ディラン&カブトムシ登場「フィッシュストーリー」ほか、最新邦画DVD、ドラマ特集【三位一体節後19】

 今日、10月18日(日)は、三位一体節後第19日曜日。

 1年目のBWV48
 コラール・カンタータ(2年目)は、BWV5
 後期、4年目の、バスのためのソロ・カンタータの名作、BWV56です。


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 今日は、最近観た、話題?の新作邦画DVDなどについての、感想等のメモ。
 この頃特に顕著な、雑誌+TV+映画のスクラム展開の傾向が反映されているためか、どれも、小説やコミックなどが原作の作品になりました。



 これまで、バッハ以外にも、ディランやビートルズ(の音楽)が出てくる映画についても書いてきましたが、
 今回は、ディランとビートルズが両方出てくる映画から。
 と言っても、音楽が使われているわけではなく、しかも、ほんのちょこっと、一瞬名前が出るだけですが。


 フィシュストーリー

        (2009年、中村義洋監督作品)


 伊坂幸太郎は、デビュー作を読んでちょっとびっくりして以来、新作はずっと読むようにしてきましたが、
 急に人気が出て立て続けに新作が出版されて、とても全部読んでいられなくなったのと、
 作を重ねるごとに深刻なテーマが増えてきて、どんどん深みが増してきたようでありながらも、(実際そのように絶賛されながらも)
 わたしとしては、なかなかデビュー作以上に胸がときめく作品にはめぐりあえなかったので、いつのまにか読むのをやめてしまっていた。

 したがって、「フィッシュストーリー」も、短編集だということや、そのタイトルそのものに、強くひかれながらも、未読だったのだが、あの「アヒルと鴨のコインロッカー」の、音楽を心から愛していると思われるスタッフ・チームによる映画化ということで、原作も読んでないのに、映画を観てしまいました。

 映画を観た限りでは、連作短編「週末のフール」の完結編みたいなものなのでしょうか。


 まったく別々の偶然が交錯し、そうして積み重なった偶然が、いつのまにか必然となって、最後に胸のすくような結末が待っている、というのは、いかにも伊坂好みのパターンで、その最高作としては、ラッシュライフなどがあげられるが、これは、そうしたパターンの、タイトル通りの壮大な「ホラ話」版といったところ。

 ただ、原作ではどうなっているかは知らないが、
 映画では、いかにもこのチームらしく、75年に日本で生まれたパンク・バンド「逆鱗」の、(この時点に日本でパンク、はちょっとありえない・笑)デビューから解散までのちょっとせつない青春の葛藤のストーリーが中心となっていて、その部分が、ものすごくリアルに、ていねいに描かれ、
(そのシーンでは、常に遠くで汽笛や列車の音が聞こえ、それが何とも言えない郷愁をかもしだしている)
 それ以外の部分は、そんな青春の葛藤も、決してムダではなかったんだよ、という、ちょっとコミカルな、寓話風の「ホラ話」のつけたし、といったところか。
 この部分では、「アヒルと鴨のコインロッカー」にも出ていた濱田岳君、「鹿男 あをによし」の多部ちゃん、そして森山未来君が大活躍。
 特に多部ちゃんの役は、多部ちゃん以外にはちょっとできない気がする。


 ところで、このような作品を映画化する場面、物語の核となる「歌」が良くないと、まるでだいなしで、ものすごくハードルが高いわけだが、
 この映画の場合、その肝心の歌、75年の日本で生まれたパンク・ソング、(ちょっとムリがあるけど)
 「フィッシュストーリー」が、あまりにも良いんで、感心してしまった。
 劇中バンド、「逆鱗」が実際に歌っている演奏シーンもちょっとすごい。
 クレジットを見たら、作詞作曲プロデュースが斉藤和義となっていて、びっくりするとともに納得。
 斉藤和義、たまに出てきてものすごくいい歌を聴かせてくれるが、こういうこともやってるんだ。

 この映画、エンディング・テーマ「Summer Days」も、斉藤和義。
 ザ・タイガースの「シーサイド・バウンド」を「盗作でなく引用」(←映画内で使われた表現です)した?限りなくビーチ・ボーイズを連想させるフレーズで始まり、「Summer Days」以外の何物でも無い世界を、あのちょっと突き放した感じで歌い上げる。
 この突き放した感じが斉藤和義の魅力。実は、思い入れたっぷりなのに。

 さて、ここでようやく、ディランとビートルズが登場?します。
 このエンディング・テーマの、最後の最後、(つまり、映画でも最後)
 斉藤和義が、突然、ジョン、ポール・・・・、と親しい友人に呼びかけるように歌い始め、
 リンゴ、ジョージ、ミック、ディラン(!)・・・・、と続けて、
 ラストの言葉が、あそぼー・・・・。

 ジョンの「God」へのアンサーソングみたいな感じ。


 この映画、さすがにそれまではまちがっても泣くようなことはなかったのだが、最後の最後に、思わず涙ぐんでしまった。(バカです)
 わたしもいっしょに遊びたい、と思ったが、よく考えたら、この人たちと実際に遊ぶとなると、きっと疲れて精神衛生上よくなさそうなので、やっぱりいいです。 


 伊坂は、音楽をよく登場させるわりには、たまに意外と的外れなところがあるのだが、(少なくともクラシックとジャズに関しては)
 「鴨」の時と同じように、スタッフ・チームがそれを見事に補って、成功している作品だと思った。

 もっとも、「フィッシュストーリー」の歌詞に、

 「音の積木だけが世界を救う」、「音の積木だけが正義の味方」

 という詞があるのだが、もし、これが原作に出てくるのだとしたら、こういう何気ないところでずばりと音楽の本質を突いていたりして、しかも、けっこうそういうことが度々あったりして、そのあたりは、なかなか鋭い。
 それとも、これは、詞も斉藤和義が映画用に書いたものかな。 


 あまり関係ないが、ホラ話と言えば、ティム・バートンの「ビックフィッシュ」を思い出し、また観たくなった。



 次に、この前記事を書いたばかりの「鴨川ホルモー」、ついにDVDレンタルが始まったので、早速観てみました。


 鴨川ホルモー

        (2009年、本木克英監督作品)


 原作の独特の雰囲気を、ある程度映画化することに成功していて、なかなか楽しめました。

 もっとも、十七条ホルモーの戦いを簡略化しているため、青竜会ブルースメンバーの成長ぶりや、”吉田の孔明”ボンちゃんの鮮やかな名軍師ぶりをじっくりと見ることができなかったのが、残念と言えば残念。

 また、十七条ホルモーに何としてでも勝たねばならない理由も、
 原作の、実にややこしい、極めて個人的・心理的なものから、娯楽映画らしく、スペクタルでわかりやすいものにしていて、そう言う意味では、やはり、原作を読んでから、観た方が、映画は映画、と割り切って楽しめると思う。


 まあ、原作が原作だけに、この映画、注文をつけようとするとキリが無いが、
 ただもう、映画の全編に映し出される四季折々の京都の風景がすばらしい。
 初夏の鴨川デルタの、鮮やかな緑に染め抜かれた風景など、思わずため息がでる。
 また、前述のように、クライマックスの十七条ホルモーを簡略化・単純化した代わりに、京都の街中を舞台にしたドタバタとして描いており、次々と登場する各観光地の美しい情景を眺めてるだけでも、まったく飽きること無い。
 ちょっと、旅情サスペンスみたいだったが。
 
 そして、何と言っても、
 実際にくりひろげられるホルモーを、この目で見ることができるのが、楽しい。

 ホルモーシリーズの第2弾 「ホルモー六景」における重要なアイテムがところどころに登場するのは、スタッフのこだわりか、それとも第2弾映画を念頭に置いてのことか。
 
 あの「浪花の華~緒方洪庵事件帳」で、凛々しい女剣士ぶりを見せてくれた栗山千明さんの、ボンちゃんぶりも鮮やか。

 さらに、またまた出ました、「アヒルと鴨・・」の主人公を演じた濱田岳さんが、高村役で、見事な侍っぷりを演じているのも見どころ。
 ほとんど一人で、この映画の笑いを受け持っていた。

 

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 最後に、映画ではないですが、この前お知らせしたドラマが始まったので、その感想。
 これも、小説ではないですが、コミック原作です。(村上もとか)


 日曜劇場 JIN -仁- (TBS系 毎週日曜日 夜9:00)


 まだ第1回(2時間SP)を観ただけですが、
 セット、音楽、台本、演技、そして何よりも、ストーリー、すべてに気合いが入っている、堂々とした風格の大作で、見ごたえ十分だった。
 TBS、こんなに気合い入れてだいじょうぶか。

 基本的には、原作に忠実だが、それを練りに練ったミステリー色の強いものに仕上げていて、
 原作上不足していた、あるいは、おかしいと思われた部分については、きちんと追加、修正が加えられていて、実にていねいなつくり。

 出演者では、「鹿男」などではふにゃふにゃしているイメージが強かった綾瀬はるかさんが、凛としていてよかった。とは言っても、やはり普通の人からすると、ちょっとずれたところもあるんだけど、それがまた魅力的。

 大沢たかおさんも、普段TVなどで見る限り、常にへらへらしている感じで心配だったのですが、
 役になると、びしっとして、顔つきまで変わって見えて、さすがだな、と思った。
 

 お茶ノ水や日本橋などが舞台で、
 特にお茶の水、聖橋周辺の、わたしが東京で最も好きな風景のあたりが、現代と過去を通じての物語の重要な中心地になるのだが、背景やセットを、あ、これは江戸時代のあそこら辺だな、とちゃんとわかるようにしているのが、うれしい。
 江戸末期~明治初期の古い写真と、現代の風景が交互に映し出されるエンディングもすばらしい。


 最後に、洪庵先生も登場。今後がまた楽しみ。


 ところで、始まったとたん、ネタばれ状態にしてしまったが、何か意図があってのことか?


 今夜、このあとすぐ、(10月18日(日) PM9:00~) 
 第2回、放送。


 公式HP


 
▽ これまで撮りためてきた、聖橋周辺の写真。


 春・桜

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 初夏・緑

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 冬・雪

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 夕暮れ~夜

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 最後に、どうでもいいことだが、以上何点か感想を書いていて初めて気が付いたのですが、濱田岳君、綾瀬はるかさん、栗山千明さん、多部ちゃん、さらには緒方洪庵、「鴨」、「鹿」、などなど、共通する名前やキーワードがやたら出てきて、おもしろかった。
 世間がせまいのか、わたしの興味の対象が限定されているためか。

 そう言えば、大沢たかおさんと森山未来君も、セカチュー(「世界の中心で~」)で、同一人物を演じていたはず。観てないけど。 



そのほかの「記事目次」

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カンタータ日記・奥の院

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カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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この記事へのコメント

和義贔屓
2009年10月19日 10:17
初めまして
「音の積み木」というフレーズは、和義さんが長い間 いつかは使おうと
温めていた言葉だそうです。
インタビューで言っていました。

聖橋の写真 どれも良いですね、見とれてしまいました。
2009年10月20日 21:33
 和義贔屓さん、ありがとうございます。
 斉藤和義さんは、レコーディングはほとんど一人で多重録音していると聞いたので、もしかしたら和義さんの言葉かな、とも思っていました。
 「音の積木」、いい言葉ですね。映画にもぴったりで、とても共感できます。
 「フィッシュストーリー」は、和義さんの歌が主人公の映画だと思います。

 聖橋からの風景、電車が次々と交差して、まるで実物大の鉄道模型みたいで、好きなのです。
koh
2009年10月22日 18:29
Noraさん、こんばんは。
テーマちがいですが、日本ハム先勝(といっても2勝分ですね)おめでとうございます。それにしても、逆転満塁サヨナラホームランとは! しかも3点差で。すごいです。
じつはわたしは楽天を応援していました。野村監督がもし日本一監督になったら、楽天球団はどうするのか興味があります。

てっきり勝ったと思ったのですがね。もし小説や映画でこんなシーンを描いたら、都合のいいことばっかり、と顰蹙を買います。
「事実はフィクションより奇なり」でしょうか。
リエ
2009年10月23日 00:11
はじめまして。全然関係ないことで申し訳ないのですが・・・ヴァージンVSを検索していたらこちらの2007年10月の記事を見つけました。2009年10月17日ヴァージンVSが新宿ロフトでライブを行いましたよ。「百合コレクション」もラストで歌っていました。
2009年10月23日 01:48
 kohさん、こんばんは。
 わはは。今日も勝ってしまいました。
 でも、第1戦、第2戦と、パ・リーグの覇者を決めるにふさわしいすばらしい試合だったと思います。
 両チームとも、まさに明日をも知れぬ総力戦で、そのようなぎりぎりのところから、ドラマチックな試合が繰り広げられるのではないでしょうか。
 たまたま日ハムが2勝しましたが、2戦とも、最後はもうどちらが勝ってもおかしくない状況でした。特に今日の8、9回の猛攻をしのげたのは、奇跡的としか言いようがなく、野村監督、くやしくてしかたないのではないでしょうか。
 ダルは結局間に合わず心配なことですが、楽天の方は、明日はいよいよ土壇場でマー君登場です。野村監督も、いずれにしても最後みたいです。結果はどうあれ、悔いの無い試合をしてもらいたいものです、などと、ちょっと高校野球を見ているみたいな気分になってます。
2009年10月23日 02:08
 リエさん、貴重な情報、ありがとうございます。
 それにしても、「ヴァージンVS」でライブをしていたとは・・・・!
 わたしにとっての、リアルなあがたさん体験は、ヴァージンVS時代で、もちろん好きなあがたさんの歌はたくさんありますが、なんだかんだ言って、やはりヴァージンVSの頃の歌が、最も印象に残っています。
 実は、翌々日の10月19日に、飯田橋であがたさんの路上ライブ(笑)があって、わたしはそれには行きました。
 何だかいつもより声がかすれていて、かぜでもひいたのかな、と心配していたのですが、何と、その前に、ヴァージンVSで盛り上がっていたとは。
 まさかと思ってまったくマークしていませんでした。
 これからは、このようなことが無いよう、しっかりとチェックしたいと思います。 
 教えてくださって、ほんとうにありがとう。

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