ちょっと変わったカンタータCD&またまたモテット決定盤~最近聴いたCD・バッハカンタータ編。新譜特集

 恒例、レント期間中のCDご紹介。
 先日カンタータに関するうれしいニュースをご紹介したばかりなので、これにちなんで、今日は、たまには、カンタータ等のCDを。
 しかし、ちょっと変わったCDです。

 一部リリース情報をお知らせしたCDを実際に聴いてみた、かんたんな感想。



 新ブランデンブルグ協奏曲集(ヘインズ編) 

  ミルンズ、モントリオール・バロック


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 ATMAのすばらしいカンタータ選集で知られるミルン&モントリオール・バロックが、とびっきり楽しいCDをリリースしてくれました。


 膨大なカンタータの楽章の中から、割とよく知られた協奏曲っぽい楽章(一部実際に協奏曲のパロディ楽章と想定されるものも含む)を選び出し、合唱や独唱部分を器楽パートに編曲して、6曲の協奏曲集として配列したもの。
 このブログのテーマとして、「もっとブランデンブルグ協奏曲が聴きたい方は、カンタータを聴きましょう」ということを繰り返し書いてきましたが、それを体現してくれた形。
 しかも、モントリオール・バロックのこと、演奏の、颯爽とした美しさは言うまでもない。
 楽器構成など、実際のブランデンブルグを徹底してトリビュートしている点もうれしい。


 でも、わたしなどは、合唱や独唱の声が無いと、やはり、ちょっと中途半端な気がしてしまう。
 CD第一曲目、冒頭、BWV34のあの壮麗な器楽前奏が響き渡り、さあ、いよいよ合唱、という時になっても合唱が入ってこないでそのまま終わってしまうと、肩透かしを食ったような・・・・。
 また、BWV99BWV80のアリア(これらは緩徐楽章として使用)も、何となく伴奏だけみたいなイメージが。

 ただ、これからカンタータ入門をしたい、という方には、かけがえのない贈り物になるでしょう。
 この「新しいブランデンブルグ協奏曲」に親しんで、お気に入りの楽章が見つかったら、次にはぜひ原曲にチャレンジしてみることをおすすめします。
 ここで使用されている曲は名曲ぞろいなので、バッハの本領である、人間の声による音楽に接し、新たな感動を得られること請け合いです。



 バッハによるイマジナリー・カンタータ

   シュトゥッツマン&オルフェオ55、ミカエリ室内合唱団


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 こちらも、膨大なカンタータ楽章の中からのセレクトですが、編曲ものではなく、原曲どおりのものを再構成して、新しい大作カンタータをつくりあげた、という体の作品。


 この記事の最初に触れたガーディナーのSDG巡礼シリーズ等、バッハのカンタータの名演奏でも知られるシュトゥッツマンさんが、構成、歌&指揮を担当。
 当然、基本的には、よくあるアルトやメゾソプラノのためのカンタータ・アリア集に近いものですが、合唱曲やシンフォニアも多く挿入されており、また、マタイのアリアや管弦楽組曲のアリアなど、カンタータ以外の曲も含まれているので、バッハ名曲集と言っていい内容になっています。
 従って、こちらも、カンタータ入門、バッハ入門に最高。

 シンフォニア+何曲かのアリアのセットという単位をいくつも連ねて、BWV147の有名なコラールで全曲が閉じられる、全18曲、一時間を超える大作。
 バッハのカンタータ等が体にしみこんでいるシュトゥッツマンさん、選曲&構成には相当気合を入れて、熟慮したようで、通して聴いても、聴きごたえのある「作品」になっています。


 個人的には、知る人ぞ知る名曲、単独のアリア楽章、BWV505508の、これ以上考えられないような美しい演奏が収録されていることが、一番の収穫。
 (BWV505は、シェメッリ歌曲集中の真作と見られている一曲。BWV508は、アンナ・マクダレーナ音楽帳中のゴットフリート・ハインリヒ・シュテルツェル原曲の歌曲)


 やはりこの記事の最初に触れたBCJの全集最終巻にも収録される予定の、BWV30の「不思議なリズムのアリア」が、冒頭、BWV42シンフォニアの後でいきなり歌われるが、このアリアの演奏が、歌、オケともに、たいへんな名演。



 最後に、またか?とあきれる方もいらっしゃると思いますが、またまたバッハのモテットの決定盤。
 ど真ん中の演奏であるとともに、限りなく「カンタータ」に接近した、「ちょっと変わった」一面も持っています。


 バッハ モテット集

  アンサンブル・アマルコルド、カチュナー&ラウテン・カンパニー


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 バッハのモテット集に関しては、この前、めちゃくちゃ楽しい(ある意味破天荒な)、ヴォーチェス8のCDをご紹介しましたが、
 こちらは、トマスコアの元少年合唱団員によって構成されるアンサンブル・アマルコルドの、十八番中の十八番、ど真ん中の見事な演奏。純度の高い、透明感あふれるハーモニーによる、正統的演奏の究極の形。(OVPP)
 とはいうものの、鮮烈な快速調のテンポ設定や一人一人の即興的な表現など、個性的な魅力、おもしろさにも欠けていない。
 さらに、この演奏も、ヴォーチェス8の演奏と同じく器楽伴奏つきで、この器楽伴奏がまた、飛びっきり鮮やかで美しい。
 それもそのはず、器楽を担当しているラウテン・カンパニーは、ヘンデルをはじめとするバロック・オペラその他のアリア集等で、斬新なアルバムを次々と生み出しているグループ。
 このラウテン・カンパニーの演奏が、このモテット集を、極めてスタンダードであると同時に、ちょっと、というか、かなり変わった性格のものにもしています。

 結局、これらまったく個性の異なる二つのグループが一つになって、予想をはるかに超える化学反応を引き起こしている、というわけです。
 鮮烈な器楽による対位法演奏と、澄みきったヴォーカルによる対位法演奏とが、さらに対位を重ね、最終的に、不思議なことに、極上のカンタータ演奏を連想させる作品となっています。

 なお、このCD、ラウテン・カンパニーによる、カンタータのシンフォニアがおまけについているお得盤。
 全体のカンタータ的な雰囲気ゆえに、モテットの間に挟み込まれたこれらのシンフォニア演奏も全く違和感無く、トータルアルバムとしても楽しめる仕上がり。

 いずれにしても、現時点では、バッハのモテット集の決定盤の一つ、と言ってよいCDでしょう。



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