ブルックナー3番の諸相~今年前半聴いたCD・ブルックナー編(CD情報付)【三位一体節後第8日曜】

 今度の日曜日(7月21日)は、三位一体節後第8日曜日。


 カンタータは、

 おそらく初期作を改変した、BWV136
 第2年巻のコラール・カンタータ、BWV178
 後期のBWV45

 の3曲です。


 過去記事は、こちら。↓


 <三位一体節後第8日曜>

    三位一体節後第8日曜(BWV45他)
    真夏の幻影、あるいは「夏の夜のオペラ」(BWV45、168)



 今週は、恒例、夏のブルックナー。



 ブルックナー、と言えば、いつものNDRのインターネットラジオで、夏の音楽祭の開幕を告げるコンサートが中継され、プログラムには、またブルックナー(4番)が上がっていたようだ。(rbhhさんが、ご自分のブログに貴重な情報をのせてくださっていた)

 わたしはいまだにヘンゲルブロックのブルックナーを聴けずにいて、それに加えて、その日は、グリモーの弾くシューマンのピアノコンンチェルトとの組み合わせ、という夢のようなプログラムだったので、その日が来るのを、もうずうっと前から楽しみにしていたのだが、
 夜型生活の悲しさか、8日の午前3時から、というのを、8日の夜中の3時だとばかり思い込んでいて、聴きそこなってしまった。
 録音して永久保存版にしよう、と準備を始めた頃には、すでに放送は終わっていた、というわけだ。

 大失敗。
 とりかえしがつかないけれど、しかたない。
 縁がああれば、チャンスはめぐってくるだろう。今後のお楽しみ、ということで。


 かわりに、とっておきの、ヘンゲルブロックのCD情報を。

 日本ではまったく話題にもならない、ソニー・クラシカルのヘンゲルブロック&NDR響のシリーズですが、
 新譜は、なんと、シューベルト第8番!(以前第9番・グレートと言われていた曲) 

 CD情報は、こちら。(HMV公式)

 シューベルトの大交響曲、ヘンゲルブロックにぴったりな感じなので、これは楽しみ。

 すでに、7月17日にリリースされ、現在届くのを待っている。
 早く天翔けるフィナーレを聴きたい!



 以下、今年前半に聴いて、気になったブルックナーCD。 



 ブルックナー 交響曲第3番

  ロリン・マゼール ミュンヘン・フィル


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 今は地上波の「クラシック音楽館」に昇格した「特選オーケストラライブ」で、マゼールがN響に客演した演奏会は何度か観て、そのただ事ではない自由奔放な指揮ぶりにはすっかり感銘を受けていた。
 ブルックナーの3番は、今やそのマゼールの十八番とのことで、ミュンヘンフィルの来日公演でも圧倒的な名演を聴かせてくれたそうなので、CDではあるが、わたしも聴いてみた。
 美しい所はとことん美しく、壮大なところはオーケストラを鳴らしきってとことん豪放に、とにかくやりたいことをやりたいだけやりつくした大演奏だった。
 この指揮者ならではの、ありあまる天才的なひらめきやアイディア健在で、いわゆる個性的な表現が続出、面白いことこの上なく、びっくりさせられ通しだが、(特にフィナーレのワルツ!)
 それらがまったく技巧的ではなく、自由闊達の境地で楽興のおもむくまま楽しんでいる、という風情で、すべてが自然、すばらしい「ブルクナー演奏」だと思う。


 と、いうわけで、始めから終わりまで圧倒されっぱなしだったが、最もすさまじかったのは、最後の最後、フィナーレのコーダ。
 そういう意味でも交響曲演奏の王道と言うべき演奏だと言えよう。

 わたしはこれまで、この曲のフィナーレのコーダに関しては、クナッパーツブッシュの晩年の演奏のド迫力を超えるものはないだろうと思ってきたが、驚いたことに、それに迫るか、もしかしたら上回ってしまっている。

 あたかも花火の4尺玉を思わせる、エネルギーのたかまりのような音塊が、不器用な果てしの無い上昇を続け、それがついにこれ以上は上れないという限界に達したとき、天地を揺るがすような大音響が響き渡り、まばゆいばかりの光と音が炸裂し、世界に降り注ぐ。
 しかし、それをもたらしたエネルギーのかたまりは、実はなおも飛翔を続けており、自らがもたらした音と光の氾濫をすぐ眼下に見下ろしながら、さらなる高みへ、異なる次元へと、ゆるやかに、しかし決然と向かおうとしている。高く、強く。
 この曲のフィナーレのイメージをむりやり文章にすると、こんな感じなのだが、この拡散するエネルギーと高く凝縮するエネルギーの二極構造を、これほどまでに鮮烈に、壮大に描き切った演奏を、わたしは他に知らない。
 つまり、始めの炸裂が、もうこれ以上はありえないというくらいのすさまじさなのにもかかわらず、音楽はさらにどんどん高く、強くなってゆくのだ。

 そして、このコーダ全体を貫く、大きな大きなリズム!
 それこそ「宇宙が鳴動」するかのように強大だが、まるで浮遊しているかのように軽やかでもある。
 正に、天才ならではの表現!必聴!

 こんな演奏を生で聴けた方がほんとうにうらやましい。



 ブルックナー 交響曲第3番(マーラー編ピアノ連弾版)


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 ウィーン・フィルによるブルックナー3番初演の歴史的大失敗演奏会の客席に、若きマーラーがいて、唯一人?心ときめかせ舞台に熱いまなざしを送っていたという話を聞いたことがあるが、このCDは、そのマーラー自身の編曲によるピアノ連弾版。
 当然、交響曲を聴く、という感覚ではないが、美しいピアノの音色で次々とていねいに紡ぎだされる、3番ならではのあの心に染み入る楽想の数々が、たまらなく愛しく、ファン必聴。

 心に染み入る楽想、ということでは、何と言っても2楽章が白眉。
 ならば、上記演奏会でマーラーが聴いたのは当然初稿だし、ここはあの、夢のような美しさがこれでもか、これでもか、と盛り込まれた初稿アダージョが、ぜひ聴きたいところだったが、当然、ここで編曲されているのは、最も一般的な弟3稿。
 しかし、それでも十分に楽しめる。

 一方、マゼール盤であれだけ圧倒されたフィナーレのコーダなどは、ピアノで聴くと、なんてシンプルな、これならわたしでも書けるんじゃ、などと思えてしまうのが、ブルックナーのおもしろさ、こわさ。当然書けるわけもないんだけど。

 ブルックナー交響曲の編曲ものでは、夢のように美しかったリノス・アンサンブル白神典子さんのピアノ版バボラーク他チェコ・ホルン・コーラス(以上、すべて7番)等、ご紹介してきましたが、これも、それに迫るクオリティを持ったCD。
 常に手元に置いて、ブルックナーの愛すべき楽想たちを気軽に楽しみには絶好のアイテム。
 邪道盤というなかれ。ピアノのブルックナー、意外と味わい深い。



 おしまいに、3番ではないけれど、大注目版。


 ブルックナー 交響曲第6番

  ヤニック・ネゼ=セガン指揮、メトロポリタンO


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 後期大作で、大きく深い呼吸の、悠々たる大演奏、しかし、明るく美しい、「いつもそばに置いておき、どんな時でも聴きたくなる」ような超名演を聴かせてくれたネゼ=セガン、
 この6番では、オペラや有名交響曲等で暴れん坊ぶりを見せてくれる、いつものネゼ=セガンに戻って、とびっきり鮮烈な、正に目の覚めるよう演奏を聴かせてくれます。
 しかも、美しさはそのまま、呼吸の深さはそのままビートの深さとなって、誰にでもおすすめできる演奏でもあります。



 あいかわらず百花繚乱のブルックナーCD、他には、

 ヤング姉さんの0番こちら

 アバドの1番こちら

 (1番は、5番などと並ぶアバドの十八番!)

 などがついにリリースされるみたい。

 心して待つ!


 また、こんな驚愕の内容、価格のCDも。

 Profilレーベルのブルックナー・コレクション

 こちら

 ほとんどCDで聴くことのできる曲の全集と言ってもよい構成で、これまでご紹介してきた名盤もけっこうカヴァーされている。

 同じくヘンスラー氏による有名なバッハ全集は、CDにして170枚を超える大全集だが、今回のブルックナーは、20枚。
 枚数は少ないけど、かけがえが無いことでは決して変わらない。音楽ファン必携アイテムと言ってよい?



そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

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