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zoom RSS 驚愕の平成出開帳!国宝三井寺展・一千年分の祈り〜お気に入りの仏像・特別編(その2)

<<   作成日時 : 2009/03/01 23:44   >>

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 レントにつき、ライプツィヒのバッハはお休み、カンタータはありません。
 わたしも、しばらくは好きなことを書いていこうと思います。



 と、いうわけで、前回のつづきです。



 東京に、この冬初めて雪らしい雪の降った2月27日、
 極寒。ぼたぼたと雪が降りしきるあいにくの天気の中、気合を入れて、再度行ってまいりました。



 秘仏開扉。国宝三井寺展 at サントリー美術館

         〜3月15日(日)まで



▽ ただならぬ霊気?に包まれた、東京ミッドタウン

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 開催期日もいよいよ終盤にさしかかり。
 通常絶対に目にすることのできない秘仏中の秘仏、

 国宝・絹本着色不動明王像(黄不動尊・根本画像)

 が、ついにやってきて、展示中!
(20世紀以降、人目に触れたのは、わずか5回だけ。今回で6回目だそうです)

 ということで、長蛇の列、大混雑を覚悟して、どんなことがあっても絶対にこの目で見てやるぞ、という不退転の決意で会場にのぞんだのですが、金曜の夕方だというのに、ほとんどガラガラ。

 拍子抜けするとともに、仏像、仏画ファンは、いったい何をしてるんだ?と、ちょっと憤慨してしまった。
 まもなく、国立博物館で阿修羅展が始まり、おそらくすさまじい数の人が集まることでしょう。
 でも、阿修羅は奈良駅に近い興福寺国宝館で、いつでもゆっくりと拝観できる。
(そう言いながら、わたしも愛しの五部浄像に会いに行くとは思いますが)
 それに対して、この黄不動尊は、次にいつ見ることができるか、ほんとうにわからないのです。

 まあ、でもそのおかげで、ゆっくりと、一対一でゆっくりと、黄不動尊と向き合うことができました。



 さて、この黄不動尊画像、

 ただただ、すごかった・・・・!

 それしか言葉がありません。


 もともとが、実に優れた、美しい作品。

 円珍の神秘体験に基づいて具象化された、おびただしい神仏の内、最高かつ最重要なのが、この黄不動尊画像。
 修業時代に、突如中空に出現し(虚空示現)、円珍を天台密教に導き、
 その後も、しばしば現れて、唐に向かう船が漂着した際にも出現し、円珍を救ったという金人。
 その尊容を、円珍自身が克明に指示し、当時一流の画家(一説には空光)に描かせたのが、
 この黄不動像画像とのこと。

 大きな画面いっぱいに、その神々しい姿が見事に描かれています。
 まったく迷いの無い、迫力ある筆致、古い仏画にしては実に珍しい、大胆なデフォルメ、鮮烈な色彩。
 しかも、その姿は、宙に浮きながら、足を踏みしめているかのようで、「虚空示現」の奇跡の一瞬を、見事に捕らえている。


 さらに、驚嘆すべきなのは、その保存状態のよさです。
 今述べた、線も、色彩も、何もかも、まったく損なわれることなく、そのまま見る者に迫ってきます。
 大掛かりな修復等も行われているようですが、それにしても、これが1千年以上前の絵でしょうか。

 前回の記事で書いたように、三井寺は比叡山と対立していたため、その歴史は戦いの歴史でもあり、その年表を見ると、まったくあきれてしまうくらい、何度も何度も何度も、焼き打ちに遭っています。
(焼き討ちは、わかっているだけでも、50回!を数えるとのこと。)
 そして、その一千年を超える激動の歴史の中にあって、この絵は致命的な傷を追うこと無く、大切に大切に守りぬかれ、人々の祈りを受け止め続けてきた。

 そのことが、この絵をさらに特別なものにしているような気がする。

 瞳は力強く輝き、後背の炎の円は、淡く光っているかのよう。

 一千年の人々の思いが、この絵には宿っている。

 少なくともわたしは、これまで、こんな絵は見たことありません。
 

 また、この絵を見た後で、前回の記事で書いた、彫刻版の黄不動尊立像を見ると、
 彫刻版黄不動立像が、まちがいなく、この絵に描かれた存在と同じものを彫ったものだ、ということがわかる。
 細部はかなりちがうのに、それがはっきりとわかるのです。

 このことからも、彫刻版黄不動立像を彫った仏師の、次元を超えた驚くべき技量がわかります。 
 
 
 これまでは、秘仏というと、何もったいぶってるんだ?などと思うことがありましたが、
 このような、描いた時のままの絵を見ると、しかたないかな、とも思えてしまいます。
 絶対秘仏にしている意味は、正にここにあるのでしょう。



 さて、後は、この展覧会で印象に残ったその他の仏像や絵画を、いくつかかんたんにご紹介しましょう。



 まずは、今回の秘仏開扉全7点のうち、残りのもう一つの仏像。


 如意輪観音菩薩坐像(観音堂)


 三井寺の観音堂は、西国三十三観音霊場の第十四番札所として、信仰を集めています。
 その観音堂の本尊が、この妖しいまでに美しい、秘仏・如意輪観音坐像。

 このブログでも、これまでも何点か、すばらしい如意輪観音像をご紹介してきましたが、
 この如意輪観音像は、その中でもトップクラスの美しさを誇る大傑作。
 厳重な秘仏なので、それほど知られてはおらず、写真等も含めて初めて見ましたが、こんな像が存在していたとは!

 一目見たら、もうそのまま、時を忘れて見入ってしまいます。

 インドの美少女のような、あどけないけれど妙に大人びた、その表情。
 唇は真っ赤で、ぬれているかのようです。

 そして、何よりもすばらしいのが、その体躯の完成度。

 典型的な如意輪観音ですから、六臂の半跏像ですが、
 その異形とも言える姿にもかかわらず、その体躯はしなやかで自然、造形にまったく無理がありません。

 後ろに回って背後を見ることができますが、背中から腰にかけての柔らかな線が特にすばらしい。

 さらに側面から、たくさんの腕がついている肩口を見ても、少しも不自然さが無く、むしろ超自然的な美しさを感じさせます。

 やたら豪華で、体の半分ほどもある宝冠を小さな頭に載せているのが、ご愛嬌。
 ちなみにこれは、後代の補作とのこと。

(↓下に載せているちらし(右側の裏面)をクリックして拡大すると、写真をご覧になれます)



 なお、秘仏開扉7点のうちのもう1点は、「五部心観」
 これは、円珍が唐で授かってきた、曼荼羅の諸仏の観法を記した密教図像。
 現在(会期後半)は、重文の写本を展示中。



 次に、おびただしい数の不動明王像の中から、特に気にいった作品を。


 不動明王坐像(新発見)


 どういうことか、詳細はわかりませんが、今回の展覧会のための調査で「新発見」された像とのことです。
(制作年等が見直され、その価値が再認識された、ということか?)

 一目見て、東寺講堂・立体曼荼羅の、有名な不動明王坐像が思い浮かびます。
 それほど両者はよく似ている。

 東寺のものほどの完成度はもちろんありませんが、荒々しい表情、でっぷりと太った体など、原初的な迫力では決してひけをとりません。

 古い乾漆塑像で、制作年代は、東寺のものとほぼ同じ、平安初期と考えられるとのこと。


 地蔵菩薩や観音菩薩と並び、広く信仰されている不動明王。
 そのルーツは、言うまでも無く、上記の、弘法大師が東寺講堂の立体曼荼羅の中で形に表したものですが(空海請来様)、
 円珍による黄不動像(円珍請来様)も、特徴的・独特な点が多々見られるものの、空海請来様とは異なる支流のルーツとして、非常に重要な意味を持っています。
 その三井寺に、空海請来様の古い像が存在していたとなると、日本における不動明王の系譜を再度見直す必要も生じるとのこと。


 まあ、難しいことは抜きにしても、この不動明王坐像、大迫力の優れた像であることはまちがいありません。

 
 
 最後に、もう一つ、
 この展覧会には、これまでご紹介してきた大きな仏像以外にも、たくさんの小さな仏像が展示されていて、どれもなかなか魅力的ですが、その中から、特に印象に残った一体をご紹介します。


 十一面観音立像(微妙寺本尊)


 これも平安初期のものと推定される、白檀の変わりに檜から彫りだされた、一本作りの檀像。

 力強さと精緻さを併せ持った見事な像ですが、
 ただ、何と言っても・・・・、

 足が短い!!

 背中を丸め、鳩尾を引き、足を軽く曲げている、という独特のポーズのため、短く見えるとのことで、
 確かにこの年代には、同様の姿の像がけっこうあるのですが、それにしても、こんなに短いのは見たことありません。

 三井寺境内にある微妙寺の本尊ですが、ほんとうに微妙?

(↓下に載せているちらし(右側の裏面)をクリックして拡大すると、写真をご覧になれます)



 また、この展覧会には、仏画以外にも、すばらしい絵画がたくさん展示されています。

 狩野永徳の長男、狩野光信による、勧学院客殿の障壁画

 前回見たときは、昨年見て大迫力だった長谷川等伯親子の京都智積院・障壁画などに比べて、ちょっとおとなしいかな、と思ったのですが、
 今回改めて見てみると、なかなかのどかで良い。

 関が原の戦いなどがあった激動の時代に、あえてこのような暖かい絵を描いたというのも、なかなかたいしたものだ、と思えてきた。

 だが、やはり、障壁画は、実際の建物といっしょに見てみたい。
 この勧学院は、特にすばらしい建物なだけに、現地で建物と障壁画をいっしょに診たtonaさんがうらやましい。

tona さんの記事

 その他、光信がかかわっていると思われる、有名な、秀吉、北の政所夫婦の肖像など展示されている。



 おしまいに、三井寺とゆかりのあるフェノロサの展示コーナーもあります。

 苦難の歴史を歩んできた三井寺ですが、江戸以降の最大の危機は、明治の廃仏毀釈運動でした。
 その危機を救った中心人物が、外国人のフェノロサだったというのも、印象深いエピソードです。 



 さて、以上、ものすごい駆け足で観てきましたが、
 期日はあと2週間ほど。
 少しでも多くの方に、観ていただきたいと思います。



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▽ 正に、虚空示現。

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▽ 美しい東京ミッドタウンの内装

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    コメント(2件)

    内 容 ニックネーム/日時
    Noraさん行ってきました。
    危うく明日行ってがっくりして帰ってくるところでした。
    どうもありがとうございました。
    前もって感想を読み、メモして行ったので、本当によく重点的に見ることができました。
    Noraさんの感想が素晴らしかったので、全部代弁していただき、勝手にリンクを貼らせていただきました。すみません。
    (その2)をスピードで書いていただきありがとうございました。
    どれもこれも素晴らしい秘仏ばかりでため息が出ました。
    昨年行ったのに、あまりにお寺が大きくて、勧学院で見せていただいたことしか思い出せませんでした。障壁画もわずかにしか覚えていなかったのが情けなかったです。豚に真珠のような。
    どうもありがとうございました。
    tona
    URL
    2009/03/02 22:15
     おー、行かれましたか。
     無事ご覧になれてよかったです。
     おにぎり頭の円珍さんが、たくさんいて、すごかったでしょう。(笑)
     あれは、何も知らずに行ったら、何ごとかと思いますよね。

     こちらこそ、tonaさんのブログのおかげで三井寺に注目していたので、このすばらしい展覧会を見逃さずにすみました。
     滋賀は仏像の宝庫ですが、三井寺の仏像は、やたら秘仏ばかりなので、一般のガイド等には、あまりくわしく紹介しいないことが多いのです。

     早速新しい記事をお書きになって、リンクしていただき、ありがとうございます。
     この記事でもそうですが、わたしの方こそ、いつも勝手にリンクさせていただいていますので、どうかお許しください。
    Nora
    2009/03/03 15:56

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