小林義武先生を偲ぶ

 少し前にコメントでお知らせいただいていたことですが、今朝の毎日新聞のウェブニュースで、我が国の誇るバッハ研究者、小林義武先生が、先月末(1月26日)にお亡くなりになったという記事が配信されました。

 70歳という若さでした。

 
 小林先生は、バッハが残した膨大な楽譜等の資料に関する「科学的」研究の世界的な権威で、
 その研究は、先生自身の言葉を借りれば、
 「泉(ドイツ語では資料の意味もある)を探ることで小川(バッハ)を知る」
 という、地道な調査と職人的な技術に基づく、想像を絶するような時間と労力を要するものでした。

 先生がどれほど多くのものを我々に与えてくださったか、言葉ではとても言い尽くせません。
 さまざまな「伝説」による固定観念のヴェールに何重にも包まれて、漠然と、雲の上の超越的存在ととらえられがちだったバッハという作曲家が、先生のおかげで、生身の人間として目の前に立ち現れました。
 そして、生身の人間としてのバッハを知ることによって、かえってその真のすごさ、真の大きさを知ることができたような気がします。



 当然このブログにおいても、先生の研究成果は、さまざまなところで参考にさせていただきましたが、直接先生の研究をベースにして書いた記事があります。
 この文章を書くために、このブログを始めたような、わたしにとってとても大切な文章です。こちら↓

  S・D・G!~ロ短調ミサ曲の終曲が、なぜパロディのパロディなのか


 先生の研究に基づき、フーガの技法等についての雑感をまとめた記事。こちら↓

  「プレシシオスの鎖」とフーガの技法~紀元前1千年の地理と歴史


 また、わたしは、先生のお姿を一度だけ拝見したことがあります。
 その時の思い出を書いた記事は、こちら↓

  NEC古楽レクチャー 「ヨハネ受難曲」・作品と資料について(小林義武先生)


 上記レクチャーの内容をふまえ、ヨハネ受難曲のコラールについて書いた記事。こちら↓

  ヨハネ受難曲 「コラールの王冠」の帰還



 こうしてちょっと振り返っただけで、先生がどれだけ多くのかけがえのないものを与えてくださったか、ほんとうに計り知れません。


 小林先生の業績に心から感謝するとともに、ご冥福をお祈りいたします。



そのほかの「記事目次」

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この記事へのコメント

2013年02月28日 23:17
やっぱり本当だったんですねえ。
最後の最後まで「誤報でした~」を願っていました。無理は承知で。

ブログでリンクをはらせていただきました。いつもありがとうございます。
2013年03月02日 17:17
 たこすけさん、こちらこそ、いつもありがとうございます。
 まだまだこれから、という年齢なのに、ほんとうに残念でショックです。ただ、Cantanoさんがコメントでお知らせしてくださっていたのでこの文章も冷静に書くことができました。
 たこすけさんのように、先生の業績を正当に評価してくださる方がいて、たいへんうれしく思います。
 個人的には、先生の業績は、まだまだ一般的に幅広く浸透していないように感じられます。
 これは、小林先生やバッハに限ったことではないですが、再発売CDのライナーや名曲解説など、へたすると2、30年前、あるいはそれ以上前のものがそのまま使われていることがあります。曲や演奏そのものの魅力は、何十年もたって例え曲の位置づけ等が変わったとしても、決して色あせることはないですが、基本的な情報等はやはり最低限新しくすべきであるような気がします。

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