インド映画と京劇(+中国歴史ドラマ)~インド&中国な5月のアルバム【三位一体節後第1日曜日】

 今度の日曜日(6月2日)は三位一体節後第1日曜日。


 カンタータは、

 第1年巻の、BWV75
 第2年巻の、BWV20
 後期の名作、BWV39

 の3曲。


 過去記事はこちら↓


 <三位一体節後第1日曜>

    始まりはいつも Overture(BWV20、75他)
    (参考資料) コラールカンタータ年巻 「始まりの4曲」 一覧
    きちんと曲目解説~年巻の始まり。この機会に用途不明テキストカンタータの名作を
    バッハの「第3年巻」~BWV39、34の話題を中心に


 先週お知らせしたように、今週から、1年の後半、夏~秋のシーズンが始まり、三位一体節後第○日曜日、というようになりますが、ちょうど今の時期にバッハはライプツィヒに赴任したので、バッハのカンタータ年巻もこれから始まることになります。
 今週のカンタータが壮麗な序曲から開始されるものが多いのもそのためで、これから「カンタータ年巻」を作り上げていこう、という気合もこめられているわけですね。

 いずれにしても、バッハの「カンタータ年巻」を通して聴いていこう、という方、絶好のチャンスです。

 若々しい覇気と実験精神にあふれ、従ってバラエティに富んでいて、ケーテンの香りも色濃く残る、第1年巻。

 バッハの生涯の最高傑作である、巨大な「作品」、第2年巻=コラール・カンタータ年巻、

 バッハ後期の自由闊達、自在の境地のカンタータ群、第3年巻。

 第2年巻を超える、幻の最高傑作?の片鱗、ピカンダー年巻。

 
 それぞれ、個性的な、バッハを代表するような「最高傑作」ばかりです。

 今後ともよろしくおつきあいください。
 


 今週は、とってもインド&中国だった、5月のアルバム。

 過去記事を見たら、去年の今頃も、インド映画観ているな。



 ボリウッド4より

 タイガー 伝説のスパイ EK THA TIGER

  @ シネマート新宿


 2012年、インド映画、カビール・カーン監督作品


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 愛し合う二人は敵国のスパイ同士。

 バイクに乗って走っている一般人をバイクから叩き落としてバイクを強奪しちゃダメだろ、とか、
 自分のことを信頼している同僚や部下たちをだましてさんざん危ない橋を渡らせておいて、最後に裏切ったらダメだろ、とか、
 突っ込みどころ、しかも人間として激しく突っ込まないといけないところが満載だが、そういうことを考えてはいけない。
 愛する二人が逃げ延びることこそが至上の目的。そのためにはすべてが許されるのだ。

 開き直ってそう信じ込むようにすれば、(かなり困難だったが)
 始めから終わりまで、すさまじい奔流に飲み込まれたかのように一気に楽しめる、究極のジェットコースター・ムービー。

 しかも、舞台は、インドのニューデリーから、バクダッド、アイルランド、イスタンブール、そしてハバナ、と世界中をめまぐるしく移動してゆき、それぞれの都市の美しい風景と、すばらしい音楽が満載、それらだけでもぜいたく、十分楽しめる。
 ハバナでは、美しい海や建築だけでなく、景色のいたるところに古いアメ車をちりばめるなど、細かいところまで凝りに凝っている。
 そのキューバや、さらにはアイリッシュダンスの本場演奏家&ダンサーと、などとおなじみインドダンスの究極のコラボも。
 もっとも、二人が通り過ぎたところは、どこもとんでもない大参事となるのだが。

 大参事の原因となるのが、とにかく笑ってしまうほどものすごいアクション。
 ふつうだったら絶対CGだろ、というところまで、実写で撮っているようで、ちらかしまくり、壊しまくり、とびまくり、やはりCGとは迫力がまるでちがう。
 ただ、撮影中、けが人、へたすると死人がでてないんだろうか、と心配になってしまう。
 主役の二人も基本的にはスタント無しで演じているとのことだが、サルマン・カーンはともかく(けっこうお歳のようだが)、
 カトリーナ・カイフさん、インド映画のトップ女優さんだというのに、どうしてここまでできるんだ!?

 ラスト、絶体絶命と思われた主人公・タイガーが、飛行機の扉から満面の笑顔でぬ~~っと顔を出すところ、おそらくクライマックスの感動シーンなのだろうが、あまりの恐ろしさに夢に見そうだ。

 なお、この映画、社会派監督として知られるカビール・カーンの撮ったエンターティンメント大作。
 確かにRAW対ISIという設定や、ロケ地の選択に、社会派監督らしい部分もないこともないが、あまりの内容のすごさにそれらはどうでもいいことに思えてくる。案外、それが監督のねらいなのかも?
 ドキュメンタリー等の撮影で長期滞在したというアイルランドやイラク、キューバなどの風景の美しさや音楽のすばらしさを、インドの人たちに伝えたかった、という監督の気持ちは、十分伝わってきた。


 シネマート新宿では、ボリウッド4 ザッツ・エンターティンメントと称して、よりすぐりのインド映画4本を特集上映していた。
 手作りの飾りや展示等も楽しく、さながらミニインド映画祭の様相を呈していた。


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 日中平和友好条約締結35周年記念事業

 京劇三国志 趙雲と関羽

  @ 東京芸術劇場 プレイハウス


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 「三国志」より、長坂坡の場面を中心にした演目。
 趙雲子龍の魏軍からの阿斗ちゃん救出劇と、関羽雲長が漢津で劉備を救出するシーン。
 それぞれ、同じ役者の方(趙永偉 ジャオ・ヨンウェイさん)が、趙雲と関羽を演じる。

 本格的な京劇を観たのは初めてだったが(ずっと以前、名場面集的な公演を見たことがある)、豪華で迫力あふれる舞台は、衣裳、演技、歌、踊り、すべてが圧倒的で、心から楽しめて、貴重な体験だった。

 しかし、何もかもが初めて、まったく予備知識無しで行ったものだから、舞台から放射されるエネルギーの奔流に圧倒されれば圧倒されるほど、??な疑問点、突っ込み点続出、
 終演後に、会場ロビーで販売していた「京劇役者が語る京劇入門」(魯大鳴・著、駿河台出版社刊)というのを購入してしまった。

 まだ読み込んではいないのだが、この本によると、京劇の、華麗さや迫力だけではない、驚くべき奥深さや繊細さがよくわかる。

 京劇は、歌舞伎などとは異なり、基本的には大規模で豪華な舞台セット無しで、四角いシートというか、絨毯が敷かれた上で、役者だけが演じる。(時々最低限のシンプルな小道具は登場)
 その分、役者の衣裳や髪型、メイク、持ち物などは、過剰なまでに絢爛豪華、複雑なのだが、その一つ一つに、細かい約束事や意味が定められているらしい。
 さらに、役者の一つ一つの動き、決めポーズや立ち回りはもちろん、細かい表情や体の動き、歩き方、複数の登場人物の配列や移動の仕方にまで、隠された意味があるようなのだ。
 例えば、主な役者が持っているいくつかの房がついた、手品みたいにまっすぐに伸びたりしなったりする鞭は、馬そのものの存在を表していて、その使い方によって、馬に乗り降りしたり、馬を疾走させたりする様子を表現するとのこと。なるほど、確かにそういう感じはした。 
 音楽に関しても、実に多種多様な楽曲や効果音が登場するのだが、楽器編成やモチーフ、リズム、そのすべてが、細かい意味を持っているとのこと。まるで、バッハの音楽象徴。

 音楽で言えば、イメージしていたよりずっとメロディアスな「歌」がたくさん登場するので、驚き、感動した。
 それにしても、みなさん、ものすごくうまい。歌の心がストレートに響いてくる。特に曹操役の人(魏積軍 ウェイ・ジィジュン)。
 趙雲と関羽の2役をやった主役の方(趙永偉 ジャオ・ヨンウェイ)も、前半のすさまじいアクションから立ち回り専門の方(武生 ウーション)だと思うが、後半の関羽の役では、朗々たる歌も披露して、何でもできるのだと感心。
 また、この関羽と馬丁の二人の踊りなど、まるでバレエそのもの。
 真の総合芸術だ。

 それにしても、同じ方が演じたにもかかわらず、趙雲は趙雲そのもの、関羽は関羽そのもので、まったく異なって、それぞれ見事で、
 カーテンコールでは、まぬけにも、一瞬、何で、趙雲の人は出て来ないんだ?と思ってしまったほど。
 

 これは、是が非でも、さまざまなことを最低限マスターしたうえで、再び京劇鑑賞にチャレンジしたい。

 ただ、冒頭真っ先に書いたように、京劇は、何の予備知識、専門知識無しでも、十分楽しめます。
 この点も、バッハと同じ。 


▽ リニューアルなったプレイハウス。

  初めて入ったが、いかにも演劇場風の、粗いレンガ造りを基調とした内装。

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 現在夢中になってドラマを観ている三国志が演目だったのもよかった。
 観ているのは「三国志 Three Kingdoms」
 昨年、BSでおしまいの方を観て、あまりのすごさに驚いて、(記事こちら
 現在、改めてレンタルで順番に観ているところ。(一応スカパーで全部録画したのだが、やはり、原語版が観たい)

 基本的には、京劇における役者のせりふや所作、アクションなど、ドラマとあまりにも同じで驚いた。舞台を観ていると、ドラマの場面、役者の顔が浮かんできた。
 これはもちろん、逆に、ドラマが京劇などの伝統をとても大切にしている、ということなのだろう。

 このドラマ、一方で、現代最先端のドラマらしく、最近の研究に基づく史実も尊重して、大きな流れはそれに沿っているので、
 魏関連の場面(特に曹操!)、呉関連の場面のすさまじいリアリティ、迫真性に対して、蜀のシーンは、実際の歴史的な動きと随所が物語的、お芝居的な登場人物のせりふや行動が、どこかちぐはぐ。
 製作者も、その点は心得ていて、ある意味、確信犯的にやっているところがあり、魏サイド、呉サイド、いわゆる演義上の悪役サイドから、ことあるごとに、劉備側に対して「口だけの奸賊」というようなことを言わせている。
 その分、「兄弟」たちが死んで以降、劉備がある意味本性を現して突っ走るところがすさまじかった。
 

 ドラマつながりで、ちょっとつけたし。

 今度は、WOWOWで、上記とほぼ同じスタッフによる「項羽と劉邦 King's War」(原題:楚漢)が始まった。

 呂布が項羽、魯粛が張良、張飛が樊噲、袁紹が趙高、曹丕が胡亥、荀彧が李斯など、ドラマ「三国志」ですっかりおなじみの方々(それぞれの名前は全く知らないけど)が、主な登場人物をそのまま演じていて、しかも、役柄上もまったく違和感なく、それだけでわくわくする。
 さらに、友情出演、ということで劉備が始皇帝を演じていて、劉備と始皇帝ではかなりキャラがちがうのでは?と思われるかもしれないが、ドラマ「三国志」における上記のような劉備像もあり、最後のワンマン皇帝としての暴走ぶりがすさまじかったので、意外にも?これもぴったり。
 一番好きだった曹操が出てこないのがさびしいが、曹操だけは、曹操以外の何物でも無く、(おー、これは曹操が最後に言ったことだ)ちょっとムリだったのかも。

 いずれにしても、このドラマ、「三国志」以上にていねいにじっくりとそれぞれの人物やできごとを描いていて、まるで大河の流れそのもののような流れに、毎回次の回が待ちきれない思いだが、歴史として知っている今後の壮大な展開を思うと、ほんとうに今後が楽しみ。

 
 なお、これらのドラマについては、全編見終えた後、また改めて感想を書きたいと思う。


▽ 「関羽像」 柳沢淇園(東京国立博物館にて撮影)

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 こいのぼりと甍の波


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