最近聴いたCD・ベートーヴェンとウィーン世紀末、20世紀音楽【三位一体節後5】

 新城幸也選手、ツール・ド・フランス第4ステージ(アブビル~ルーアン)、日本人初表彰台、おめでとうございます!!!!


 今年も長く熱い戦いの夏、ツールの夏が始まりましたが、いきなり、カンチェラーラの飄々としたマイヨジョーヌぶり、スロバキアチャンピオン・サガンの、度重なるアクシデントをはねかえす激走など、見どころ続出の中、
 昨日(日本時間では昨夜日付が変わってから)、ついに、ついに、新城選手がやってくれました。
 美しいフランスの海や森を舞台に、スタート直後からの渾身の大逃げ。その雄姿が全世界に放送され、しかも、区間の敢闘賞ではありますが、この前の別府選手の時は最終ステージのため実現しなかった、歴史的な日本人ツール初表彰台!
 日本人としてこんなに誇らしいことはありません。
 新城選手、今年は晴れて出場できたものの、チームオーダー上、スプリント勝負をしにくい状況だと聞いていましたが、このような形で、実力を証明することができて、ほんとうにうれしい。

 今後がますます楽しみです。


 それにしても、ベルギー、フランス、と、美しい風景の中に佇む歴史的建築や街並みが、すごい。とんでもなくすごい。
 最近は観光とのタイアップで実に丁寧に紹介してくれるので(しかも空撮で)、ツールは建築ファンも必見です。
 昨年も書きましたが、これらの美しく歴史を感じさせる映像をずっと見ているだけでも、価値がある。


 現在、Jスポで、連日生放送中。深夜1時過ぎまでで、ちょっとつらいけど。
 今日、第5ステージ、新城選手、敢闘賞の赤ゼッケンを身につけた晴れ舞台。
 ダイジェスト放送の無料配信も予定されているようです。



▽ 神田神社の七夕祭り。星に願いを。

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 さて、今度の日曜日(7月8日)は、三位一体節後第5日曜日。


 第2年巻(コラールカンタータ年巻)は、コラールカンタータを代表する傑作の一つ、BWV93

 そして、後期のドラマティックなBWV88。 


 過去記事はこちら。↓

 <三位一体節後第5日曜>

    源流への旅11 古すぎて斬新!トロープスレチタティーボ(BWV93他)



  *    *    *    *    *    *



 ベートーヴェン&マーラー、ベルク

 ~ベートーヴェンとウィーン世紀末音楽



 前回記事に書いた、NHKBSの特選オーケストラ・ライブの、ド・ビリー&N響の演奏があまりにもすばらしかったので、早速CDを聴いてみた。


 得意のフランスものにも大いにひかれたが、放送でドビュッシーのすばらしさは実感したし、自分が聴きなれた曲の方が良いかとも思い、ベートーヴェンのシンフォニーとマーラーのシンフォニーとした。
 ベートーヴェンは、あらゆる曲の中で名演が最も多いのではないか、とも思われる、名曲中の名曲、7番と8番。
 片やマーラーは、物質的なことも含めて最も演奏困難なのでないか、と思われる8番。
 シンフォニーの世紀、19世紀の幕を開いた曲と閉じた曲でもある。

 これだけ聴いてみれば、ド・ビリーがいったいどのような指揮者なのか、だいたいのところはつかめると思ったのだ。


 ド・ビリー


 ベートーヴェン 交響曲第7、8番

 マーラー 交響曲第8番

  ベルトラン・ド・ビリー指揮、ウィーンSO
 

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 まず、ベートーヴェンから聴いてみる。
 予想どおり、颯爽とした現代風の演奏だが、その颯爽具合がただごとではない。
 その上、始めから終わりまで、シューベルトの8番のライブ実況で聴いたような、これまでに聴いたことがないような鮮烈極まりない響きが続出。
 過去の名演が多い分、さすがに演奏しれつくされた感のあるこの2曲から、新鮮な、そして純粋な音楽的な感動を引き出している。

 と、まあ、一応、ここまでは想定内。
 この前のシューベルトのすごさからすると、当然のことだろう。
 圧巻だったのが、マーラー。

 わたしは、マーラーの交響曲はめったに聴くことがないが、例外的にこの8番(と1、3、4番。あれ、けっこう好きだな)が大好きで、これまでも名演と言われる演奏はまるべく聴くようにしてきたが、(録音だけだけど)
 このド・ビリーの演奏ほど、「千人の交響曲」と言われるこの曲の真のすごさを、ストレートに「体感」できた演奏は無かった。
 表現自体は相変わらず「現代的」であっさりしている。
 決して、すさまじい響きや、息を飲むようなド迫力の解釈が登場するわけではない。
 ここにあるのは、そんな音のかたまりとしての物理的な威力ではなく、立体的、交響的な、本来の意味での音楽の力。
 いついかなる時にも、あらゆる楽器、ああらゆる声が、とにかく美しく磨き抜かれ、さらには、最もふさわしいバランスで鳴り響く。
 そして、その果てに訪れるクライマックス、気がつけば、いつの間にか、ほんとうに千人の人間が、目の前から地平線の彼方にまで立ち並んで、力の限り、一つの「音楽」を奏でているのが実感できる。
 後はもう、ただただその「音楽」に圧倒される。

 どれだけ多くの人間が渾身の力で演奏したとしても、物理的な音響だけでは、この3次元的な「広がり」だけは絶対に表現できない。
 この演奏の前では、すべての録音は、2次元の演奏に思えてしまう。
 強いて言えば、この「広がり」は、古いモノラルの録音ながら、あの名盤、ミトロプーロスのザルツブルク音楽祭ライブからのみ、感じ取れていたものだ。
 あのミトロプーロス盤のすごさをご存知の方ならば、このド・ビリーの演奏がどれほどのものかわかっていただけるだろう。

 筋金入りの劇場育ち、あらゆるドラマチックなオペラをこなしてきた、オケ職人ド・ビリーならではの、究極の演奏。
 だまされたと思って、聴いてみて。
 マーラーの8番にぐっと親しみが持てるようになるはず。



 さて、件のド・ビリーのN響定期において、驚くほど格調の高い圧倒的な名演を聴かせてくれたイザベル・ファウストさんのCDも、あわせて聴いてみた。

 
 無伴奏の名演などもあるようだが、同じくベートーヴェンとウィーン世紀末音楽(実際には20世紀の音楽だが、一応なんとなく雰囲気的に)をカップリングしたCDがリリースされたので、それを選んだ。
 しかも、協演は大好きなアバドさん。
 アバドさん、言うまでもなく、アポロン的古典音楽と表現主義音楽、どちらも大得意だけに、否が応にも期待が高まる。


 ベートーヴェン&ベルク  Vn協

  イザベル・ファウスト、Vn アバド指揮、モーツァルトO
  

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 Vnの気高い音色、音楽表現、すべてが圧巻。
 様式的にはかなりかけ離れた音楽のはずだが、ファウストさんにとっては、どちらもまったく同じ「音楽」らしい。
 何ら変わることのない、真摯極まりない姿勢でそれぞれの音楽と相対し、全人類的な芸術として、2人の芸術家の魂を音として響かせている。

 アバドももちろん最高!

 特に、ベルクの方は、技術的なことや様式的なことを度外視すれば、あのクラスナーとウェーベルンの歴史的録音に、唯一限りなく近づくことができた録音、と言ってしまってもいいのでは。

 マノン?の肖像をめぐり、ベートーヴェンとベルクがさまざまな形で視線を交差させるしかけのジャケットも、コンセプト・アルバムっぽくておもしろい。
 この場合、ベートーベンはあまり関係無いが。



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