Bach for Christmas バッハのど真ん中定番名曲集~今年聴いたCDバッハ編【降誕節他】

 早いもので、今日(12月21日)は、待降節第4日でした。
 いよいよクリスマス、12月25日(水)から3日間、降誕節です。


 降誕節のカンタータはたくさんありますので、

 【一言コメント付降誕節カンタータ一覧】

 をご覧ください。


 クリスマスのための、バッハ渾身の作品がそろっています。
 大人気のクリスマス・オラトリオもいいですが、あれとてクリスマス周辺のカンタータ群。
 この機会に、ぜひ他のカンタータにも耳を傾けてみてください。
 華やかで壮麗な曲、しっとりと美しい、心にしみる曲、
 ぜひ、お気に入りの1曲を見つけて、すばらしいクリスマスをおすごしください。


 なお、今度の日曜日(12月28日)は、降誕節後第1日曜日となります。
 上記一覧表に、この日のカンタータまで出ていますので、あわせてご参照ください。


 過去記事↓


 <待降節第4日曜>

    待降節第4日曜(BWV132)

 <降誕節>

    クリスマスとバッハその1(クリスマス・オラトリア、マニフィカト)
    クリスマスとバッハその2・風の中のマリア(BWV147、10)
    クリスマスとバッハその3 【降誕節カンタータ一覧】
    お気に入りのアリア・クリスマス編その1 青く透明な光(BWV151)
    お気に入りのアリア・クリスマス編その2 悲しみを見つめる視座(BWV57他)
    バッハの最高のクリスマス音楽は・・・・
    またまたきちんと曲目解説・クリスマス編~BWV110 これこそ、クリスマス音楽!
    謹賀新年、いきなり曲目紹介~BWV191を巡る初夢。バッハはいかにロ短調ミサを書き始めたか。

 <降誕節後第1日曜>

    クリスマスとバッハその3 【降誕節カンタータ一覧】
    1年の最後の日没~降誕節後第1日曜(BWV152他)



 さて、と、いうわけで、街はクリスマス一色の今日この頃ですが、わたしはこのCDばかり聴いています。


 In TEMPORE NATIVITATIS

 J.S.バッハ:待降節・クリスマスのカンタータ集

  フィリップ・ピエルロ&リチェルカール・コンソート


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 今年の春ごろ、一度ご紹介したCD。
 その時の記事では、リリースが季節ハズレだ何だとグチグチ言っていますが、その後すっかり忘れてしまっていたところ、この前ANNAさんからコメントをいただき、改めて耳を傾けてみました。
 (以下、その時のお返事を基にした文章になります。)

 ようやくクリスマスの季節が巡ってきて、その中で聴くこのCDの演奏には、ほんとうに特別なものでした。
 名盤の多いクリスマスカンタータ集ですが、その中でも特筆すべき美しさなのではないでしょうか。選曲も、さまざまなタイプ、年代の代表曲を網羅しています。(残念ながら、第2年巻のコラールカンタータは入っていませんが)
 他のクリスマスの曲もみんな同じだと思いますが、クリスマスのカンタータは、やはりクリスマスに聴くと最高です。カンタータは基本的にはいつどこで聴いてもいいと思うのですが、やはりそれぞれの季節に聴くと格別だということを、改めて実感しました。

 全編聴きどころですが、その中でも一番の聴きどころの一つは、BWV151のアリアではないでしょうか。
 このアリア、曲自体すばらしく、今でも「わたしの好きなアリア」のベスト10に入るのではないかと思います。
 「お気に入りのアリア」クリスマス編の中で真っ先にあげたのも、この曲でした。(こちらの記事
 お気に入りのアリアの記事の中でご紹介しているガーディナーの演奏は、即興的なオブリガート旋律がたゆたうかのような静謐な演奏でしたが、
 このリチェルカール・コンソートの演奏は、それよりも1分近く短いテンポ。深い呼吸のリズムを強調した舞曲そのものみたいな甘美な演奏で、この大名曲の新たな魅力を見せてくれたものだと思います。
 このように様々な側面が楽しめるのも、名曲の証。



 一枚、すばらしいカンタータのCDを「再紹介」したところで、引き続き、今年聴いて印象に残った、カンタータを始めとするバッハのCDを、かんたんにご紹介したいと思います。
 クリスマスということで、あまり奇をてらっていたり小難しかったりするものではなく、誰もが楽しめるものばかり。
 アドヴェント期間中には、今年のマイ・ベストCDの記事をどんどんアップしていくつもりだったのですが、ぐずぐずしていて結局何にもしていないので、とりあえずその第一弾、ということで。
 その他のさまざまなジャンルのCDについては、新年以降、順次アップしていきます。(予定)
 


 J.S.Bach Cantatas -Recreation for the Soul

 バッハ・カンタータ集 BWV78、150、147

  ピーター・ハーヴェイ主催、マグダレーナ・コンソート

  エリン・マナハン・トーマス(S)、ダニエル・テイラー(CT)、ジェイムス・ギルクリスト(T)、ピーター・ハーヴェイ(Br)


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 定番中の定番、名曲の名演奏。

 歌手も粒ぞろい、器楽も現代の最先端をゆく名人揃い、現代のカンタータ演奏の王道を行くような、誰にでもおすすめできる一枚だと思います。
 とにかく、歌手がいい。みんなとびっきり声が美しい上に、表現力も豊か。
 これは、OVPPなので、=そのまま合唱がいい、ということ。
 カンタータはやはり何よりも歌であることを再確認させてくれる。

 特に、初めてカンタータを聴いてみたいのだけれど、どれを聴いたらいいのかさっぱり、という方には、真っ先に、自信を持っておすすめできる一枚、
 一方で、これまでたくさんカンタータを聴いてきたけど、何か目新しいCDは無いものか、という方も、必ずやその演奏水準の高さにうなってしまうであろう一枚です。

 BWV78
 冒頭のすさまじい半音階進行が、リアルな人間の声による、音楽的に極めて正確だが感情にあふれた「歌」のぶつかり合いであるゆえに、これまでに無いくらい生々しく心に迫ってくる。
 これに、コラールがからむ、コラール・カンタータならではのすさまじさ!
 コラールに付き従う、きらきらした器楽の音色の、この世のものならぬ美しさ!
 そして、それに続くアリアのはじけるような喜び!
 BWV150
 バッハにしては、随所に若さの感じられる初期作さえもが、円熟味観あふれる堂々たる大作みたいに堂々としている。
 BWV147
 この曲に関しても、あの誰もが知っているおなじみのコラールが、このように響いたことが、かつてあったでしょうか。(と書くのも何度目か?ですが、すごいんだからしかたない)
 
 6曲目と10曲目ではまるで異なっていて、どちらも良いんですが、やはり最後の第10曲がすごい。
 始めのあまりにも有名なオブリガート旋律、ちょっと聴くと、あれ、軽く弾みすぎじゃない?と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、4人の名歌手が織りなす、聴きなれたはずなのに空前絶後の密度を持った「コラール」=「歌」のタペストリーと、がっぷり4つに組んで「共演」するオブリガート&通奏低音として、これ以上のものはありえないことに、すぐに気づかされるでしょう。
 その他の楽章、アリアの花園も、夢見るように美しい。
 BWV147、原曲のBWV147aは、ちょうど、クリスマス前、この前の日曜日の顕現節第4日曜日用に作曲されたものです。(もっともこの時にはまだあのコラールはついていませんでしたが)
 この機会に改めてお聴きになってみたらいかがでしょう。



 以下、クリスマスに季節にもぴったりな、協奏曲の名盤。

 古楽系と現代楽器系から一枚づつ。



 ブランデンブルク協奏曲全曲

  フロリレジウム


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 こちらも、現代考え得る最高最美のブランデンブルク。

 やさしい微笑みにあふれたバッハ。
 こんなにも柔らかで、まるで幸福な微笑みがこぼれおちるかのようなブランデンブルク・コンチェルトがかつてあったでしょうか。
 正に、さまざまな色彩、かたちに咲き誇る、音楽の花園。

 一時期、ずっとこればかりかけていた。
 まるで、初めて聴いた音楽であるかのように、何ていい曲なんだ、と思いながら。

 
 それにしても、今回これまであげたCDすべてに言えることですが、驚嘆すべきなのは、リズムの自然さ、多彩さです。
 このブランデンブルクなど、ほんというにリズムのすごさが際立っている。
 かと言って、決してとんがっているわけでも、緊張感にあふれているわけでもない。
 とにかく自然でしなやか、大自然の中の風や波のように変幻自在、しかもそのすべてが的確で、そうあるべきだと感じられる。
 そして、そのリズムに立脚したメロディの美しさ、対位法の幸福感!特に、低音域の「旋律」がまるで3D映画でも観ているかのように浮かび上がり、それが音楽全体に及ぼす効果は圧巻。



 バッハ 協奏曲集ほか、ヴァイオリン名曲集

  リサ・バティアシュヴィリ


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 バティアシュヴィリ、久々の夫婦共演によるバッハ。
 かつては、ルルーのCDに若きバティアシュヴィリがゲスト参加していましたが、今回は、逆。
 バティアシュヴィリのCDに、ルルーがゲスト参加。

 今や、人気・実力とも飛ぶ鳥を勢いのバティアシュヴィリだが、数年前、日本語表記をどのようにするか迷っていた頃を思い出した。

 かつての、凛として研ぎ澄まされた音色が、当時の迫力そのままに、ものすごく、暖かく豊かになっている。

 渾身の無伴奏も、おなじみマタイのアリア(これもルルーとの競演。ルルーの「歌」がすごい!)もいいですが、
 BWV1060a(特に第2楽章)からBWV156のシンフォニアへと続く、まるで暖炉の火にあたりながら雪景色を眺めているような何とも言えない幸福感がすばらしく、今のクリスマスの時期にもぴったり。

 ある意味、ここにも、やさしさがあふれている。


 こういうのも、実にいいなあ、と思う。


 <HMV公式HPより>

 【収録情報】

J.S.バッハ:
1. オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ハ短調 BWV.1060a
2. カンタータ第156番『わが片足は墓穴にありて』 ヘ長調 BWV.156~シンフォニア
3. ヴァイオリン協奏曲第2番ホ長調 BWV.1042
4. 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番イ短調 BWV.1003

C.P.E.バッハ:
5. ヴァイオリン、フルートと通奏低音のためのトリオ・ソナタ 変ロ短調 Wq.143

J.S.バッハ:
6. マタイ受難曲 BWV.244から『憐れみ給え、わが神よ』

 リサ・バティアシヴィリ(ヴァイオリン)
 フランソワ・ルルー(オーボエ:1、オーボエ・ダモーレ:6)
 エマニュエル・パユ(フルート:5)
 セバスチャン・クリンガー(チェロ:5)
 ペーター・コフラー(チェンバロ:5)
 バイエルン放送室内管弦楽団(1,2,3,6)
 ラドスワフ・ショルツ(コンサートマスター:1,2,3,6)


▽ 今回のCDのブックレットの写真。
  仲のよさそうな二人。この写真の雰囲気通りの演奏。

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▽ あまり知られていないが、今回と同じ夫婦競演のコンチェルトが収録されている、
  ルルー名義のCD。
  いっしょに写っているのは、あまり関係ないが、
  R.シュトラウスの協奏曲の、ルルーのとんでもない名演CD。

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 次のCDは、ある意味一番楽しみにしていたものですが、リリースが遅れ、感想が間に合いませんでした。
 (先日、リリースの知らせが届き、現在配達待ち)

 ボーモンが、ラウテンヴェルク(リュート・チェンバロ)を使用した、器楽名曲集。


 半音階的幻想曲とフーガ、リュート組曲、ポロネーズ、他

  オリヴィエ・ボーモン(ラウテンヴェルク)


 バッハの器楽曲の最高峰、リュートのための組曲の真の姿が、名手ボーモンの手によって現代に蘇る。(はず)


 感想は、次の機会に。





そのほかの「記事目次」

「全体記事目次」

カンタータ日記・奥の院

浅田真央さん情報・最新版

宮沢賢治記事目次

カンタータ日記・大阪モダン建築図鑑

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この記事へのコメント

ANNA
2014年12月31日 15:13
Noraさん、こんにちは。


今年もカンタータをご案内くださりありがとうございました。
おかげさまで、その時のマイブームの音楽とあわせてカンタータを聴くことができ
ました。現在もBWV152のカンタータを聴きながらのコメントです。
シンフォニアを聴いていると、私には冬枯れの景色が思い浮かんできます。
このカンタータで使われているヴィオラ・ダモーレという楽器ですけれど、カンタータに登場するのはとても珍しい楽器のように思います。
ふだん音楽を聴く時は、束の間すべてを忘れて、ただただ美しい音楽の中にいるのが
しあわせ~と思っている私ですが、楽器のことを考えたりするのも楽しいものですね。

迎える新しい年も、またカンタータのある毎日を過ごしたいと思っております。
来年もよろしくお願いいたします!
2014年12月31日 18:17
 ANNAさん、こんにちは。

 BWV152のシンフォニア、おっしゃる通りの美しさですね。
 1年をしみじみと振り返るのにもぴったりです。

 ヴィオラ・ダモーレ、雅で美しい音色の楽器ですよね。
 楽器を見た方によると弦の多いヴィオール系の楽器とのこと。
 ヨハネ受難曲で使用されているのはよく知られていますが、(奏者がいなくなってしまったためか、後に弱音器付Vnに変更。右URLの記事)カンタータでは、他にはBWV36の原曲の世俗カンタータ等でも使われていたように思います。
 筋金入りの職業音楽家だったバッハは、常にその時その時で、できる限り最高の演奏家や楽器を使って音楽を響かせようとしたので、同じカンタータでも全く楽器や歌手が異なる異稿が存在することが多いです。おっしゃるようにそのあたりに注目すると、またぐんと鑑賞の幅が広がりますよ。

 こちらこそ、今年はいろいろとお世話になりました。
 来年もよろしくお願いいたします。

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