心ときめくレア音源集~最近聴いたCD・R.シュトラウス&ブルックナー編

 今日(5月4日)は、復活節後第2日曜日。

 この祭日は、さまざまな年代にわたる、春を代表する名作カンタータがずらりとそろっている、バッハファンにとっては特別な「田園の日」です。

 ライプツィヒ1年目、冒頭大合唱がまぶしいBWV104、
 2年目、アリアの花園、BWV85、
 後期、年巻補作のためのコラールカンタータ(全詩節テキストカンタータ)、BWV112。

 折しも若葉萌える季節、連休のまっただ中、
 今年も、これらのカンタータを聴いて、バッハが用意してくれた春の野辺で憩いましょう。


 過去記事は、こちら↓


  <復活節後第2日曜>

    鋼のようなやさしさ・「田園」 パストラーレ(BWV104、85、112)
    お気に入りの仏像 奈良駅周辺編+復活節後第2日曜日(BWV104)



 今日も、CDの感想メモ。



 ジ・アザー・シュトラウス~ R.シュトラウス秘曲集

  プラッソン&ドレスデン・フィル、サヴァリッシュ&フィラデルフィア管、ストックホルム放送合唱団、他


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 WARNERレーベルのシュトラウス生誕150周年記念盤。レアな音源集。
 
 他に、オーケストラ曲全集BOX(ケンペ指揮)、グレート・オペラBOXが同時にリリースされており、それ以外の曲を集めたBOXだから、「ジ・アザー」。(歌曲はいずれにも未収録)
 従って、この後ご紹介するブルックナー集のように、コンセプトに従った新録音ではなく、WARNERの膨大な音源の中から、珍しそうなものをかたっぱしから集めた感じ。そういう意味では、たいへんなお得盤。
 記念の年なので、わたしもこれを買ってみた。

 とにかく、聴きものは、合唱曲!私も初めて聴いた曲多し。
 この世のものとは思えぬほど美しい、合唱の「4つの最後の歌」と言った趣の、「一日のうつろい」Op.76、
 そして、長大なモテット Op.62。(これを聴きたいので購入した)
 ゆるやかな息の長い旋律、やはり呼吸の深いリズム、まるで、シュトラウスならではの華麗なオペラや管弦楽曲の世界を、そのまま無伴奏合唱に移行したような豪華さ。聴きなれたフレーズがたくさん登場するのも楽しいが、オペラや管絃楽曲よりも、調性やリズムの上でずっと現代的・前衛的な部分が続出するところが何とも新鮮でもある。
 そして後半の、静かに開始されながら、ラストに向かって巨大な渦の中に溶け合ってゆくようなフーガ!シュトラウスのこんなにしっかりとしたフーガが聴けるなんて。
 この最後のモテットのすばらしさについては、ロ短調ミサなどでも圧倒的な名演のある、北欧の「合唱の神様」、エリック・エリクソンの文字通りの神がかった凄艶によるところも大きい。  
 その他には、サバリッシュ&フィラデルフィア管の祝典前奏曲なども懐かしかった。
 最後に収録された室内楽なども、まだ聴いたことの無い方には、何よりの掘り出し物だろう。

 室内楽もすばらしい。わたしは激安室内楽全集を愛聴しているが、今回のセットに収録されているのは、名曲の名演奏ばかり。
 シュトラウスの室内楽、もっと聴かれるべき。


 収録音源(HMV公式HPより)

 R.シュトラウス

・吟唱詩人タイユフェ Op.52
・さすらい人の嵐の歌 Op.14
・1日のうつろい Op.76
 フェリシティ・ロット(ソプラノ)
 ヨハン・ボータ(テノール)
 ミヒャエル・フォレ(バリトン)
 エルンスト・ゼンフ合唱団
 ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
 ミシェル・プラッソン(指揮)
 録音:1997年 (EMI)

・ドイツ・モテット Op.62
 ストックホルム室内合唱団
 ストックホルム放送合唱団
 エリック・エリクソン(指揮)
 録音:1970~1971年 (EMI)

・祝典前奏曲 Op.61
 フィラデルフィア管弦楽団
 ヴォルフガング・サヴァリッシュ(指揮)
 録音:1993年 東京、サントリーホールでのライヴ (EMI)

・『化粧室の女神』
・『夕べ』
 ストックホルム放送合唱団
 エリック・エリクソン(指揮)
 録音:1972~1973年 (EMI)

・歌劇『グントラム』 Op.25~第1幕への前奏曲
・歌劇『無口な女』 Op.80~ポプリ
・歌劇『影のない女』 Op.65による交響的幻想曲
 ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団
 ジェフリー・テイト(指揮)
 録音:1991~1992年 (EMI)

・ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 Op.18
 ヴァディム・レーピン(ヴァイオリン)
 ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)
 録音:2000年 (Erato)

・チェロ・ソナタ ヘ長調 Op.6
 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(チェロ)
 ヴァッソ・デヴェッツィ(ピアノ)
 録音:1974年 (EMI)

・チェロと管弦楽のためのロマンス
 アルト・ノラス(チェロ)
 ノルウェー放送管弦楽団
 アリ・ラシライネン(指揮)
 録音:2006年 (Finlandia)



 ブルックナー・アンノウン ~ 室内管弦楽用編曲および補筆完成された作品集


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 レア音源集つながりで、次は、ブルックナー。

 ブエノスアイレス生まれの気鋭の作曲家&指揮者、リカルド・ルナにより室内管弦楽用編曲および補筆完成された作品集。こちらは、コンセプトに基づく新録音。

 世界発録音を含む、レア楽章のオン・パレード!

 演奏も磨き抜かれており、究極の室内ブルックナー。
 最初期と最晩年の、誰も聴いたことの無いブルックナーを、楽しめるぜいたく。

 まず、初期曲のスケッチやフラグメントがたまらない。
 今わたしたちが普通に聴いているものより、「ブルックナーらしい」??

 そして、第9スケルツォの破棄されたトリオたちや、フィナーレのフラグメントの何という美しさ、楽しさ。
 第9フィナーレに関しては、補完版については昨年記事に書いたばかりのシャラーの録音等、フラグメントについてもアーノンクールの録音を筆頭に、今では素晴らしい録音が目白押しなので、室内楽編曲のフラグメント録音の価値は、昔ほど重要とは言えないかもしれませんが(わたしの若いころは、ラジオでやったピアノ演奏をカセットに録って、くりかえし聴いたものだ)、それでも、初めて聴く人にとっては、計り知れない魅力にあふれいていることでしょう。
 一方、スケルツォのトリオ初期稿、
 聴き馴染みあるような、どこか懐かしいいつものブルックナーのスケルツォなのに、わたしたちがこれまで一度も聴いたことの無い極上のトリオを聴くことができます。そして、それが、だんわたしたちが知っているどこか神がかった最終的なトリオへと次第に移り変わってゆくさまは、すべてのブルックナーファンに聴いてもらいたい貴重音源。(ブルックナー第9スケルツォトリオ初期稿についての記事は、こちら

 これらの普段聴かれることない第9の魅力あふれる姿。何と輝かしいことか!


 収録曲(HMV公式HPより)

 ブルックナー:

1. 交響曲変ロ長調(1869) 第1楽章のスケッチ [2:19]
2. 交響曲第1番ハ短調(1865-66年原典版) アダージョ(フラグメント) [15:33]
3. 交響曲第1番ハ短調(1865-66年原典版) スケルツォ [6:47]
4. 交響曲第9番ニ短調 スケルツォ(1894) [4:05]
5. 交響曲第9番ニ短調 破棄されたトリオ第1番(1889) [3:55]
6. 交響曲第9番ニ短調 破棄されたトリオ第2番(1893) [2:12]
7. 交響曲第9番ニ短調 トリオ第3番(1894年最終稿) [2:52]
8. フィナーレ(フラグメント)(1895-96/フィリップス校訂作業に基づく) [22:24]
9. 『キリストはおのれを低くして』 WAB.10(1873年原典版) [4:29]



 ブルックナー 交響曲第2番(ペイン編曲室内楽版)&J.シュトラウス2世 ワルツ「酒、女、歌」(アルバン・ベルク編曲版)

  ピノック&ロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック・ソロイスツ・アンサンブル


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 これまた、びっくり録音。

 ピノックのブルックナーを聴くことになるとは夢にも思わなかったが、そんなことなどどうでもよくなってしまうような美しさ!
 こちらも、本格的な、究極の室内楽編曲。

 以前、ピノックのブランデンブルクを聴いて、何だかこの人もただ事ではない境地に突入したな、と思っていたが、正しくそのとおりだった。

 曲が、2番というのも、よかった。今度、既発売のマーラー4番というのもも聴いてみたい。

 ワルツもすばらしく気が利いており、はじめこれもペインさん編曲だと思い、あの名高い新ウィーン学派編曲に迫る出来だな、と思ったら、こちらはアルバン・ベルク編曲そのものだった。



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この記事へのコメント

ANNA
2014年06月04日 13:53
Noraさん、こんにちは。

4つの最後の歌、本当に美しい曲ですね。私も大好きな曲になりました。少しずつ他の作品も聴いていますが、オーボエ協奏曲の第二楽章、アンダンテも美しいですね!
「夕映えに」で感じる安らぎ、憩いながら来し方を静かに振り返るような…私はそんな風に感じながら聴いています。曲を聴きおえた時、光のヴェールに包まれたような、とても満ち足りた、しあわせな気持ちになります。

Op76「1日のうつろい」が4つの最後の歌の合唱版といった趣きと伺って、ぜひ聴いてみたいと思ってます。楽しみです!
2014年06月06日 11:01
 ANNAさん、こんにちは。

> 光のヴェールに包まれたような、とても満ち足りた、しあわせな気持ち

 ほんとうにおっしゃる通りですね。
 シュトラウスの晩年の作品を聴いていると、透き通った微光というか微風というか、何とも言えない清々しいものを感じますが、この感覚は、他の作曲家ではあまり感じることができない独特なものだと思います。

 シュトラウスというと、ハデで豪華絢爛なオペラや管弦楽曲のイメージがありますが、晩年作品の魅力にどっぷりはまってから、過去の作品に遡ってゆくと、意外に早い段階からこれらの要素が芽生え始めていることに気が付きます。
 先日聴いた、Op.79のオペラ「アラベラ」でも、ANNAさんのおっしゃる「光のヴェール」を堪能することができましたが、「一日のうつろい」も、ちょうど同じころの作品だと思います。

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