最近観た映画から~サントラ・バッハ 未確認情報ばかりですが【三位一体節後第22日曜日】

 今度の日曜日(10月19日)は、三位一体節後第22日曜日。

 カンタータは、
 第1年巻のBWV89
 第2年巻(コラールカンタータ)のBWV115
 後期のめずらしいテノール・ソロ・カンタータ、BWV55
 の3曲。

 秋らしいカンタータが勢ぞろいです。

 過去の同日の記事。

 ヴィオロン・チェロ・ピッコロが活躍するBWV115についてくわしく解説している記事はこちら

 上記のカンタータを始め、秋のカンタータの特徴を総括している記事はこちら



  *    *    *



 夏から秋にかけて観た、バッハの音楽が使われている?映画を中心に、かんたんな感想を。



 まず、Nackyさん、myさんにコメントをいただいた、バッハの音楽の登場する映画から。


 鷲は舞いおりた

  (1976年、アメリカ=イギリス、ジョン・スタージェス監督作品)


 始めに、原作(ジャック・ヒギンズ、菊池光訳の「完全版」というもの)を読み、その後、映画を観ました。


 原作は、実に堂々たる冒険小説。

 大戦中の物語なので、なかなかかんたんには感想は書きにくいんですが、

 主役(+準主役)のシュタイナ中佐とデヴリン、
 生まれついての飛行機乗り、ゲーリケ大尉、
 同、船乗り、ケーニヒ少尉、
 音楽をこよなく愛するアルトマン軍曹、
 鳥をこよなく愛するブリーゲル兵長、
 などなど、

 とにかく登場人物がみんな魅力的。

 どうして、このように高潔で優れた人物たちが、こんなバカげたことに命を懸けねばならなかったか、
 と、どうしても戦争に思いが及んでしまいますが、
 どんなに悲惨でバカげた状況にあっても、しかたないものはしかたないと受け入れ、その中で、せいいっぱい、出来る限りのことをしようじゃないか、というのを、彼らからのメッセージとして受け取りました。


 一方、映画の方も、原作の圧倒的な冒険世界を、ほぼ忠実に、ていねいに映像化しています。

 ただ、小説では、登場人物それぞれの事情、心情が実にていねいに描かれているのですが、
(なにしろ、「鷲が舞いおり」て、実際の作戦が開始されるのが、「完全版」では、全566ページ中395ページくらいから)
 それに対して、映画ではほとんどカットされているため、骨子だけのダイジェストみたいな感じにはなっています。
 ただ、シュタイナやデブリンが実際にビジュアルで見られる、というのは、やはり魅力的。


 バッハの音楽ですが、
 原作では、
 シュタイナ中佐率いる落下傘部隊が、ノーフォークの田舎町に「舞いおりた」直後、教会で、村人と初めて接触する場面で、
 それから、物語の終盤、やはり同じ教会で、最後の戦いの最中に、
 いずれもアルトマン軍曹によって、コラール前奏曲が弾かれます。
 両者とも、物語の節目となるシーンでの、とっても印象的なシーン。

 前者は、「神の御子は来ませり」、(ノーフォークでは三位一体節の、チューリンゲンでは待降節のコラール)
(歌詞は、「神よ、なにとぞ御手により、貧しき者に・・・・」)
 後者は、「死する者のために」というタイトルのコラール、
(歌詞は、「なんとむなしいことか、われらが人生はつかの間の夢・・・・」)
 と書かれています。

 賛美歌として歌っているので、オルゲルビュッヒラインか、あるいは単なる4声コラールか何かか。


 映画では、この2箇所のうち、前者のシーンだけが描かれています。

 映画で弾かれている曲ですが、ものすごく技巧的な曲で、このシーンだけでは、ちょっと特定できません。
(似ている曲はいくつかあるような気がしますが、はっきりとはわかりません)
 登場人物は、バッハの曲と言ってますが、もしかしたら、ちがうかもしれません。
 どなたかご存知でしたら、教えてください。 



 さて、原作でバッハの音楽が使われている映画としては、以前ちょっと書きましたが、

 「死神の精度」 (原作、伊坂幸太郎)

  (2008年、筧昌也監督作品)

 があります。


 レンタルが開始されたので、確認のため観てみましたが、残念ながら、映画では、原作の無伴奏が登場するエピソード(小説でわたしが一番好きなエピソード)、「恋愛で死神」は省かれており、従って無伴奏も登場せず。
 そのかわり、冒頭の教会のシーンで、オルガンのコラールが流れていて、もしかしたらバッハのものかもしれません。めんどうなので確認していませんが、これについても、どなたかおわかりでしたら、教えてくださるとうれしいです。

 映画にすると、伊坂作品特有の、どう考えてもムリのある、力技的なストーリー展開がなおさら目だってしまいますが、(「歌うための特別な」声の持ち主が、小西真奈美さんだというのが一番ムリがある?)
 金城武さんのとぼけた演技がすばらしく、なかなか味のあるいい映画でした。


 
 バッハの音楽が使われている映画、
 
 もう1本、rbhhさんに教えていただいたもので、

 黒い土の少女

  (2007年、韓国、チョン・スイル監督作品)

 というのがあるそうです。

 これは上映期間も終了していて、まだDVD等も発売されていないようなので、残念ながら、まだ観ていません。
 いつか観て見たいと思いますが、とりあえず忘れないようにここに書いておきます。



 最後に、バッハの音楽ではないですが、音楽がすばらしく、心に残った映画を1本だけ。


 ミスター・ロンリー

  (2007年、イギリス=フランス、ハーモニー・コリン監督作品)

 
 冒頭、タイトルバックに流れる 「ミスター・ロンリー」から、
(この歌、歌詞は初めて見ましたが、こんなにせつない歌だったんだ・・・・)
 賛美歌 「星の界」、ハーモニカで奏される 「レッドリバーバレー」、
 ディランなんかも歌っているフォークソング、
 その他、アフリカ民謡みたいな音楽、アンビエント風な音楽まで、
 とにかく音楽が、始めから終わりまで、すべてすばらしい。
 きっと好きな音楽をみんな詰め込んだんだな。

 それから、
 舞台となる、湖の畔に建つ古城の風景、まるで地の果てそのもののような風景を始めとして、
 映像が、隅から隅まで、徹底して考え抜かれていて、とっても美しい。

 そして、それらの映像と音楽が一つになった、
 冒頭とラストのマイケル(偽)がオートバイに乗って走るシーン、
 マイケル(偽)がパリの部屋に別れを告げるシーン、
 羊を始末した悲しい日に、マイケル(偽)が湖で一人踊るシーン、
 などなど、
 個々のシーンも、心に迫る印象的なシーンばかり。

 そもそも、有名人やスターの真似をするしか生きる術の無い人たちが、人里離れた古城に集まって、共同生活をするという設定自体、もうちょっと聴いただけで観ずにはいられないくらい、魅力的。


 だけど、一つの作品として見た場合、
 気合が入りすぎというか、詰め込みすぎというか、
 また逆に、これだけ?もっと突っ込んでほしい、と感じるところも多く、
 なぜか、全体的にちぐはぐな印象。
 空飛ぶ尼さんのエピソードなんか、変にフラグメントにしないで、取り出してまとめてショート・フィルムにでもしたら、ものすごく気のきいた作品になるような気がします。

 ただ、いずれにしても、この監督、前述の各シーンのすごさからして、ただものではないのは明らかなので、これから目が離せない気がします。



 おしまいに、あまり関係ないですが、今秋のクールからオンエアが始まって、ちょっと注目しているTVドラマ、アニメを。


 
 スティッチ!

        (水曜夜7時30分、TV東京)


 あのスティッチの新シリーズですが、日本のオリジナルで、舞台は何と沖縄。
 いちゃりばーオハナ、が今度の合言葉。

 作画にあたっては、竹富島取材を敢行した、ということだったので、ものすごーーーーく期待していたのですが、
 実際にはどこの国でつくられているのかはわかりませんが、1、2話を見たかぎりでは、確かに随所に沖縄風のものは見られるものの、全体的にはトンチンカンで、完全に無国籍。
 Dr.スランプに出てくるようなキャラクター、あやしいウチナー口をしゃべる島の人たち、そのいかにもパラレルな世界が、まあ、おもしろいと言えばおもしろい。

 島の形が、ほとんどディズニーシーだったり、例の手袋の手がところどころに現れたりするのもマニア心をくすぐる?

 

 七瀬ふたたび

        (木曜夜8時~、NHK)


 この前、昔を懐かしんでちょっと書いてみたら、なんと、新シリーズが始まってしまいました。
 第1話を見た限りでは、古き良き少年少女ドラマシリーズを現代に甦らせたような、正攻法の堂々としたつくり。
 今後、大いに期待できそうです。
 ところで、この主演の子、いったい誰?



 わたしはけっこうドラマ好きなので、いつも新しいクールが始まると、新しいドラマの第1話だけはなるべく見るようにして、そのクールに見るドラマを絞り込むのですが、
 その中の、日テレ系の深夜ドラマ、「トンスラ」で、バッハの音楽が使われていたので、一応、書いておきます。

 売れっ子?女流作家のマンションになぜかオルガンがあり、そこに逆監禁?されたトンスラ頭の編集者の温水さんが、小フーガ BWV578を弾いていました。何かというと、すぐ弾くのです。

 ドラマ自体は、今後見るかどうかは未定ですが。(笑)



 また、TVがらみの話題では、
 ソフトバンクの犬のお父さんが出てくるCMが、「主よ、人の望みの喜びよ」以外のカンタータ楽章(行進曲風アレンジのBWV140冒頭合唱)を使ったCMとして、カンタータ・ファンの心をつかんだのは記憶に新しいところですが、
(世間では、この曲はいったい何だ?とけっこう話題になったようです。)
 今回、お父さんCMで使われたクラシック音楽を集めたCDが発売され、もちろん、そこにはBWV140も収録されているようなので、お知らせしておきます。

 こちら



そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

浅田真央さん情報・最新版

宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

画像





この記事へのコメント

my
2008年10月18日 11:30
 Noraさん、お久しぶりです。「鷲は舞いおりた」をお読みになられたんですね。「鷲はまいおりた」、「荒鷲の要塞」のこの<鷲>はナチスを象徴してをり、「鷲はまいおりた」を読みますと悪名高いナチスや将校ヒムラーでしたっけ、そしてナチス党員が英雄に思えてきます。これが小説の面白さですね。山本周五郎「樅の木は残った」の原田甲斐、平岩弓枝「魚の棲む城」の田沼意次、ジョセフィン・ティ「時の娘」のリチャード三世。彼らは歴史上極悪人とされていますが、小説の中では国や藩を憂うる高潔な士として描かれています。
 筒井さん の「七瀬ふたたび」がテレビ化になり、私も何で今頃・・・というところです。この中の各短編は面白いですが、超能力はあまり・・・筒井さん はやはりエッセイがいいですね。今日は久しぶりにバッハでも・・・それでは失礼いたします。
Nacky
2008年10月18日 13:36
読まれましたか!! ご覧になりましたか?!
シュタイナ中佐の忠実な部下であり、良き友でもあるノイマン中尉も
捨てがたいですね。(笑

「七瀬ふたたび」の放送記念に是非、「つぶやき岩の秘密」も
ご覧になって下さい。ビデオで2巻=トータルで2時間強です。

昔のドラマは凄いです。俳優も訓練されていますし、何より
言葉づかいが美しい。

何か忘れていた大切なものを思い出させてくれます。
2008年10月19日 14:22
 myさん、こんにちは。
 おっしゃるように、この小説では、戦争やこの作戦自体は、ばかげたこと、意味の無いこと、悲惨なこととして、徹底して描かれていますが、シュタイナの落下傘部隊が、なぜ命をかけてまでそのばかげた作戦を実行しなければならなかったか、ということがものすごくていねいに説明されているため、彼らがナチス隊員以前に、実に高潔な人間だったと、いうことが浮き彫りになっています。
 主人公たちがやった結果だけを見ると、なんてばかなことを、と思うけれど、その行為を行なっている姿は、実に感動的で、いろいろと考えさせられてしまう。
 これこそが冒険小説の醍醐味ですね。
 その点、映画ではそのような説明が不十分なため、単なる戦争映画になっているかもしれません。映画をご覧になる方は、絶対に、まず小説を読まれることをおすすめしたいです。

 「時の娘」、懐かしいです。昔読みましたが、すっかり忘れていました。
 どこかにあると思いますので、探してみようと思います。
 原田甲斐や田沼意次も興味深いですね。いつも、いろいろと教えてくださり、ありがとうございます。 
2008年10月19日 14:41
 Nackyさん、どうも。
 本はだいぶ前に読んだのですが、映画がなかなか見つからず、記事にするのがだいぶ遅くなってしまいました。おかげさまでなかなか読み応えある小説を読むことができました。ありがとうございます。

 ノイマン中尉、大怪我しながら、最後までシュタイナに従おうとして思いっきり怒られた人ですね。
 あと名前はメモしなかったのですが、そもそも最後の戦闘のきっかけになった高潔な行為を行なった兵士のことも、やはり忘れてはなりません。

 「つぶやき岩」はなかなか見つからないのですが、いずれ必ず観ようと思います。
 あまり関係ないのですが、「つぶやき岩」を探す過程で、大河ドラマにはまってしまいました。ほんとうに昔のドラマはすばらしいですね。緒方拳さんの若い頃の元気な姿も見ることができます。

この記事へのトラックバック

過去ログ

テーマ別記事