到達した者と再び旅立つ者 バッハ・コレギウム・ジャパンとガーディナー~カンタータ(と仏像)のニュース

 すでにご存知の方が多いことと思いますが、カンタータの世界でも、大きなニュースが続いております。こちらは、とてもうれしいニュース。
 BCJ全集とSDG巡礼シリーズについて。


 まず、BCJ(バッハ・コレギウム・ジャパン)のカンタータ全集が、ついにすべての録音を終了。同じ曲目の第100回定期演奏会も先月末に無事終了したようです。


 曲目は、BWV30BWV69BWV191の3曲。
 さすが、バッハの「最後のカンタータ」群だけあって(こちらこちらの記事参照)、トリを飾るにふさわしいラインナップ。
 ロ短調ミサ曲のグロリアの音楽でカンタータ全曲録音が締めくくられる、ということになります。
 (同じように年代順録音を基本としたコープマン全集では、やはりBWV30と、バッハが生涯にわたって手を加え続けたBWV80が最終曲でした。これはこれでよかったけど)
 これらの曲の中では中心となると思われるBWV30も、BCJは、かつてBWV30aでとんでもない超ド級名演を披露したことがあるので(こちらの記事参照)、CDがとっても楽しみ。


 記念すべき第100回定期演奏会では、終演後、スピーチで鈴木さんが小林義武先生の逝去を伝え、アンコールとしてロ短調ミサ曲の終曲が奏されたとのこと。これは、ある意味小林先生の仕事を象徴するような音楽。「感謝」の歌でもある。(記事→こちら

 正に大海を模索するようなバッハ研究に日本人として大きく貢献した小林先生が亡くなった直後、同じ日本人によってこのような快挙が成し遂げられたことは、実に感慨深いものがあります。


 ただ一点だけ、無い物ねだりのひとりごと。

 この定期演奏会に行かれた方の感想によると、カンタータの演奏はもちろんですが、やはりBWV191とアンコールが殊の外すばらしかったようです。
 以前、BCJのロ短調ミサ曲がリリースされた時に書いたことですが、ロ短調ミサ曲の性格からしても、やはりBCJには、このタイミングでロ短調ミサ曲を録音してほしかった。今のこの瞬間のロ短調ミサがやはり聴きたかった。
 さまざまな事情があるのだと思うし、あの演奏はあの演奏ですばらしいのだけれど。
 音楽は、正に、一期一会なのだ。 



 もう一つのニュース、こちらは、元祖一期一会のシリーズ、ガーディナーのSDG巡礼の旅、あらたなる出発。

 一旦「完結」したガーディナーのSDG巡礼シリーズの全集が、アルヒーフ既リリース分と未演奏曲の録音を再開。
 その第1弾の昇天節のカンタータ集(BWV11含む)が、3月20日にリリースされます。

 ご存知のように、SDG巡礼シリーズは、ガーディナーがバッハ没後250年のミレニアムの年に、世界中の教会を巡礼しながら、バッハのカンタータ全集を一気に演奏、録音した、正に一期一会のドキュメント。
 その意味では、アルヒーフ・リリース分の方が、その趣旨にはかなった演奏ではあるのですが、
 それから十数年経て円熟を増した現在のガーディナーが、果たしてどのような表現を見せてくれるのかが、今回の追加分の一番の注目点。

 しかも、アルヒーフ既リリース分には、バッハのカンタータを代表するような錚々たる名曲が多く含まれているので、なおさら楽しみではあります。



 さて、最後に、 

 突然ですが、快慶の最高傑作のひとつ、安倍文殊院の文殊菩薩半跏騎獅像(渡海五尊像)が、今年度中に国宝に指定されることが決まりました。
 安倍文殊院の文殊菩薩渡海五尊像は、やはり快慶作の兵庫浄土寺の阿弥陀三尊像と並ぶ巨大ジオラマ仏。
 快慶は、重源のもとこれらの仏像を作り、超絶仏教空間をこの世に出現させることによって人を集め、東大寺大仏復興の資金を集めたのだ。

 最勝老人と獅子君は、後年の補作なので、残念ながら除外。いい味出していて、ジオラマの中では欠かせない存在なんだけど、しかたない。
 そもそも、国宝だからといって仏像そのものの価値とは関係無いことなので、まあ、どうでもいいと言えばどうでもいいんですが、
 運慶=史上最高の仏師、運慶仏はおおむね即国宝、という仏像界。快慶の国宝仏は意外と少ない。わたしにとって、快慶こそが、仏師界のバッハのような存在なので、今回のニュースはやはり無条件にうれしい。
 もっとも、運慶の願成就院の仏像群も、仲良くいっしょに国宝に指定されるようだが。


 奈良新聞社のニューズ記事 こちら


 安倍文殊院の文殊菩薩渡海五尊像をたずねた時の記事 こちら



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