青春の鎌倉再訪記’10晩秋・特別編~こんな仏像初めて見た! お気に入りの仏像・鎌倉編

 11月は、後半に鎌倉にも行きました。

 ちょうど紅葉がまっさかり、観光シーズンのピークを迎えていた鎌倉でしたが、
 今回の旅は、紅葉には見向きもせず、すさまじい数の人、人、人をかき分けかき分け、脇目もふらずにピンポイントで特別公開の仏像を目指す観仏行。

 と、いうわけで、

 今回は、いつもの、古いガイドブック、「カラー版・鎌倉の散歩道」(富岡畦草著・写真、山と渓谷社刊)のコースをたどる旅ではなく、観仏特別編。



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 いつもの直通の湘南新宿ラインは、たいへんな混雑が予想されたので、
 はじめの目的地が極楽寺だということもあり、東海道線で藤沢まで行ってしまい、江ノ電でゆっくりと鎌倉に入ることにする。



 江ノ電


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 極楽寺駅


 極楽寺で降りたら、ものすごい人、人、人。
 極楽寺、こんなに人気あるのか、とびっくりしたが、どうも皆さんのいでたちが、寺社めぐり、という感じではない。
 駅のすぐ近くの、極楽寺車庫で、「タンコロ祭り」という江ノ電のイベントが行われていたのでした。

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 「タンコロ祭り」は、すさまじい人&熱気で、ちょっと足を踏み入れられませんでしたが、わたしも触発されて、江ノ電の写真を撮りまくる。
 谷戸の懐にすっぽりとおさまった、何ともいえない風情の極楽寺駅。紅葉が鮮やか。

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 左、10系レトロ車両。右、有名なレンガ造りの極楽寺トンネル

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 極楽寺


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 極楽寺では、宝物館(転法輪殿)が秋期公開中。

 秘仏である、典型的な清凉寺式釈迦如来立像の安置されている厨子の扉は、もちろん硬く閉ざされていたが、
 厨子の前には、御前立ちのかわりに美しいパネル写真が置かれ、その両側に、ずらっと十大弟子像が並ぶ様子は壮観。
 開山の忍性の師匠、叡尊ゆかりの西大寺にある清凉寺式釈迦像&十大弟子像、さらにさかのぼって、本家本元の清凉寺の釈迦像&十大弟子像にならったものと思われるが、
 鎌倉期の十大弟子像は、写実の極み、生き生きとして表情豊か、前記の2大傑作仏像群にも決して劣らない魅力あふれる傑作だと思う。

 これらの群像の両側には、向かって左側に、平安期の不動明王坐像、右側に、仏師善慶作の釈迦如来坐像が安置されている。
 どっしりと落ち着いた不動明王像もなかなか味わい深いが、もう一体の、釈迦如来坐像が、今日の一番のお目当て。
 ちょっと文章で説明するにはややこしいので、久々にイラストを描こうとしたが、むずかしくて断念。
 やむを得ずお寺のパンフを貼らせていただくが↓
 この写真のように、両手で、これまで見たことも無いような不思議な印を結んでいる。
 両手を合わせるのではなく、左手をねじって、両手の平を、どちらも左方に向けているのだ。
 さらにそれぞれの指も微妙にねじっているところにも注目。
 説明の方がおっしゃっていたが、これは転法輪印
 (宝物館の名前も、ここからつけられた)
 右手で得た教えを、そのまま左手からわたしたちに向けて放射している様子をあらわしている、または、車輪の回転が連なるように、真理がつながっていく様子をあらわしている、など、さまざまな解釈があるらしい。
 表情や体つきも、慶派の作品らしく、端正で滋味深い佇まいで、美しい。必見!

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 なお、極楽寺、境内は祈りの空間である、という考えから、堂内はもちろん、境内も写真は一切NG。
 そのおかげか、境内は、素朴で清浄な雰囲気にあふれている。



 でかけるのがおそかったため、極楽寺を見終わった時点で、お昼を過ぎていた。
 大混雑の長谷や八幡宮周辺を横目に、江ノ電+バスを乗り継ぎ、まっすぐ、次の目的地の建長寺へ。


 
 建長寺付近の、スープカレーで有名な鎌倉野菜のお店、
 北鎌倉 ぬふ・いちで、ランチ。

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 ふつうの民家をお店にしている。
 右は「鎌倉野菜のスープカリー 」。鎌倉でとれたばかりの新鮮な野菜が絶品。

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 2階の座敷に上がりこんでのおいしいランチ。
 窓からながめる紅葉の風景も美しく、ついだらだらと長居してしまった。
 (それぞれの野菜に合わせて、焼いたり、蒸したり、煮たり、あげたりして調理しているとのことで、料理ができるまで時間がかかったせいもある)
 気がついたら、もう3時過ぎ。

 あわてて、建長寺へ。
 


 夏ごろ、歌舞伎の中村勘太郎さん主演の映画、「禅 ZEN」を観ました。こちら

 雄大で荒涼とした中国大陸、そして、美しく移り変わる日本の四季を背景に、日本における禅の開祖、道元の生涯をじっくりと描いた、実に見応えのある映画でしたが、
 映画を観て、無性に行ってみたくなったのは、道元の理想郷・永平寺よりも、北条時頼が心の師と仰いだ道元が永平寺に去ってしまった後、残された時頼が鎌倉に建てた建長寺でした。
 ここ数年、くりかえし鎌倉を訪れるも、大仏や八幡宮などと並ぶ大観光地でもある建長寺はずっと後回しになっていたのですが、
 近年修復された法堂が秋の特別公開中でもあったので、この機会に久しぶりに訪れました。



 建長寺


 鎌倉では珍しい平坦で広大な境内に、壮大な七堂伽藍がまっすぐに建ち並ぶ。


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 このうち、仏殿は、もとは、芝・増上寺にあった、来年の大河ドラマの主人公・お江(徳川秀忠側室・小督の方)の霊屋。
 日光東照宮とともに徳川将軍家の威光を伝えていた増上寺の霊廟群は失われてしまっているので、そういう意味でも貴重。
 しかも、お江の方は秀忠よりも先に亡くなったので、これは日光東照宮の次に造られた徳川家霊廟で、秀忠のものも、家光のものも、以降の霊廟群はこれにならって建築されたとのこと。
 つまり、建長寺の仏殿の威容からも、幻の大建築、台徳院殿霊廟等をしのぶことができる、というわけ。

 本尊は、名高い丈六地蔵菩薩坐像
 頼朝公亡き後、鎌倉を舞台にいつ果てるとも無く繰広げられた血で血を洗う抗争は、北条時頼のときにようやく一段落した。
 自分自身もまた、その半生を血塗られた惨劇の中に浸かって生きてきた時頼は、魂の救いを道元の禅思想に求め、自らが創建した日本発の本格的禅刹・建長寺の本尊として、それまでの戦乱のすべての犠牲者を慰霊すべく、それまでに無いような丈六地蔵菩薩を安置した。
(道元が政治と関わるのをきらい、永平寺に引きこもったため、実際の開山は、臨済宗の中国僧・蘭渓道隆(大覚禅師)である)

 久しぶりに見たが、やはり、大きくて威厳に満ちた、見事なお地蔵様。
 これほど大きな地蔵菩薩像は、当ブログでもご紹介した、奈良の聖林寺本尊福智院本尊以外には見たことが無い。
 これらを合わせて、日本3大巨大地蔵菩薩像と呼びたい。


 いかにも古色蒼然とした仏堂に対して、法堂は、前述の通り、美しく修復されている。
 特別拝観で内部に入ることが出来たが、堂内も、禅刹らしい落ち着いた雰囲気ながら、色彩豊かに荘厳され、(天井の雲龍図は平成15年に寄贈されたもの)いずれにしてもとても江戸時代の建築とは思えない。

 堂内ほぼ中央に、パキスタンから寄贈されたという、思いっきりリアルにやせ細った、釈迦苦行像が祀ってあり、
 その奥の壇上の厨子には、こちらは思いっきりふくよかにデフォルメされた、十一面観音坐像が安置されている。
 まったく好対照なふたつの仏像がおもしろい。
 素朴な十一面観音坐像が、見ているこちらまでもが思わず微笑んでしまうような、あたたかな表情で、みるからに痛々しい釈迦像を見守るかのようだ。


 方丈庭園

 大覚禅師自らが作庭した、と伝えられる、日本最初の禅風庭園。
 すなわち、京都のあまたの名作禅庭園の元祖。それにしては、一面に芝生が植えられていて、かなり大らか。

 天気はそれほどよくなく、日も短いので、早くも薄暗くなりかけていたが、
 正に紅葉のさかりで、来てよかった。

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 方丈から、庭園右側の頭塔に続く道あたりの見事な紅葉がのぞまれたので、そちらに歩いてゆく。


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 頭塔・龍峰院へ続く美しい杉林。

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 このあたりから、ようやく鎌倉らしい谷戸になる。


 龍峰院

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 秋色麗しい境内の谷戸を、さらに奥へと入り込む。


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 半僧坊(奥の院)へ続く道

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 「やぐら」も増えてきた。

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 半僧坊の登り口。この階段を延々と登ったところが半僧坊。
 半僧坊には天狗が祀ってあるのではなかったか。いかにも奥の院らしい雰囲気。
 紅葉の隠れた名所でもあり、すばらしい展望台もあるが、(さらにハイキングコースの出発点でもある)
 暗くなってきて、ちょっと怖いので、今日はここまで。

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 そそくさと来た道を戻る。


 その他、境内のご紹介。


 建長寺と言えば、柏槇の巨樹と会うのが何よりの楽しみ。

 三門と仏殿の間に、見るもすさまじい古巨樹が立ち並ぶ。
 その中でも、最もすごいのが、大覚禅師御手植えと伝えられる、この木。
 もしほんとうだとすると、あの倒壊した八幡宮大銀杏に次ぐ長寿を誇る、ということになる。

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 今回、初めて発見した、曙観音

 いつかご紹介した法隆寺のおチビ観音とそっくり。こちらは、巨大だけど。
 ということは、あの救世観音、三室戸寺の二臂千手観音ともそっくり、ということ。 
 こんなところで、また巡り合えるとは。感動。

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 建長寺および鎌倉五山に関するくわしい記事は、こちら
 京都五山についても、順次更新中。



 建長寺を出たのは、5時過ぎ。(建長寺の拝観時間はPM5時まで)
 もう、すっかり暗くなっていた。
 観仏が目的の旅なので、建長寺のすぐ前、円応寺の閻魔様たちにも会っていきたかったが、当然すでに閉門していた。また、今度。

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 また、八幡宮の国宝館では、修復成った、辻の薬師堂の薬師如来&十二神将を中心とした仏像展(特別展「薬師如来と十二神将~いやしのみほとけたち~」)が開催されていて、閉期間際だったが、これも断念。

 まあ、辻の薬師堂は、昔、まだ中に仏像があった頃にやたら覗き見したから、いいか。

 以前ご紹介した、海蔵寺の薬師如来坐像が、おなかを開けた状態で展示されていたらしいが、まあ、これも、縁があればいつか必ず見られる。



 最後に、鶴ヶ丘八幡宮の大銀杏Jr たちの様子を見て、エールを送ることにする。


 鶴岡八幡宮

 
 関東で最も有名な巨樹。大銀杏

 春先に根元から倒壊したが、八百年の命の灯火はそう簡単には滅びない。


 やはり、衝撃的な光景。

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 復活を祈願する絵馬。

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 上から見おろす。
 倒壊した部分、横の根の上に置いた切り株、どちらも枝や葉がわしゃわしゃと出てきていて、確かに生きている!

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 わたしが行った11月中旬には、葉はまだまだ青々としていたが、ちゃんと紅葉したのだろうか。

 来年の春、若葉がいっせいに吹き出す頃、また見に行こう。



 八幡宮の大銀杏ほか、鎌倉の巨樹についてのくわしい記事は、こちら



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