善財童子君大活躍~すべてが見どころ!日本国宝展 @トーハク(前期&後期総括)【待降節第1日曜日】

 左、おなじみ?本展覧会のメインキャラ、快慶の善財童子君。(ポスターを撮影)
 右、華厳五十五所絵巻の善財童子君。(「国宝店」で購入した善財童子カップを撮影)

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 今度の日曜日(11月30日)は、待降節第1日曜日。

 早いもので、もう新しい暦が始まります。

 バッハのカンタータは季節の音楽なので、暦に従って聴くことによってその魅力は倍増します。
 また、暦通りに順番に聴いてゆくことにより、数が膨大な上に一見敷居が高く、どこから聴いていけばいいのか見当もつかないバッハのカンタータを、身近なものにすることもできます。

 引き続き、暦に沿って、いっしょにカンタータを聴いていきましょう。
 今後ともよろしくお願いいたします。


 待降節第1日曜日のカンタータは、

 初期の名作、BWV61
 第2年巻(コラールカンタータ)の名作、BWV62
 後期のこれまた大名作、BWV36
 の3曲です。


 過去記事は、こちら↓

      
 <待降節第1日曜>

    新しい暦を迎えるにあたってのごあいさつ
    アドヴェント・クランツのともしび(BWV36、61、62)
    たまにはきちんと曲目解説・「いざ来ませ、異邦人の救い主」(BWV62)



 今日は、いよいよ会期も残りわずかになってきた、トーハクで開催中の特別展、日本国宝展の記録。



 10月22日(水) (前期展示)

 11月21日(金) (後期展示)


 日本国宝展

  @ 東京国立博物館 ~12月7日(日)まで *

    * 前期後期展示替えあり。その他、特別出品ほか、期間限定展示多数。


 いつものように、ポスターや関連展示等の写真をなるべくのせて、展示の概要が把握できるようにしました。


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 トーハク、所蔵の国宝を一気出し!

 そこに、大きな展覧会で目玉になるような各地の有名国宝までが加わって、えらいことになっていた。
 従って、観たことのあるものが多く、また「祈り」をテーマに展示物を厳選してはいるもののどこか散漫なイメージはあったが、それら(しかも、全部本物!)が一堂に会しているのをいっぺんに観るのは、やはり至福の一言。得難い体験だった。それに、ずっと観たいと心から思っていたものも、何点か来ていたし。


 前期・後期で展示替えが多く(同じ作品でも巻き替え等あり)、その他特別展示をはじめ期間限定展示が多く、一度行っただけではとても全貌を把握できない展覧会だった。
 そのため、今回初めてパスポートを現在持っている他にもう一枚購入。(これで今後も特別展の前期後期展示に対応ができるようになった)
 作品目録を十分吟味して日にちを選び、前期後期一度ずつでかけた。



 まずは、前期展示の作品から。


 錚々たる作品が並び、目もくらむような中でも、一人の人間の作品としての芸術力が飛びぬけていて、燦然と輝いていたのが、やはり等伯「松に秋草図」
 展示物の中で飛びぬけているばかりか、これまで観たあらゆる障壁画や屏風と比べても圧倒的に飛びぬけていることを、改めて思い知らされた。
 かつて智積院で観て心から感動した「楓図」。今回はその「楓図」ではないが、この「松に秋草図」も十二分にすごい。
 大画面いっぱい、縦横に、そして颯爽と走るススキやその他の草の清々しさ、
 これまた大画面のいたるところで大輪の花を咲かせるムクゲや芙蓉のやわらかさ、あたたかさ。香り立つようなリアリズム。
 観ていると、実際に秋の日に包まれ、秋の風に吹かれているような、何とも言えない良い気持ちになる。幸せな気持ちで心がいっぱいになる。
 何というやさしさ、慈しみの心。
 しかもその心はとてつもなく広く大きい。右側に描かれた松の巨木と対峙するように、左側に描かれた岩の上に咲く純白の花。その花の松の巨木にも負けないような大きさは一体なんだろう!

 秀吉、これを観た時、号泣したんじゃないだろうか。そして、どれだけ慰められたことだろう。
 秀吉のことはわからないけど、普通の人間だったら、きっとそうなる。

 祈りそのものは一切描かれていないが、全作品の中で最も祈りを感じさせる名品中の名品。

▽ 購入した等伯クリアケース、豪華二つ折り版。

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 次に印象的だったのが、仏涅槃図

 和歌山・金剛峯寺の日本で最も古い涅槃図の一つ。

 後代のもののようにごちゃごちゃしていなくて、おおらか&のびのびとした筆致、清明でやわらかなな色調で、保存状態の良さも手伝って実に美しく、画面には平安らしいゆるやかな時間が流れていて、観ていて何とも穏やかな気持ちになる。
 動物や霊獣などは少ないが、男泣きする仁王様など、見どころ満載。


 それから、前期展示では、期間限定の特別出展、正倉院宝物が観られたのもうれしかった。



 後期展示


 金印

 展覧会場の内部でも、ここだけは近くで観るための行列ができていた。
 近くで観ると、白菜と同じお宝オーラをビシビシと感じた。それほどゆっくりとは観られなかったので、取っ手の蛇の形を確認することができなかった。
 後で観た考古学展示室のレプリカでははっきりと確認できたので、予習してから本物を観ればよかった。(混雑による入場規制のため、考古学展示室のある廊下から特別展会場へは入れないようになっていたのだ)

▽ 考古学展示室のレプリカ。

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 国宝土偶5体そろい踏み

 中空土偶と合掌土偶の、口、というか、顔がほとんど同じなのに驚く。

 縄文の女神、造形が斬新すぎ!


 その他、後期は、阿弥陀祭りの様相!

 ずっと観たかった阿弥陀関連の名作が大集合。

 和歌山・有志八幡講の阿弥陀聖衆来迎図

 禅林寺の山越阿弥陀図

 どちらも圧巻の名作中の名作。

 これに、一時は、光明寺の当麻曼荼羅絵巻のラストシーンが加わっていて、(これはわたしにとってはなじみ深い作品なので、今回は日にちをはずした)、えらいことだったろう。


 また、後期で最も観たかった作品の一つが、

 華厳五十五所絵巻

 善財童子君がかわいい。ものすごくかわいい。全編にわたって花や花びらが散りばめられ、赤や桃色系の柔らかで暖かな色調ですべてが染められている。

 善財童子君が誰と会ったのか、どのような物語が繰り広げられたのか、詳しく知りたい。

 善財童子君は、この後、展覧会の大トリでも登場。

▽ 国宝店で購入した善財童子君マグカップ。

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 四天王寺の直刀 丙子椒林剣

 聖徳太子の御剣と伝えられる、一見してただの刀ではないということがわかる刀。
 素人のわたしには刀はどれも同じに見えてしまうが、これは何だかすごかった。
 飛鳥時代のものとはとても信じられないような輝き。


 長谷寺の銅板法華説相図

 中国かどこかの古代のレリーフみたい。


 また、唐招提寺の金亀舎利塔も観たかったものの一つ。



 以下、前期後期を比較しながら


 前期、後期の巻き替えを通じ、改めて凄さを実感したのが、

 知恩院の法然上人伝絵巻

 前期の「夢に善導大師に会う」のシーンも夢幻的で美しかったが、たまたま人だかりもすごく、まあ、こんなものか、としか思わなかった。
 ところが、後期の巻を観て、その詩情あふれ、丁寧あふれ心のこもった筆致、壮麗な美しさに驚いてしまった。特に、「雪の二尊院」の絵。
 これは、単に絵巻だけでなく、あらゆる日本画の中でも特筆すべき美と情感をたたえたものなのではないか。


 その他の仏画

 基本的にすべて展示替え。どちらも息を飲むように見事な作品ばかりだったが、見慣れたトーハク作品が多かった前期比べ、後期が興味深かった。

 京博の十二天像は、前期後期とも霊的な力に満ちて、大迫力だった。

 孔雀明王像普賢菩薩像、前期後期とも、それぞれすごかった。
 特に、孔雀明王。
 前期に平安期のおおらかで華麗な孔雀明王、後期に仁和寺の、宋風、というか、北宋伝来の凛としてこれまた華麗な孔雀明王を観て、
 この後、サントリー美術館で、快慶の孔雀明王を観る予定。

 地獄草紙は、前期後期ともすごい人だかり。大人気。
 後期の方が、よくある俯瞰図ではなく、鬼や怪物たちの姿が大きく描かれていて、迫力満点だった。


 日本書記、前期は聖徳太子の箇所だったのが後期は大化の改新の箇所に。
 わたしたちが習ったこの国のなりたちのルーツを実際に目撃。


 中尊寺の金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図なども展示替えがあったようだが、ほとんど見分けがつかず。しかし、どちらもすごい。 



 さて、前期、後期通じて変わらずに、来訪者の心を慰めてくれたのが、

 展示室に入ってすぐにデーンと鎮座していた、薬師寺の仏足石と法隆寺の玉虫厨子

 それから、最後の仏像部屋、

 第5章 「仏のすがた」

 (仏像は、実際には浄瑠璃寺の広目天だけが、興福寺東金堂の多聞天に変わっていた)


 まずは、やはり、その真ん中に「そびえたっていた」、

 元興寺極楽坊五重小塔

 れっきとした国宝建築。かつて元興寺で観て記憶に残されたイメージよりも、ずっと大きくてびっくりした。
 特に相輪が巨大で大迫力。たぶん実際の塔もこのようにしたいのだろうが、屋外の塔にこのままの比率のものをのせるのは不可能なのだろう。


 その周囲には、見覚えのある日本を代表する仏像の方々。

 正に「祈り」にあふれる特別な空間。 

 その錚々たるラインナップの大トリを飾っていたのが、安倍文殊院の快慶作文殊渡海五尊像のうち、二人だけでやってきた、善財童子君と仏陀波利三蔵さん
 熱烈な快慶ファンのわたしだが、さすがに役不足では、と密かに心配していたのだけど、快慶、やはりすごかった。
 この二人、あの巨大群像の中では本尊と全体のあまりの迫力の中に溶け込んでしまい、それぞれの有するすごみを主張することが無かったが、こうしてあためてスポットライトを当ててじっくり見てみると、それぞれが息を飲むほどすごい。そして大きい。

 華厳五十五所絵巻で大活躍していた善財童子君ももちろん躍動感に満ちてよかった。
 衣の裾などに鮮やかに残る、截金等超絶技巧の限りをつくした文様は、快慶が造形の人であるとともに、装飾の人であることを雄弁に物語っている。

 しかし、今回特にそのすごさを思い知らされたのは、仏陀波利三蔵さん。
 ポスターにも出ていませんが、これがまたすごい。人間離れした顔、爪。
 運慶に比べ、快慶はどこか突き抜けていない、リアリティがない、迫力がない、と思っている方、どうか左斜め後方からこの仏陀波利立三蔵像を見上げてみてください。
 デフォルメされたリアリティのすさまじさ。 
 あの重源像が、快慶でも十分造り得た、というか、むしろ快慶だからこそ造りえた、と思えてくるでしょう。
 運慶の、内へ内へとエネルギーが凝縮するような手風に対し、快慶の場合は、外へ外へ、果てしなくエネルギーが拡散しているように思える。

 
 仏像では、この最後の部屋ではなかったが、平等院の雲中供養菩薩像がずっといらっしゃていたのもうれしかった。
 この雲中供養菩薩像もそうだが、鎌倉光明寺の当麻曼荼羅縁起絵巻、中尊寺の金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図などなど、今では親しい友人のように思える文化財の数々とも再会できたのも、この展覧会の大きな楽しみだった。



 国宝館へ、展覧会を代表する多くの祈るキャラたち?がご案内。


 祈る人、一人目。(ミュージアムシアターのポスター)

 合掌土偶。祈りが初めて形になった姿?

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 祈る人、二人目。(ちらし)

 支倉常長の祈り。以前トーハクの支倉常長展で観た巨大な油絵と同じ顔。
 ほんとうにこういう人だったんだな。「オーデュボンの祈り」のこともあるし、何だかもはや他人とは思えない?
 いったい何を祈るのか、常長。 

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 そして、

 三千院の静謐極まりない勢至菩薩、

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 善哉童子君。

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 会場


 始めの頃はけっこうすいていたが、

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 後期展示になり、金印&国宝土偶5体のツートップが揃うにいたってけっこうたいへんなことになった。
 わたしは金曜日の夕方に出かけ、40分待ちの行列に並んだが、10分もしないうちに会場に入ることができた。
 その後しばらくして、行列は無くなり、入場規制は解消されたようだ。

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 文字のところに透かしてあるものが、金亀舎利塔。

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 ミュージアムショップ・国宝店

 右はオリジナル袋。デザイン、永井一正氏。

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 関連特集 国宝再現 -田中親美と模写の世界-


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 以下、国宝展展示作品のみ。(すべて摸本です)

 孔雀明王像などは、当然年代的に実物の方がはるかに古いのに、色彩、截金細工も含め、実物の方がはるかに美しく見えた。


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 その他、関連展示。


▽ 国宝ではないが、トーハクのスター土偶5体せいぞろい。(これも考古学室)

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 左上、人気者のミミちゃん。

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 関連イベント。


 元興寺極楽坊五重小塔、法隆寺玉虫厨子の細部を、8K映像で!

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