初詣~幻の大寺院、寛永寺バーチャル参詣(新春イベントづくしの上野の森をゆく)

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 寝正月の後の、正月3日、毎年恒例の新春のおでかけ。

 昨年は、めずらしい放鷹術の見学に行きましたが、
 今年は、寛永寺初詣をかねて、上野の森で行われていた数々の新春イベントを、ハシゴしてまいりました。



 今年の初詣を、上野寛永寺にしたのは、
 身近すぎてふだんあまり見る機会の無い上野の森を、ゆっくり散策してみたかったからでもあります。

 寛永寺。
 今は、上野公園の北のはずれ、鶯谷駅のそばにある静かなお寺ですが、
 江戸時代は、現在の上野公園全域を境内とする日本有数の大寺院で、
(その寺領は、遠く赤羽あたりまでつながっていたそうです)
 徳川将軍家の菩提寺、
 さらには、日光東照宮と連なって北方から江戸を守護する重要な聖地、
 そして何よりも、江戸市民にとってはかけがえのない行楽地として、
 大いに繁栄していました。
 その後、戊辰戦争、廃仏毀釈運動、関東大震災、第2次大戦等、度重なる厄災によって壊滅的打撃を受けつつも、その都度再興され、現在にいたっています。 

 つまり、上野の森を散策することは、そのまま江戸最大の名所、寛永寺の跡地を訪ねることでもあるわけです。

 そこで、今回の散策の記事も、以前書いた江戸城バーチャル登城と同じように、
 寛永寺バーチャル参詣ということで、
 往年の寛永寺の跡を偲び、現在と比較しながら、書いていくことにします。

 また、現寛永寺を含む上野公園内では、さまざまな寛永寺がらみの仏像を観ることができるので、それらについても可能なかぎり触れていきたいと思います。



 それでは、まずはもちろん、初詣。
 現在の寛永寺から、スタートです。



 PM0:00

  寛永寺 根本中堂特別参拝。(1月2日、3日のみ)


 お正月の特別公開で、ふだん閉ざされている根本中堂内に入り、歴代徳川将軍の肖像(明治以降の油絵)、銘石「黒髪山」、不動明王等の仏像を拝観することができました。

 ちょうど新年の読経が始まったところで、寛永寺についてのくわしい説明を聞くこともできました。


 もとの寛永寺根本中堂は、かつて、上野の山のほぼ中央、現在の噴水広場のあたりにありました。
 瑠璃殿と呼ばれ、浅草寺のあの巨大な金堂のさらに1.5倍の規模を誇る、2階建ての大建築。もちろん、世界最大級の木造建築。

 現在の根本中堂は、川越の喜多院から移したものですが、
 比叡山の根本中堂と同じ、さらにはかつての瑠璃殿と同じ、「天台様式」の特徴をよく残した貴重な建築です。

 また、金色に輝く厨子の中におさめられた秘仏、薬師三尊像も、奇跡的に残された、そのままの本尊です。
 写真でしか見たことありませんが、東京にある最も美しい仏像の一つだと思います。
(重要文化財)

 ちなみに、現在の寛永寺があるのは、もとの寛永寺伽藍の北のはずれ、小さな子院があったところです。


 こうして見てみると、激しい時代の波に、数奇な変遷をとげた寛永寺ですが、
 その最も大切な部分は、まったく変わっていない、ということに、感動してしまいます。


▽ かつての根本中堂が描かれた名所図絵。(北尾重政の浮世絵)
  別名、瑠璃殿。まるで竜宮城のよう。
  正面の巨大な屋根が、根本中堂の2階の大屋根。
  手前の建物は、二つのお堂を回廊でつなぎ、門のようにした「にない堂」。
  しゃれのめした江戸の人たちがうようよしている。

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▽ 現在の根本中堂。
  かつてに比べて規模は比べるべくも無いが、つくりが雄壮でとても美しい。

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 その根本中堂がかつて威容を誇っていた、上野公園の中央に向かいます。



 このあたりには、今は、美しい洋風建築が立ち並んでいます。


▽ 国際こども図書館

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▽ 黒田記念館(左)と、もと「博物館動物園駅」(右)

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 それから、東京国立博物館へ。
 博物館は、今の上野公園の中心。
 ちょうど、旧寛永寺根本中堂、瑠璃殿が建っていた噴水広場に面して建っています。

 トーハクは、ご存知の通り、東京屈指の観仏スポットでもあります。
 正に、現在の大寛永寺、上野公園の「本堂」!



 PM1:00

  東京国立博物館 新春イベント「博物館に初もうで」。(1月2日、3日)


 東京国立博物館はお正月らしく飾られ、
 2日、3日の両日は、獅子舞、和太鼓を始めとする、演芸やコンサートなど、さまざまな新春イベントが行なわれていましたが、
 そのうち、獅子舞を見ることができました。


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 大黒様が小判を撒き、
 恵比寿様がタイを釣る豪華版。
 とてもおもしろかった。
 小判もしっかりゲット。
















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 東京国立博物館では、その他、新春の国宝展示、

  等伯の「松林図屏風」、(~1月14日まで)

 を見て、
 さらに仏像等を見て、まさに「博物館で初もうで」。


 なお、今回の旅では訪れませんでしたが、トーハクのすぐ西側に、上野公園=寛永寺屈指の観仏スポットとして知られる、

 寛永寺開山堂(両大使)があります。

 巨大地蔵菩薩&虚空蔵菩薩コンビが大迫力!

 開山堂(両大使)に関する記事は、こちら



 PM2:30

  旧東京音楽学校奏楽堂 奏楽堂ニューイヤーコンサート。(1月2日、3日)


 次は、このあたりの洋館の中でも特に美しい、旧奏楽堂(重要文化財)で行なわれた、ニューイヤーコンサートを聴きました。


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 建物は何度も見ていますが、実際に音楽を聴くのは初めて。
 この日は、モートァルトとJ.シュトラウス(子)のプログラム。
 入館料だけで、コンサートを聴くことができました。
 満員のお客さんでしたが、なかなか音もよく、雰囲気満点。

 今年の音楽聴き初めは、モーツァルトになってしまったぞ。


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 予想以上の本格充実プログラムで、時間がなくなってしまうので、ワルツ前に退席。
 もと寛永寺の参道を逆にたどる形で、次は、上野東照宮へ。


 上野東照宮は、かつての寛永寺仁王門(入口)のすぐ西側に位置しており、奇跡的に往時の状態をそのままとどめています。

 この東照宮、寛永寺の開山、滋眼大師天海の思想に基づき、かつては、寛永寺の一部でした。寛永寺とひとつになって、江戸を守護する役割を担っていたのです。
 天海は、家康の生前常に家康とともにあり、家康の死後は、その意思を引き継いで泰平の江戸時代を築き上げることに尽力し、家光の治世を見届けてから、108歳で亡くなりました。



 PM:3:30

  上野東照宮 ぼたん苑 冬ぼたん。(~例年2月中旬まで)


 PM4:30までなのですが、何とか間に合いました。
 始め、ぼたんはどうでもいいかな、とも思ってましたが、あまりの美しさ、かわいさにびっくり。見に来てよかった。


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 ロウバイと十両?ぼたん以外の植物も多い。
 tonaさんの新年のブログに登場している植物を、わたしも見ることができました。

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 普段見慣れていて気づきませんでしたが、意外と美しい五重塔。(重要文化財)
 五重塔には、動物園に入らないと、 行けません。

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 五重塔初重に安置されていた諸仏は、現在トーハクにいらっしゃる。


 雪ん娘のようにかわいい冬ぼたんと五重塔。

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 ぼたんをながめながら、甘酒(神田明神甘酒)。
 なんて、お正月らしい。



 その後、東照宮本殿(金色殿・重要文化財)を見学。
 これも日没まで、とのことで、何とか間に合った。


 落語「ねずみ」で有名な、左甚五郎の昇り龍と降り龍も見事な唐門と壮麗な本殿。

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 そう言えば、落語「ねずみ」は、ねずみ年の今年にぴったり。
 興味ある方は、こちらをどうぞ。


 金色殿、夕日を浴びて、ほんとうに金色に輝いていました。
 厳かな内部空間も見事。
 日光のような華麗さはありませんが、どっしりと落ち着いた壮麗さには息を飲むほど。

 さまざまな神社建築を見てきましたが、トップクラスの美しさ。

 こんな身近なところに、こんなすばらしい文化財があったとは。

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 かつての仁王門周辺の不忍池と清水の舞台。これらも昔のまま。

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 清水の舞台=清水観音堂は、当然、京都の清水寺を模して造られたもの。

 本家清水寺と同じく、秘仏千手観音をまつり、堂内を埋め尽くすように立ち並ぶ、極彩色の二十八部衆や不動明王三尊像は圧巻。

 清水観音堂についての記事は、こちら


 また、清水の舞台から、不忍の池に沿って少し北西に行ったあたりの山上には、かつての上野大仏の名残の大仏頭が今も残る。

 上野大仏についての記事は、こちら


 このように、往時の仁王門の周辺は、
 手前(南側)に琵琶湖を模した不忍池と弁天島、
 東に清水の舞台、
 西の山上には大仏、さらに東照宮までが。

 寛永寺は、正に、日本中の観光地が集結したかのような、実に江戸らしい(笑)一大観光スポットだったわけです。しかも、天海は、風水的にお江戸を守る役割をも、その中に忍ばせていた。


 現在も、動物園、博物館、その他の施設で、歓声をあげる家族連れやカップルなどの姿は、決して絶えることはありません。

 今の上野にも、かつてのお江戸の楽しい雰囲気がしっかりと残っています。



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 もと大仏のわきにある、
 医薬祖神・五條天神社で、
 一年の健康を祈願し、
 今日の寛永寺バーチャル参詣、終了です。














 


▽ 上野駅の花屋で見つけたお正月用の花束。

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 <参考資料>

 以下の資料で、往時の寛永寺の様子をご参照いただけます。
(クリックした上、さらに拡大すると見やすいです)


▽ 延宝年間の古地図

  概ね上が北側になってます。
  一番南に不忍池。東側の崖下が、現在の山手線+上野駅。
 
  不忍池に面したところに、仁王門。(焼失)
  右側に清水堂、左側に大仏。大仏の奥に、五重塔のある東照宮。(大仏以外は現存)
  参道(現在の公園をまっすぐにつらぬく桜並木)をまっすぐ、しばらく北上したところに、
  二つのお堂(法華堂と常行堂)を回廊でつなぎ、巨大な門のようにした「にない堂」。
  (現在の桜並木が尽きる、噴水広場の入口あたり。)
  その先に、門と回廊で囲まれた、巨大な根本中堂があった。(噴水広場の奥あたり)
  さらにその奥や周辺には、本坊や歴代将軍の霊廟等が点在。(現在の博物館のあたり)

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▽ 広重の「東都名所図会東叡山全図」
  仁王門(右)、にない堂(中央)、根本中堂(左)

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  *   *   *



 おまけ

 昨年はお雑煮をのせたので、今年はおせち。
 一番手前のかきのオイル漬けは、aostaさんに教えていただいたもの。
 ほんとは白髪ネギをのせるのですが、かくれてしまうので、のせる前です。
 この後、ネギをたくさんのせて食べました。すごくおいしかった。

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そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

浅田真央さん情報・最新版

宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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この記事へのコメント

tona
2008年01月06日 16:47
わぁー、もりだくさんですね。
年に何回も行く上野でありながら、行ったことが無い場所がありました。
寛永寺です。昔は随分大きく、賑わっていたのですね。
「国際子ども図書館」も「黒田記念館」もです。
博物館で初詣ですか。よかったですね。
東照宮の「冬牡丹」は以前感激しました。今年もきれいに咲いていますね。下がっている冬牡丹の俳句が素敵でしたが。
この項を覚えておいて今度出かけたときに廻ってみます。
有難うございました。
2008年01月06日 22:54
 こんばんは、tonaさん。
 書き出したら、止まらなくなり、何だかえらく長くなってしまったのですが、読んでくださってありがとうございます。

 冬ほたんは、ほんとうにかわいかったです。雪が降ったら、もっと美しいでしょう。寒くてかわいそうな気もしますが。
 閉園まぎわだったので、俳句は、ほとんど読めませんでした。残念。
 ロウバイはまだつぼみで、香りはあまりわかりませんでした。
 あと、千両、万両などいろいろありましたが、まったく見分けがつきませんでした。(笑)

 寛永寺根本中堂は、お正月だけ拝観できるようです。ふだん行っても、お墓の多いごく普通のお寺で、あまり、見るところはないかもしれません。
 できれば愛玉子にも行きたかったのですが、コースが逆だったので、今回はあきらめました。これも残念です。
2008年01月15日 15:34
 Noraさん、お久し振りです。昨年は楽しいコメントとお見舞いありがとうございました。1週間前に家に帰ってきました。
 ところで上野ですか。懐かしいですね。私の高校が芸大の隣りだったものですから、Noraさんがご紹介なさっているところは、友達とぶらついたものです。生物の授業はよく上野公園でやりましたね。当時の日本は貧しかった。でも私にとってはいい時代でした。又、これからも共通の話題をいろいろと楽しみにしております。ここのところ寒い日が続いております。お身体お大事にしてください。それでは失礼致します。

 それから私の名前が長いので my としました。
2008年01月15日 23:15
 myさん!!おかえりなさい!!
 退院、おめでとうございます。
 お戻りになるのを心待ちにしておりました。

 上野、myさんにとって、思い出の場所でしたか。
 上野で課外授業、地元ならでは、でステキですね。当時は今以上に自然が豊かだったのでしょうか。
 今回は、わたしも、いろいろな上野の顔を見ることができました。

 今は一番寒い時なので、あたたかい部屋でゆっくりなさって、また、いろいろなお話をお聞かせください。

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