青春の鎌倉再訪記‘07秋 後編~黄昏の谷戸を歩く・亀ガ谷から扇ガ谷へ

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 明月院(写真)でもだいぶゆっくりしたので、すっかり昼食が遅くなってしまいました。

 明月谷から、鎌倉街道に出たところ、踏切りの手前にある、

 「鎌倉五山」

 というお店で、昼食です。


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 小さな家庭的なお店ですが、けんちん汁で有名です。
 けんちん汁の由来は、建長寺なので、一応本場ものの名物、ということ。

 たくさんの豆腐、ごま油風味の菜っ葉、おしんこみたいな白菜、その他根菜がはいっていて、薄味の汁が上品な味わい。
 この豆腐が、つるっつるで、とても美味!
 熱々で、とってもあたたまる。

 けんちんそば、うどんが、定番メニューですが、 
 「紫陽花めし」という炊込みご飯のついた、けんちん定食、もあります。
 このごはんも、何だかとてもおいしい。何で味付けしてるのかは不明。

 あまりにも空腹だったので、いきなり食べ始め、何と、写真を撮りそこないました。
 大失敗。



 腹ごしらえをした後は、今日の散策の後半。

 まずは、踏切りを超え、鎌倉街道を北鎌倉の方にちょっとだけ戻ったところにある浄智寺へ。


  
 浄智寺


 建長寺、円覚寺に次ぐ、鎌倉五山の第3位。この2寺に比べると、確かに往時の面影は無いかしれませんが、鬱蒼とした広大な自然林に、全体をすっぽりと抱かれた、最も鎌倉らしい風景のお寺。

 境内には、たくさんのめずらしい植物が見られ、
 数は少ないながらも美しく貴重な建物や仏像も残されており、
 わたしが鎌倉で最も好きなお寺のひとつでもあります。


 入口。
 総門前から、境内の谷をながめる。
 晩秋だというのに、緑がしたたりおちるかのよう。
 緑と木材と石とが織り成す景観は、いつ見ても、心が落ち着く。

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 めずらしい中国風の三門。
 何だか妙に新しいな、と思ったら、なんと、以前とまったく同じに立て替えられたようです。
 2階に、鐘がある鐘楼付の門。これも以前のまま。

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 すすきが美しい。

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 簡素だが、力強いイメージの、いかにも鎌倉の建築らしい本堂。

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 堂内にぼんやりと見える影は、これまためずらしい、

 木造三世仏坐像

 三尊像の場合、一体の如来像等に、両脇侍像、という形が一般的ですが、
 この三尊像の場合、如来像が3体、並んでいます。
 中央に釈迦如来、その両側に、阿弥陀如来と弥勒如来。
 過去、現在、未来の三世をくまなく守護する、ということで、「三世仏」。

 3体とも、等身大の堂々たる見事な像。
 厳粛な表情と相俟って、大迫力なのですが、
 特に注目なのは、3尊が身にまとっている、鎌倉仏ならではの台座にたれる衣。
 とても彫刻とは思えぬほどしなやかに流れる純白の衣は、夢見るように美しく、
 仏像本来の厳しさと、見事なコントラストをかもし出しています。

 室町期の傑作。必見です。

 本堂裏の小さなスペースには、南北朝期の優美な観音菩薩像も安置されています。
 こちらも、お見逃し無く。


 本堂を左に入ると、広々とした境内を散策することができます。
 江戸時代にタイムスリップしたかのような建物が、美しい自然の中に点在している。

 庫裏。

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 これは、なんのお堂でしょう。まるで民話の世界。

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 ここもやぐらが多く、最奥のやぐらには、鎌倉七福神のひとつ布袋様の石仏が置かれています。
 みんなにおなかや頭をさわられて、ツルッツルになっている。

 中学生とおぼしき二人の少年が、
 やぐらだ、すげえよ、やぐらだよ、と叫びながら、何かを一生懸命メモしていた。
 身が軽くって、あちこち飛び回っている。
 昔の自分のようで?遠い目をして見つめてしまった。  


 コウヤマキの巨木。これだけ大きなものはめずらしい。市の天然記念物。

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 その他、ビャクシンの大木(これも市天然記念物)、ハクウンボク(沙羅の木)、シホウチク(四角竹)、シャガ、タチヒガンなども見ることができ、さながら植物園のよう。


 ねこ。

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 さて、浄智寺を拝観した後は、再び踏切りを超え、鎌倉街道をしばらく南下。
 せまい道なのに、すごい交通量なので、(車も人も)要注意。

 長寿寺(明るく清潔なお寺ですが、拝観できません)の横を左折し、
 亀ガ谷坂切通しを下って、鎌倉駅の方に向かいます。


 そのまま行けばよかったのに、長寿寺の向かい側、文字通り、かどにある、

 茶屋「かど」

 で、休憩。
 喫茶、大好きで、すいよせられるように入ってしまうのです。

 実は、これが失敗のもとだったのですが、それはまた後の話。

 ごはんを食べたばっかりなのに、ぜんざいまで食べてしまった。

 写真は、店の奥の庭にあった流しそうめんの装置。
 これ、前に、ちいちい(地井武雄さん)がやっていたな。TVの「ちい散歩」で見ました。 
 
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 亀ガ谷切通し。
 名前の由来は、亀がひっくりかえるほど急だから、ということらしい。
 確かにすごい坂がずっと続く。こちらからだと下りなのでまだましですが。
 逆から、登る方は、ひとかたならぬ決意と覚悟が必要でしょう。

 深い緑に覆われた、いかにも歴史を感じさせる切通しです。

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 坂が終わると、扇ガ谷。

 道は、やがて、溝川沿いのT字路につきあたります。
 右に行くと、海蔵寺の谷、左が寿福寺前を通って駅方面です。

 先ほどの明月谷と同じく、谷あいの、小川に沿った道になります。
 こちらは、閑静な住宅地ですが、両側を、やぐらのある切り立った崖に囲まれ、
 なかなか風情がある。

 川には、ホタルも、生息しているとのこと。

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 ここのつきあたりの角に建つ小さなお堂が、
 
 岩舟地蔵堂


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 以前は、ボロボロの(失礼)普通の四角いお堂でしたが、
 真新しくも美しい六角堂になっていて、びっくり。目を疑ってしまった。

 正面の扉は閉ざされてますが、のぞき穴から、本尊の地蔵像を拝観できます。

 まるで少女のような、ほっそりと白い顔の、とてもめずらしい地蔵像。
 文化財的な価値のほどはわかりませんが、はかない美しさを感じさせる像です。
 
 悲恋の末に幼くして亡くなった、源頼朝の愛娘、大姫の持仏、という言い伝えがあり、そう思って見ると、胸に迫るものがある。

 頼朝公は、この大姫のことといい、実弟の義経のことといい、
 ほとんど無政府状態だった坂東の安定のために、あまりにも大きな悲しみを背負い、戦い続けました。
 
 鎌倉は頼朝公が開いた武士の都ですが、頼朝公に直接関係のある史跡は意外と少なく、そういう意味でも貴重。

 この地蔵像も必見です。

 それにしても、鎌倉には、この地蔵像や、建長寺本尊の巨大で厳しい顔をした地蔵像など、変わった地蔵像が多い。



 暗くなるまでにはまだ時間があるので、扇ガ谷の浄光明寺に立ち寄ることにしました。
 寿福寺の方に少し行ったところを、ちょっと左に入ったあたり。



 浄光明寺


 ここも、頼朝&文覚コンビが創建した堂を北条氏が中興した、という、数少ない頼朝ゆかりの寺院のひとつ。

 小さな街中のお寺ですが、しっとりとした佇まいが魅力なのと、
 何よりも、鎌倉で1、2を争うような美しい仏像、
 土紋装飾で有名な、

 宝冠阿弥陀三尊像(重要文化財)

 があるのです。


 ところが・・・・、

 さきほどの茶屋でうだうだしていたため、到着したのが、4時ちょっとすぎ。

 阿弥陀像の拝観は、4時まで、ということで、タッチの差でアウト。
 係の方が、収蔵庫に鍵を閉めてかたずけているところでした。

 残念でしたが、また次の機会にして、ゆっくり境内を散策しました。

 
 総門。

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 樹々の茂る小高い裏山にある古風な阿弥陀堂。
 これも、代表的な鎌倉建築。特に山型の窓が素朴で力強い。
 阿弥陀像は、かつてここに置かれていましたが、今は、となりにつくられた収蔵庫に収められている。

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 重文・宝冠阿弥陀三尊像は、
 木、土、日、祝の、AM10:00~12:00、PM1:00~4:00
 のみ、拝観可。
 その他、天候によっては、非公開だったり、非公開期間等もあるようなので、問い合わせた方がまちがいないでしょう。


 不動堂。

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 ここにも、やぐらがたくさんあります。

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 さて、後は、寿福寺前を通って、踏切りをわたり、小町通りを通って、鎌倉駅へ。

 これで、今日の散策はおしまい。



 小町通りで、また喫茶店に入り、ケーキを食べてしまった。

 有名な、イワタコーヒー店
 
 ここは、もう、駅のすぐ近く、古きよき雰囲気の老舗。
 分厚いホットケーキが看板メニューですが、この時間だと売り切れ。
 ジョン&ヨーコがお忍びデートで訪れた店、としても有名。

 ジョンが、生きて動いていて、そこにいたかと思うと、それだけで、興奮して、涙がこぼれそうになります。
 軽井沢はじめ、そういう場所、意外と多いのです。

 そう言えば、前述のTVで、ちいちいが、ジョンと同じ席に座って、ホットケーキ食べてたな。
 ちいちいは、円覚寺にも行ってたし、今回は、ちいちいの後をたどる旅でもありました。 



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 イワタコーヒー店の店内。
 ジョンが座ったのは、
 奥のサンルームの席だそうです。








 
 東京に帰って、新しくできたベトナム料理店で、さらにごはん。
 これは、バインセオ。(ベオナム風お好み焼き)でかい・・・・。
 中を見せるため、生地をくずしました。
 レタスに皮ごとくるんで、たれをつけて食べる。
 生地がパリパリで、本格的。おいしかった。

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 散策の途中で見た花など。

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【参考地図】


 浄智寺~長寿寺~亀ガ谷切通し




 亀ガ谷切通し~浄光明寺




 浄光明寺~小町通り
(ハタは勝手に真ん中に出てくるので、あまり意味はないのですが、
 この地図に限っては、ちょうどハタのある通りが小町通りです)









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この記事へのコメント

2007年12月01日 15:31
秋の鎌倉かぁ。いいなぁ。
以前、光則寺の紹介がありましたね。私も今年の早春に訪れて、また来たいと思ったお寺さんです。北鎌倉もいいですね。僕も青春時代に熱~い、そして痛~い思い出のある地です。春は車で回ったのがいけませんでした。どこかの駐車場に車を置いて、ゆっくり足で回ろうと思いました。

ありがとうございます。
2007年12月01日 23:25
 Papalinさん、ありがとうございます。
 秋の鎌倉、いいでしょう。鎌倉は、光則寺をはじめ、植物を大事にしているお寺が多いので、四季折々、いつ行っても、楽しめますね。

> 熱~い、そして痛~い

 あはは。すごそうですね。でも、みんな、何かあるんですね。もっともわたしの場合、あまり熱~くはなかったような気が・・・・。

 確かに、車には、向いてない、というのが、唯一の欠点ですね。
 通れる道が限られてる上、通れても狭いですし。そもそも駐車場がほとんどありません。
 この日も、円覚寺から建長寺の手前まで歩きましたが、街道は、いつ見ても完全に車がすしづめ状態で、まったく動いていないようでした。
 みなさん、ちゃんと目的地に行けたのでしょうか。
tona
2007年12月06日 21:05
クラス会でないときは北鎌倉で降り立つと、建長寺、東慶寺、浄智寺等廻って、流しそうめんの「かど」に入ります。そして海蔵寺、英勝寺~八幡宮へです。時によってお寺を変えますが、お花を求めてですから楽しいです。
でも秋の紅葉の頃は未だなのです。鎌倉も紅葉がきれいのようですね。
Noraさんが廻られた所を懐かしく拝見して、季節を変えてまた行こうと思ったことでした。ありがとうございました。
2007年12月07日 01:24
 tonaさん、こんばんは。
 わたしはどうしても、建物や仏像(それと、やぐら)の方に、目が行ってしまうのですが、どちらにしても、tonaさんがおっしゃるコースは、最高のコースですね。
 今後は、tonaさんに習って、花の種類も覚えて、花の鎌倉も楽しみたいと思っています。

 「かど」、常連さんでしたか。(笑)
 そうめん、流されたのでしょうか。わたしも今度チャレンジしたいと思っています。
tona
2007年12月07日 08:39
ソーメン流しの体験はまだなんです。
1度やってみたいですね。
この日は3箇所でお食事や喫茶を愉しまれて、人生を5倍くらいに生きていらっしゃる!!
2007年12月07日 22:28
 流しソーメン、さすがのtonaさんも、まだでしたか。
 でも、よく考えたら、団体でもないと、なかなかできないかもしれませんね。

 この日の食事&喫茶は、鎌倉以外も入れると、3回ではすみませんでした。
 単に人の5倍、食べたり飲んだりしてるだけです。(笑)
 でも、ちょっと外食しすぎですね。反省。

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