’10初秋?の京都紀行その1~灼熱の東山縦走、「京の夏の旅 文化財特別公開」を訪ねる。

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 9月12日(日)



 アイスショーの翌日、京都第1日目。

 京都では、「第35回京の夏の旅 文化財特別公開」を実施中。(~9月30日(木)まで)

 普段見たくても見られなかった、なかなか渋いところを特別公開していましたので、今回の旅は、これらの文化財を中心に、それに例によって付近の仏像や建築を織り交ぜて回ることにしました。

 ただ、この「夏の旅」というのがいけなかったか、初秋の京都散策を楽しむつもりが、文字通り、「真夏の旅」になってしまった。


 とにかく暑かった!

 このところ、急に季節が移り変わって、今ではすっかり肌寒いくらいになりましたが、このころは、まだまだ真夏のような暑さでした。 
 特に京都は盆地。その暑さは話には聞いていましたが、ハンパでない。こんなにも暑いと思わなかった。

 その灼熱のコンディションの中、どうしたことか、とにかく、高いところに登って登って登りまくる、過酷な旅になりました。



 清水寺


 まず、朝一で、いきなりどメジャー観光地、清水寺へ。修学旅行以来か。
 まだまだ残暑厳しいオフ・シーズン、しかも朝早いにもかかわらず、日曜日だということもあってか、清水寺、銀閣寺の東山方面へ行くバスは超満員。

 バスを降りた大勢の人の列に交じり、ぞろぞろと清水寺へ向かう。 


 茶碗坂

 分かれ道。左が五条坂、右が茶碗坂。

 近道の茶碗坂の方から登ることにする。

 いつまでもだらだらと続く坂道、まだ午前中の早い時間だというのに、容赦無く照りつける太陽。
 いきなり、バテバテ状態。

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 仁王門

 やっと境内にたどりつく。振り返ると、早くもすばらしい展望で、かなり登ってきたことがわかる。
 本堂、清水の舞台には、ここからさらに登らねばならない。 

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 清水の舞台(本堂)

 さらにいくつかの階段を上り、ようやく清水の舞台にたどりつく。
(拝観受付をすませ、回廊を渡っていくと、舞台の下手側からいつのまにか舞台に出るようになっている。)

 ここまで来ると、風がさわやか。
 早くも汗まみれの体に心地よい。

 だけど、すごい人、人、人。

 正面に釈迦堂、阿弥陀堂、奥の院が並んでいるのが見える。
 右は下をのぞきこんだところ。江戸時代には、ほんとに飛び降りるのがはやったそうだ。

 舞台に立つと、かなり前方に傾いているのがわかり、だいじょうぶかいな、と思ったが、これは、雨水をためないようにわざと傾斜をつけているとのこと。
 
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 上の写真に写っていた奥の院の舞台から、本堂、京都市街をのぞむ。
 景色は、舞台は小さいが、ながめはこちらの方がよい。

 カレンダーや絵葉書で見なれた本堂だが、純粋に建築として見てみると、飛びぬけて個性的な上に、圧倒的に美しい。

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 どうしても個性的な建物や景観に目が行きがちな清水寺だが、
 実は仏像の宝庫でもある。

 本堂の本尊千手観音像は秘仏だが、江戸時代の御前立像は、すぐ近くではっきりと見ることができる。
 脇手のうちのひと組を、掌を上向きにして高く掲げ、その上に化仏をのせている珍しい姿で、
 その脇手が細くて海老のはさみみたいで、わたしは密かに(親しみを込めて)「えび観音様」と呼んでいる。
 厨子の両側にびっしりと立ち並ぶ二十八部衆は、室町時代のものだが、かの三十三間堂の群像にも負けず劣らず見事。

 その他、鎌倉時代の釈迦堂本尊・釈迦三尊像、(桃山時代補作の光背が豪華絢爛)
 奥の院の厨子の両側に、やはりずらっと立ち並ぶ二十八部衆、
 などなど。


 ただ、

 わたしが一番見たかったのは、別の仏像。

 せっかく来たので、ひととおりベタな観光を楽しみましたが、ほんとうの目的は、これ。↓


 文化財特別公開 清水寺大講堂(宝蔵殿ほか)


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 宝蔵殿は、清水寺の膨大な寺宝を収蔵することを目的として、昭和58年に建てられたもの。
 これまで、ほとんど非公開だったのだが、ついに特別公開されました。


 もと大日堂本尊、丈六の平安仏、大日如来座像
 奥の院本尊御前立の三面千手観音坐像、などなど、
 話には聞いていたたくさんの仏像を、間近で拝観することができたが、
 印象深かったのが、平安時代の大黒天半跏像
 宝棒と小さな袋を手に、宝冠をかぶって静かにたたずんでいる。
 われわれのイメージする大黒様とはかなりちがうが、一目見て、その厳かな峻厳たる姿にひきつけられてしまった。


 仏像の他には、絵馬がすごかった。
 いつか見た浅草寺の絵馬も見事でしたが、こちらも単なる絵馬の範疇を超えて、ほとんど芸術品。
 さすが天下の大霊場。

 お目当ては、あの長谷川久蔵「朝比奈草摺曳図」
 構図は様式的かもしれないが、筆遣いの迫力などは、なかなかのもの。
 久蔵は早逝したが、けっこう作品が残ってるんだな。今後もできるだけ観てみたいと思う。

 他に、江戸初期、御朱印船で盛んに南蛮貿易をしていた豪商たちが、船が無事帰還したことを感謝して、競うように豪華な絵馬を奉納したものが多数残っていて、どれも皆見応えがあった。

 角倉船図末吉船図など、豪商たちの名前を冠した船の絵で、逆巻く波の上に巨大な南蛮船が浮かび、甲板上に、航海に関するものや南蛮渡来のさまざまなめずらしいものがびっしりと描かれていて、見ているだけで楽しい。
 日本の大航海時代の香りを強烈に感じさせる作品群。
 なお、どの絵にも「東京」という文字が書かれ、??だったが、これは当時最大の貿易先、ベトナムのトンキンのことでした。

 上の左側の写真の看板に、末吉船図が使われています。
 クリックの上、拡大してごらんください。



 祇園


 八坂神社の角のある獅子。

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 円山公園内の開花亭でランチ

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 有名な枝垂桜
 昔々、桜の花が満開の頃に、ここに来たことがある。
 久しぶりにこの木を訪ねたが、猛暑のせいか、だいぶくたびれていた。

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 長楽館

 タバコ王と呼ばれた村井吉兵衛の別荘だった。現在は、ホテル、レストランとして利用されている。
 アメリカ風アールヌーボー建築。

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 ランチの後、次の目的地、

 文化財特別公開 大雲院・祇園閣へ。


 昔から祇園のあたりを歩いていると、常にこの奇妙な塔が目に付き、ずっと前から、一度中に入ってみたいものだ、と思っていたのだが、ついにチャンス到来。

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 もともと、このあたりは財閥の別荘地で、祇園閣も、祇園祭の山鉾をモチーフにして作られた、単なる民間の展望台だったが、

 昭和48年に、織田信長ゆかりの大雲院がこの地に移転した際、その伽藍の一部となって、建物内部に阿弥陀如来が祀られた。
 その後、建物内の内壁のいたるところに、有名な敦煌莫高窟壁画の模写がびっしりと描きこまれ、他に例の無い何とも不思議な寺院建築として、現在にいたっている。

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 狭く蒸し暑い階段をずっと登らねばならず、また汗だくになったが、前記の壁画をはじめとする建物内の装飾は、ユニークな上に実に美しく、最上階のバルコニーからの展望も最高。

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 実に貴重な体験になりました。



 このあたり、祇園から四条大橋にかけては、双林寺仲源寺など、気をつけなければ通り過ぎてしまうくらいの何気ない佇まいながら、実はすばらしい仏像を有する寺院が点在している。
 もし、時間的、体力的に余裕があったら、ちょっと足を延ばそう、と思っていたのですが、
 あまりの暑さに、すべてパス。

 早々と地下鉄に乗って、次の目的地、琵琶湖疏水施設の点在する、蹴上、南禅寺界隈へ。



 蹴上付近


 レンガ造りの琵琶湖疏水関連施設があちこちに見える。

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 ネジリマンボ

 インクライン(=傾斜鉄道、水路の傾斜が急な部分は、船の航行が不可能であるため、船を台車にのせ、鉄道で運んだ)の下に設けられた、レンガ造りの歩行者トンネル。

 レンガが渦巻くように、ねじれて組まれているところがおもしろい。
 掘削面に垂直でなく、斜めにトンネルを掘ったため、こうなった。

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 このあたりは、古くからの、京都屈指の高級別荘地。

 明治以来の政治家や、大富豪などの別荘が、今も数多く残る。
 どの別荘も、琵琶湖疏水の水を最大限に利用した、趣向をこらした庭園を有する。

 山県有朋の別荘、無鄰菴などは、一般公開されており、
 これも、余裕があったら行きたいと思ってたのですが、残念ながらパス。

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 南禅寺


 南禅寺の三門

 現実のものとは思えないくらいに、巨大。CGみたい。

 この春に観た歌舞伎、「楼門五三桐」の舞台としてあまりにも有名で、
 三門にしてはめずらしく、五右衛門が「絶景かな」と言った楼上に、実際に登ることができる。(外縁のみ)

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 はしごみたいに急な階段を、またまた登ることになった。

 思ったよりずっと急で、しかも長い。
 これを登りきると、その先にさらにまた階段があって、ようやく楼上にたどりつく。

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 苦労して登った甲斐があって、桜は咲いてないけど(紅葉もしてないけど)、正に「絶景かな」。

 左は木々に埋もれる本堂方向。右は百日紅の花が満開の、天授庵の有名な庭園。

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 建物の内部には入れないが、中をのぞくと、だだっぴろい。
 なるほど、これなら、五右衛門が暮らすのに十分?

 よく目をこらすと、宝冠釈迦如来像を中心に、十六羅漢像がびっしりと安置されているのが見える。

 ここでも、見事な群像仏を見ることができた。


 下の写真は、方丈。美しい庭園の間を続く回廊。

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 南禅寺境内の有名な水路閣


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 水路閣の上部。そう言えば、ここにも登ったんだ。
 現在も水が滔々と流れる。

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 付近の別荘地のあちこちにも、縦横に水路が流れる。

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 最後に、以前ご紹介した、見返り阿弥陀に会いに、永観堂へ。


 永観堂 (禅林寺)


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 見返り阿弥陀のいらっしゃる阿弥陀堂は、背後の山の中腹、ちょっと登ったところにある。
 もうこの頃には、すっかり疲れ果てていて、また登るのか、とうんざりしていたら、
 なんと、エレベーターが。
 木造の囲いの、美しいエレベーター。感動。
 
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 見返り阿弥陀は、金色に荘厳された堂内の厨子の中に、静かに立っている。
 かなり小さい。
 厨子の三方の扉は開かれ、様々な方向から、じっくりとこの希少な姿の仏像を拝観することができる。


 開山堂等に続く回廊、臥竜廊
 木造なのに、くねくね曲がりくねっている見事な回廊。しかも、釘はいっさいつかってないそうだ。

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 すっかり力尽き、これはもう、下から見上げただけ。

 あとは、境内の眺めの良い東屋で、閉門時間までのんびりくつろいでいた。


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そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

浅田真央さん情報・最新版

宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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この記事へのコメント

2010年11月04日 09:13
京都の9月は暑そうでしたね。
本当にお疲れ様でした。
琵琶湖疏水を引く設備はローマの水道橋を思い起こさせてくれます。
ローマの方はは圧倒的古さで驚きますが。
馴染みのあるお寺ですが、いろいろな発見があります。
何度行ってもいいですね。
今月末に京都に行くのが愉しみです。
2010年11月05日 15:34
 tonaさん、こんにちは。
 おー、今度は紅葉の京都ですか!
 わたしは、記事にも書いたように、この秋、東福寺や永観堂、それから醍醐寺など、なぜかモミジの名所ばかり行ったのですが、どのお寺も緑の葉が鮮やかで美しかったです。(笑)
 ちなみに、このページの最初の永観堂の写真、緑の中にちょっと赤く染まった部分がありますが、種明かしをすると、残念ながらこれは紅葉などではなくサルスベリの花です。

 紅葉の方は、tonaさんの写真で堪能させていただきたいと思います。旅行の記事、楽しみにしております。

 琵琶湖疏水の水道橋、ローマのものと比べると、スケールも時代も異なりますが、こちらもなかなか味わい深いものがありますよね。 今回実際に行ってみて、有名な南禅寺境内の水道橋以外にも、疎水がらみの実に多くの魅力的建築があることを知りました。

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  • 祇園閣/京都(2010初秋)

    Excerpt: 祇園閣       9月25日(土)  大雲院の中にある祇園閣。 石塀小路やねねの道に向かう道すがら、天に向かうこの金鶏は誰しも目にしたことがあると思います。この日は特別公開で.. Weblog: 京の昼寝~♪ racked: 2010-10-08 08:17

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