愛聴盤ご紹介~バッハ「フーガの技法」つながりで、オケゲム、究極の名盤大登場!【三位一体節後19】

 ファイターズの大恩人、大沢啓二さんが亡くなりました。
 心よりご冥福をお祈りいたします。



 今度の日曜日(10月10日)は、三位一体節後第19日曜日。


 カンタータは、

 第1年巻のBWV48、 
 第2年巻(コラール・カンタータ)は、BWV5
 その他、4年目のバスのソロカンタータの名作、BWV56です。



 過去記事は、こちら


 <三位一体節後第19日曜>

    ソロ・カンタータのすすめ(BWV56、5他)


 BWV56はよく知られた名作ですが、
 コラール・カンタータのBWV5も、ちょっとただ事ではない傑作。
 いつか何か書かなければ、と思いつつも、今は、気力も時間も無い。



 従って、今日は、今年前半の愛聴盤、
 この前のブルックナーに続き、今回は、バッハ、古楽の補遺。

 ・・・・と、さらにだらだら続けようと思ったのですが、
 もう秋もすっかり深まりつつあるので、今後は、「今年聴いたCD」ということで、年末に向けて何回かに分けて書いて行くことにします。
 


 まずは、スペシャルなカンタータのCDから。


 バッハ カンタータ集

    リチェルカール・コンソート(アンサンブル)


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 今や、カンタータ演奏の美しさにかけては、右に出る者の無いリチェルカール・コンソート。

 その黎明期の名盤の復活。

 またまた出ました、エグモント、さらにボウマンを始めとするベテランを中心とした錚々たる歌手陣と、
 現在第一線で活躍する、ピエルロさん、フォクルールさんをはじめ、当時まだ若かった精鋭がズラリと勢ぞろいした、こちらも錚々たる器楽陣との共演による、一期一会の奇跡のような演奏の「記録」。

 バッハ最初期の傑作BWV131と、後期の代表曲BWV82を、アルバムの最初と最後に置き、
 その間に、BWV131と同じく、詩篇「深き淵より」をモチーフにした、バッハと同時代のドイツの作曲家の作品が収められている。
 BWV131も含め、ガンバが大活躍。
 とんでもない掘り出し物。

 BWV131は、もうちょっと後、晩秋のカンタータです。
 ぜひ、この機会に。



 ゴールトベルク・バリエーション

    シュタイヤー(チェンバロ)


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 もうだいぶ前に聴いたCD。
 これはすごかった!

 バッハのポリフォニー作品のすぐれた演奏に関しては、
 「各声部がまるで独立した生き物のように生き生きとしている」という表現がよく使われるが、
 この演奏に関しては、もはやそんな次元ではなく、
 各声部が独立しているのはもちろんで、そればかりか、各声部がまったく独自の装飾・即興を交えて最高度の演奏を競い合っている、という観がある。

 一人でチェンバロを演奏しているはずなのに、それぞれが神がかった熟練の技を誇る数名の奏者のアンサンブルのように聞こえる。
 もし、一人で演奏してるんだったら、それこそ多重録音?

 でも付録のDVDを観ると、これこそがシュタイアーの演奏の最大の特色であり、一人彼だけが獲得しえた至高の技法であることがわかる。
 何言ってるのか、くわしくはわからないけど。

 その一つ一つの自由な装飾・即興のなんという美しさ、
 それが絡み合う時の樂興の喜びのなんという豊かさ、
 それに加え、なんという音色の美しさ。

 またくりかえすけど、これはすごかった!
 いまさらで、もうしわけないけど。



 フーガの技法

    フレットワーク


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 これもかなり前に、garjyuさんに安くなってるのを教えていただき、早速購入したもの。

 ヴィオール合奏というちょっと特殊なアンサンブルが、フーガの技法にぴったり。
 聴いているうちに、始めから、この編成のために書かれたんじゃないか、と思えてくる。
 「フーガの技法」が鍵盤楽器のために書かれたものである、ということは、現在ではもはや疑う余地が無いようですが、長年ざまざまな器楽編曲で親しんできた耳には、持続音が重なり合ってこそ得られる対位法的悦楽の瞬間、というのが、意外と多いのです。


 それに、この「フーガの技法」や、それから、コラール編曲なんかに関しては、わたしは、特に弦楽アンサンブルの編曲が好きです。
 「銀河鉄道の夜」に、タイタニック号が沈没する時、船の楽団がコラール(賛美歌)を演奏し続けていた、という、あの有名なエピソードが登場しますが、弦楽アンサンブルのバッハを聴くと、その時流れていたのは、こんな音楽だったんじゃないだろうか、と、いつも思うのです。


 おまけ、
 バッハとはあまり関係ないですが、フレットワークと言えば、何と言っても、これ。
 バロック音楽はあまり聴きませんが、イギリスと南米等ラテン系のバロックは大好きで、たまに聴きます。

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 さて、今回の超本命盤は、これ。
 バッハ、フーガの技法、と来れば、当然、オケゲム。(なんだ、それ?)


 ミサ 「クユスヴィス・トニ」 (任意の旋法で演奏可能なミサ)

    カンデル、アンサンブル・ムジカ・ノーヴァ


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 オケゲムのクユスヴィス・トニのことは以前にも少し触れましたが、簡単に言うと、当時の4つの異なる旋法(ドリア・フリジア・リュディア・ミクソリュディア)のどれでも演奏可能なミサ曲で、
 つまり、たった一つの楽譜で、4種類のまったくちがった音楽の演奏が可能、という恐るべき音楽。
 オケゲムの超絶技法を端的に表す作品として、ミサ・プロラツィオーヌムなどとともに、まっ先にあげられるものです。

 このCDは、その4種類の演奏をすべて収録した、おそらく史上初めての録音。
 たった1曲なのに2枚組。(余白にモテトゥスが収録されてはいますが)
 実際にはどのようなしくみになっているのか、わたしにはよくわからないのですが、
 4つの演奏を聴き比べてみると、とても同一曲とは思えないほどバラエティに富んでいて、まったく飽きさせません。
 何も知らないで聴いた方は、4種類のちがうミサが収録されているCDだと思うのでは。
 例えば、楽譜の上では同じ箇所なのにも係わらず、この旋法では静謐でしんみり、この旋法では明るく力強い、といった具合。
 各旋法のちがいは、現在の調性における差違をはるかに越えた、音楽の根幹にかかわようなちがいがある。

 4つの旋法の演奏をすべて収録している、という資料的な価値ももちろんありますが、
 このCDの最大の功績は、
 オケゲムが単に「技法のための技法」を追求したのではなく、あくまでも自分の音楽の表現のために、超絶技法を駆使したのだ、ということを実際に証明してみせたこと。

 もっとも、これらはすべて、アンサンブル・ムジカ・ノーヴァの、誠実で、そして飛びっきり美しい演奏あってのことでもある。
 フランスの団体というのも、オケゲムにはふさわしい。



そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

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宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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この記事へのコメント

Nacky
2010年10月08日 23:06
Noraさま
先ずは、大沢氏が安らかな眠りにつかれますよう、心からお祈り申し上
げます。
関西の旅、ご満喫されたようでなによりですね。
私も、中学、高校時代の修学旅行を(なぜか京都、奈良がかぶっていました)
懐かしく思い出しました。。。。というか、つい、数年前まで、仕事で
よく京大に通っておりまして、南禅寺、清水寺、八坂神社、祇園あたりは
今でもお気に入りのスポットなのです。(笑
これからは、あの界隈は裏山の紅葉映えるライトアップが美しい季節
ですね。
さて、「フーガの技法」ですか?
先月、「バロックの森」で、磯山先生が、「バッハの音楽の奥座敷とも
いうべく。。。」とご紹介されていました。(笑

2010年10月09日 00:30
 Nackyさん、こんばんは。
 東京で野球と言えば、やはり何と言っても、セ・リーグ、巨人でしたが、大沢氏は、東京にファイターズというすばらしいチームがあることを、また、パ・リーグのおもしろさを教えてくださったような気がします。

 京都の東山のあたりは、京都観光のハイライトと言っていいすばらしい場所ですね。わたしも修学旅行で行ったはずなのですが、不真面目でお寺などはまったく記憶に残っていなかったので、今回あらためて行ってみました。
 これからは紅葉ですごい混雑でしょうね。
 ピーク前で少し落ち着いて見られるかと思ったのですが、すでに十分混んでる上に、すさまじい暑さで、閉口しました。
 
 なお、この連休は、平城遷都1300年のしめくくりに、またこりずに奈良に行ってまいります。では、また。
2010年10月25日 22:53
こんばんわ。
フレットワーク、やはりというべきか、買ってしまいました。
いいですねえ。
ほら思ったとおりじゃないかと嬉しくもなり、同時に、かなり悔しくなりました(笑)。
2010年10月28日 12:46
 たこすけさん、
 これは絶対いいだろうなあ、と、ある程度内容が想像できるCDって、逆になかなか手が出にくい場合があります。
 特に、ジャズなんかで、そういうこと、多い気がします。
 買って聴いてみると、やっぱりすごくよくて、早く買えばよかった、と思うんですが・・・・。(笑)

 バッハのこの種の曲とストリングスは、やっぱりぴったりですね。
 こういう古楽系グループで、アレンジものをやってくれるのはめずらしいので、ありがたいです。

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