鎌倉再訪記’11秋~扇川沿いに古寺を訪ね、国宝館で「秘仏光臨」を目の当たりにする【三位一体節後22】

 今度の日曜日、(11月20日)は、三位一体節後第22日曜日。


 カンタータは、
 第1年巻のBWV89
 第2年巻(コラールカンタータ)のBWV115
 後期のめずらしいテノール・ソロ・カンタータ、BWV55
 の3曲。


 そろそろ紅葉の季節も本番。

 憂愁のヴィオロンチェロ・ピッコロ、名品BWV115を始めとして、折しも秋の名作カンタータが並びました。


 過去記事は、こちら。↓


 <三位一体節後第22日曜>
      
    晩秋の思い(BWV115、55他)
    秋深し、憂愁の名作カンタータ・たまにはきちんと曲目解説(BWV115)



 来日中のブータン・ワンチュク国王の、国会での心のこもった演説。深くこちらの心にも響きました。
 でも、直接被災したわけではないわたしなどや、この国のトップの一部の人たちが、果たしてこれだけの言葉を頂くだけのことをしているかどうか。
 いろいろと考えさせられました。



 一方、日本シリーズ。
 それぞれのリーグの真の王者どうし、どちらも一歩も引かず、とうとう土日の週末最終決戦になだれ込みました。
 1年を通じてソフトバンクの強さは思い知らされていたので、はじめ中日が2連勝した時は、この世にそんな強いチームが存在するのか、と呆然としましたが、
 そこは、さすが粘り強いフトバンク、逆境を力に変えて、その後3連勝。
 一気に決着をつけることができず、ソフトバンクを得意の連勝モードにのせてしまった中日の方が、少し分が悪いかも。
 いずれにしても、まるで別次元の戦い。ファンは楽しいだろうな・・・・。
 まあ、いいか。フィギュアスケートのグランプリ・シリーズ、毎週毎週おもしろいし。



 さて、ずっと前からご紹介してきた、

 鎌倉国宝館の仏像展(特別展)「鎌倉×密教」

 を観に、また鎌倉に行ったので、今日はそのことを。



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 今回は、扇川を上流へと辿って、扇ヶ谷の古寺に立ち寄り、鶴岡八幡宮に向かうことにしました。

 扇川と言っても、ピンとこない方も多いかと思います。

 鎌倉で川と言えば、一般的には滑川が知られていますが、「鎌倉十井」等からもわかるように、石灰質の山に囲まれた鎌倉には湧水が多く、鎌倉の谷戸などには、必ずと言っていいほど道に沿って小川が流れています。
 例えば、覚園寺に至る道、
 あるいは、明月院に至る道。そもそも明月院は、その境内自体に幾本もの川が流れる「川の寺」でもあります。
 そして、それらの何気ない小川の流れが、鎌倉の谷戸独特の美しい景観を生んでいるわけですが、
 正に、鎌倉は、そこら中に名も無き小川が張り巡らされている、「水の都」でもあるのです。

 常にすさまじい数の観光客であふれかえっている小町通り、しかもその駅のすぐ近くにも、実はなかなか趣のある小川が流れています。
 これこそが扇川で、小町通りにぶつかったところで地中に入り、その後若宮大路を越えたところでまた地上に出て、そのまま滑川に注ぎ込んでいます。
 上流に目を向ければ、時には閑静な住宅地の間をぬけ、時には地中にもぐりながら、浄光明寺近辺や扇ヶ谷あたりで蛍のすむ川として親しまれている清流にまでつながり、さらにその源流は、底抜け抜けの井や十六の井などの湧水の多い海蔵寺周辺にまでたどることができます。

 この川、地図で見ると、ところどころで、突然あらわれては突然消える、ほとんど幻の川のような様相を呈していて、以前からちょっと興味を持っていたので、今回その流れに沿って歩いてみることにしました。



 11月12日(土)



 いつものように、お昼ごろに到着して、いきなり、ランチ。

 駅前広場に面した川古江屋。小町通りに入るすぐ前にあるため、比較的すいているので、よく利用する。
 思いっきりふつうなお店だが、創業120年とのこと。

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 ミニミニセット。シラス丼。他に鎌倉野菜天丼なども。

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 小町通り。いつもびっしりと人で埋め尽くされている。何かの祭りか?と思う。

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 小町通りに入ってすぐ、左側。小町通りの地下に流れ込んでいる小川があるが、これに気付く人は少ない。
 これが扇川。

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 川の柵に、今日の一番の目的である、「鎌倉×密教」展の、「秘仏光臨」のポスターが。

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 道を一本はずれると、いきなり閑静な住宅地になるが、駅のすぐ近くということもあって、ところどころにこじゃれたお店が点在し、よい雰囲気。

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 横須賀線の線路沿いにしばらく行くと、横に再び扇川が現れる。

 静寂の中、水の流れる音が心地よい。

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 しばし扇川から離れ、横須賀線の線路をわたり、扇ガ谷へ。

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 この後、川は、岩窟小路にぶつかり、ちょうど岩窟不動前で、地中にはいる。



 八坂大神とすぐわきの小路。

 鳥居の中で、古樹が自然の鳥居を作っている。

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 そのすぐ隣に、寿福寺の総門が現れる。鬱蒼と木々がしげっている。

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 北条政子の創建による、鎌倉五山第三位の名刹。


 木立の中をまっすぐに伸びる石畳の参道。総門の内側は別世界。

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 自由に入れるのは次の山門まで。山門の内部は、のぞくだけだが、さらに別世界の感がある。
 
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 つまり、寿福寺は、参拝可能なのは参道部分だけ。
 裏山に北条政や子源実朝の墓と伝えられるやぐらがあるものの、参道だけでこれだけ人を集めるのだから、恐るべし。

 お、よく見るとここにも、「秘仏光臨」のポスターが。

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 寿福寺のすぐとなり、英勝寺の総門。

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 英勝寺は、現在では鎌倉唯一の尼寺。

 家康の側室だった英勝院の創建。
 英勝院は、太田道灌の家系の出自で、もともとお梶と言ったが、お梶がいると必ず武運に恵まれるので、「お勝の方」と呼ばれて家康の寵愛を受けた。関ヶ原の合戦においても男装騎馬で家康に同行したという。

 家康が亡くなった後、落飾して英勝院尼となり、家光より始祖ゆかりの太田道灌邸跡を賜り、英勝寺を創建した。

 従って、英勝寺は、鎌倉では珍しいお江戸徳川色の色濃い寺院であり、前述のとおり唯一の尼寺であることと合わせて、質実剛健な武家の都・鎌倉の中で、一種独特のやわらかな雰囲気を持っている。

 昔は、一般の観光客が境内に立ち入ることは固く禁じられており、わたしなども、いつも塀の外からその清楚な建築物の屋根を眺めるだけだったが、最近は一般拝観ができるようになった。


 太田道灌邸跡の石碑

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 総門は、今も固く閉ざされていて、ここで帰ってしまう人も多いが、塀に沿って少し進むと、勝手口が開かれている。

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 それほど広くない境内に、ちょっと小さめでかわいらしい建物がびっしりと並ぶ、まるで箱庭みたいなお寺。

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 江戸建築らしく、どの建物にも、質素だがバラエティ豊かな彫刻で飾られており、それらを見てまわるだけでも楽しい。

 なお、下の写真、手前が唐門で、後ろに写っているのが山門。
 
 実は、この山門には、流転のドラマがあり、わたしにとっても思い出の山門。
 こちらの記事をごらんください。 

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 もちろん、他の鎌倉の寺院同様、背後に、やぐらや竹林のある、四季折々の自然が美しい裏山を背負っている。

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 モミジや藤に囲まれたさわやかな庫裏。

 まだ緑一色だけど。

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 それでも、境内のところどころに、色づく秋が。

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 英勝寺前で、再び線路を渡り、岩窟小路に向かう。

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 道の横には、また扇川の流れが。

 左、踏切・英勝寺方向を振り返る。右、岩窟小路方向

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 岩窟小路に入る角で、地中に入る扇川。そして、岩窟不動の前でまた姿を現すことになる。

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 岩窟不動

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 岩窟小路は、鎌倉らしい趣のある小路の一つだが、八幡宮に近いこともあり、狭い割に、車やバイクや人力車など、交通の行き来が激しい。

 途中、鎌倉市川喜多映画記念館の敷地を、遊歩道として開放しているので、そちらを通りましょう。

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 石島邸

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 八幡宮に到着


 源平池。あの蓮の葉はどこに行ってしまったのか?

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 八幡宮幼稚園。

 歴史的建築の幼稚園シリーズに、文句無しにノミネート。

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 ついに鎌倉国宝館に到着。


 特別展 「鎌倉×密教」 @ 鎌倉国宝館

    ~11月27日(日)


 ポスターのキャッチフレーズ通り、
 すさまじい仏像が光臨していた!

 これまで何度も書いてきた、明王院本尊を、ついに間近で観た!


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 この明王院像、こちらの記事で力説したように、鎌倉で最も格式の高い仏像の一つ。
 今回、すぐそばでじっくりとこの像と向き合い、実際的にも、この像がその歴史的、美術史的背景、つまり肩書きにふさわしい、いやそれをはるかに超越するような芸術性、仏性を持つ仏像であることを確信した。

 こんな像が、あの明王院のひなびた藁屋根のお堂の中に、鎮座しているとは!

 「幻の大寺に名物あり」の言葉をまた改めて痛感し、今後もそれをテーマにいろいろな仏像に出会っていきたいものだ、と改めて思った。


▽ 渾身の1枚。実は、ポスターを撮ったもの。

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 その他にも、常設展をすべてとっぱらって、鎌倉の密教仏が大集合、
 正に、不動明王の王国、再び!

 圧巻の仏像展。


▽ パンフ。拡大&クリックすると、裏面(説明と主な展示物)がご覧いただけます。

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 この展覧会については、奥の院にくわしい記事を書きました。こちら

 今月27日まで。これを見逃すと、これだけのものは次にいつ見られるのかわからない。

 行ける方はぜひ!



そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

浅田真央さん情報・最新版

宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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この記事へのコメント

2011年11月24日 21:11
寿福寺、英勝寺は印象的でした。
それぞれの女性を思って。
今日ニュースで聞いたのですが、大地震で津波が起こった時、鎌倉は数mの津波を被り、大変なことになるとか。そうしますとこれらのお寺は山の上でないようなのでどうなるのか心配になりました。
実家の茅ヶ崎も心配ですが。
2011年11月26日 20:14
 tonaさんのコメントを拝見して初めて気が付きましたが、
 鎌倉と江戸、時代はちがえど、東国の2つの幕府を開いた将軍をそれぞれ支え、乱世を生き抜いた女性ゆかりのお寺が仲良く並んでいるわけで、ほんとうに印象深いですね。
 どちらのお寺も凛とした雰囲気が美しく、その佇まいも、それにふさわしいものです。

 地震や津波は恐ろしいですね。
 ただ、こればかりはどうしようもないので、普段から万が一に備えておくしかないようです。
 鎌倉は昔から、台風や地震、津波などの災害が多い上に、戦乱も絶えず、現在残っているお寺は、それらを不死鳥のように乗り越えてきたお寺ばかりです。
 特に、何があろうと、例え大仏殿が破壊されようとも、同じところにしっかりと座り続けている大仏には、勇気づけられますね。

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