踊る「カンタータ」~バレエ、フィギュアの中のバッハ&モーツァルト【三位一体節後20】

 秋の海



 アクアラインから眺める東京湾

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 今度の日曜日(10月21日)は、三位一体節後第20日曜日。


 カンタータは、

 初期のBWV162
 第2年巻(コラールカンタータ)の大名曲、BWV180
 4年目の名作ダイヤログ・カンタータ、BWV49

 の3曲です。


 過去記事は、こちら。↓


 <三位一体節後第20日曜>
    
    豊穣の大地・実りの秋(BWV180、49他)
    三位一体節後第20日曜(BWV180、49他)
    秋深し、憂愁の名作カンタータ・たまにはきちんと曲目解説(BWV180)



 スポーツの秋もたけなわ、日米とも野球が大変な盛り上がりを見せていて、毎日忙しい限りですが、

 先週のパ・リーグのCSファーストステージにおいて、西武・ソフトバンク両チームのすさまじい勝利への執念、傷だらけになりながらそれを勝ち上がってきたソフトバンクの底力、何よりも、あらゆる逆風をはねのけただただ自らのチームの勝利のみを見据え続ける秋山監督の気迫、などを目の当たりにして、
 不安な気持ちいっぱいで、ついに始まったファイナルステージ。
 しかし、いざ、実際に試合が始まってみると、そんな悶々とした気持ちはどこかに吹き飛び、勝敗に関係なく、ただただ、名勝負に酔いしれました。
 こうして、レギュラーシーズンが終わってもなお、ずーっと、最高峰の試合を楽しむことができる喜び!
 CSに進出したチームのファンにのみ許される特権。
 まあ、幸運にも、何とか2連勝することができたんで、こんなこと言ってるのかもしれませんが。

 ありがとう、ファイターズ、そして、願わくば、この喜びが、日本シリーズまで続きますよう!
 
 連戦で息切れしているところを叩いて、かろうじて連勝、計三勝のアドバンテージと北海道開催で、おそらくこれから始まるであろうじわじわと粘り強いソフトバンクの反撃を、おさえることができるか。

 がんばれファイターズ!

 それから、ダルビッシュ、CS前には、チームに激励に来てくれてありがとう。



 一方、いよいよ、本各的なフィギュアスケートのシーズンも始まりました。

 各選手の新しいプログラムも、次々と披露されつつあります。

 先日、東京ブロック大会に出かけたことは記事に書きましたが、全国各地で、すでに年末の全日本に向けての戦いは始まっています。
 
 その時の記事にいただいたコメントによれば、昨季、フリーのプログラムに「バッハのトッカータ」を使って個性的な演技を見せてくれた岡山大学の坪井遥司選手が、そのプログラムを今シーズンも持ち越して、さらに磨きをかけ、高得点で、中四国九州ブロック大会で優勝したとのこと。
 この調子が維持できれば、全日本の台風の目となることも、決して夢ではありません。
 バッハファンとしては、今季も応援してゆきたいと思います。


 そして、バッハとくればモーツァルト?

 同じクラシックでも、バッハやモーツァルトとなると、フィギュア定番の一般的なオペラやバレエ音楽、劇的な音楽とちがって、その音楽で演技するのはなかなか難しいということで共通している気がします。
 そんな中、昨季のコストナー選手のピアノ協奏曲23番は今でも記憶に焼き付いていますが、
 今季は、我が日本のホープ、今井遥選手がフリープログラムでモーツァルトにチャレンジ。
 しかも、

 ディヴェルティメント 変ロ長調 K.137~第2楽章

 ヴァイオリン・ソナタ第32番 ヘ長調 K.376~第2楽章 (オケアレンジか?)

 セレナーデ第13番 ト長調 「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」 K.525~第4楽章

 という、最後のアイネ・クライネのロンドを除けば、思いっきり渋い、そういう意味では、難しいプログラム。

 映像を見ましたが、淡くさわやかな衣装に身を包んでの、はつらつとしていながらも優美極まりない演技は、モーツァルトそのもの。

 今井選手、上記東京ブロック大会には出場していなかったのですが、このプログラムで、すでに、ドイツで開催のネーベルホルン杯で銅メダル表彰台という好スタートを切ったようです。

 これは期待大。

 今週末、いよいよGPシリーズ第1戦、スケートアメリカが開催されます。
 スケートアメリカには、その今井遥選手が出場予定。

 氷上に華開くモーツァルトに注目!

 その他、男子は、日本からは小塚崇彦選手、羽生結弦選手、町田樹選手が出場予定。
 みんな表彰台の可能性がある有力選手ですが、個人的には、今年の春に見たショーで、その見事な侍魂?にすっかり魅せられた町田選手の躍進に期待。
(テレビ放送は男女シングルのみ、CS朝日ニュースターで今度の土曜日~月曜日にかけて生中継、BS朝日で日曜日~火曜日にかけて録画放送です。地上波はテレビ朝日で日曜深夜に男子、月曜深夜に女子のフリーが放送されるようです。)


 <10月22日追記>

 今井遥さんの、使用曲、中盤のVnソナタについて、
 事前に観た映像では録音がぼんやりしていてストリングスに聞こえ、オケアレンジか?と書きましたが、
 スケートアメリカのフリーをTVで観たところ、通常のVnとピアノの版のようです。
 また、今井さんの衣装は、鮮やかな青のドレスに変わっていましたが、モーツァルトの華やかな雰囲気にマッチしていて、より素晴らしかったと思います。



 
 さて、フィギュアとはちがうのですが、以上の内容と関連して、
 先週、バッハの音楽、しかもカンタータを使ったバレエを(テレビで)観たので、今日は、その話題を。


 第13回世界バレエフェステイバル ~Standing by the people of East Japan~

  10月15日(月)(日曜深夜) AM0:00~ NHK BSプレミアムにて放送


 3年に一度、世界中のトップダンサーが東京に集い、究極の演技を披露する、バレエ界のオリンピックみたいなイベントらしい。
 今回は、Standing by the people of East Japan と題して、東日本大震災チャリティーも兼ね、幅広い人たちに、世界のトップレヴェルの演技を観てもらうべく、その模様が特別にTV収録されたようです。
 そのおかげでわたしなどでも、その様子を楽しむことができたわけだ。

 実際には、8月2日~5日、8月11日~14日の2つに日程を分けて、ほぼ同じメンバーで、異なる内容のAプログラム、Bプログラムの2種類の公演が行われ、
 TVでは、8月3日に行われたAプログラムから11演目、8月14日に行われたBプログラムから14演目の計25演目が放送された。

 放送は全編で5時間近く、

 生で観たことのあるミハイロフスキー・バレエや、これまでプレミアムシアターなどで印象深い公演を観てきた世界中のさまざまなおなじみのバレエ団から、それぞれのバレエ団を代表する名だたるダンサーたちが集結、
 ソロやペアから群舞つきの踊りまで、このイベントならではのさまざまな組み合わせで、
 プログラムも、王道を行くクラシックから、前衛的なコンテンポラリーまで、
 当然音楽も、バラエティ豊か、しかも、東京フィル(指揮は、プログラムAがポール・コネリー、プログラムBがワレリー・オブジャニコフ)の生演奏付!
 正に、「バレエの祭典」と呼ぶにふさわしい内容で、世界最高峰の舞台をたっぷりと堪能することができました。

 今回TVで初めて知ったのですが、これは、次回は、生で観た方がよいかも。
 当然プラチナチケットだとは思うけど。


 そんな珠玉作、異色作ぞろいのプログラムの中で、ここで真っ先に触れねばならないのは、やはり、
 バッハのカンタータを使ったプログラム。

 このようなプログラムがあることはネット記事等で知っていましたが、ありがちなBWV140BWV147の編曲ものでも使っているんだろう、と軽く考えていたら、カンタータのアリア楽章をそのまま使用している、ちょっとすごいものでした。

 長い放送時間なので、ぼんやりと観ていたところ、思いがけずいきなり妙に聞き覚えのあるメロディが流れてきて、のけぞった。

 タイトルは、その名も、

 「カンタータ」(世界初演)

  振付け:N.ドゥアト
 
  ディアナ・ヴィシニョーワ(マリインスキー・バレエ)&ウラディミール・マラーホフ(ベルリン国立バレエ団)


 音楽は、あの初期の大作、カンタータ第21番(BWV21)の、第3曲、ソプラノによる、オーボエのオブリガート付アリアです。

 前述のように、オーケストラ曲は、生演奏でしたが、ソプラノ歌手の紹介等は無かったので、おそらくCD演奏をそのまま編集して使用しているのではないでしょうか。

 黒いセクシー衣装(女性は格子模様のすけすけレオタード、男性はパツパツの超ショートパンツとタンクトップの合体タイツ)に身を包んだカップルによる、曲調によく合った、しっとりとしたコンテンポラリーダンス。
 といいながらも、操り人形のような動きを取り入れた演技の中、アクロバティックな体勢やどきっとするようなポーズも続出し、難易度はかなりのものと思われます。
 踊りの解釈は、観る人によって千差万別だと思いますが、わたしは、宗教的というよりも、男女の人間ドラマみたいなものをより強く感じました。

 
 この二人、実は、Bプログラムでは、同じコンビで、何と、モーツァルトのピアノコンチェルトを踊っています。タイトルは「ル・パルク」。(振付けはA.プレルジョカージュ)
 しかも、上記した、コストナー選手の印象が強烈だった、変ホ長調(第23番)
 (こちらは、第2楽章のみ)

 こちらの方は、バッハとは打って変って柔らかな生地の白い寝間着風?衣装。
 より人間の深層心理に踏み込んだような抒情性あふれる演技で、これまたモーツァルトの音楽の持っている一面にするどく迫っていたような気がする。
 コストナーの、曇りの無い、輝くばかりに美しいモーツァルトに対して、深い陰影に彩られたモーツァルト。
 どちらも正しくモーツァルトなのだ。

 いずれにしても、バッハとモーツァルトでプログラムを組んで、ここまで完成度高く踊りこなすとは、
 さすが、これだけのイベントに登場する人たちは、ただものではない。


 その他のプログラムについて、くわしく書くスペースは無くなってしまったが、
 バレエやオペラの定番名曲はもちろん、クープランやC.P.E.バッハから、シューベルトやショパン、さらには、ワーグナーやマーラー、さまざまなコンテンポラリー・ミュージックまで、
 実に幅広いさまざまな音楽で、それぞれ個性的な演出、振付けの舞踏が次々と繰り広げられ、五時間があっという間だった。
 特に、「パガニーニ」の、ヴァイオリニストとダンサーのやり取り、ベジャール振り付けの「パルシファル」の、影をうまく使った演技などは、印象に残った。


 全体を観て強く感じたのは、バレエとフィギュアスケートの、あまりにも大きな共通点。
 上記モーツァルトのピアノコンチェルトの使用などもそうだが、
 衣装、振り付け、表現、などなど、その共通点は驚くほど多岐にわたる。
 もっとも、たいていはフィギュアの方がバレエを参考にしているのだろうけれど、中には、大のフィギュアスケート好きのバレエの振付師さんもいたりして??


 総じて言えることは、バレエもフィギュアも、音楽のよさを最大限に生かしきっていて、その音楽の魅力を何倍にもふくれあがらせている、ということ。
 音楽がバレエやフィギュアの技を引き立て、バレエやフギュアの技が音楽の新たな魅力を引き出す。



 バッハを始めとするクラシック等の音楽が、おもしろい使われ方、印象的な使われ方をしているフィギュアやバレエのプログラムを見つけたら、今後もどんどんご紹介していきたいと思っています。


 とりあえず、今週末は、今井遥選手のモーツァルトに注目!



 館山の海


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 祭りの海。(南総里見祭りより)

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 合戦?

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そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

浅田真央さん情報・最新版

宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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この記事へのコメント

2012年10月22日 12:32
バッハやモーツァルトで踊るバレエはいいいですね。
「ハクチョーコ」や「クルミ」ももちろん悪くはないですが、やや食傷気味ですし。
昔、ベジャールがバッハのコンチェルトBWV1043で振り付けしたり、ニューヨークシティ・バレエがモーツァルトのシンフォニア・コンチェルタンテを使って踊ったりしたのを(TVで)観て、気に入っていました。
今回の番組は演目を確認していなかったので、録画していませんでした。残念。
2012年10月23日 12:10
こんにちわ。

今日は、たまたま先日図書館で借りたこうの史代さんの『夕凪の街 桜の国』を読み、ヒロシマ・ナガサキ、被爆者や被災者に想いを馳せ、なぜかバッハの教会カンタータが聴きたくなり、そういえば「今の季節のカンタータはなんだろう」と思い上の記事とリンク先の記事からBWV180を聴きました。
久々だったのでどういう音楽だったかは覚えていなかったのですが、あの出だし、音がなりはじめた瞬間、こわばっていた心が一気に和らいだ感じでした。
当時の生演奏を聴いたライプツィヒの市民たちの中でも同じような思いをした人が少なからずいたんじゃないかなと思いました。

メンデルスゾーンもいいのですが、やっぱりバッハは格別(^^)
なんつーか、世界が広いというか、なんでもある、というか。
2012年10月25日 01:59
 kohさん、こんばんは。

> やや食傷気味ですし

 チャイコフスキーなどの古典バレエですと、どうしても踊りの内容が限定されてしまいますが、確かにいい点も悪い点もありますね。わたしはまったくの初心者なので、今は豪華な舞台や基本的な技等を見るだけでも感激してしまうのでいいのですが、バッハやモーツァルトだと、未知の演出や振り付けを見られる楽しみがあります。

 BWV1043や協奏交響曲ですか。どんな踊りなのか想像もつきませんが、その分ぜひ見てみたいですね。以前記事に書きましたが、最近観たラヴェルのピアノコンチェルトやショパンのピアノ曲などのバレエ曲でない音楽も、なかなかバレエにぴったりなようで、意外な振り付けもおもしろかったです。
 バッハやモーツァルトの音楽は、その最たるものではないでしょうか。
 バッハですと、G線上のアリアなんかは多いみたいですね。ロ短調ミサやマタイなども聞いたことがありますが、カンタータの普通のアリアというのは、めずらしかったです。
2012年10月25日 02:01
 たこすけさん、いつもどうも。
 BWV180は、あの「コラールカンタータ年巻」の中でも最高の一曲のひとつだと思います。(ややこしい言い方ですが、傑作ばかりなので)
 バッハのカンタータというと、どうしても受難曲を思わせるようなシリアスな曲調のものが人気ですが、一見(一聴)能天気なような長調の舞曲カンタータの中にも、決して負けない内容を持った曲がたくさんありますよね。
 ベートーヴェンの後期カルテットに、「病が癒えた感謝の歌」みたいなタイトルの清々しい音楽がありますが、このBWV180の冒頭合唱などを聴くと、わたしはいつもこのベートーヴェンの曲を思い出します。
 実に清々しいのですが、たださわやかなだけでない、何かとてつもない重大な困難を乗り越えた後の清々しさ、というか。しかも、その清々しさがどこまでもどこまでも、地の果てまでも広がってゆく感じ。そして、その後に続く舞曲の数々。
 ただ能天気なだけではない明るいカンタータ。
 特に、後期のバッハには、それが多く見られる気がします。

 だけど、やっぱり、メンデルスゾーンもいいですね。そろそろ声楽の大曲をじっくり聴いていこうと思ってるところです。 

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