「オーケストラ!」ほか。音楽映画いろいろ~小川が流れる映画・続き

 昨日は調子に乗って、ファイターズ圧勝、などと、書きたい放題だったが、
 昨日ソフトバンクにやったのとまったく同じことを、今日はそっくりそのまんまやりかえされてしまいました。

 この3連戦、一応はこれで五分と五分ですが、ダメージはこちらの方が大きい気がする。
 あした、とりあえず雌雄を決する大切な試合。
 斎藤選手は、とんでもなく重いものを背負っての登板になりますが、彼にとっても、真の一流へと飛翔するための、大切な一戦となるような気がします。勝っても負けても。



 オーケストラ!

    2009年 フランス ラデュ・ミヘイレアニュ監督作品


 原題は「コンサート」なのに、なぜか邦題は「オーケストラ」。どっちでもいいけど。
 荒唐無稽な、ぶっとんだストーリー。
 KGBやユダヤ系移民などがストーリーの柱になっているので、硬派な社会派ドラマと思いきや、
 あのVitusと同じく、(種類はちがうけれど)まったくありえないファンタジー&コメディ。
 いろいろなドタバタが盛りだくさんですが、すべてをまるっと収める圧倒的なコンサートシーンがクライマックスなのも、いっしょ。
 Vitusもすごかったが、こちらもすごい。ラスト、クライマックスのたっぷりとした演奏シーンを見ただけでも、涙が出ることまちがいなし。
 ただ、Vitusとちがって、こちらは吹き替えみたい。

 一方、ロマの親分役で、あのタラフ・ドゥ・ハイドゥークスのカリウさんも(だと思うけど。あんなVnを弾ける人はそうはいない)、大登場。
 ジプシー風ヴァイオリンで見事?オケをまとめあげる、準主役級の重要な役。
 演技がびっくりするほど自然。芸達者、と言うより、もしかして、地のまま?
 あのすさまじい超絶技巧が随所で炸裂、この映画のもう一つの見どころとも言える、クラシックVS民族音楽のVn対決は、実際弾いている分、カリウさんの圧勝か。
 ただ、ソリスト役のVnの吹き替えをしたヴァイオリニストのサラ・ネムタヌさんも、デビューCD等を見る限り、かなりのジプシー系みたい。
 どうりで、この映画のチャイコフスキーも、並大抵の「クラシック演奏」でない、血がたぎるような演奏だった。
 この映画の感動の秘密は、そのあたりにあるのだろう。
 美貌のヴァイオリニスト役のメラニー・ロランさんのエア・ヴァイオリンもちょっと鳥肌もの。
 

 さて、というわけで、主役の音楽は、何と言ってもチャイコのヴァイオリン協奏曲ですが、
 ほとんどわき役として、ちらちらとバッハの音楽も登場。ところどころでいい味だしてます。

 楽団のスポンサーになるかわりにオケに入れてもらったロシアの石油王が、マフィアのハチャメチャな結婚式で、すさまじく「音痴」なチェロを披露する時の曲が、無伴奏チェロ、(彼の資金のおかげでコンサートが実現したのに、結局彼は弾かせてもらえなかった)

 あこがれのパリに行ってずらかった楽員が、誰かのお葬式のエキストラで弾いていた曲が、二つのVnのためのコンチェルト。

 結婚式とお葬式。意図的だったのかどうかは知らないが、バッハの音楽は、かく人生の節目節目を飾るのだ。



 小川が流れる映画(=バッハの音楽が使われている映画)、
 わたしは、今回もまたいつものように、お気楽なメジャー映画を少しだけ、になってしまいましたが、
 rbhhさんが、新しい記事をアップなさっていますので、またリンクさせていただきます。↓

 こちら

 このうち、「ツリー・オブ・ライフ」は、ついこの週末の金曜日に、(8月12日)
 日本でも公開されたばかりです。
 ちょっとすごい映画みたいで、話題にもなっているようですが、バッハ以外にも、クラシック音楽がたくさん使われているとのこと。
 かなり難解との評判ですが、音楽を聴きながら、映像を見るだけでもよいかも。


 
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 さて、クラシック音楽がらみの映画ということでは、シャネル&ストランヴィンスキー(2009年フランス)というのも観ました。

 シャネルの生誕125周年を記念して、かなりシャネルよりに作られたものなので、この映画のストラヴィンスキーそのものは、かなり情けなく、いいかげん目をさませよ、と思わずカツを入れたくなるが、
 冒頭いきなり、あのクラシック音楽史上の大事件である「春の祭典」初演のシーンが、豪華絢爛に、しかも格調高くじっくりと描かれており、それを観るだけでも価値あり。

 こういう「音楽史重大事件」映像は、他にもいろいろ見てみたい気がする。
 ワーグナーがジークフリート牧歌をコジマにプレゼントするシーン(ヴィスコンティの「ルートヴィヒ」)など、
 モーツァルトやベートーヴェンなどスター作曲家に関してはさまざまなシーンを見たことあるんだけど、
 デュファイが、教会音楽において、史上初めて短調の和声を響かせるシーン、とか、
 バッハがライプツィヒに初めてコラール・カンタータを響かせるシーン、とか、
 ブルックナーの3番初演の大失敗シーンとか・・・・、
 誰もつくらないな・・・・。
 

 一つだけ気がかりなことが。
 ストラヴィンスキーくらい最近の人だと、近親者もかなりいそうなものだが、この映画上のストラヴィンスキーのあまりのエロエロしょぼん振り、だいじょうぶなのか?
 それとも、こういう人だという認識が一般的になってるんだろうか。 

    

 その他、バッハやクラシック音楽にかかわらず、音楽が印象的に使われていた映画を何点か。



 THE LOVELY BONES

    2010年、英・米・ニュージーランド合作、ピーター・ジャクソン監督作品、
 

 ピーター・ジャクソンの新作(!)、そして、音楽が、特に誰も気にはしないだろうけど、ブライアン・イーノ、
 それと、予告編の映像があまりにも美しかったので、レンタルして観てみました。

 話題の世界的大ベストセラー小説の映画化とのこと。
 原作は読んでないので、これは、映画そのものの感想。

 かんたんに言うと、連続殺人鬼に殺されてしまった少女が、現世と天国の合間の霊界をさまよい、残された家族と殺人鬼のその後を見守り続けるという内容。

 スピルバークがからんでいるので、霊界の少女と家族の間に劇的でお涙頂戴的なコンタクトがあり、犯人を追い詰める、というようなありがちな話なのかな、と思ったら、決してそんなことはなく、
 家族は、事件がきっかけでバラバラになりながらも、自力で犯人を追い詰め、
 少女はただ、あくまでもそれを見守るだけ。
 ラスト、少女は、犯人が判明し、家族が再び一つになったのを見届けると、犯人が捕まることや、自分の遺体が発見されることなどにはもはやまったく関心を示さず、
 もとクラスメートの霊感少女の体を借りて、たった一つの心残りだった初恋の少年とのファーストキスをすませ、そのまま成仏?します。
 つまり、これは、残された家族に主眼を置いた、家族が困難を乗り越えて再生する、家族の物語なのだ、と、途中でようやく気がついた。
 そして、それはそれで、まあよくできている、とは思います。

 でも、それにしては、頻繁に登場する霊界のイメージ、そしてその映像があまりにも美しく、見事で、それにばかり気をとられ、
 これじゃ、何の映画だかわけがわからんぞ。
 当然、イーノの音楽も、その映像にぴったりで、そのすごさに輪をかけている。
 霊界の冒険ものか何かだったら、とんでもない大傑作になったんだろうけど、ちょっと残念。

 それにしても、ジャクソン監督、キングコングもそうだったけど、なんでそんなに、何もかもを、ていねいに描きつくそうとする?
 映画が長くなってしかたない。

 もっとも、その姿勢が、指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)の奇跡的な「100%完全映像化」につながったんだろうけど。

 そう言えば、「ホビットの冒険」はいったいどうなったのか?
 ビルボが、そしてビヨルグやグワイヒアが、実際にスクリーンで大暴れする日を、死ぬほど待ち焦がれているんだけど。



 EXPLORERS

 
 これは、言わずと知れた、ジュブナイル・ムービーの名作。
 少年の夢、初恋・・・・。少年期の冒険の終わり、そして現実という宇宙への旅立ち、なんて、今さら何か書くのもこっぱずかしいが、大好き。
 久しぶりに見て、スプリングスティーンの「サンダーロード」が登場するのを発見してしまった。
 と言っても、音楽がかかるのではなく、宇宙人の通信を受けて少年たちが作り上げたロケットに、「サンダーロード」号と名づけるのだ。
 ブルースがあこがれ、というのも、ある特別な一時代を確かに象徴しているような気がして、
 わたしなどが、このちょっとB級な映画に愛着を感じる理由かもしれない。



 月に囚われた男

 
 これは初めて観た。
 あのデビット・ボウイの息子、ダンカン・ジョーンズ監督のデビュー作だそうだ。

 2世お坊ちゃんの手習い、というなかれ。
 かなりの本格SF。

 「2001年宇宙の旅」、そして、何よりも、お父さん、デビット・ボウイへのオマージュ、
 ということは、自動的に、「異星の客」など、ハインラインへのオマージュと言ってもいい。

 実際、月という最も身近な天体をモチーフにして、宇宙の孤独、深遠さを見事に描ききっている。
 月。ちょっと裏側に回るだけで、そこは、人類にとっては宇宙の果てと同じになってしまうのだ。
 昔風のわかりやすいエンディングもいい。

 「2001年宇宙の旅」と同様、クラシック音楽を効果的に使用。
 モーツァルトの、フルートとハープのためのコンチェルトがすごい。
 こんなにも人懐っこい音楽が、こんなにも救いがたいさびしさを感じさせるとは・・・・!



 音楽的には特に書くこと無いけれど、SF的作品では、他に「第9地区」、「サマーウォーズ」(アニメ)、などなど、いずれもよく出来ていて見応えがあった。
 純粋なSFとは言えないかもしれないが、「運命のボタン」、「主人公は僕だった」、なども。
 このうち、「運命のボタン」は、後半突然、「フォーガットン」的な「チュドーン!」という展開になって、ア然。



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