この夏いつも手もとにあった廉価BOXセット【三位一体節後12】

 今度の日曜日(9月7日・三位一体節後第12日曜日)のカンタータは、


 バッハが作曲(=補作)し、演奏した、現存する最後のカンタータ、BWV69a、(原曲は第1年巻の作品だが、最晩年に市参事会用に編曲)
 3年目に、コラールカンタータ年巻補完目的で作曲された、名高いルターの讃美歌に基づくテキスト・カンタータ、BWV137
 コンチェルトBWV1059の原曲でもある、アルトのためのソロ・カンタータの名作、後期のBWV35
 
 どの曲も一筋縄ではいかない、夏のカンタータを代表する「大人の名作」。

 
 過去記事は、こちら。↓


 <三位一体節後第12>


    三位一体節後第12日曜(BWV137、35、69a)



  ☆    ☆    ☆



 8月も終わり、今年の夏を振り返ってみると、例年以上の異常気象でまた大きな災害がいくつもおきてしまいました。
 これから台風シーズン本番ということで、今後も心配ですが、これ以上の災害が起きないよう、祈るばかりです。


 そんな中、明るい話題を提供してくれたのがスポーツでした。
 この夏は、水泳パンパシフィック大会、柔道世界選手権、などなど、連日熱戦続きで目が離せませんでした。
 今後大いに期待が持てるような新しい力がどんどん台頭してきていて、本当に楽しみ。
 特に水泳、自由形までこんなに世界と戦えるレベルになっているとは思わなかった。

 世界と戦う、と言えば、錦織選手、全米オープンテニス、ベスト4進出!
 自身初のグランドスラムベスト4進出。錦織選手の実力からするとこうなるのも時間の問題という気もしていたけれど、いずれにしてもたいへんな偉業です。
 激闘が続いていますので、ケガ等も心配ではありますが、こうなったら最後まで行ってほしい!


 野球では、ついに、ついに、稲葉さん、今季限りで引退。

 今年のファイターズ、下位グループには差をつけてずっとCS圏内の3位はキープしているものの、トップ争いからも遠く離され、かなり早い段階からず~~っと定位置のまま、まあ、常に5割をキープしているのだからがんばってはいるのだが、観ていてあまり熱くならない。
 今年は、これまで、改めて記事を書くこともほとんど無かった。

 そんな中、稲葉さんがケガから復帰し、何となくチームの雰囲気が変わってきたように感じられ、これからの終盤戦にわずかながらも期待が持てそうになってきた矢先の引退会見。

 残念ですが、こればかりはしかたない。
 最後のシーズン、稲葉さんらしく全力疾走し、チームを引っ張って行ってほしい。稲葉さんのことだから、今のタイミングの引退発表は、当然その決意の表明でもあるのだと思う。
 どこまで行けるか、わたしも全力応援します。

 それにしても、稲葉さんまでもが引退ということになって、ふと冷静にチームを観てみると、自分が果たして誰を応援しているのか、よくわからなくなっている、というのが正直なところ。
 ガッツさんがいなくなり、ダルビッシュ、ひちょり、糸井、賢介、鶴岡、気が付けば、みんないなくなってしまった。
 実は、糸井や鶴岡が出てくると、心の奥で密かに応援してしまったりしている始末。
 今季はもう、これからソフトバンクやオリックスに追いつけるとはとても思えないし。
 基本的に、選手に係らずファンであり続けるのが野球チームの真のファンだということはわかっているし、実際ハムが勝てばうれしいんだけど。

 

 さて、今日は、そんな今年の夏の愛聴盤。常に手元に置いてランダムにかけていたBOXセットを中心に。

 (目につくところにあるCDをただ並べただけ、という記事)



 まずは、とびぬけて魅力的な歌曲全集、2組。



 古い録音の寄せ集めではなく、ナクソス渾身の新録音から。


 R.シュトラウス 歌曲全集

  バンゼ、エルスナー、リボール、他


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 ブリギッテ・ファスベンダー監修による、13名の歌手&5名のピアニストによる新録音。

 新発見歌曲を含め、6歳の時のクリスマス・ソングから、84歳の「あおい」まで、ほとんどすべてのピアノ伴奏歌曲を、ほぼ年代順にまとめた歌曲全集。

 有名アーティストからそうでない人まで、実にたくさんの歌手が参加しているが、誰よりもシュトラウスを知りつくしているファスベンダーによって、歌手の振り分け、歌手たちへのアドバイス等を含めた監修が徹底しており、単なる寄せ集め感はまったくなく、安心してシュトラウスの歌曲の全貌を楽しめる。

 シュトラウスにおける歌曲は、バッハにおけるカンタータと同じく、ほぼ全生涯にわたって作品が存在する、作曲者にとっての日常の音楽。
 豪華絢爛でハデなイメージのあるシュトラウスだが、声とピアノという最小限のフォーマットによって、その本来の魅力である美しいメロディと、真摯とも言える表現を、たっぷりと堪能することができる。


 なお、名作「イノック・アーデン」と「海辺の城」も収録。ここではファスベンダーさん自身が、朗読で大登場。



 お次は、もう一方の廉価CDの雄、ブリリアントによる、往年の名盤の復刻BOX。


 フォーレ 歌曲全集

  スゼー、アメリンク、ボールドウィン(P)


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 かなり以前にちらっとのせたことがあるものだが、いつどこを聴いてもすばらしい。

 フォーレは夜想曲集や室内楽も良いが、フォーレならではの「心にしみる」感じが、声が加わると増強されるような気がする。



 フォーレでは、こちらも手離せない。


 ヴァージン・レーベルのフォーレ室内楽全集


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 フォーレの室内楽全集は、さまざまなレーベルからよいものがたくさん出ているが、最近のお気に入りはこれ。

 演奏が画一的でなく、曲の個性が際立っているところがよい。



 フランス系で、フォーレ以上によく聴いたCD。BOXセットではないけれど。


 サン=サーンス 管楽器のためのソナタ集&七重奏曲

  ブールグ、ギャベー、ダルコ、ダルレ、パスカル四重奏団員


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 昨年から今年にかけて、一番のお気に入り。とにかくよく聴いた。

 木管とピアノのための曲は、とびっきりキャッチーな歌曲を聴いているような楽しさがある。
 一方、たくさんの木管のための曲は、精巧な作曲技法を堪能することができる。

 サン=サーンスは、上品でセンスが良く、ほんとうに疲れない。サン=サーンスこそ、もっともまとまった室内楽のBOXセット等が欲しいと思っている。
 また、今後も、ジャンルにこだわらず、CDをチェックしてゆきたい。



 これもBOXセットではないが、室内楽では、最近はこればかり聴いている。


 ベートーヴェン チェロソナタ全集

  ハインリヒ・シフ(vc)、ティル・フェルナー(P)


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 やはり以前紹介したものだが、内容がすばらしいので、改めて。

 たまにベートーヴェンを聴きたくなるのだが、夜寝る前などは、カルテットだと各声部が雄弁すぎ、ピアノ曲だとにぎやかすぎる。
 そういう意味で、このフォーマットがぴったり。演奏も、それにふさわしい極めて自然なもので、何よりも美しい。
 これだと、すっと心に入ってきて、いつの間にか寝ている?



 他には、ブラームスやシューベルト、メンデルスゾーンの室内楽などもよく聴くが、CDはバラバラ。



 こちらもやはり以前ご紹介したセットだが、聴けば聴くほどよいので。


 メンデルスゾーン 宗教合唱曲集 (10CD)

  ベルニウス&シュトゥットガルト室内合唱団合唱曲


 
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 聴いていると、ふと、バッハが19世紀まで生きていて、曲を作っていたのではないか、という錯覚にとらわれる。
 メンデルスゾーンがどれほどバッハを大切にしていたか、バッハがどれほどメンデルスゾーンの血となり肉となっているのか、ひしひしと伝わってくる。
 しかし、それでいてこれはやはりメンデルスゾーンなのだ。上品で豊かなロマンの香りあふれるベルニウスの演奏がそれを雄弁に物語っている。
 音楽とは(あらゆるすぐれた芸術はそうなのだが)、決して一人のアーティストだけで独立して終わってしまうものではない。かくも見事に引き継がれ、生き続けてゆくものなのだ。



 これも、以前のせたかもしれない。


 知られざるスペイン・バロック&スペイン・カンタータ集

 (アル・アイレ・エスパニョール・エディション)

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 DHMレーベルの、アル・アイレ・エスパニョールのよるスペイン・バロックアルバムを集成した廉価BOX。

 バロック音楽はそんなに聴かないのだが、あまりにも魅力的な値段だったので、いつか何かの拍子に聴くこともあるだろう、と、購入しておいたもの。
 その何かの拍子に聴いてみたら、作曲者などは何だかよくわからないのだが、いつどの部分を聴いてみても、「透明で明るい哀愁」とでも言うべき響きと、情熱が炸裂するかのような生き生きとしたリズムに満ちあふれ、これが実にすばらしく、この夏はずっとこのBOXが手放せなかった。

 やはり、バロックは、ラテン系、南欧&中南米がよい。中央のバロック音楽ではすでに希薄になってしまっている遠い中世やルネッサンス初期の音楽の郷愁がまだ色濃く残り、それが新しい世界、海の彼方への世界への憧れとダイレクトに結びついているような気がする。
 演奏もそんな音楽ぴったり。主催のエドァルド・ロペス・バンソはレオンハルトの弟子のチェンバリスト。

 これからの晩夏の季節、去りゆく夏を思いながら聴くのに一番のアルバムかもしれない。

 ただし、作曲家&曲名は、さっぱり覚えられません。



 以上、現在手元に置いてあってよく聴くCDをあげていったら、すでに記事にしたことのあるセットが多くなってしまいました。
 最近では当たり前になって、よほどのことでは驚かなくなった、超廉価BOXセット。
 購入しただけで安心し、少し聴いただけで積んでおく状態になってしまうことも多々ありますが、このようにいつもそばに置き、すぐ聴けるようにしておくと、いつまでもいつまでも楽しめ、かつ新しい発見もある、
 ということで、そういう意味でもお得なセットなのでした。





 夏のアルバム・補遺


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 豊島区役所に展示されていた浦上天主堂の石像の破片。

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 豊島区中池袋公園で元気に育つ、長崎の原爆爆心地から800メートルのところにある山王神社のクスノキ(現在も大切に育てられている)の2世。
 背後は、この秋オープンするWACCA
 
 なお、南池袋公園(現在工事のため閉鎖中)には、広島のアオギリの2世も育っている。

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 原爆投下後の山王神社の惨状。写真に写っている柱のようなものは鳥居。(豊島区の展示より)

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カンタータ日記・奥の院

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宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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この記事へのコメント

2014年09月09日 10:08
ご無沙汰しています。
メンデルスゾーン、共感の嵐です。間違いなく彼は19世紀のバッハです(こればっかり^^;
ただ自分的にはやはりバッハのカンタータ群のほうがピッタリ来る、繰り返し聴きたくなる。なぜだろうと考え、編成のちがいかなと思いました。
バッハのカンタータなどはオケの編成が薄い、その分、ほとんどソロかと思うばかりの個々の楽器の活躍の場面が多いのに対して、メンデルスゾーンはやっぱりオケの分厚い響きを前提に曲を組み立てている、そんな違いがあるのかなと感じています。例によって漠然と、思いつき的にですが・・・(苦笑

2014年09月10日 10:24
 たこすけさん、こんにちは。

 メンデルスゾーン、いいですよね。特に声楽曲などは、もっともっと演奏されていいように思います。(CDもあいかわらず少ないですね)

> メンデルスゾーンはやっぱりオケの分厚い響きを前提に

 おっしゃる通りで、時代がそのような嗜好に傾いていたんでしょうね。マタイ復活上演の際にも相当手を加えていたようですし。
 その後は、大規模なオペラの隆盛もあって、合唱も音のかたまりとしての音響的側面が重視されるようになりました。おかげでバッハの声楽曲も、ずっと長い間オペラ等の延長のような演奏が主流になっていました。そのような演奏ももちろん感動的なのですが、バッハの一面にしか過ぎないのはご存知の通りです。
 メンデルスゾーンの合唱曲に関して言えば、やはりロマン派の作曲家ということもあり、身近に聴くことができる演奏が、どうしても比較的規模の大きい、ロマン的な合唱によるものになってしまうようです。
 でも、そんな中にも、しっかりとバッハが息づいているのを感じることができるのがうれしいですよね。
 バッハも、もしこの時代まで生きていたら、対位法など忘れて、夢中になってハデな作品を書いたかもしれません。

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