

 話は変わりますが、ブルックナーのCD聴きました。モテットのコメントも拝見させていただき、興奮してまた記事を書いてしまいました。今日か明日にはアップします。
 このごろrbhhさんに関係した記事がちょっと重なってしまって恐縮ですが、どうかお許しください。
 おかげさまで、とても充実した年末を過ごしております。(笑)
2007年12月21日 10:27
 kohさん。どうも。
 わたしも昔、ぴ〇とか、わざわざ毎週買ってました。(笑)
 ほんとに映画観なくなってしまいました。観ても、DVD等がほとんどです。
 でも、上にコメントをいただいたrbhhさんのブログ等を拝見して、心からもったいないなあ、と思うようになりました。
 Vitusは、ちょうど今、東京のモーニングショーの最終回をやっているところだと思いますが、来年の3月にまた東京でやるようなので、ぜひご覧になってくださいね。(→右URL欄→)
 飛行シーンやコンサートシーン、それからもちろん音楽、絶対劇場の方がいいです。
 こういうよい映画が他にもたくさんあると思いますので、
 「バッハの音楽が登場する映画」、以前のは中途半端になってしまってますが、引き続きいっしょにつくっていきましょう。何かあったらまた教えてくださいね。

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