思いつくままに・清志郎さんとO.レディングほか~今年前半に聴いたCD・つけたしのつけたし

 今年前半に聴いたCD特集。
 最後に、クラシック以外の最近の愛聴盤を、思いつくままに。



 Colors

        MANAMI MORITA 


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 ジャズで、最近一番よくかけているのが、これ。

 インディーズ・レーベルからのリリースですが、MANAMI さんは、すでにNYなどの第一線でバリバリ活躍中だそうです。
 バークリーに留学したこともあり、CDショップ等では、当然のように天下の上原ひろみの妹分みたいな位置づけで、大プッシュを始めている。(実際知り合いみたい)

 上原ひろみのピアノは、ド迫力ながら、意外と流麗なところがあるのだが、
 それに対して、この人の場合は、ブツブツとおかしな途切れ方をしたり、たまに不思議な音が混ざったりして、そのちょっと変わった感じ、が、何となく斜に構えた古き良きビ・バップに通じるものがあって、わたしにはたまらない。
 しかも、それでいて、適度に力がぬけていて、息苦しいところがない。
 この人、これからどう進化していくのかわからないが、とりあえず現時点で、なぜかしっかりとビ・バップ魂、みたいなもの、を身につけていると思われる。
 そういう意味で、要注目。

 あのエスペランサ・スポルディングとも共演したことがあるそうだが、それはちょっと聴きたかったかも。
 それにしても、スポルディングもそうだが、MANAMIさんや上原ひろみなどなど、ジャズ界は、日本も世界も、女性奏者全盛の観がある。
 もちろんその方が売れるからにはちがいないのだが、演奏自体も百花繚乱、みんな気合いが入っていて、なかなかどうして魅力的。

 まるで世界中の汚れたものすべてを一身に背負っていたような、ビ・バップの巨人たちがこの有様を見たら、いったいどう思うだろう。
 まあ、何とも思わないか・・・・。


 
 さて、ジャズはとりあえずこれだけにして、いよいよ本題。



 LIVE IN EUROPE

        Otis Redding


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 学生時代は、ご多分にもれず、「トランジスタラジオ」がテーマソングだった。
 そのせいか、今でも、屋上や公園に行って空を見るのが好きです。


 忌野清志郎さんの生の歌声は、一度だけ、聴いたことがある。
 5、6年前だったか、割と最近のことでしたが、すさまじい風圧のようなものを感じて圧倒されました。


 オーティス・レディングの LIVE IN EUROPE、(写真右)
 清志郎さんが亡くなった時、コメントのやりとりの中で、たこすけさんから教えていただいたCDです。
 代表盤と言われるこのライブCDを聴くのは初めてでした。
 すさまじいライブ。疾走し、シャウトし続ける、(実に音楽的なシャウト!)
 息つく暇も無い40分。
 この人、ほんとに生身の人間だろうか。

 元祖「ガタッ!、ガタッ!、ガタッ!、ガタッ!」が聴けます。

 こういうのを聴くと、清志郎さんが、心からこれらの音楽を愛していて、それを完全に取り入れて自分のものとし、「清志郎の音楽」としてわたしたちに聴かせてくれたんだ、ということが、よくわかる。

 日本人アーティストに関しては、よく、外国人アーティストのコピーじゃないか、などと言われますが、
 わたしは、佐野元春さんがいたからスプリングスティーンを知ることが出来たし、大瀧詠一さんや山下達郎さんがいたから、ブライアン・ウィルソン(ビーチボーイズ)の天才を、さらには、それらすべての背後にひそむフィル・スペクターのあまりにも巨大な影を知ることができた。
(巨大な影などと言うと、何だか悪の首領みたいですが、まあ、悪、です。悪魔のような天才)

 そして、それらの日本人アーティストたちは、始めこそコピーに近いところからのスタートだったかもしれませんが、すぐにそれを吸収して自分の音楽として確立させ、わたしたちが音楽を楽しむ幅を思いっきり広げてくれているわけです。
 他ならぬ清志郎さんも、そんな一人だった。


 写真の左に写っているCDは、
 清志郎さんがはるばるメンフィスに乗り込んでいって、オーティス・レディングのバンド・メンバーだったブッカー・TやMG’sのメンバーなど、まだ現役でバリバリやっていたつわものたちと意気投合し、いっしょに創り上げたアルバム、Memphis
 それから、そのスーパーバンドと一緒に、トランジスタ・ラジオなど、おなじみのナンバーを録音したライブ盤、HAVE MARCY!
 ブッカー・TやMG’sは、もちろん、LIVE IN EUROPE のツアーにも同行しています。
 言うまでもないことですが、実際にオーティス・レディングの身体の一部だったような人たちが、清志郎を本物として認めていた何よりの証拠が、これらのアルバムです。
 清志郎さんのCD、そんなに聴いているわけではないけれど、このあたりが、何だかものすごく幸せそうで、わたしは一番好きだな。


 ところで、この LIVE IN EUROPE、舞台がヨーロッパ(この場合、ロンドンとパリ)、というのも大きいかもしれない。
 60年代のヨーロッパは、アメリカの新しい音楽を、ほんとうに熱狂的に受け入れました。

 天才ゆえの繊細さから心身ともにボロボロになったジャズ・ジャイアントたちを、温かく歓迎し、場合によっては見事立ち直らせたのも、ヨーロッパの聴衆でした。
 ドルフィーなど、(彼の場合、身体はともかく、心はまぶしいくらいに健康でしたが)晩年は、ほとんどヨーロッパツアーばかりしていた。 



 次に、比較的新しい、現代の「スタンダード名盤CD」の、第2弾CDを2枚。


 WORKING ON A DREAM

        スプリングスティーン


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 スプリングスティーン&Eストリートバンドの「マジック」については、以前書きましたが、これはその第2弾。
 「マジック」の制作中に、どんどんアイディアや楽想がわきあがって、前作完成から間髪入れずにいれずに、一気に録音された、とのこと。

 全体的には、フィル・スペクターへの原点回帰がさらに一段と進み、曲によっては、ほとんど大瀧詠一化している?
 たまに、さわやかなマイナスイオンさえも感じさせる出来栄え。
(ボス・キャラとして、果たしてこれでいいのか?わたしとしては、大歓迎なのだが・・・・、)

 歌詞も、相変わらず骨太な言葉が並んでいるが、よくよく聴いてみると、コーラス等で参加している奥さんへの家庭的な愛を歌ってるものが多くなったような・・・・。

 さすがに前作との間隔が短いせいか、(スプリングスティーンにしては)
 ところどころ、よくありがちな何でもないようなフレーズを、Eストリートバンドのすさまじい威力で強引に作品化しているようなところもあるけれど、
 ぐっとくるナンバーもたくさんそろっている。

 個人的には、「スーパーマーケットの女王」 Queen of the Supermarket など、たまらない。
 タイトルどおりの、「スーパーマーケットで見かけた君に恋しちゃったんだ~」という歌詞を、(笑)
 美しい女性コーラス&ストリングス付の分厚いアレンジで、天馬空を行くように、朗々と歌い上げている。
 
 親友?のミッキー・ロークにプレゼントした、映画「ザ・レスラー」のテーマ曲(ボーナス)など、胸にしみる。
 この映画も観てみたいな。



 シーシック・セイラーズ登場! Pirate Radio,Seasick

        鈴木慶一(曽我部恵一プロデュース)


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 昨年、なぜか、まさかのレコード大賞・優秀アルバム賞を、(さらには、上原ひろみとともに、CDJベストアルバム特別賞も・笑)受賞してしまった、ムーンライダーズの鈴木慶一さん渾身のソロ・アルバム、
 「ヘイト船長とラヴ航海士」の続編。

 わたしは、ムーンライダーズでは、むしろ、慶一さん以外のメンバーの曲が好きなのですが、それでも、アルバム2~3枚毎に1曲くらいは、突然とんでもない名曲を書いて、さすがリーダー(だったっけ?)と、ファンを妙に感心させ続けてきた慶一さん、
 この17年ぶり!(常にちょこちょこ独自の活動をしているので、正直びっくり)のソロ・アルバム、「ヘイト船長とラヴ航海士」は、なんと、始めから終りまで、すべてのナンバーが、そんな超ド級の名曲といってもいいくらいの、ものすごく気合いの入った、いったい、どうしたことか、と心配になってしまうほどの、驚くべき作品でした。

 内容は、大航海冒険ロマンのロック・オペラ?
 大航海冒険ロマン、といったら、何と言っても、あがた森魚さんの日本少年(ジパング・ボーイ)シリーズが思い浮かびますが、
 ジパング・ボーイが少年の夢ならば、こちらは、ちょっと傷つき、くたびれた、いい大人たちの、リアルな航海。

 さて、その後、これまた間髪入れずにリリースされた、第2弾の本作は、その航海を続ける不戦戦艦シーシック号からのラジオ放送、という形をとっています。

 すでに、「不戦戦艦」というところからして、たまりません。
 「不沈」じゃないですよ。「不戦」です。戦艦なのに、「不戦」。いったい何のために存在するのか。
 何度も沈められ、「てっぺんから底まで朝焼けのよう」に錆付いて、ついに世界と競い合うことを放棄し、「不戦」を決意した、海賊船「シーシック号」。

 前作は、プロデューサーの曽我部恵一と二人だけ、ダブルKEIICHIで、じっくりと作りあげたものでしたが、
 今回は、女性コーラスも含むバンド主体で、一気に録音した感じ。


 そう言えば、ムーンライダーズ、ニューアルバムをリリースするみたい。
 発売間近。こちら



 「千夜千夢」・「光の詩」 (マキシ・シングル)

        仲田まさえ with ウー・ルーチン


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 ついこの前、そのあまりにも美しい歌声に衝撃をうけたばかりの、仲田まさえさんの、一番新しいCD。(マキシ・シングル)
 と言っても、5、6年前の作品。

 どちらも、その奇跡的とも言える歌声にどっぷりとひたることができますが、京胡奏者のウー・ルーチンと共演した、いかにもヒーリング的な「千夜千夢」よりも、カップリングの、昔から大切に歌い続けている、という、「光の詩」の方がわたし好み。

 彼女には、もっともっとたくさん新しい歌や、正統的な島唄を歌ったCDを、リリースしてほしい。


 写真上が、「千夜千夢」、「光の詩」、それぞれのジャケット(表・裏)。

 その下に広げてるのが、先日サインをいただいた、もっと昔の民謡アレンジ集。



 心のアンテナ

        中川翔子(作詞:松本隆、作曲:細野晴臣)


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 昨年、松本隆&筒美京平コンビの「綺麗 ア・ラ・モード」をリリースし、オールド・アイドル歌謡ファンの感涙をさそったしょこたんですが、今回は、なななな、なんと、松本隆&細野晴臣、「ガラスの林檎」コンビを復活させてしまいました。

 一番おしまいに収録されている、「心のアンテナ」の、細野さん自身がアレンジしたバージョンが、やはりすばらしい。



 * お知らせ!


 以上のように、地道に音楽活動をがんばっているしょこたん、
 なんと、この夏、有人潜水調査船「しんかい6500」に乗り組み、深海の旅をしてしまったようです。

 晩年の緒形拳さんが、同じ「しんかい6500」に乗ったNHKの特番を見ましたが、(この時は約1500メートル)深海の情景に感動するのと同時に、あまりにも過酷そうで、見ているこちらがつらいほどでしたが、
 そんな深海探検に、しょこたんが果敢にチェレンジ。何と、5000メートルを超える超深海をめざしたようです。

 はたして、どんな情景が、そして、どんな深海生物が見られるか。
 

 9月15日(火) PM7:55~
 『バラエティーニュース キミハ・ブレイク』(最終回)
   ~「飛び出せ!科学くんSP 有人潜水調査船"しんかい6500"プロジェクト」


 公式HP

 乞う、ご期待。

 それにしても、しょこたん、いったいどこまで行くつもりなのか・・・・。 



そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

浅田真央さん情報・最新版

宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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この記事へのコメント

2009年09月13日 14:04
オーティスについて取り上げていただいてありがとうございます。
清志郎も喜んでいることでしょう。

>60年代のヨーロッパは、アメリカの新しい音楽を、ほんとうに熱狂的に受け入れました。

初めて知りました。そうなんだ・・・。
ひょっとしたらアメリカ国内での黒人差別問題などともかかわりがあるのでしょうか。60年代後半といったら、かなり激烈な時期でしょうから。
2009年09月14日 13:23
 たこすけさん、こちらこそ、すごいCDを教えてくださってありがとうございます。
 このCDを聴いて、「メンフィス」等の共演メンバーがどんなにすごい人たちなのか、実感することができました。
 それにしても、四半世紀の時を隔てて、ほとんど同じメンバーが演奏している、というのは感動的です。

 ヨーロッパの社会事情は、地域や時期でさまざまで一概には言えませんが、この時期のヨーロッパライブ盤に、アメリカのスタジオ盤やジャズクラブのライブ盤等とはまた異なる雰囲気の、すぐれたものが多いのは事実だと思います。
 また、人種的な問題以外にも、モードジャズやフリーなど、すさまじいスピードで進化するジャズの諸形式を受け入れる柔軟さがあった、ということもあります。

 有名なジャズ映画、「ラウンド・ミッドナイト」は、わたしが一番好きなピアニスト、バド・パウエルをモデルにしています。
 アメリカでボロボロになった天才ジャズマンが、ヨーロッパで温かく迎えられ、再起を誓うというもので、映画ではSAX奏者ディクスター・ゴードンが主人公を演じていて、なかなか渋い名演技でした。
 バドは、実際に、往年の神がかったテクは戻らなかったものの、実に味のある奏法を身につけ、アメリカに戻りますが、すぐに亡くなってしまいました。

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